K-1 2.9 代々木第二体育館:スーパー・ライト級王者ヨードクンポン「サウスポー対策でONE王者タワンチャイと練習した」×鈴木勇人「あと一歩だったねと言われる選手になりたくない」。佐々木大蔵「説得力のある試合を」×稲垣柊「5試合分の経験値を得られる試合になる」
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K-1 WORLD MAX 2025(2月9日(日)代々木競技場第二体育館)のK-1スーパー・ライト級(65kg)タイトルマッチで対戦する王者のヨードクンポン・ウィラサクレックと挑戦者の鈴木勇人、そして同級で対戦する佐々木大蔵と稲垣柊の4選手のインタビューがK-1 GROUPから届いた。
第19試合 K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
ヨードクンポン・ウィラサクレック[Yodkhunpon Weerasakreck](タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/王者、トップキング&MXムエエクストリーム-70kg級王者)※初防衛戦
鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/挑戦者、元Krushスーパー・ライト級王者)
ヨードクンポンは30歳。タイのルンピニーとラジャダムナンの2大スタジアムで活躍し、23年のラジャダムナンワールドシリーズのウェルター級トーナメントで準優勝。昨年9月の第7代K-1スーパー・ライト級王座決定トーナメントでは、カン・ピナール、イオヌット・ポパをKOし、決勝では稲垣柊に判定勝ちして優勝しベルトを獲得した。
鈴木は35歳。23年はパコーンに敗れたが、デンサヤームをKOし、モハメド・イスラムに延長判定勝ち。昨年3月の代々木大会では元K-1 2階級制覇王者の卜部功也とのダウンの応酬を制し判定勝ち。9月のスーパー・ライト級王座決定トーナメン一回戦でポパの左ハイキックで右まぶたを切られ3R TKO負けを喫していたが、K-1の宮田充プロデューサーは「前回のトーナメントではドクターストップで負けてしまいました。あの無念さを晴らしてほしい。1月に35歳になることもあり、鈴木君に任せたい」と期待をかけ、王座挑戦権を与えた。
第9試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・ライト級王者&ライト級王者)
稲垣 柊[しゅう](K-1ジム大宮チームレオン/Krushスーパー・ライト級王者)
ヨードクンポン×鈴木勇人のスーパー・ライト級タイトルマッチと同じ大会で、次期挑戦者を占う大事な試合が組まれた。
佐々木は34歳。22年9月のK-1スーパー・ライト級タイトルマッチで王者・大和哲也に挑戦し判定負けして以降、23年3月にRISEの白鳥大珠に判定負け、。6月にパコーンに延長判定負けと3連敗していたが、昨年は4月に寺島輝にKO勝ち、9月に齋藤紘也に判定勝ち、12月に塚本拓真に判定勝ちし、下の世代相手に3連勝している。
稲垣兄弟の弟・柊は25歳。23年4月のKrushスーパー・ライト級王座決定トーナメントで寺島輝、塚本拓真をKOし同王座を獲得。11月に小嶋瑠久に判定勝ちし初防衛。昨年4月には元K-1ライト級王者に判定勝ちし11連勝とする。昨年9月の第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメントでは一回戦でレニー・ブラジをKOし、準決勝ではトーマス・アギーレに判定勝ちしたが、決勝ではヨードクンポン・ウィラサクレックに判定負けした。
K-1王者ヨードクンポン、鈴木勇人とのタイトル防衛へ万全準備「ONE王者タワンチャイとスパーリングをしてきた」
―― 今回、鈴木選手とタイトルマッチが組まれました。意気込みを聞かせてください。
「もう一度、K-1に参戦できることを嬉しく思います。前回、鈴木選手はケガで自分が思うような試合ができなかったはずなので、今回、互いに万全のコンディションで戦えることを楽しみにしています」
―― 前回のK-1スーパー・ライト級王座決定トーナメントで優勝した時は、どんな心境でしたか?
「ほとんどのタイ人選手がK-1チャンピオンになることを目指していると思いますので、とても嬉しかったです」
―― 優勝できた理由は?
「いろいろな要素がありました。ひとつは、トーナメントへ向けていい練習ができたこと。あとは、自分にとっていいタイミングがたくさんあって、それをものにできたこと。そして、チャンピオンになりたいという強い気持ちがあったからです」
―― トーナメント前は引退の噂がありました。
「はい。引退を考えていたことは事実です。そんな時に、たまたまウィラサクレック会長からK-1に出てみないかと話がありました。自分自身、精神的に疲れていたので引退を考えていましたが、そういう話があってもう一回だけ挑戦してK-1でダメだったら辞めようとしていました」
―― ヨードクンポン選手にとって、K-1はどんな舞台なのでしょうか?
