シュートボクシング 2.10 後楽園ホール(レポ):海人、元ONE王者・ペットモラコットの首相撲につかまり延長判定負け。山田彪太朗・笠原友希が海外勢をKO
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SHOOT BOXING 2024 act.1
2024年2月10日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
海人、元ONE王者・ペットモラコットの首相撲につかまり延長判定負け
第8試合 メインイベント スーパーウェルター級(70kg)(ノンタイトル戦)(肘有り) 3分3R(無制限延長R)
×海人(TEAM F.O.D/SB世界&KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)王者、RISEミドル級(70kg)王者、GLORYライト級(70kg)4位、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者)
○ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー[Petchmorakot Petchyindee Academy](タイ/元ONEムエタイ・フェザー級(70.3kg)王者、元ルンピニー認定スーパーフェザー級&ミニフライ級王者)
4R 判定0-2 (若林9-10/神谷10-10/津山9-10)
3R 判定0-1 (若林29-29/神谷29-30/津山29-29)
シュートボクシング(SB)の2024年の開幕戦となる大会で、SBのエース・海人が、世界の強豪を迎え撃つビッグマッチが組まれた。
海人は26歳。昨年3月のRISE ELDORADOでイ・ソンヒョンに判定勝ちしRISEミドル級王者となり、6月のSB世界スーパーウェルター級王座決定戦ではサモ・ペティに判定勝ちし、一気に2本のベルトを獲得した。8月にはオランダでのGLORYに乗り込み、ティジャニ・ベスタティのGLORYライト級王座に挑戦したが、5Rともポイントを取られ完敗に終わり、連勝が18でストップした。11月のSBでの再起戦でマサロ・グランダーを、12月16日のRISEではジェームズ・コンデを、いずれも1R KOすると、「GLORYで自分の相手になるのはベスタティ選手だけです。来年必ずリベンジしに行って、GLORYのベルトを日本に持ち帰りたいです」とアピールしていたが、今回はONEの元王者ペットモラコットとの肘有りルールの一戦が組まれた。
海人の肘有りルールの試合は、23年2月のNO KICK NO LIFEの緑川創戦以来1年ぶり。前回は1Rに緑川が右ボディを放ったタイミングで、海人が右の縦肘を合わせてダウンを奪うと、その後も肘とパンチで圧倒し、3R TKO勝ちしている。
ペットモラコットは29歳。13年にルンピニー認定スーパーフェザー級(59kg)王者となり、15年のREBELSで梅野源治に判定勝ちし同王座を防衛した。その後階級を上げ、20年2月にONEムエタイ・フェザー級(70.3kg)王者となると、防衛を重ね、5月にジミー・ビエノに判定勝ちし3度目の防衛を果たす。22年9月にタワンチャイに判定負けし4度目の防衛に失敗すると、同年12月以降はラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)に主戦場を移す。RWSでは当初5連勝し、9月大会では長身のサウスポー・タナンチャイに判定負けし、連勝がストップした。
SBのルールではムエタイ同様、組んでからの膝蹴りの回数の制限は無く、休まない限りブレイクはかからない。試合はペットモラコットが首相撲を軸としたムエタイ技術で海人を翻弄することになる。
1R、ペットモラコットはサウスポーで構え、開始すぐから前に出て、左ミドル、ハイを積極的に当てる。海人は蹴りを受け続けながらも、随所で右ミドルを返すが、後手に回りがちで、ペットモラコットのペースを崩すことができない。記者採点はイーブン。ジャッジ3者も同じだ。
2R、ペットモラコットは度々海人を首相撲で捕まえてコントロールし、膝蹴りを当て、崩しも絡め、海人を完封する。ペットモラコットは肘も出し、海人を脅かす。海人は大きなダメージを負うことはないものの、ほとんど攻撃が返せず、1Rよりも差がはっきりする。記者採点はペットモラコット。ジャッジ3者も同じだ。
3Rもペットモラコットは変わらず組んで膝を当て崩しを決める。海人も随所で左ボディ等のパンチを当てるが、その先が続かない。ペットモラコットは2Rよりも攻撃が減るものの、終盤には左ハイも当て、優位を維持する。記者採点は僅差だがペットモラコット。合計28-30でペットモラコット。ジャッジは元MAキック王者の神谷友和氏のみペットモラコットを29-30で支持したが、元SB王者の若林成幸氏と津山圭介氏は3Rの海人を支持したことで合計29-29のイーブンとなり、延長へ突入する。
延長1R目となる4R、ペットモラコットは変わらず組んで膝を当て、左フックも絡め主導権を維持する。海人はパンチを当てる場面もあるものの、長時間捕まり続ける。終盤、さすがにペットモラコットは疲れが見え始める。最後はステップに距離を取るペットモラコットに、海人が前に出てパンチを連打するが、倒せず終了する。記者採点はペットモラコット。ジャッジは神谷氏がイーブンとしたが、若林氏、津山氏の2者がペットモラコットを支持し、ペットモラコットが判定勝ちした。
