ONE暫定王座獲得・野杁正明、タワンチャイ戦のKO勝ちを振り返る「我慢比べだったら絶対僕の方が強いと思った」「VASILEUSのみんなで協力して過去最高の状態を作れた」(動画あり)
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ONE 172 3月23日 さいたまスーパーアリーナ大会でのONEキックボクシング・フェザー級暫定王者決定戦でタワンチャイ・PKセンチャイに3R TKO勝ちし暫定王座を獲得した野杁正明が、試合2日後の25日、東京・用賀のVASILEUSジムでの記者会見で試合を振り返り、今後についても語った。
第12試合 コーメインイベント ONEキックボクシング・フェザー級(70.3kg)暫定王者決定戦 3分5R
×タワンチャイ・PKセンチャイ[Tawanchai PK Saenchai](タイ/ONEムエタイ同級王者)
○野杁正明(team VASILEUS/元K-1ウェルター級(67.5kg)&スーパー・ライト級(65kg)王者、元Krushウェルター級(67kg)王者、元Nuit Des champions 66kg級王者、元WBCムエタイ日本スーパーライト級(63.5kg)王者、K-1甲子園2009 -62kg優勝)
3R 1’55” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
※野杁が暫定王者に
野杁は31歳。新生K-1で17年にゲーオを破りスーパー・ライト級(65kg)王者となり、21年には安保瑠輝也らをKOしウェルター級(67.5kg)王座を獲得し2階級を制覇。22年6月のTHE MATCH 2022ではシュートボクシングの海人に延長判定負け。23年7月のK-1でのアマンシオ・パラスキフ戦での1R KO勝ちを最後にK-1を離れる。昨年6月のONE 167バンコク大会でのONEデビュー戦ではONEキック・フェザー級(70.3kg)3位のシッティチャイに判定負け。12月20日のONEフライデーファイツではリウ・メンヤンに判定負けし2連敗を喫したが、今年1月24日のフライデーファイツではシャーキル・タクレティを2R右カーフキックでKOし、ONE 3戦目で初白星をもぎ取った。
タワンチャイは25歳。20年からONEに参戦し、2戦目でシッティチャイに判定1-2で惜敗したものの以降は9連勝。22年9月にペットモラコットに判定勝ちしONEムエタイ・フェザー級王座を獲得。1月24日にスーパーボンを2R左フックでKOしムエタイ王座4度目の防衛を果たした。スーパーボンはキックルールの同級正規王者だ。
暫定王者決定戦ではタワンチャイがサウスポーからの重みのある左ミドル、ローを当て続け、手数で差をつけるが、2R中盤から野杁も左ボディや右ストレートといったパンチのヒットを増やす。すると3R中盤、野杁が左ボディを効かせて下がらせてからの左フックでダウンを奪う。タワンチャイはダメージが大きく、野杁はタワンチャイをロープに詰めてボディと顔面にパンチをあて続けレフェリーがストップ。野杁がTKO勝ちでONE暫定王座を獲得した。
野杁は勝利者インタビューで、チームメイト、家族、ONEのチャトリ・シットヨートンCEOに感謝の言葉を述べると、5万ドル(約750万円)のボーナス授与が発表され、「ボーナスいただいたんで家族で旅行行きたいです」と話し、最後は家族と記念撮影した。大会後の記者会見でで野杁はスーパーボンとの王座統一戦について「試合が決まったら今回のようにKOします」と宣言した。
大会後の会見は他の選手やチャトリ氏らとの共同のため、野杁の発言時間が限られており、今回改めて野杁の所属先のteam VASILEUSがタワンチャイ戦についてじっくり語る機会を設けた。
以下は質疑応答からの抜粋。(※ダイジェスト動画をバウトレビューの公式YouTubeにアップしました)
―― 中1日ですけど、率直な今の感想を。
野杁「昨日から(ホテルから自宅に)帰ってきたんですけど、日常に帰ってきたなっていうか。普通に自分の家に戻って家族と家で過ごして、いつもと変わらない日常に戻ってきたなという感じです。
―― 下馬評では1対9ぐらいで相手が絶対的に有利という状況で、試合前の心境は?
