「自信と油断の紙一重を大事にしたい」KNOCK OUT王者 壱・センチャイジム、ONEでの逆転KO勝ちを振り返る(Youtubeインタビュー文字起こし)
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唐突ですが、バウトレビューでは、Youtubeチャンネルをゆるく始めてみることにしました。5年前の2020年、コロナ禍突入の頃に少しだけやりましたが、この度、再開し、少しずつあれこれやってみようと思う次第です。
そのコンテンツ第1弾は第4代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者・壱(いっせい)センチャイジム(センチャイムエタイジム)のインタビューです。
壱選手は2月28日のタイでのONEフライデーファイツで2ダウンを奪われてからの逆転KO勝ちを果たし、35万バーツ(約160万円)のボーナスを獲得しました。壱選手にはその試合の感想と、3月22日の次戦に向けての意気込みを聞きます。今回はインタビューの前後編の前編です。(下の文章は動画の文字起こしです)
―― まずはこの間のONEの試合終わって、お疲れ様でした。
壱「ありがとうございます」
―― びっくりの展開ですよね。
壱「僕自身もハラハラだし、年末の(KNOCK OUTの)ジャパンカップの決勝で逆転負けって形だったんで、ちょっと今回は堅くいこうかなと思ってたんですけど、相手のパンチをもらってしまって、ダウンしてしまって。ミドルキックで組み立てるプランだったんですけど、会長が切り替えて『ここから新しいスタートだ。パンチで行け』って。それでもう完全にプラン変更して、パンチで組み立てて、それがうまくハマった形で、ほんと安心しました。めちゃくちゃロマンテイックな展開で(笑)。年末の試合から今回の試合、打ち合い、打ち合い、ってなっちゃったんですけど、一番試合でドラマ作れたかなって個人的に思ってます」
―― ああいうドラマっていうのは想像できなかったです(笑)。前回の7月のONEに初めて出たときの試合は、もっと慎重というか、先ほど言ってたような、比較的蹴って蹴ってで、あんまり相手の攻撃をもらわずみたいな感じになってたんで。
壱「7月、ONE Championshipでキルギスの(ティムール)チュイコフ選手やったときも、あの時にクリーンヒット僕一発ももらってなかったから、ONEのオープンフィンガーグローブの効き方をあまりわかってなかったっていうのもあって。今回ちょっと初めてクリーンヒットしたんですけど、グローブ硬すぎて、一瞬バッティングかなと思ったぐらい硬くて、それでちょっと一瞬びっくりしちゃった部分があったんですね。今回一発目もらって1Rびっくりした部分があったんですけど、2R目からはこういう感じかなって理解したんで、体と受け感で、肌でオープンフィンガー理解したんで。やっぱりONEのオープンフィンガーって相当硬いらしくて」
―― そうですね、聞きますよ、それは。
壱「日本の団体でも使ってるところがないぐらい硬いって聞いたことがあって。それをフルでもらって肌で理解して。これ当たったら効くなって思ったんで、その時に攻撃的な姿勢に切り替えて、うまく組み立てることができました」
―― 相手のルー・イーフー選手がONEで柿﨑(瑠)選手と戦ってましたから、その映像を見てチェックして、こんなもんかなっていう想定はある程度できていましたか?
壱「そうですね。柿﨑選手との試合を見たときにも、柿﨑選手のミドルで結構苦しんでたから、ミドルで組み立てていけば問題ないと思ってたんですけど、僕の悪い癖ですよね。パンチもらっちゃって、僕打たれもろさと攻撃力が両方マックス値あるから。打たれもろさで一発もらっちゃったら、もうここマックス。攻撃力自信あるんで。もうここでフルベットするしかないから、それが僕の魅力でもあるかなと思うんですけど、打たれもろさと攻撃力が僕の魅力かなと思ってます。なので今回ダウン取られなかったら、前回のチュイコフ選手みたいな感じで、うまくいなして勝ちっていう展開だったかなと思うんで、結果オーライかな。ダウンしちゃったから会長からのゴーサインも出たし、結果オーライいい試合できたかなと思ってます」
―― 割と相手最初から前出てきたなっていう、結構ガンガン最初から来る感じもありましたし。
壱「僕もONEで試合してるから相手も映像見てるんだろうし、1R目から感じましたね。ミドルキックの対処だったり、ミドルキックにパンチ合わせてきてるのわかったんで。最初の30秒ぐらいはミドルとインローうまくいってたから、僕はもうこのペースで試合組み立てても、全然勝てるなと思ったところで、うまくガーンって効かされちゃって、それでもう倒れたって感じなんですけど」
―― 普通のグローブでのダウンと違うもんだったんですか?