敗れた海人はノーコメントで会場を後にした。勝ったペットモラコットは「作戦通りでした。海人は色んな攻撃を持っている選手でした」と振り返った。本戦3Rの判定について「勝ったと思っていました」と話し、延長Rについては逆に「僅差だと思いました」と話した。次戦は未定だといい、今後についての話になると「シュートボクシングにも日本の他の大会にも出たいです。日本で知名度を上げたいです」とコメントし、再来日に意欲を示した。
山田ツインズ兄・彪太朗、タイ人を1R KO。国内フェザー級勢に宣戦布告
第7試合 セミファイナル 58.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
○山田彪太朗[こたろう](シーザージム/SB日本フェザー級(57.5kg)王者)
×ペットシートーン・ソーサクナリン(タイ/True4U 54kgトーナメント優勝)
1R 2’49” KO (左ボディフック)
山田ツインズの兄・彪太朗は21歳。22年12月のRISE+SB合同大会でRISEフェザー級王者の門口佳佑に判定負けしたが、昨年4月大会で川上叶に勝利しSB日本フェザー級王者となる。6月大会ではラジャダムナンの元ランカーのオートーを86秒左ボディでKO。11月大会では同じくタイ人のヨードタノンと対戦し、首相撲に手を焼くも判定勝ちし3連勝中だ。今大会のメインイベントでは海人がペットモラコットと対戦するが、ペットモラコットと同門の選手と今回対戦した。
1R、彪太朗がプレッシャーをかけ、ペットシートーンが距離を取る構図が続く。ペットシートーンは時折組んでは首相撲からの膝を当て、彪太朗の顔面をかすめどよめく場面も。だが彪太朗は左フック、左ボディ、右ボディを随所で当て、じわじわペットシートーンを削る。すると終了間際、彪太朗が右ボディを効かせて下がらせてから、ロープに詰めて左ボディをクリーンヒット。ペットシートーンはダウンすると、マウスピースを吐き出し、座ったまま動けず、レフェリーがストップした。
彪太朗はマイクを持つと「タイ人、もちろん強いんでバンバンやりたいですけど、日本のフェザー級、盛り上がっているんで『山田彪太朗、忘れんなよ』ってところも見せたいと思います」とアピールした。また、マイクの冒頭にはセコンドについた弟の虎矢太と2人並んで立ち、「兄の彪太朗と、弟の虎矢太、2人合わせて山田ツインズです」と漫才師のような挨拶をして観客を楽しませる等、コミカルな一面も打ち出していた。
笠原友希、韓国の選手にダウン奪われるも逆転KO勝ち
第6試合 60.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
○笠原友希(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級(60kg)王者・元フェザー級(57.5kg)王者)
×ソン・ジェミン(韓国/K-COMBATライト級王者)
2R 1’09” KO (左ハイキック)
笠原三兄弟の次男・友希は22歳。22年12月のRISE+SB合同大会で石月祐作に、2月大会ではTAaaaCHANに、4月大会ではタイ人のポームロップに判定勝ち。9月大会ではタイ人のシンダムを1RローでKOし、11月大会ではスナイ・ミフターに3R TKO勝ちし5連勝、2連続KO勝ち中だ。シンダム戦後には「K-1のチャンピオンでもRISEのチャンピオンでも受けて立ちます」、ミフター戦後には「年末、梅野(源治)選手、僕とやりましょう」とアピールしていた。1月14日のRISEでは友希と同じスーパーフェザー級のRISE王者・チャンヒョンが大雅に敗れたが、翌15日の会見で友希は「大雅選手でも僕は勝てるなと思うし、レオナ(・ペタス)選手や朝久(裕貴)選手といった選手と僕はやらなきゃいけない」と話していた。2024年初戦は韓国のMMAイベントROAD FCにも出場している立ち技とMMAの二刀流選手・ソン・ジェミンと対戦した。
1R、両者サウスポーで構え、お互い左ローを当てる。終盤、ジェミンの左ローで少し友希の足が流れると、ジェミンが左フックを当ててダウンを奪う。友希は膝をついた程度でダメージは小さいが、点差をつけられてしまう。
すると2R、友希は積極的な攻めに変わり、ジェミンも応戦し、左フックが度々交錯する。友希も左フックを当てていると、ジェミンの左フックのカウンターで、友希が左ハイをクリーンヒットする。ジェミンはダウンすると、立ち上がろうとするが、ダメージが大きく、平レフェリーがストップ。友希がピンチを乗り越え逆転KO勝ちした。
イモト・ボルケーノ、COMBATE GLOBAL推薦のアイルランド人選手のパンチに手を焼き判定負け
第5試合 オープンフィンガーグローブマッチ 65.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
×イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本スーパーライト級(65kg)王者)
○パトリック・ルヘイン(アイルランド/COMBATE GLOBAL推薦)
判定0-3 (神谷28-30/津山28-30/若林27-30)