野杁「ワクワクしかなかったですね。試合当日、朝起きてからも前日からも本当にワクワクしかなくて。恐怖は一振りもなかったですし、早く戦いたい。隣で嫁ばずっと緊張と怖さでため息ばっかついた感じですけど、僕は本当に全然怖さも何もなくて、戦いたいしか出てこなかったですね」
―― 戦略通りに戦えばああいう形にはなれるっていう確信はあったんですか?
野杁「何パターンか用意はしてて、あれがパターンだったかって言ったらそうではなかったんですけど。戦っててとっさのひらめきというか、それが左フックだったんで。膝に対してのフックは松倉君とずっと回してやってたパターンの一つではあったんで、練習でやってきたことの一つではあったんですけど、あれでそのダウンを取ったりとかっていうパターンではなかったんで、ひらめきはやっぱり大事かなっていうのはあります」
―― タワンチャイの左ミドルは魔裟斗さんもミットを受けて本当にびっくりしたっていうぐらい凄かったんですけど、野杁選手にも割といいクリーンヒットしたのがあったと思うんですけど、その辺どうでした?
野杁「僕的にはミドルよりローとインローの方が衝撃でしたね。本当に痛くて。ローを今まで食らって痛いと思ったことはなかったんですけど、試合中でも痛かったですし、今でも痛いです。初めて一発目もらったときにこれはやばいなって思ったのが試合中での出来事ですね。
―― インターバルでそう話してましたもんね。
野杁「ミドルのタイミングとか、ミドルに対して必ず返す練習をしていたんですけど、全部が全部練習通りに返すことができなかったので、そこは本当に反省点があったというのがあります。まだまだやってきたことを全て出せなかったですし、まだ出せていない攻撃だったりとか、いろんなパターンがあるので全然合格点はないですけど、さらに成長できる試合だったかなと思います」
―― 一番警戒してた技は左ミドルだったんですか?
野杁「攻撃というか一番は距離感ですかね。僕とタワンチャイ選手の得意とする距離が違うんで、やっぱりそこが一番警戒というかしてた部分です。本当に強い前蹴りも持ってますし、もちろんパンチも警戒してましたし」
―― 世界最強を証明するためにONEに乗り込んだと思うんですけど、その中でベルトという証を得ましたけど、世界最強の位置のどのくらいまで来ているのか?
野杁「どれくらいなんですかね。世界を見てみたら、まだまだいろんな選手たちがいると思うんですけど、僕の1個上にいる選手はただ1人だけ(=正規王者のスーパーボン)なんで、今のところの目標はそこだけですね」
―― 伸びしろの部分はありますか?
野杁「まだまだあります。100点満点の試合はまだ無くて、もっともっと出せた攻撃、出せたパターンのコンビネーションだったり対処のパターンだったり、いろんなことがあるので、まだまだ成長できるかなと思っています。
―― この間の試合は何点ですか?
野杁「ベルトを巻いたので、ちょっと高めにつけるんですけど、70とか65とかじゃないですか」
―― 強烈なタワンチャイ選手のローを受けながらも前へプレッシャーをかけ続けられたのは?
野杁「勝ちたい気持ちが一番強かったんですかね。インターバル中にセコンドの(渡辺)雅和さんと話したんですけど、我慢比べだったら絶対僕の方が強いと思ったんで、雅和にも言われましたし、痛い攻撃をお互い出してどっちかがギブアップするんだったら絶対タワンチャイ選手がギブアップするのが早いって僕も思ってました、足痛いですけど、僕はお腹と足では絶対倒れないので。たとえ5ラウンド、蹴り続けられても足が動かなくなっても僕は足と腹では絶対倒れないので、その気持ちでやってました」
―― ONEのベルトは今まで持ったベルトと比べて物理的な重さとかも含めてどうですか?感触は?