壱「ダメージは、なんか痛かったんですけど、個人的には残ってなかった、フラッシュ的な感じかなと思いました。意識がぶっ飛ぶとかそういうものじゃなかったんで、なので意識は割とはっきりしてて。…あ、でも、これ、1R目のインターバルの時に、僕、ダウン2回したことわかってなくて。そういった意味では意識もうろうとしてたかもしれないです。インターバルの時にダウン1回しかしてないと思ってて。ダウン=マイナス2ポイントだから、2Rと3Rを取ればONEの判定で勝てるかもしれないなって」
―― マスト判定で最終トータルで合計が同じだったら勝てると。
壱「結構割れるんですけど、ONEの場合2-1とか。攻め続ければ行けるだろうなっていうのがあったんで、僕自身そんな焦ってなかったんですよね、2Rと3R。キックの実力で言ったら僕のほうが全然ある印象だったんで。それは1R中もわかったんで、2R・3R取ればなんとかなるなっていうのが、1R目のインターバル中の感想でした」
―― 2ダウン目した後にセンチャイ会長が映って、肘の動きしてて、あの辺で先ほど言ってたような作戦変更の。
壱「そうです。最初はミドルから組み立ててっていう作戦だったんですけど、僕がポカしてしまったので変えざるを得なくなって、会長から肘膝パンチって作戦出て、パンチを4つ以上。これ後で、ONEの動画上げてるアカウントがあるんですけど、それに(会長の)声が入ってるんですけど、すごいですよ。『与那覇君、パンチ打つ!』って言って、1・2・3・4で倒れたんですよ。パン、パン、って。だからあれは気持ち良かったっすね。本当に。あそこ結構、僕的にはなぜかすごい冷静で。あのとき2回ダウンしてるのに、ちょっと飛んじゃってるから、1回しかしてないっていうアレ(=勘違い)もありますけど、結構冷静にやってて、ストレートの距離感も今見てもいいし、落ち着いて戦えてたなって思いますね」
―― ちょっとずつ流れは変わった感じは自分でもしました?
壱「僕のもろさが原因で倒れちゃって、ポイント失ったんですけど、肌でぶつかってみて負ける感じはしなかったんで、落ち着いていけたのかなみたいな。この変な自信が多分このモロさにつながってる。油断してるからつながると思うんですけど。自信と油断って紙一重なんで。ちょっと油断の方が僕はあったから倒れちゃったのかなって。あれ反省点ですよね。自信と油断ってほんと紙一重なんで。僕、油断寄りなんですよ(笑)。本当に。そういう紙一重、大事にしたいですよね。自信と油断」
―― 倒せそうかなって感じはありました?試合中に。
壱「会長がもう『行け』って言ってたんで、やるしかないなっていうところはありました。僕自身は倒すファイターではないんですけど、あの試合は行くしかないっていう。あとは年末の森岡(悠樹)戦、攻めて負けてるじゃないですか(下動画)。あれも若干フラッシュバックしながらの試合だったんで。葛藤しながらの試合でありましたね。でもここ行くしかないなって結構(覚悟を)固めてました」
―― ボーナスのことは頭にちらついた?
