修斗 12.2 豊洲PIT(レポ):SASUKE、ROAD TO UFC敗戦後「全てを変えて」の初戦は田中半蔵を3R KO。岡見勇信、42歳での初の修斗は苦戦も白星。石井逸人、フライ級復帰初戦完勝「新井丈をギブアップさせます」
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サステイン主催「MOBSTYLES presents プロフェッショナル修斗2023 Vol.8“FIGHT&MOSH”
2023年12月2日(土)東京・豊洲PIT
レポート&写真:井原芳徳
SASUKE、ROAD TO UFCから帰還初戦は田中半蔵を3R KO
第7試合 メインイベント 修斗世界フェザー級チャンピオンシップ 5分5R
○SASUKE(マスタージャパン東京/王者)
×田中半蔵(FUN`S/世界5位、環太平洋6位)
3R 1’07” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※SASUKEが2度目の防衛
プロ修斗での「FIGHT&MOSH」は20年3月以来約3年9か月ぶりの開催で、アパレルブランド「MOBSTYLES(モブスタイル)」が冠スポンサーにつき、同ブランドがサポートしている選手が多数出場するのが特徴だ。
SASUKEは29歳。昨年6月のROAD TO UFC初戦でイー・ジャーに敗れ、10月のRTUでのワンマッチで中国人選手に判定勝ち。3月の修斗では飯田健夫を2R右のバック肘でKOし修斗王座防衛に成功。5月にRTUに再挑戦したが、キム・サンウォンに2R KO負けした。
田中はパンクラスの上位戦線でも活躍していた41歳のベテラン。昨年約5年ぶりに修斗に戻り、結城大樹に判定勝ちしランキング入りすると、今年5月の後楽園大会でもロイベ・デ・オリベイラ・ネイトに判定勝ちし2連勝中だ。今回はSASUKEの希望で防衛戦が組まれた。
1R、サウスポーの田中にSASUKEがプレッシャーをかけ、右の後ろ上段廻し蹴り、ストレート、膝を当てる。田中も右ミドル、三日月蹴り等を時折返す。中盤、SASUKEが詰めて左肘を当てようとすると、田中は組み付いて倒すが、SASUKEはその先の攻めを許さず、金網を背にして立つ。膠着ブレイクがかかると、SASUKEは前に出て、首相撲から左膝を連打する。SASUKEはひるんだ田中に足を掛けて倒し、背後で押さえつつパウンドを連打し、追い詰めて終える。記者採点はSASUKE。
2R、SASUKEが田中の前足に左の関節蹴りを当て続け、田中が右ミドルを放つと、蹴り足をつかんで倒して上になる。SASUKEは中央付近でトップキープし、左肘を当てる。最後はSASUKEが金網際で田中を押さえ、パウンドを当て続けて終える。記者採点はSASUKE。
3R、SASUKEは序盤から仕掛け、右三日月蹴りを効かせ、首相撲から右膝蹴りを当てる。田中の苦し紛れ気味のタックルをSASUKEは潰すと、サイドバックで押さえつつ、パウンドを当て続ける。田中は動きが止まり、最後は豊永レフェリーがストップした。
完勝で2度目の防衛を果たしたSASUKEは「ROAD TO UFCで2年連続で一回戦で負けて、不甲斐ない結果になって、全てを変えて、戦いだけのために全てを尽くしました。苦しいことしかない毎日で、どうしたら報われるか考えました。こうして立っているのは皆さんのおかげです」等と話し、関係者や同僚に感謝の言葉を述べた。
バックステージでSASUKEは「1Rと2Rに三日月を効かされて、イラっとしちゃって、三日月で腹効かせちゃおうと思いました。試合中にカッとするのは良くないですね」と話しつつも「今回フィニッシュを求められていたんで、フィニッシュできて、しっかり課題を乗り越えたと思います」と語った。
マイクアピールでの「全てを変えて」について尋ねると「無職になりました」と笑顔で答え「週6で働いていたんですけど、負けてから辞めて、格闘技に全振りしました。今は貯金を切り崩しています。(勝利者賞の)ボーナスもらえなきゃ家賃払えないところでした」「5月に負けてからすぐに会社に辞めますと伝えて、世の中すぐ辞められないので、7月いっぱいで辞めて、8月からは毎日練習です」「筋量が増えて、減量方法も変えて、筋量を残しながら体重を落としました。減量幅が大きい分キツかったですけど、パフォーマンスがついてきたので良かったです」と、格闘技に専念するに至った経緯やその効果について語った。
