Krush 11.21 後楽園ホール:20歳の里見柚己、Krush 10周年大会メインで山本真弘を粉砕。牧平圭太、再起戦制す。栗秋祥梧、Krush初戦は1R KO勝ち
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Krush.95
2018年11月21日(水)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第8試合 メインイベント スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×山本真弘(N.F.T.T./元IT’S SHOWTIME世界-61kg級王者、Krushライト級(60kg)GP2009優勝、元全日本フェザー級王者)
○里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)
2R 1’59” KO (左ストレート)
2008年11月8日に第1回大会の行われたKrushの10周年を記念した大会。第1回大会にも出場し、2009年のKrushライト級(60kg)GPで優勝する等、創成期のKrushを牽引した山本真弘が出場し、15歳下で20歳の里見柚己とメインイベントで対戦した。
真弘は2005年に各団体のトップ選手を集めたIKUSA GP、07年にKrushの前身の全日本キックが主催したKick Returnトーナメント、そして上記の09年のKrushライト級GPでも優勝し、60kgのトップに君臨。のちの60kg戦線での卜部弘嵩、武尊らの活躍の礎を作った選手だ。同世代の選手の多くが引退した中、35歳の今もリングに立ち続けているが、8月の名古屋大会で大岩龍矢にKO負けし、最近は3連続KO負けと苦戦しているが、今回も厳しい現実を叩きつけられることとなる。
宮田充K-1プロデューサーがリングアナを務めた後、ゴング。1R、両者サウスポーに構え、体格で勝る里見のパンチで少し真弘は押される場面もあるが、独特の前後左右の細かい動きで的を絞らせず、前蹴り、ミドル、右ボディをヒットする。だがお互いまだクリーンヒットにはつながらない。
2Rも真弘は細かく動きつつ、オーソドックスにスイッチしながら右ローとミドルを当て、テクニシャンぶりを発揮するが、里見はこれで火が付いたか?飛び膝から一気に詰めると、左ストレートをヒット。耐えた真弘は打ち合いで活路を見出そうとしたが、里見の打ち下ろしの左ストレートがクリーンヒットし、真弘は腰から沈みダウン。真弘が立ち上がれないとみるや、梅木レフェリーがストップ。若い里見が容赦なくベテランの真弘を叩き潰した。
里見は「プレッシャーもあったんですが、得意の左で倒せて良かったです。山本選手は反応が良くて、かわされてやりにくかったです。若い自分がこれから盛り上げたいです」とコメント。「西京春馬選手、江川優生選手、佐野天馬選手といった同い年の選手に比べたら自分はまだまだなので、もっと自分も存在をアピールしたい」とも話していた。
第7試合 セミファイナル ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○牧平圭太(HALEO TOP TEAM/元王者)
×渡邊俊樹(優弥道場)
判定3-0 (28-27/28-27/28-27)
牧平は今年2月大会で塚越仁志の持つウェルター級王座に挑戦し、2R KO負けして以来の試合。渡邊は昨年7月のKrush初戦こそ斎藤武彦にKO勝ちしているが、以降は平山迅、松岡力、海斗相手に3連続KO負け中だ。
1R、サウスポーの牧平はいつものようにロー主体で攻めようとするが、渡邊は時折一気に詰めてパンチを連打。牧平はもらってひるんでクリンチが増え、芹沢レフェリーから注意される。終盤には渡邊が同じパターンの中で右フックを当ててダウンを奪う。
2Rも渡邊はパンチで突っ込んでくるが、牧平は耐えつつ、執拗に左ローを当て続けてダメージを与えると、次第にロープに詰める時間が増え、中盤には左ハイでダウンを奪取し形勢逆転。その後も左のハイ、ローを当て続けて渡邊を圧倒する。
3Rも牧平は渡邊に左ロー、ハイ、そして膝蹴りを当て続け圧倒。渡邊も必死に耐えて時折パンチを返すが、最後まで牧平の勢いは止まらず、牧平の判定勝ちとなった。
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×明戸仁志(K-1 GYM EBISU FREE HAWK)
○“バズーカ”巧樹(菅原道場)
判定0-2 (鶴和29-30/岡田29-29/伊藤28-30)
明戸は8月に剣闘士“俊”に延長判定2-1で勝利したが、今回から階級をアップする。
1R、明戸が右ボディを効かせてからラッシュを仕掛ける場面もあったが、バズーカもすぐ持ち直す。両者とも慎重で、攻撃が少ない。
