Krush 2.24 後楽園ホール(レポ):本命の西京佑馬、決勝で古宮晴を1R KOしライト級GP制覇も弘輝・昇也の執拗なローで削られ「滅茶苦茶疲れました」
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Krush.171
2025年2月24日(月/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
Krush初の8選手1DAYトーナメント・Krushライト級GPは激闘続きに
Krushライト級GPは8選手による1DAYトーナメント。K-1では8人1DAYトーナメントが93年の旗揚げ当時からの名物だが、Krushでは初となる。宮田充Krushプロデューサーは昨年末の開催発表時「Krushは年間(後楽園で)12回やっていて、1年の中で2回か3回は爆弾みたいな大会をやろうと思っています」と語っており、このライト級GPもその一環。現Krushライト級王者・大岩龍矢は参戦しないが、元同級王者の伊藤健人、元スーパー・フェザー級王者の西京佑馬らをはじめ、今後のK-1のライト級上位をの予備軍の選手たちが多数エントリーした。
1月26日のKrush.170で行われた組み合わせ抽選会では、くじの番号順に枠を選ぶ方式だったが、1番になった優勝最有力候補・西京の隣を、2番から7番の選手が誰も選ばず、8番の弘輝が自動的に西京と戦う流れとなった。
第2試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○昇也(士魂村上塾/元Bigbang&MA日本スーパーライト級王者)
×伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ/元Krushライト級王者)
2R 2’40” KO (右フック)
1R、昇也がサウスポーで構えて前に出るが、伊藤は回って距離を取り続け、右ミドルやテンカオを随所で当て、ヒット数で上回る。昇也は終盤、パンチの数を増やすが、ヒットは乏しい。記者採点は伊藤だがまだイーブンもありうる。
すると2R、昇也が前に出続けていると、左フックを当てて伊藤をひるませる。昇也はチャンスをものにしようとパンチの手数を上げて伊藤を追い詰める。伊藤もカウンターでパンチを当て返し、昇也の動きを時折止めるが、すぐ昇也は前に出てパンチを当て続け、最後はコーナーに詰めての右フックで伊藤をKOした。だが昇也も右まぶたを腫らしており、準決勝に向けて不安要素を残した。
第3試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・フェザー級王者、K-1甲子園2016 -60kg優勝)
×弘輝(WORLD TREE GYM)
判定3-0 (山根30-29/岡田30-29/金子30-28)
1R、サウスポーの弘輝が前に出て、時折左のインロー、カーフををヒット。西京は少し足が流れるが、随所で左ジャブ、右ストレートを的確に当てて印象を作る。記者採点は西京だがまだイーブンもありうる。
2R、弘輝が執拗に左インカーフを当て、西京の足は1R以上に流れてバランスが悪くなる。西京はパンチを当てるが力が入りきらず、得意の飛び膝も飛びきれず、少し流れが悪くなる。終盤には弘輝が左フックも当てるように。記者採点は弘輝だがイーブンもありうる。
3R、西京は距離を詰めて右ストレート等のパンチのヒットを増やす。弘輝も打ち合いで時折パンチを返すが、ヒット数では劣る。とはいえ弘輝が左インローで西京をスリップさせる場面を作り、西京に完全に主導権を握らせないまま終わる。記者採点はイーブンだが西京につく可能性はある。合計29-29でイーブン。ジャッジは3者とも1~2点差で西京を支持し、西京が判定勝ちした。だが西京は足のダメージを負っての勝ち上がりとなり、弘輝は敗れたものの健闘し、爪痕を残す戦いぶりだった。
第4試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○天野颯大[そうた](キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
×児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
