Krush 4.29 後楽園ホール(レポ):児玉兼慎、レオナ率いるRibelLion加入初戦は上野空大に3R終盤KO勝ち。関口功誠、新美貴士との激戦制しデビュー7連勝
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Krush.173
2025年4月29日(火/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
児玉兼慎、レオナRibelLion加入初戦は上野空大に3R逆転KO勝ち
第9試合 メインイベント ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
×上野空大[くうと](kickboxing gym SHINYUUKI+)
3R 2’43” KO (左フック)
児玉は10戦7勝(2KO)3敗の23歳。昨年、瓦田脩二、伊藤健人に2連勝。今年2月のKrushライト級GPでは一回戦で天野颯大に延長判定負けしたが、死闘を繰り広げ、宮田充プロデューサーもGPのベストバウトに挙げ、児玉を高く評価していた。児玉はその後、レオナ・ペタスがK-1改革のために宮田氏に反旗を翻して立ち上げたチーム「RibelLion(リベリオン)」に加入し、所属のシルバーウルフだけでなく、レオナとも練習を重ねてきた。
上野は5戦4勝(2KO)1敗の21歳。フルコンタクト空手をベースに、K-1アマチュアで16戦全勝。23年3月のデビューから4連勝後、昨年9月、ゴンナパーの相手に抜てきされ3R TKO負けしたが、ゴンナパーは前日計量で1.65kgオーバーしていた。
1R、児玉がプレッシャーをかけ続け、上野が回って距離を取る構図に。上野は右ロー、膝、左ジャブ等を返し、児玉はあまり手が出せなかったが、中盤過ぎには右ストレートをクリーンヒットし、随所で膝とローを当てる。だがお互い組んでからの膝の反則があり、島村レフェリーから注意を受ける。記者採点はイーブン。
2Rも似た構図で、児玉が前に出続け、上野のヒットが上回る。児玉も左ジャブ、右ストレートを叩き込み、随所で印象を作るが、上野は膝とパンチを随所で返し、終盤には胴回し回転蹴りで児玉をひるませ印象を作る。記者採点は上野だがイーブンもありうる。
3R、両者交互に前に出てパンチと膝を当て合い、体をつけての攻防が増え、壮絶な削り合いに。すると終盤、児玉の左右のフックのヒットが次第に増え、上野が苦しそうに下がるように。児玉は猛ラッシュの末に左フックをクリーンヒット。上野がダウンすると、フラつきながらもなんとか立ち上がったが、虚ろな表情を見た島村レフェリーがストップ。児玉がKO勝ちを果たすと、場内は大盛り上がりとなった。
マイクを持った児玉は「前回負けて今回取り戻さなきゃヤバい思って。腹が効いてキツかったけど頑張れました」とコメント。リング周りのVIP席で観戦していたRibelLionのメンバーもリングに上がり、レオナは「RibelLionとして兼慎が勝ってくれたんで、僕ら5月31日(K-1で)3人が勝つんで、楽しみにしてください。K-1最高にするんで、僕たちに任せてください」とアピールした。
バックステージでのインタビューで児玉は「根性ですね。前回天野に負けたから、同じ感じにはなんねぇと思って最後出し切りました」「前回最後押し切られたんで、今回だけは絶対負けないと思って行ってやろうと思いました。前回があったから勝てたっていうのは本当にありますね」と試合を振り返った。
RibelLion加入の効果を聞かれた児玉は「結構ありますね。レオナさんともめっちゃ練習したし、裏でも頑張れって言ってくれて、すごい熱い言葉かけてくれて、いいプレッシャーだったですね。負けられない気持ちもめっちゃありました。(加入)一発目、負けたらヤバいじゃないですか。マジよかったっすわ」と、ハンバーガーを頬張りながらコメントした。今後については「Krushのベルト欲しいですね。大岩(龍矢)とか何やってるんですか?試合してないですけど、怪我治ったらベルト懸けてやってほしいですね」と話している。
児玉のセコンドには、同じシルバーウルフ所属で2つ前の試合でKO勝ちした塚本拓真がついた。塚本は「兼慎は仲良い後輩で、試合前から『拓真君が勝つのを信じているので勝ってセコンド入ってください』ってお願いされていて、その上でしっかり勝って兼慎に繋いで、いい勝ち方してくれて、本当にうれしかったですね。2倍うれしいです」と話していた。
宮田充プロデューサーは「昔、魔裟斗と小比類巻(貴之)が、あのとき2人キャリア2戦ぐらいだったんですけど、どうなるかわからないですけど(メインイベントで)やったら凄いいい試合になったっていう(のを思い出しました)。上野も6戦目でメインってのも異例だし、児玉も前回トーナメント一回戦で負けて、なんでメインだと思うんですけど、しっかり2人ともいいメインを戦ってくれたと思います」と両者を称えた。児玉については「RibelLionっていうのでみんなでやっているから力になっただろうし、塚本が勝って俺もってのがあったと思いますし、貧乏ですけど稼がしてみたいですね」と話し、今後の積極起用に意欲的だった。