SBが昨年4月からスタートしたOFGマッチ。今回は米国のフロリダで開催されているMMA大会・COMBATE GLOBAL(コンバッチ・グローバル)から推薦されたMMA選手2人が、SBの上位勢と対戦した。
1R、ルヘインがプレッシャーをかけ、左ボディストレート、ジャブを当てつつ、右ストレートにもつなげる。イモトは回る状況が続き、右インロー、ストレート等を随所で返す。大差は無いがルヘインの積極性がやや目立つ。
2R、お互いパンチを当て、イモトはヒットを増やし、左の三日月も絡め巻き返すが、流れを変えるほどにはならない。
3R、イモトも右ストレート、左ハイを当てる場面もあるが、ルヘインが手数多く左ジャブ、右ストレート等を当てて攻め続け、優位で終了する。ジャッジ3者ともルヘインの積極性とヒット数を評価し、ルヘインが判定勝ちした。
手塚翔太、COMBATE GLOBAL推薦の米国人選手を1R KO
第4試合 オープンフィンガーグローブマッチ スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(無制限延長R)
○手塚翔太(Sublime guys・GONG-GYM坂戸/SB日本スーパーフェザー級1位、香港Energy Fight同級王者)
×ミハエル・レイズ(米国/COMBATE GLOBAL推薦)
1R 2’57” KO (右ストレート)
手塚は昨年12月に香港でEnergy Fightスーパーフェザー級王座を獲得してからの凱旋試合。
1R、レイズがMMA式の低めの重心で構え、距離を取って左ストレート、ミドルを当てる。距離をつかみきれなかった手塚だったが、中盤に右ストレートを当てて流れをつかむ。すると終盤、手塚が左ストレートでレイズをひるませると、パンチラッシュから倒し、和田レフェリーがダウンを宣告する。手塚はさらにパンチラッシュから右ストレートでダウンを奪う。レイズは立ったがフラついており、レフェリーがストップし、手塚のKO勝ちとなった。
都木航佑、RYOTAROからシュートポイント奪い判定勝ち
第3試合 スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(無制限延長R)
×RYOTARO(龍生塾/SB日本スーパーウェルター級1位)
○都木航佑[たかぎ こうすけ](キャピタルレイズ fighting GlaNz/SB日本ウェルター級(67.5kg)1位、元KROSS×OVER KICK同級王者)
判定0-3 (神谷29-30/津山28-30/若林29-30)
RYOTAROは昨年9月にSB初参戦し風間大輝から3度ダウンを奪って大差の判定勝ち。都木も同大会でSBに初参戦し、SB日本ウェルター級1位の村田義光に判定勝ちしている。両者SB 2戦目だ。
1R、RYOTAROが前に出るが、都木は距離を取ってサウスポーからの左ミドルを当てる。中盤からはオーソドックスに切り替えて変わらず蹴りを当てると、終了間際には首投げでシュートポイント1を奪う。
2R、都木が距離を取り、変わらず蹴りを当てるが、はっきりしたダメージを与えるほどにはならない。
3R、都木がサウスポーからの左ミドル、膝、右前蹴りを随所で若干優位な状態をキープし終了。結局、都木のシュートポイント1が決め手となり判定勝ちした。マイクを持った都木は「今年シュートボクシングのベルトを狙っていきたいと思います」と宣言した。
風間大輝、シュートポイント6も獲得し小原俊之に判定勝ち
第2試合 スーパーウェルター級(70kg)(肘有り) 3分3R(無制限延長R)
○風間大輝(橋本道場/SB日本スーパーウェルター級3位)
×小原俊之(キング・ムエ/HOOST CUP日本EXミドル級王者)
判定3-0 (神谷29-24/平30-24/若林30-23)
1R、中盤まで小原がサウスポーからの左ミドルを度々当てるが、終盤、風間も右ミドル、インロー、ストレートのヒットを増やして巻き返す。
2R、風間は序盤から首投げでシュートポイント1を奪い続け、計4ポイントも獲得する。打撃でも風間が右ミドル、ストレートを当て、やや優位で進める。
3R、風間はまたも首投げでシュートポイント1を2度を獲得する。小原も左肘を当てて逆転を狙うが、時間切れとなり、シュートポイントだけで6も獲得した風間が大差をつけて判定勝ちした。
風間は「(スーパーウェルター級の)日本タイトル空いているんで。次、RYOTARO君、7月、大阪でやりましょう」とマイクアピールした。
翼、打撃でもギロチンでも小林大樹を圧倒
第1試合 オープンフィンガーグローブマッチ バンタム級(52.5kg契約) 3分3R(無制限延長R)
×小林大樹(龍生塾/SB日本バンタム級3位)
○翼(TARGET/RISEスーパーフライ級(53kg)5位、元ジャパンキック・バンタム級王者)
判定0-3 (平27-30/神谷25-29/若林25-30)
1R、翼は中盤まで膝、ミドル主体だったが、小林のパンチをもらうと、最後はパンチ主体に切り替え、小林をひるませ優位で終える。
2R、早くも疲れが見える小林に対し、翼は組んでの膝、左ボディを効かせつつ、ギロチンチョークでキャッチポイント1を2度獲得する。
3R、翼が小林をコーナーに詰めてパンチと膝を当て続け、またもギロチンでキャッチポイント1を獲得し、点差を広げ判定勝ちした。
翼は「SBが今回3度目で、やっと勝てました。