今後については「修斗フェザー級の防衛記録をどうせなら作りたいですね。挑戦者で誰がいるかわからないですけど、ベルトを持ち続けたいです」と話した。引き続きUFCを目指す考えで、UFCにつながる「チャンスがあればどこでも行きます」と話した。
なお、修斗世界フェザー級王座の最多防衛記録はアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラの6回で、全階級の中でもナンバーワンで、2位以下の3回防衛の選手たちを大きく引き離している。
岡見勇信、42歳での初の修斗は苦戦も白星
第6試合 セミファイナル ミドル級 5分3R
○岡見勇信(EXFIGHT)
×キム・ジェヨン[Kim Jaeyoung](韓国/NOVA MMA/元AFC&TFCミドル級王者、元CMAヘビー級王者)
判定2-1 (田澤29-28/豊永28-29/岡田29-28)
岡見は42歳。UFCの王座戦線での活躍し、21試合出場・14勝の実績はいずれも日本人最多。11年にはアンデウソン・シウバのミドル級王座にも挑戦し敗れた。19年からONEに上がり、同年10月の両国国技館大会でアギラン・ターニに判定勝ち。昨年11月に3年ぶりの試合をONEシンガポール大会で行ったが、ONE2階級制覇王者のアウンランサンに1R TKO 負けし、それから1年ぶりの試合となる。02年にデビューして以来MMAを51戦戦い、プロ修斗には初参戦となる。大会前には「修斗では宇野薫さんがチャンピオンでしたし、和術慧舟會の先輩方がたくさん出ていて、セコンドや応援でたくさん修斗の会場に足を運んでいました。自分は海外を中心に戦ってきて、なかなか縁もなかったのですが、日本で戦う時はいずれ修斗で戦ってみたい気持ちは常々持っていました」と話していた。
ジェヨンは43戦26勝(17KO/5一本)15敗2分の40歳。04年にプロデビューし、山宮恵一郎、村田龍一ら日本勢にも勝利。13年からは韓国のTFCを主戦場にし活躍。18年にはロシア等でのACBで3戦経験。19年からは韓国のAFCを主戦場にし3連勝したが、21年12月の試合で敗れAFCミドル級王座から陥落。今回2年ぶりの試合だ。
1R、長身の岡見がサウスポーで構え、右ジャブを当てる。中盤、岡見がジェヨンを金網に押し込み、テイクダウンを繰り返す。終盤、岡見がバックを取りかけるが、ジェヨンは振り落とすと、上と背後からパウンドを連打する。岡見が立ってもパンチを当て追い詰める。最後は離れての打撃戦で岡見もパンチを返すが、終盤の悪印象をぬぐえず終える。記者採点はジェヨン。ジャッジは豊永氏のみジェヨンにつけ、他の2人は岡見につける。
2R、岡見は打撃戦で左ストレート、ミドルを当てる。岡見は押し込んでから倒すが、ジェヨンは脱出すると、またも背後からパンチを当て好印象を作る。中盤過ぎ、ジェヨンの右ローキックがローブローとなり一時中断する。再開後、タックルに来たジェヨンを突き飛ばし、岡見がハーフバックでしばらくコントロールするが、その先の攻めは乏しくスタンドに戻る。お互いスタンドで見合う状態で終わる。記者採点は迷ったが、パンチを連打する場面を作ったジェヨンとした。ジャッジ3者とも岡見につける。
3R、ジェヨンは右ミドル、左ローをヒット。岡見も左ボディストレートを返しつつタックルを仕掛け押し込む。岡見は倒すが、これもジェヨンは脱出する。その後も岡見がテイクダウンを狙い続けるが、ジェヨンは突き放し続け、右ミドル、ロー、ハイ、ストレートを当て続ける。最後、酸欠の岡見はステップが止まり、打撃をもらい続けて終わる。記者採点はジェヨン。合計27-30でジェヨン。ジャッジは割れ、1者がジェヨンを支持したが、2者が岡見を支持し、岡見の勝利となった。
マイクを持った岡見は「42年間で一番キツい5分3Rでした。試合前まで恐怖心が何度も沸き上がり、何度も勝負しここまで来ました。まだまだ弱い。キム・ジェヨン選手、強かったです。今後はわかりませんが、今日自分に打ち勝てたことは今後の人生の力になります。応援してくれた皆さんありがとうございました」とアピールした。