壱「ボーナスはもうちらつきまくってましたね。(トレーナーの)キックさんにも 『ボーナス取ってくるよ』みたいな。後輩たちにも『ボーナスでパーティーしようぜ』って、言ってたんですけど、試合始まっちゃってダウンしちゃってるから。もうそれどころじゃないです。判定でもいいから勝たないと。でも1試合前の森岡戦が僕を成長させてくれたと思ってます。打ち合いの中で負けてしまった。それがまたフラッシュバックして『またここで負けるのかな』っていう思いが若干あったんですけど、そこで森岡戦の時みたいにバーンって行かずに、冷静に距離保って攻めれたのは今回大きな収穫だったかなって思いますね。森岡戦がなかったら今回はちょっと危なかったかな。あの試合があったからすごい成長できたかなと思うんで。あの試合(優勝賞金の)300万失いましたけど、あの300万は無駄な授業料じゃなかったと今になって思います」
―― それで今回の試合は35万バーツ(のボーナス)でしたかね。
壱「だいたい(円換算で)160万円ぐらいですよね」
―― 300マイナス、プラス160。
壱「ここから300万の高い授業料回収していけばいいんで。当時はすごい凹んだっすけどね。3日間寝込みましたよ。年末年始なのに家から出なくて、もうどうしよう…って思ってて、だったんですけど、その直後ぐらいにこのONEの試合のオファーがあったんで、もうやるしかないなと思って。試合しないと俺前向けないやと思って、会長に『やらせてください』とお願いして、それでもう決まった感じで。次の日からもう速攻練習再開して。3日間寝込んで、4日目から。1月4日からジム開いたんですけど、その日もう練習来て。なのであの試合終わって割とすぐ練習再開して、ジム来た日にはもうONEも決まってたみたいな。切り替えはすごく早かったし。あの300万の授業料よかったですね。今考えると。これからも回収します。あと一回KOすればプラスなるんで。もう回収に向けて動いています」
―― 勝利者インタビューで自分のことを「ベストバウト量産機」って話してましたね
壱「僕、KNOCK OUTでもベストバウト7回かな、受賞させていただいて。KNOCK OUTとダントツ1位だと思うんですよ、ベストバウトの受賞回数が。僕の試合はほんとにハズレ無いんでっていう、自信持って戦ってるし。やっぱり強いだけの選手じゃなくて、人の記憶に残る、せっかく体張って試合してるわけだから、人の記憶に残る選手になりたいなっていうのはあるんで、そういう意味ではベストバウトを受賞させてもらえているのは、僕的には凄い満足のいく選手ライフだなと思います」
―― オープンフィンガーの練習の仕方は違うものなんですか?
壱「やっぱりムエタイなんでカットを大事にしてるんですけど、ステップをするとカットできなくなるんですよ。でもONEって(オープンフィンガーグローブだと小さいので)パンチがガードしてもすり抜けてくるから、このステップが大事になってくるんですよ。だからカットよりもステップの重要性があるので。キックさんと会長がONEムエタイだったり、日本で勝てるムエタイに着目してくれてるんで、つま先を使ったステップバックの練習はすごいしてるんで、それがうまく活きたかなって思ってます。ONEムエタイは普通のムエタイと違うから、ONEムエタイの練習方法はキックさんや会長が用意してくれた、下半身の練習と筋トレがすごい多いんですよ。ランニング、スクワットだったり、下半身の筋トレがすごいんで、2Rに相手がスタミナがなくなってきた時に、僕の下半身が生きてたのは、凄い基本的な練習がうまくいったからかなと思います。2Rの前後の動きで相手の空振りが増えて、相手が失速したイメージがすごいあるので。この前後の動きって純ムエタイであまり見られない動き、結構総合とかそっちの方で見られる動きなんで。前後のスタンス、ドンと広くして、キックのカットとキックを捨てて、長いパンチだけに適したロングスタンスの構え。あれをキックさんと会長が用意してくれてたんで。あれ疲れるんですよ。足がすごい。ただそれを後半のラウンドで出せるとすごい強いんですけど、それはやっぱりあの日々のランニングと。一日20kmぐらい走るんですよ、僕。あとスクワットを8種目ぐらいやるんで、それが生きたかなと思ってます。基礎練の大事さっすよね」
―― 去年7月ONE上がった時からそういう感じだったのか。今回に向けてって感じの要素としてなのか。
壱「前回のチュイコフ戦からです。左ミドルとフットワークで勝ったと思っているので。フットワークはやっぱり大事だし。一番は下半身ですね。縄跳び今日1時間ぐらいやってランニング20km走って」
―― この間試合終わったばっかりですけど、金曜日に試合終わってもうわりとすぐに帰ってきた?
壱「土曜日夜10時に帰ってきて、日曜日にはもう練習してました」
―― ジムの休みの日とかは?
壱「月曜日なんですけど、日曜練習来て、月曜休んで、昨日(火曜)練習して、今日も練習してます」
―― ダウンをしてのダメージが尾を引いたりとかっていうのも
壱「もちろんスパーリングとかはしないですけど、基礎練とか、あと次の試合が3週間後なので休んでる暇ないという」
―― なかなか鬼スケジュールな、センチャイさんのいつも
壱「そうなんですよ。ムエタイジムの宿命かなと思ってますから(笑)。タイ人は何百戦もやってるから、休ませてくれなんて言えないですよね」(続く)
インタビュー後編は3月19日水曜日に公開予定です。
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