野杁「一番嬉しいですね。本当にこのベルトが欲しくて、このベルトを取るためだけに、僕はONEに参戦させていただいたんで。でも暫定なんで正規のベルトが欲しいですね」
(ここで「武尊選手と一緒にベルトをっていう話をずっとされてましたけど、今、武尊選手への思いっていうのはどういう感じですか?」と聞かれ、武尊の怪我について明かす。武尊の怪我の話は別記事参照)
―― これ取って次はスーパーボンとかアラゾフとかグレゴリアンとか凄いのたくさんいるじゃないですか。そこに向けてはどんな思いですか?
野杁「僕がONEに来た理由が、そういった選手たちと試合をしていきたいっていう、本当に世界最強になりたいと思ってこの舞台を選んだんで、今回のタワンチャイ選手の試合も本当にワクワクしましたし、今後スーパーボン選手だったりとか挑戦するにあたっても今回以上のワクワク感が得られると思います」
――途中まではちょっと手数で負けているのかな、後手なのかなという感じはあったんですけど、それこそ前の安保戦じゃないですけど、いつか逆転できるというのはありながらやっていました?
野杁「ラウンドマストなんで1ラウンドも取らせないっていうのが作戦ではあったんですけど、5Rあるんで、たとえ1取られても他全部取れば勝てますし。作戦としては1・2はちゃんと削って、後半勝負って思ってたんですよ。カーフとかって一発で倒れる攻撃じゃないじゃないですか。いいところに当たれば前回のタクレティ戦みたいに足を折ったりとかっていうことも可能ではある攻撃なんですけど、作戦としては1・2はとことん削って。カーフとかって絶対蓄積するんで、3・4・5から何か足の様子がおかしいと思わせて、仕留めるという作戦ではあったので。ちょっと見過ぎたというか、警戒しすぎていた部分もあったので、そういったところは反省しています」
―― ダウンを取る前にタワンチャイの心理状態を感じた部分ってありますか?
野杁「ボディは効きましたね。左のボディ?左かな?左か右かどっちか忘れたんですけど、結構苦しそうな声を聞いたんでボディは効いたなと思います。
―― カーフに関してはどうですか?
野杁「カーフも1R目ぐらいから嫌がっていたのが分かったので。そんなにクリーンヒットはしていなかったんですけど、サウスポーに構えて左の前足のカーフを蹴った時に、すごい嫌な顔をしていたのが分かったので」
―― 今回はジムの設備ができて、前の準備段階で良かったなと感じることはありますか?
野杁「みんなで練習できるので。ここができる前は一緒に練習するスペースがなかったりしたので。でも今ここだと3組4組ぐらいで一緒にできるので、隣でこんだけやってるならもっとやらなきゃって思ったりもできますし。みんなで協力し合いながらじゃないですけど、煽る選手もいれば、追い込んで死ぬそうになってる選手もいてっていう。本当にトップを目指してる選手しかいない。本当に良い追い込みができたんで、多分僕一人だけだったらできない追い込みだったりとかあったんですけど、みんな協力してくれたおかげで過去最高の状態を作れたんで、ジムのみんなには感謝しかないですね」
―― 次の試合の時期とか、タイで乗り込んで統一戦とか、あるいは(タワンチャイと)再戦って可能性もあるのかなと思うんですけど、今後のこの辺は何か考えてますか?
野杁「いや、何も考えてないです。今ちょっと考えたくないですね(苦笑)。まあでも試合はしなきゃいけないんで、それはONEと相談して。僕は昔からそうなんですけど、来るものは拒まずなので、決められた用意された相手、誰とでも戦うつもりでいますし、話が来たら受けるだけって感じです。でも5月・6月はちゃんとしっかり休んで、休んだ上で、期間は大体どれくらいか伝えます。相手に関してはもう断らないですね」
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