石井逸人、フライ級復帰初戦は完勝「新井丈をギブアップさせます」
第2試合 フライ級 5分3R
×内藤頌貴(パラエストラ松戸/世界6位)
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/バンタム級世界3位、元環太平洋同級王者)
2R 3’16” 三角絞め
内藤は7月の後楽園では関口祐冬に判定負けして以来の試合。石井は昨年10月、環太平洋バンタム級王座の初防衛戦で藤井伸樹に判定負けし、今年4月のパンクラスでも井村塁に判定負け。9月大会で6年ぶりにフライ級に戻って戦う予定だったが、対戦相手の堀内佑馬が計量で300gオーバーし、契約体重での合意に至らず試合中止となっていた。今回もフライ級で試合が組まれた。
1R、内藤がサウスポーからの左ミドルを随所で当て、先手を取る。だが石井も中盤過ぎ、右フックを当てて内藤を下がらせると、金網際でテイクダウンを奪ってから、素早くバックマウントを奪う。終盤、石井はバックからパウンドを当てつつ、裸絞めを狙い続け、内藤を追い詰める。記者採点は石井。
2R、内藤がパンチから飛び膝で襲い掛かるが、石井はまたもタックルで倒すと、またもすぐにバックを奪う。石井は裸絞めを狙い続けると、下に落ちつつ腕十字を狙う。内藤が防御を続けると、三角絞めに移行し、最後は絞め落としたところでレフェリーがストップした。
石井は「俺がフライ級に落としたら、こんなもんですわ。フライ級で一人やりたい奴がいます。ストロー級とフライ級のチャンピオンになった新井丈、見てるだろ?NEVER GIVE UPとうっせえから、俺がギブアップさせます」とマイクアピールした。
マモル引退エキシビションマッチ、当日発表のXは佐藤ルミナ
第5試合 マモル引退エキシビションマッチ 1分3R
―マモル(STGY/元修斗世界フライ級&バンタム級王者、元パンクラス・フライ級王者、元KOTC世界ライトフライ級王者)
―漆谷康宏(元修斗世界フライ級王者)、清水清隆(元パンクラス・フライ級王者)、X(当日発表)
勝敗無し
マモルは1999年にデビューし現在46歳。2000年に修斗でバンタム級(60kg)、03年にフライ級(56kg)で王者となり2階級制覇を達成。15年5月の修斗での試合を最後にパンクラスに戦場を移し、17年にはパンクラスでフライ級王座獲得。19年5月のパンクラスで小川徹に敗れて以降、試合をしていなかった。
マモルはMOBSTYLESのサポート選手第1号。MOBSTYLESの田原洋代表は「そもそも(今大会は)マモルの引退興行みたいな気持ちでスタートしました。修斗で2階級制覇し、KOTCでもベルトを獲って、パンクラスでもベルトを獲ったのに、あまりにも知られていない。偉大な選手の引退に花を添えたいと思って、この大会をやることになりました」と、11月の後楽園大会で話していた。今回、「きっちり最後に沈めてやります」という思いから、過去に戦った選手たちのエキシビションマッチが用意された。
漆谷とマモルは03年の初代修斗世界バンタム級王座決定戦で初対戦し、マモルが判定勝ち。07年の再戦では漆谷が判定勝ちでリベンジしている。清水は09年、パンクラス代表として修斗に乗り込み、マモルに判定2-0で敗れている。最後の一人Xは当日発表となった。
エキシは1分3R制。1R目は清水が登場する。清水は開始すぐにドロップキックで襲い掛かり、タックルを繰り返すが、マモルは切り続け、得意の左ミドルや肘を当て、見せ場を作り続けた。
2R目は漆谷が登場する。終始スタンドの攻防となり、マモルが左右のミドル、右ハイを当て、優位に進めて終えた。
最後の3R目は佐藤ルミナが登場する。マモルはrootsのトレーナーを務めている。少し疲れ気味のマモルに対し、ルミナは容赦なく攻め、ヒールフックを極めてタップを奪った。
引退式でマモルは「現役生活で一番の夢だったUFCに行くことはかないませんでしたが、4冠を取ることができて、幸せな現役生活でした。カッコいいこと言いたかったですが、エキシビションで全部飛びました。涙流すキャラじゃないんで、最後は笑顔で終わります。ありがとうございました」と話し、10カウントゴングを聞いた。
