GLORY 7.20 ロッテルダム(レポ):原口健飛、ペットパノムルンとの3度目の対戦も首相撲からの膝に手を焼き判定負け
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GLORY 93
2024年7月20日(土/現地時間)オランダ・ロッテルダム:トップスポートセントラム
レポート:井原芳徳
コーメインイベント GLORY世界フェザー級(65kg)チャンピオンシップ 3分5R
○ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/王者、元RISE世界スーパーライト級(65kg)王者)
×原口健飛[けんと](FASCINATE FIGHT TEAM/挑戦者、ISKA K-1ルール世界ライトウェルター級(65kg)王者、元RISEライト級(63kg)王者)
判定5-0 (50-46/50-46/49-45/49-45/49-45)
※ペットパノムルンが8度目の防衛
ペットパノムルンと原口は3度目の対戦。過去2度、原口の地元にあたる大阪でのRISEのリングで対戦し、いずれもペットパノムルンが勝利している。21年11月の初対決ではペットパノムルンが3R判定勝ちし、22年8月の再戦ではペットパノムルンが延長(6R)判定勝ちし、RISE世界スーパーライト級王座を獲得した。
その後、原口は22年12月にGLORYのランカーのセルゲイ・アダムチャックに判定勝ち。昨年3月のRISE ELDORADOではジェレミー・モンテーリョに4R KO勝ちしISKA世界王座を獲得。7月の大阪大会ではアンバー・ボイナザロフを1R KO。12月の両国大会ではGLORYフェザー級1位のエイブラハム・ヴィダレスと対戦し、1R終盤にダウンを喫するも、2Rに逆転KO勝ちし、ペットパノムルンのGLORY王座挑戦が内定していた。
ペットパノムルンは2度目の原口戦の後、22年12月の両国大会で山田洸誓に勝利。昨年、GLORYで3試合し、10月にダビド・メヒアに判定勝ちし、GLORY王座の7度目の防衛を果たす。12月のRISE両国大会でチャド・コリンズに判定負けし、RISE世界王座から陥落した。4月27日のGLORYフランス大会で原口を相手に防衛戦を行う予定だったが、コリンズ戦で負傷した左足の手術のためにキャンセルしていた。
これまでもRISE王者がGLORY王座に挑戦しているが完敗が続いている。22年3月のベルギー大会では小林愛三がGLORY女子スーパーバンタム級のティファニー・ヴァン・スーストに挑戦し5R TKO負け、昨年8月のオランダ大会で海人がGLORYライト級王者のティジャニ・ベスタティに挑戦し5Rともポイントを取られ判定負けしている。
1か月前の6月18日の取材で原口は「ボコボコ作戦です。とにかく殴り続ける。これだけですね」「とにかく殴り続けるのが今回のテーマなので殴り続けられるように練習しています」「組まれることは間違いないので、組まれながらでも殴れるようにしています」と作戦について語っていた。試合は1Rこそ原口がローを効かせ健闘したものの、以降は過去2戦同様、ペットパノムルンの首相撲に手を焼くことになる。
Petch was dominant in his title defense against Kento Haraguchi #GLORY93 pic.twitter.com/0wFoolYDB5
— GLORY Kickboxing (@GLORY_WS) July 20, 2024
1R、両者サウスポーで構え、開始すぐから原口は左のロー、カーフを連打してくるが、ペットパノムルンはプレッシャーを弱めず前に出続け、左のカーフ、ミドルを的確に当てる。ペットパノムルンは右のミドルも絡めつつ左のミドルも出したり、フェイントを絡めて蹴ったりと、細かいテクニックの巧さを印象付ける。だが終盤、原口のローのダメージが溜まって来たか?ペットパノムルンは左ミドルを放った際、バランスを崩して後ろにスリップしてしまい、少し印象を悪くする。原口は首相撲で膝をもらってもすぐ膝を返し、最後は軽めだがバックスピンキックを当て、いい流れで終える。記者採点は僅差だがペットパノムルン。蹴り数は同じぐらいのため、精度の高さとプレッシャーをかけ続けた試合運びを評価した。割れても不思議ではなく、実際にオープンスコアのジャッジも3者がペットパノムルン、2者が原口と割れる。
すると2R、ペットパノムルンは完全に試合を支配することに。原口のローを嫌ってか、さらに圧力を強めて距離を縮め、組んでから膝蹴りを多用する。ペットパノムルンが左ローも当てていると、原口のほうがバランスが悪くなり、中盤にペットパノムルンが首相撲から左膝をボディにクリーンヒットすると、原口は前方によろめき、場内がどよめく。原口は口が開いて苦しそうで、その後もペットパノムルンが組んでの左右の膝を顔面、ボディに的確に叩きこみ、しっかりダメージを与える。原口は首相撲を対処できない。すると終盤、ペットパノムルンは原口をコーナーに詰め、左ストレートも強打しつつ膝蹴りも絡め、原口を追い詰める。終了後のゴングが鳴ると、原口は苦しそうな様子でコーナーに戻る。技術面でも差があるが、初の海外ということもあり、疲れやすくなっている可能性もある。記者採点はペットパノムルンでジャッジ5者もペットパノムルンにつける。
3R、ペットパノムルンは左の前蹴り、ストレートを絡めつつ、組んでの膝蹴りを的確に当て、原口を追い詰める。原口は下がり続け、ステップも踏めなくなっており、ペットパノムルンが楽に左ミドル、ローを当てられるようになる。原口はパンチを振り回すが力も入らず空振りも多く、ペットパノムルンはほとんどダメージを負わずにラウンドを終える。記者採点もジャッジ5人もペットパノムルン。
4Rも同様で、ペットパノムルンが左ミドル、組んでの膝、ストレートを的確に当て続けて主導権を維持する。原口は疲れとダメージが溜まり、ほとんど攻撃を返せない。セコンドの「待たない」という声に促され、右のテンカオを放つと、ペットパノムルンの胸元に当たり、場内がどよめいたが、その先には続かない。攻撃数で差をつけているペットパノムルンはステップとクリンチで守り切って終える。記者採点もジャッジ5人もペットパノムルン。
5R、原口は前に出るが、ペットパノムルンは左ミドル、組んでの膝を的確に当て、原口に攻めさせない。原口は左ハイ、飛び膝を出すが、力が入りきらず、ペットパノムルンを捕まえられないまま終わる。記者採点もペットパノムルン。ジャッジ5人ともイーブンとする。記者採点は合計50-45でペットパノムルン。ジャッジ5者もペットパノムルンを支持し、ペットパノムルンが判定勝ちで王座8度目の防衛と、対原口での3連勝を果たした。
Petch retains his title at #GLORY93 pic.twitter.com/t8hQWs8ohd
— GLORY Kickboxing (@GLORY_WS) July 20, 2024