4R 判定3-0 (山根10-9/西村10-9/三浦10-9)
3R 判定0-1 (山根29-30/西村30-30/三浦30-30)
1R、両者オーソドックスだが、天野は左の奥ローを度々当て、顔面への右ストレートも絡める。児玉も顔面への左前蹴り、ストレート、左ボディ、ローを返し、お互い技術戦で五分の攻防を繰り広げる。記者採点はイーブン
2R、児玉が右ストレートで天野をひるませるが、天野は持ち直し、左右のロー等を当てて持ち直す。だが終了間際、児玉が右ストレートで天野をまたもひるませ、最後にしっかり印象を作って終える。記者採点は児玉だがイーブンもありうる。
3R、両者近距離でのパンチ主体の攻防となり、児玉が左ボディ、顔面へのフックのヒットで上回りやや優位に進める。最後、天野も児玉をロープに詰め、足を止めて打ち合うが、強打には至らず終わる。記者採点は児玉だがイーブンもありうる。合計28-30で児玉。ジャッジは1者が児玉を支持したが、2者は30-30でどちらにも振らず延長へ。
延長R、天野は頭を振って児玉のパンチをかわしながら、自分のパンチを当て続け、優位をキープする。児玉もパンチや右ハイを返すが、天野は止まらず動き続け、最後は詰めてパンチを振るい続け、アグレッシブネスで差をつけ終了。記者採点は天野。ジャッジ3者も天野を支持し、天野が死闘を制し初戦突破した。なお、宮田プロデューサーは大会の総括で、この両者の死闘を今回のGPのベストバウトに挙げている。
第5試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○古宮 晴(昇龍會/元DEEP☆KICK -63kg王者、K-1甲子園2021 -65kg優勝)
×永澤サムエル聖光(林商店/元WMOインターナショナル・WBCムエタイ日本統一・ジャパンキック・ライト級王者)
判定3-0 (豊永30-27/岡田30-27/三浦30-27)
1R、古宮がスピーディーに動き続け、左の顔面狙いの前蹴りでひるませたのを皮切りに、左右のパンチを当て続けて主導権を握る。永澤は終盤、ようやく左の奥ローが当たり出す。記者採点は古宮。
すると2R序盤、古宮がカウンターで左フックを当ててダウンを奪う。古宮はパンチラッシュで仕留めにかかるが、打ち合いで永澤もパンチを当て返し、中盤過ぎからは五分に近い状態での打ち合いが続き、古宮もダメージが溜まってしまう。10-8で古宮が取るラウンドに。
3Rも永澤の積極的なパンチがやや印象に残る状態が続く。だが古宮も随所で蹴りを返し、反撃を封じて終える。記者採点はイーブンだが永澤につく可能性もある。合計30-27で古宮。ジャッジ3者も30-27で古宮を支持し、古宮が苦しみながらも初戦を突破した。
第1試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 リザーブファイト 3分3R(延長1R)
×友尊[ゆたか](TEAM K/BLUE DOG GYM/元NJKFスーパーフェザー級王者)
○SEIYA(POWER OF DREAM)
4R 判定0-3 (山根9-10/西村9-10/三浦9-10)
3R 判定0-1 (山根28-29/西村29-29/三浦29-29)
1R、友尊がサウスポーでパンチ、SEIYAがオーソドックスで蹴り主体の構図。終盤、友尊が左ストレート、SEIYAが右インローとハイで相手をふらつかせ、一進一退の流れに。記者採点はイーブンだが友尊につく可能性もある。
2Rも1Rと近い攻防となり、SEIYAは時折インローで友尊をフラつかせるが、友尊は耐えて前に出続ける。記者採点はイーブン。
すると3R、SEIYAのインローが効き目を発揮し、友尊は足が止まり、SEIYAがロープ、コーナーに詰め、パンチや膝を当て続けてダウン寸前まで追い詰める。記者採点はSEIYA。合計29-30でSEIYA。ジャッジは1者がSEIYAを支持したが、2者がイーブンで延長へ。
延長Rも流れは変わらず、SEIYAがローを効かせつつ前に出続け、パンチと膝を当て続け、主導権を維持し判定勝ちした。
第9試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×昇也(士魂村上塾/元Bigbang&MA日本スーパーライト級王者)