2Rもお互い慎重。バズーカが細かく右ミドル、前蹴り、右フックを随所で当て、やや巧く戦っている感はあるものの、まだダメージを与える攻撃は乏しい。
3R、お互いポイントを取れていないことを意識してか?ようやく序盤から積極的に攻撃を出すように。どちらもパンチ、膝、前蹴りを当てるが、一進一退のまま終了する。記者採点は30-30。ほぼ五分で終わったが、終盤にバズーカが左フックで明戸をぐらつかせたことがやや好印象となったか?2者から支持され勝利した。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×三輪裕樹(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)
1R 2’09” KO (左フック)
栗秋は弱冠21歳にしてキャリア49戦、九州で5つの大会のベルト獲得実績があり、今年に入ってKNOCK OUTで1勝1分。9月に大分から上京しクロスポイントに移籍。10月21日のパンクラスでのREBELS公式戦にも上がったばかりだが、今度はKrushを新たな戦場に選んだ。初戦の相手・三輪は14年からKrushに上がり、今年に入ってからは足利和正と安達元貴に2連勝している。
1R、三輪が圧力をかけ、栗秋はロープ、コーナーを背負い続け、三輪が右ローを放つと蹴り足をすくってしまい、山根レフェリーから注意されてしまう。ムエタイスタイルからK-1スタイルへのシフトがまだ不十分な感だったが、時折放つパンチの炸裂音が大きく、場内はどよめく。そして中盤過ぎ、三輪が右ローを当てた直後、栗秋は少しバランスを崩しながらも、右と左のフックを連続でクリーンヒット。三輪が頭から突っ込むように前のめりでダウンすると、すぐさま山根レフェリーはKOを宣告した。
試合後の栗秋はコーナーに登ってバック宙。KRESTの武尊もリングサイドで見る中で、大胆にも武尊を思い出させるパフォーマンスを繰り広げた。
第4試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○中野滉太(POWER OF DREAM)
×竹内悠希(K-1 GYM EBISU FREE HAWK)
2R 0’44” KO (右フック)
1R、しばらく竹内が右ロー主体でやや優位だったが、中盤、中野が右ローを強打した後、少し止まった竹内に右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。
2R、中野は飛び膝のように飛び込んで着地した直後、ロープを背にして下がった竹内に、左フックを当ててダウンを奪う。竹内はダメージが大きく、中野が右フックでまたもダウンを奪うと、山根レフェリーがストップした。
第3試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×伊藤健人(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
○般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺/元グラディエーター武士道キックフェザー級王者)
判定0-3 (伊藤28-29/山根28-29/山崎28-29)
般若はKrush初参戦の24歳。戦績13戦5勝(4KO)4敗4分。構えはサウスポー。佐賀県嬉野市出身。長らく愛知の志村道場に在籍し、HEATを主戦場にしていたが、今年からクロスポイント吉祥寺に移籍した。8月のRIZIN名古屋大会で内藤大樹に2RローキックでKO負けしたが、1Rに右フックでダウンを先取しチャンスを作っている。
1R、伊藤が右ミドル主体で先手を取るが、般若が少しずつ右ローを返した後、右のリードジャブからの左ストレートでダウンを奪う。2R・3R、伊藤は終始右ミドル主体で主導権を維持するが、1ポイントを取り返すに留まり、般若の判定勝ちとなった。
第2試合 クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
○植村真弥(ウィラサクレック・フェアテックス幕張/WMC日本ヘビー級王者)
×俊雄(PAL-GYM)
4R 判定3-0 (10-9/10-9/10-9)
3R 判定1-0 (30-28/29-29/29-29)
16年7月のJ-NETWORKで両者は対戦し、俊雄が2R KO勝ちしている。両者とも当時よりも体重を落として再戦した。1R、俊雄が左ミドルを当て続け、植村は慎重なファイトを展開したが、2R中盤からパンチラッシュで俊雄を追い詰める。その後も一進一退の展開となるが、両者2票獲得できず延長へ。両者消耗が激しいが、植村が随所でパンチラッシュを仕掛けて好印象を残し判定勝ちした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×ソルデティグレ・ヨースケ(Team Yosuke)
