ONE 3.23 さいたま：野杁正明「武尊君は試合2週間前にあばらと胸骨を骨折していた」「武尊君はあんなもんじゃない」「武尊君が隠してて色々言われるのが僕は苦しい」

　ONE 172 3月23日 さいたまスーパーアリーナ大会でのONEキックボクシング・フェザー級暫定王者決定戦でタワンチャイ・PKセンチャイに3R TKO勝ちし暫定王座を獲得した野杁正明が、試合2日後の25日、東京・用賀のVASILEUSジムでの記者会見で試合を振り返ると共に、同門の先輩の武尊がロッタン戦の2週間前に負っていた怪我について明かした。

　23日のONEのコーメインイベントで野杁はタワンチャイを3R KOし、暫定王座を獲得した。だがその直後のメインイベントでは、武尊がロッタン・ジットムアンノンに1Rわずか1分20秒、左フックでKO負けした。
　大会後の会見で武尊は、最後のレフェリーのストップについて「ダメージの回復を待っていましたけど、立っても、どうなっていたかわらかないですし、そこは文句ないですし、自分が弱かっただけです」とコメントした。今後の現役続行について武尊は「やりきったかはわからないですけど、次のことは考えていないんで、ちょっと冷静になって、しっかり考えて、また正式に発表したいなと思います」「（ロッタンに）リベンジしたいかと言われたら、もちろんしたいですけど、この先のことはまだ考えていないです」と話し、回答を保留していた。

　大会から2日後の会見で、野杁は自身の試合を振り返りつつ、「今、武尊選手への思いっていうのはどういう感じですか」と聞かれると、「武尊君は試合2週間前にあばらと胸骨を骨折していた」と話し、万全なコンディションではなかったことを明かした。関係者によると武尊はスパーリング中に負傷し、左側の肋骨と胸骨を骨折し、全治7週間と診断されていたという。

◆野杁
（武尊選手と一緒にベルトをっていう話をずっとされてましたけど、今、武尊選手への思いっていうのはどういう感じですか？）いや、もう変わんないですよ。僕が勝って戻ったら必ずセコンドにつくっていう話はして、入場は間に合わなかったんですけど、セコンドにつかせてもらいました。武尊君の試合はああいう結果で終わってしまったんですけど、僕がONE Championshipに来た理由も、武尊君と揃ってベルトを取ることが目標ということも、今でも変わらないです。武尊君の試合後に武尊君本人に話はさせていただいたんで、今後どうするかは武尊君が決めることですけど、僕の気持ちは素直に伝えています。
　SNSとかで武尊君に対してメッセージとかいろいろあると思うんですけど、僕これ、武尊君にも言ってないですし、これを話すことで後から怒られるかもしれないんですけど、本当に万全な状態じゃなかったんですよ。
　武尊君がずっと調子が良くて、追い込みも過去最高の状態を作っていたと思うんですけど、試合の2週間前に2カ所骨折していて。あばらと胸骨を骨折していて。もちろん練習もできないですし、呼吸すらままなっていなくて。でもジムに来て軽く動いたりするんですけど、すぐうずくまって動けない状態がずっと続いていて。でもそんな中でもやっぱり武尊君の中で欠場するとか、試合に穴を開けるという選択肢はなくて。一緒に出ることが決まって、僕としては世紀の一戦のロッタン選手の試合が決まって、万全の状態で試合してほしかったなっていう気持ちがすごいあって。
　だから、本当にファンの人たちからすると（打たれ）もろくなったとかいろんなことが言われてると思うんですけど、武尊君はあんなもんじゃないんで。本当に全然できると思いますし。僕は武尊君がONEのベルトを巻ける人間だと思ってるんで。
（そういう反応を見ても野杁選手は本当のことを知ってただけに、すごい悔しかったってことですか？）そうですね。武尊君が本人から今回試合終わって、実は折れてたんですって絶対言わないと思うんですよ。僕だったとしても言えないですし、その怪我してたのは理由とか言われるのはすごい嫌なんで、誰かが言わないとそれってわかんないことじゃないですか。隠してて色々言われるのは、見てても僕は苦しいですし。僕が言うのもあれですけど、この後『なんで言うの？』って言われるかもしれないですけど、それを覚悟の上で僕は皆さんにお伝えできればなと思っています」

　なお、武尊は野杁の発言を受けてXにポストし「試合への準備も含めて全てが自分の実力。快挙を成し遂げた試合後の正明にこんなこと言わせてしまって申し訳ない。沢山の苦しみをを乗り越えて命懸けでこの勝利を勝ち取った正明には祝福の言葉だけお願いします」と記している。

ONE暫定王座獲得・野杁正明、タワンチャイ戦のKO勝ちを振り返る「我慢比べだったら絶対僕の方が強いと思った」「VASILEUSのみんなで協力して過去最高の状態を作れた」