宮田氏は他の試合で好勝負を繰り広げた選手たちも称え「みんなK-1が終わったとか、宮田(プロデューサー)になってダメだったとか、僕が何か言うたびに書いてくれる人たちが一定の人数がいるんですけど、何とも思ってないなって、でも、やっぱり心でちょっとグサグサくるんですよね。そうなのかなってたまに思ったりするんですけど、今日は勇気づけられましたね。この子たちと頑張ろうって思いましたね」と笑顔で話していた。
関口功誠、新美貴士との激戦制しデビュー7連勝
第8試合 セミファイナル フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×新美貴士[たかひと](名古屋JKファクトリー/元Krushフェザー級王者)
○関口功誠(ALONZA ABLAZE)
判定1-2 (箱崎29-30/島村30-29/豊永29-30)
新美は30戦のキャリアのある31歳のベテラン。23年3月のRISEで門口佳佑に判定負け。6月のKrushでは寺田匠に判定勝ちしたが、10月には稲垣澪に判定負け。昨年3月のホーストカップでは魁斗と延長引き分け。7月のKrushでは竹内将生に2R KO勝ち。11月のKrush名古屋大会で大脇武を1R KO。2連続KO勝ちが評価され、今年2月のK-1で寺田のK-1王座に挑戦したが、終始攻め込まれ判定負けし、寺田にリベンジを許した。
関口は21歳の新鋭。23年7月にデビューし6戦6勝(4KO)。最近では昨年9月に石川慶に3R TKO勝ち、12月に小松貴哉にわずか15秒でKO勝ちし、K-1王座に挑戦したばかりの新美の相手に抜てきされた、
1R、新美がサウスポーで構え、序盤からプレッシャーをかけ続け、左ミドル、インロー、ストレート等を当て続ける。関口はひるまず、右フックやローやミドルを随所で返してはいるものの、新美の攻撃を受け続ける時間が長く、やや印象が悪い。記者採点は新美だがまだイーブンもありうる。
2Rも新美が手数では上回るものの、関口も随所でミドルの蹴り合いで返し続けたり、前に出返してパンチを当てる等、1Rよりは持ち直す。記者採点はイーブン。
3R、関口が少し下がる場面もあったが、中盤過ぎから雄たけびをあげながらパンチや左右のハイのヒットを増やし、やや優位に。新美は疲れ、勢いが落ちるが、細かくパンチを当て返す。関口も空振りが多く、新美を詰め切れず終わる。記者採点はイーブンだが関口につく可能性もある。合計30-29で新美。ジャッジは1者が新美を支持したが、2者は3Rの関口の積極性を評価したか?関口を支持し、関口が判定勝ちした。
関口はインタビューで「思ったよりもプレッシャーが強かったです。すごい蹴りも多かったし、パンチも見えなかったんで、みんなこれで倒されているんだなって思いました。セコンドの声が聞こえていたところが勝因かなと思います」と試合を振り返った。
同じフェザー級では5月18日の大阪大会で王者の石田龍大が松本海翔を相手に初防衛戦を行う。関口は「元チャンピオンを倒したのでKrushのタイトルマッチに挑戦する権利はあると思います。チャンピオンがどっちになるか分からないですけど、どっちかに挑みたいなと思います。どっちでもいいです」とコメントしている。
塚本拓真、岩﨑悠斗を2R KO
第7試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
×岩﨑悠斗(サイガジム/元J-NETWORKスーパーライト級王者、元S-BATTLE KICKライト級王者)
2R 1’28” KO (パンチ連打)
両選手とも今年初ファイト。塚本は昨年4勝2敗。近藤魁成、不可思に判定勝ちしたが、上位勢のゴンナパー、佐々木大蔵に判定負けした。岩﨑は昨年9月、蓮實光にKO勝ちしたが、11月に川﨑聖亮朗に判定負けしている。
試合は過酷な戦いの続いた塚本が差をはっきり示すことに。1R、塚本が右カーフ、ミドル、ストレート等で積極的に攻める。岩﨑は攻撃数では劣るものの、右ストレート、カーフ等を随所で的確に返す。記者採点は塚本だがまだイーブンの可能性はある。
2R、岩﨑も序盤から前に出たが、塚本が右カーフを当てつつ、ワンツーで右ストレートをクリーンヒットすると、岩﨑の腰が落ちる。塚本はチャンスを逃さずパンチラッシュで岩﨑をロープ際まで下がらせ、右ストレートでダウンを奪う。岩﨑は立ったがダメージが大きく、最後は塚本が左右のハイを当てつつ、岩﨑をロープに詰めてパンチを当て続けたところで、豊永レフェリーがストップした。
インタビューで塚本は「2Rでこの2~3か月詰め込んだものが出せました。本当に自信になりました」と試合を振り返り「6月試合したいです。ベルト欲しいです」「今年5試合やりたいです。その一発目が4月29日で結構遅れたんですけど、ここから勝ちまくって5勝します」と今後について語った。
なお、休憩時間前にはレオナ・ペタスの反乱軍「RibelLion(リベリオン)」に、レオナの師匠のニコラス・ペタス、そしてニコラスが指導しているシナ・カリミアンも加入することが発表された。
第6試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
דDARUMA”健太(K-1ジム蒲田チームアスラ)
○大石昌輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/KWF世界カラテGP2020男子-85kg級優勝、JKJO全日本空手道選手権2015 2016 2017重量級優勝)
判定0-2 (西村29-30/伊藤30-30/梅木29-30)