リオン武、4年ぶり試合はKO勝ち
第4試合 68kg契約 5分3R
○リオン武(RISING SUN/元フェザー級世界王者)
×内藤太尊(roots)
2R 2’31” KO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
リオンは43歳。06年から10年の間に2度、フェザー級王座に君臨。11年の大晦日には高谷裕之のDREAMフェザー級王座に挑戦し敗れている。14~17年は3試合のみと試合ペースが落ち、18年は3試合したが斎藤裕と朝倉未来に敗れる。19年7月の修斗でデュアン・ヴァン・ヘルフォートに判定負けして以来4年ぶりの試合となる。
内藤は34歳。14年にデビューし、フェザー級上位戦線で活躍したが、工藤諒司やSASUKEには敗れる。21年5月に宇野薫にKO勝ちして以来2年半ぶりの試合となる。今回はリオンが「自分の修斗のルーツは佐藤ルミナなんで、佐藤ルミナの血を受け継ぐ太尊とやりたい」と内藤を相手に指名し戦うことになった。
1R、お互い慎重な打撃戦が続き、中盤、リオンがテイクダウンを奪い、上になってパウンドを当てる。最後、スタンドに戻ると、リオンが右フック等のヒットを増やし、やや優位で終える。記者採点はリオン。
2Rもお互い慎重だったが、中盤、リオンが詰めて来た内藤に対し、右ストレートを当てる。内藤がダウンし、すぐ立つと、リオンは詰めて、右フックを再びダウンさせる。リオンがパウンドで追撃したところですぐにレフェリーがストップした。
マイクを持ったリオンは「また頻繁に試合します、とは言えないんですけど、意味のある大会、意味のある対戦相手なら試合をしますんで、その時は応援お願いします」とアピールした。
猿丸ジュンジ、安芸柊斗を1R KOし引退表明
第3試合 フライ級 5分3R
○猿丸ジュンジ(修斗ジム東京/ストロー級世界4位)
×安芸柊斗(MMAZジム/ストロー級世界3位)
1R 1’18” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
両者もMOBSTYLESのサポートを受けている選手で、ストロー級のランカーだが、今回フライ級に階級を上げて対戦する。
猿丸は37歳。21年11月、ストロー級暫定王者決定戦で元王者の黒澤亮平に1R一本勝ちしベルトを獲得。箕輪ひろばが王座返上し正規王者となったが、昨年9月の初防衛戦で新井丈に1R KO負けし王座陥落した。
安芸は22歳。21年2月のRoad to ONEで山北渓人にKO負けしたが、今年3月には澤田龍人を1R KOし、修斗での連勝を6とした。7月に新井の王座に挑戦し、序盤は膝蹴りとパンチで新井を追い詰めたが、その後反撃を許し、1R終盤にKO負けしている。なお、猿丸は安芸の父・佳孝氏とも08年に戦い、勝利した過去がある。
1R、猿丸が序盤からの打撃戦で左右のフックをヒットし、右ローも絡めて先手を取る。安芸も打ち合いでパンチを返していたが、猿丸の右フックの際に、安芸が真後ろにスリップする。下になった安芸は三角絞めを狙うが、猿丸は防御すると、背後に回り込む。猿丸はバックマウントをキープすると、左のパウンドを連打し、安芸の動きが止まったところでレフェリーがストップした。
マイクを持った猿丸は「MOBSTYLESなんで俺が盛り上げなきゃいけないと思って出ました。自分の役目は終わったんで今日で引退します。5年後、10年後、ここに弟子を上げますんで、その時まで修斗がずっと続きますように」と、涙を浮かべながら引退を表明した。
第1試合 2023年度新人王決定トーナメント準決勝 フェザー級 5分2R
×青井太一(心技舘)
○ネイン・デイネッシュ[Nain Dinesh](MMA RANGERS GYM)
判定0-3 (豊永18-20/柴田18-20/田澤18-20)
修斗 COLORS 12.2 豊洲PIT(レポ):澤田千優、中村未来を1Rで仕留め修斗女子史上初の王座防衛。パンクラス王者ソルト、修斗凱旋試合は1R KO勝ち。KARENも初の修斗で1R KO勝ち