○西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・フェザー級王者、K-1甲子園2016 -60kg優勝)
判定0-3 (山根27-30/西村28-30/箱崎28-30)
1R、昇也は一回戦で西京と戦った弘輝同様、サウスポーで構えて前に出て、左インロー、右ローといった足狙いの攻撃を徹底する。西京は時折バランスを崩すが、クリンチで裁きつつ距離を取り、随所でパンチを当て、終盤には右ストレート、フックを効かせて、しっかり印象付けて終える。記者採点は西京だがイーブンもありうる。
2R、昇也は変わらずインローを当てつつ、随所でフックも絡める。西京はクリンチで寸断しつつ、細かくフックやアッパーを当て続け、手数ではやや上の状態をキープする。だが終了間際、昇也が左フックを当て、少し西京をひるませて巻き返して終える。記者採点はイーブンだが昇也につく可能性もある。
3R、昇也が前に出続け、接近戦が続き、パンチや左ハイを当てる。西京はホールディングが多いとして豊永レフェリーから注意を受ける場面もあったが、膝蹴り、パンチを細かく返し続け、ヒットでは上回る状態をキープして終える。記者採点はイーブンだが西京につく可能性はある。合計29-30で西京。ジャッジは3者とも2~3ポイント差をつけて西京を支持し、西京が判定勝ちした。
第8試合 Krushライト級(62.5kg)GP 2025 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×天野颯大[そうた](キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
○古宮 晴(昇龍會/元DEEP☆KICK -63kg王者、K-1甲子園2021 -65kg優勝)
判定0-2 (箱崎30-30/豊永29-30/岡田29-30)
1R、天野がプレッシャーをかけ、古宮が回る構図が続き、お互いパンチと蹴りを当てるが、一回戦の消耗の影響もあってか、力が入りきらない。その中でスタミナ豊富な天野が、最後に圧を強め、潜り込んでの左フックを当てる等、やや好印象で終える。記者採点は天野だがイーブンもありうる。
2R、天野がやや積極的にパンチや蹴りを当てる展開で、古宮は自分から組みがちだが、随所で攻撃を返し、完全に天野に流れを作らせない。終盤、天野が左ハイを当てれば、古宮も左顔面前蹴りを当て、お互い譲らぬ展開に。記者採点はイーブンだがやや強打の目立った古宮につく可能性もある。
3R、クリンチが増え、自ら組みがちな古宮に梅木レフェリーは注意1を入れる。お互い決め手に欠く中、残り30秒、両者手数を上げ、天野の積極性が目立つようになるが、決定打は出ないまま終わる。記者採点はイーブン。合計30-29で天野。僅差のラウンドが続いたせいもあり、採点も僅差となり、1者はイーブンとしたが、2者は古宮を支持し、古宮が判定勝ちした。
本命の西京佑馬、決勝で古宮晴を1R KOしライト級GP制覇も「滅茶苦茶疲れました」
第11試合 メインイベント Krushライト級(62.5kg)GP 2025 決勝 3分3R(延長1R)
○西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・フェザー級王者、K-1甲子園2016 -60kg優勝)
×古宮 晴(昇龍會/元DEEP☆KICK -63kg王者、K-1甲子園2021 -65kg優勝)
1R 2’29” KO (左フック)
※西京が優勝
両者は昨年12月の後楽園大会で戦ったばかりで、前回は3Rに佑馬が右の飛び膝をアゴに当ててダウンを奪い判定勝ちしている。
両者とも足等のダメージの蓄積した状態での決勝だったが、西京の完勝に。1R、消耗が激しく前に出られない古宮に対し、西京は自分の距離を作り、左右のロー等の蹴りを的確に当てて主導権を握ると、中盤過ぎ、ワンツーでの左ストレートを当ててダウンを奪う。古宮のダメージは大きく、西京が再び左ストレートでダウンを奪ったところで、すぐさまレフェリーがストップし、西京がKO勝ちで優勝を果たした。