1R、大石が左ミドル、インローといった蹴り主体で攻める。DARUMAは少しローをもらってバランスを崩すが、随所でボディと顔面にパンチを返し、まだもらいっぱなしにはならない。
2R、大石が執拗に左インローを当てていると、DARUMAはまたもバランスを崩す。DARUMAは攻撃も減り、さすがに印象が悪いか。
3R、大石は変わらずローを当てるが、単調になってしまい、DARUMAも接近戦でボディと顔面にパンチを返す。僅差の展開となったが、2Rに差をつけた大石が判定勝ちした。
第5試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
○坂本優輝(ARROWS GYM)
1R 0’17” KO (左フック)
1R、松本が開始すぐから前に出て、坂本がコーナー際まで下がるが、右ローを当てて下に意識を向けさせた後、松本の右フックのカウンターで左フックをクリーンヒット。松本はダウンし動けず、坂本がKO勝ちちした。松本は担架で運ばれた。関係者に確認したところ、松本の意識は戻っているという。
第4試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○林 佑哉(K-1ジム大宮チームレオン/元RKS&ジャパンカップキック・バンタム級王者)
×愛瑠斗[えると](RAUSU GYM)※健成會から所属変更
判定3-0 (西村30-28/豊永29-28/島村30-28)
林は広島出身でDEEP☆KICKやNJKF岡山大会等の西日本の大会で活躍。昨年からK-1 GROUPに参戦。坂本寿希、白幡太陽、心直に勝利したが、後にKrushバンタム級王者になる黒川瑛斗にKO負け。今年1月の白幡裕星戦では3Rに反撃するも判定負けし2連敗中だ。愛瑠斗は健成會から瑠久の作ったRAUSU GYMに移籍し初戦となる。
1R、林がサウスポーの愛瑠斗に対し、右ボディを効かせると、パンチ連打の中で右フックを当ててダウンを奪う。愛瑠斗はしばらくパンチをもらったが、左ミドル、インローを積極的に蹴り出すと、林はほとんど攻撃が返せなくなり、流れが変わる。
2R、序盤こそ林も右インローを当てていたが、中盤以降は愛瑠斗の左ミドル、三日月蹴り、インローのヒットが続き、愛瑠斗ペースに。
3R、愛瑠斗が左のミドルを当てていたが、やや勢いが落ちると、林が終盤、右フック等のパンチのヒットを増やして巻き返し終了。愛瑠斗の反撃を封じ、林が死闘を制した。
第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○板橋武留(KIWAMI GYM/Bigbangバンタム級王者)※健成會から所属変更
×鵜澤悠也(RIKI GYM)
4R 0’59” KO (右フック)
3R 判定1-1 (西村29-30/モランド30-29/箱崎30-30)
第2試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×鈴木太尊(クボジム)※谷山ジム小田原道場から所属変更
○遥心[はると](K-1ジム総本部チームペガサス/K-1カレッジ2023 -60kg優勝)
1R 2’42” KO (右バックスピンキック)
1R、遥心が開始すぐからプレッシャーをかけ続け、左の三日月蹴りでダウンを奪う。三浦レフェリーの角度からはローブローと見えたせいか、カウントが遅れたが、ダメージは大きい様子。なんとか鈴木は立ったものの、遥心が右のバックスピンキックをボディに再び当てて、鈴木をマットに沈めた。遥心はこれで4戦4勝(2KO)となった。
第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○倉田永輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×水津空良(team NOVA)
1R 2’12” KO (3ダウン:パンチ連打)
プレリミナリーファイト第3試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R
○山本 陸(K-1ジム総本部チームペガサス)
×野中大翔(K.I.K team BLADE/大和KICK -60kg王者、K-1甲子園2023 -65kg優勝)
1R 2’10” KO (3ダウン:左ストレート)
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
×佐野純平(K-1 GYM横浜infinity/K-1カレッジ2017 -65kg優勝)※K-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTから所属変更
○光弥(POWER OF DREAM)
1R 0’46” KO (パンチ連打)
プレリミナリーファイト第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R
×田中康友[こうすけ](KIZUNA田川本部道場)
○松谷 梛[きな](キャピタルレイズ fighting GlaNz池袋)
1R 1’44” KO (右膝蹴り→右フック)
※田中が計量1.9kgオーバーし減点2、ファイトマネーの30%を松谷に譲渡。松谷はグローブハンデを拒否