○冨沢貴人(Team KROSS×OVER/OOTA DOJO)
判定0-3 (芹澤29-30/岡田28-30/豊永28-30)
ヨースケはKrush草創期に活躍した選手の一人で、10年4月のKrushの野杁正明戦でKO負けしたのを最後に引退した。それから8年。37歳になったヨースケは10月の復帰発表で「Krush 10周年記念があるという話を聞く中で、このまま失神KO負けで終わるのはどうしたものかと思いました」「大きくなった娘にもカッコいい所を見せたいと思った」と、復帰の理由を語っていた。また、頸椎完全損傷で闘病生活を送っているプロレスラーの高山善廣がリングネームの名付け親であるため「試合を通じて高山さんに多少でもいいから恩返してきたら」とも話していた。
1R、両者接近戦でパンチ主体の攻防。2Rも同様だったが、ヨースケの右ローのタイミングで冨沢が左ジャブを当てると、ヨースケは後ろに倒れる。ダメージは無い様子だが、レフェリーはダウンを宣告する。するとヨースケは手数を上げ、パンチのヒットを増やし挽回。3Rも若干押し気味だが、明確なヒットにはつなげられず判定負けに終わった。
プレリミナリーファイト第3試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R
○吉田英司(クロスポイント吉祥寺)
×雄人(優弥道場)
3R 1’51” KO (右ローキック)
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
△佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2017 -65kg優勝)
△塚本拓真(TANG TANG FIGHT CLUB)
判定1-1 (29-28/29-30/29-29)
プレリミナリーファイト第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R
×桑田裕太(Ωmega/K-1カレッジ2016 -55kg優勝)
○藤田和希(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
判定0-2 (29-30/30-30/29-30)
武尊、武居由樹、久保優太、野杁正明、卜部弘嵩リング上挨拶
Krush 10周年を記念し、KrushとK-1の両方で王座を獲得した選手のうち5人が勢ぞろいした。
◆武尊 僕の中でKrushはデビュー戦の場で、アマチュア時代を通して初めてベルトを巻いたのもKrushです。僕のナチュラルボーンクラッシャーという愛称のKrusherの頭文字のKはKrushから取りました。僕のファイトスタイルを作ってくれた大会で感謝しています。これから格闘技界全体を引っ張って盛り上げます。Krushのリングが大好きなので、いつかまたこのリングで試合させてください。
◆武居 Krushに憧れ4年前にデビューしました。今のK-1・Krushを見ている子供たちが憧れる試合がしたいです。最近Krushに参戦していませんが、いつでもオファーをお待ちしています。
◆久保 いつも僕はお騒がせしまくって、他の団体なら3回ぐらいクビになっていますね。戦うリングが無くなった時にKrushで試合をさせてもらって、感謝しかないです。
◆野杁 Krushが20年、30年と続けて行けるように盛り上げます。
◆弘嵩 今、頭の中K-1のタイトルでいっぱいなので、それが終わったら、またお願いします。
寺崎直樹 引退セレモニー
寺崎は5月大会で松下大紀に1R KO負けし、これが最後の試合に。約2年ぶりの試合で負けた後、引退を表明していた。14年7月にHIROYAを下し、第2代Krushスーパー・ライト級王者となった実績がある。
セレモニーではWILDRUSHリーグでしのぎを削り合った5選手、BOOCH BEATで同門だった寺戸伸近・渡辺武・山本優弥、夫人と2人の息子が花束を贈呈。寺崎は「リング上から皆さんの顔を見られるのは寂しいですけど、リーグ戦で戦ったみんなが来てくれて感謝でいっぱいです。会社を辞めて臨んだリーグ戦で5試合とも負けて、辞めようと思ったんですが、スポンサーとファンの皆さん、家族に支えられ、チャンピオンになれました。チャンピオンになる夢を果たせたのは自分にとって宝です。リングを降りますが、まだ人生の折り返し時点です。このリングで培ったチャレンジ精神でこれからも頑張ります。僕は負けたくない気持ちで戦ってチャンピオンになれたので、負けた選手たちもあきらめず頑張って欲しいです。あと、最近問題になっていますが、選手からチケットを買う人はキャンセルをしないであげてください」と、寺崎らしい気配りと優しさに満ちたメッセージを残し、最後に10カウントゴングを聞いた。