マイクを持った西京は「滅茶苦茶疲れました。一回戦で滅茶苦茶足が痛くなって、準決勝も決勝もメンタル的にキツかったですけど、なんとか気合で優勝できました。最後KOでKrush、いい感じで締められました。次の目標はK-1のチャンピオンなんで注目お願いします」とアピールした。
西京はインタビュースペースに車椅子に乗って登場し、1回戦の足のダメージについて「正直、かなり痛くて、めちゃくちゃ腫れて」と話し「準決勝も正直、厳しいかなみたいなところはあったんですけど、試合やってみれば、なんとか踏ん張って。足では倒れたくないんで、気持ちで戦いました」「準決勝は1R目が危なかったです。蹴らせる距離にいちゃダメなんで、接近戦で挑んだ感じです」「試合終わって回復する時間が全然なくて、疲れ切った状態で準決勝・決勝みたいな感じでした」と過酷な3試合を振り返り「精神面的に成長できたんじゃないかな、と思っています」と総括した。今後については「K-1タイトルに絡む試合をしていきたい」と改めて主張した。
宮田P「天野対児玉が今日のベストバウト。涙腺崩壊しました」
宮田プロデューサーは「みんな根性ありすぎというか、素晴らしかったですね」「優勝した佑馬君、お互いに古宮君とダメージある中でどういうふうになるかと思って、ああいう倒し方をしちゃうというのはやっぱりこの男は違うなとつくづく感じましたね」「古宮君も見事な戦いぶりで、準優勝は自信になったと思うし、良かったと思います」「伊藤健人はKrushの元チャンピオンで、彼が出てくれたことでトーナメントが締まったし、弘輝君は西京佑馬とヒリヒリするような勝負見せたし、価値は落ちてないと思います」「天野対児玉が今日ベストバウトだったですね。いい試合を見ると泣けてくるんですよね。ちょっと我慢しながら見てたんですけど、終わって児玉が号泣してのを見て涙腺崩壊しましたね。泣かされちゃいましたね、児玉には」「MVP上げるとしたら天野かなって思いますね。普段60kg(=スーパーフェザー級)でやってて、馬鹿げてるというか、よくライト級に出てこようと思ったなっていう。名古屋から東京来て、ぶっ壊れそうな試合ばっかり勇敢に戦ってきたんですけど、今日は天野が今まで以上にファンの人に刺さったんじゃないかなと思います。5月のK-1の横浜の60kgの(王座決定)トーナメントには強豪外国人や横山(朋哉)も出るんですけど、リザーブだったりで天野にはチャンス作ってあげたいなと思います」等と話し、出場した全選手の頑張りを称えていた。宮田氏はこの新企画を成功と捉え「2026年2月の後楽園は違う階級でまた同じことをやろうと思います」とも話し、年1回の恒例行事にしていく方針を示している。
岩尾力がKO勝ち
第10試合 セミファイナル スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○岩尾 力(POWER OF DREAM/元WINDY MUAYTHAIバンタム級王者)
×河野直次郎(CLIMB GYM/TENKAICHIライト級王者、M-1 JAPANスーパーフェザー級王者、大和フェザー級王者、KOSスーパーバンタム級王者)
2R 2’29” KO (右ストレート)
1R、河野が圧力をかけ続けるが、岩尾は回って距離を取りつつ、左右のボディを随所で強打する。すると終盤、岩尾が左ボディを当ててから、右ストレートにつなげてダウンを奪う。
2R、岩尾は変わらず左右のボディを当て、河野は耐え続けていたが、終盤、岩尾が左ボディを強打してから右ストレートでダウンを奪う。最後も右ストレートで倒したところで箱崎レフェリーがストップした。
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○橋本雷汰(ALONZA ABLAZE/K-1甲子園2022 -60kg優勝)
×大脇 武[たける](BOND GYM/元RKA&DBSフェザー級王者)※KING CONNECTIONから所属変更
4R 判定2-1 (梅木10-9./山根10-9/西村9-10)
3R 判定1-1 (梅木30-29/山根29-30/西村29-29)
第6試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×内田 晶(チーム・タイガーホーク)
○齊藤龍之介(ドージョー☆シャカリキ)
判定0-3 (豊永28-30/岡田28-30/西村28-30)