「K-1は夢の舞台です。ブアカーオ選手がチャンピオンになった姿を10歳の頃に見ていますし、そこで自分もチャンピオンになりたいと思っていました。それを成し遂げられて夢が叶いました」
―― 辛い練習を耐えられる理由は?
「前回に関しては、K-1へ挑戦するチャンスをくれたウィラサクレック会長への感謝の気持ちがあって、絶対に勝たなければいけないと思っていました。あとは、家族も大きな支えになっています」
―― ご家族からは、どんな祝福を受けましたか。
「両親ときょうだいがいますが、K-1に出る前はきちんと練習するように両親に言われていましたが、チャンピオンになったことを驚き、そして喜んでいました。父親もムエタイをやっていましたので、支えてもらっています」
―― ムエタイを始めたのは、父親の存在が大きいのでしょうか?
「はい。父がムエタイ選手だったので、子どもの頃から競技を始めやすい環境にいました。6歳からムエタイを始めましたが、一番は両親を助けたいという思いからです。両親が高齢になってきていましたので、経済的に援助したいと思ってムエタイをやっています」
―― K-1ルール適応についての準備は万全ですか?
「今はK-1ルールの練習をしていますので、前回よりも今回の方が、かなり適応できていると思います」
―― 9月のトーナメントでは2KOと、かなり強さを証明しましたが、今回はそれ以上だと。
「今回もいい練習を続けてきていますので、K-1ファンのみなさん期待してください」
―― ちなみに前回の決勝で戦った稲垣柊選手は、どんな印象を持ちましたか?
「これまでのキャリアの中で、決勝戦で日本人と対戦したことは初めてでした。これまで戦ってきた選手とは違いを感じました。スピード、蹴りも巧みに使ってくる選手で、それを課題として今回の試合に活かします」
―― では、対戦相手の鈴木選手の印象を聞かせてください。
「とても強い選手だと思いますが、彼を研究していますので問題ないです」
―― 鈴木選手は闘志を前面に出して戦うタイプですが、負けない自信は?
「自分も攻撃的なスタイルなので、それを前面に出して戦っていきます」
―― 鈴木選手は「自分ような選手と戦ったことがないのでは?」と話していました。
「何とも思わないです。彼が、どんなスタイルで戦ってきてもまったく問題ないです」
―― ONE王者のタワンチャイ選手と練習したようですね。
「はい。ONE王者タワンチャイとスパーリングをしてきました。今回の相手はサウスポーなので、鈴木戦の対策としてスパーリングをしました。タワンチャイ選手は世界トップレベルなので、すでに準備は万端です」
―― あらためてヨードクンポン選手のストロングポイントは?
「スピードのあるパンチです。通常ムエタイのパンチはワンツーが多いんですけど、僕は4つ以上のコンビネーションで打つことができます。パンチで相手をKOしているのは、そこが大きな要因かと思っています」
―― 鈴木選手は蹴りも得意にしていますが、対策は?
「私たちムエタイ選手にとって、彼の蹴りが脅威になるものはありません」
―― これから、どんなK-1チャンピオンになりたいですか?
「今回の防衛戦を勝利して、できる限り、長い間タイトルを保持したいです。持っている実力をすべて出して、ムエタイの強さを知ってもらいたいと思っています」
鈴木勇人、王者ヨードクンポン撃破で王座奪取へ「ポテンシャルを出せれば勝てる」
―― ヨードクンポン戦のオファーがあった時は、どう思いましたか?
「きたー!って思いました」
―― なぜ、自分が選ばれたのかとは思わなかったわけですね。
「あればいいな、とは思っていました。トーナメント一回戦敗退ですけど、血だらけになってよく分からない終わり方だったので、すぐに宮田プロデューサーと話して『不甲斐ないような内容ではないから』という言葉をもらって。次を期待して待っていたら、最高のチャンスをいただきました」
―― たしかにイオヌット・ポパ戦の負傷での敗北で続きが見たかったのは事実ですが、いきなりタイトルマッチになったのは驚きました。
「自分としては、願ってもないことです。シンプルにラッキーと思っていました」
―― ただヨードクンポン選手は、2連続KOで勝ち上がり、決勝では稲垣柊選手に蹴り勝ち、穴が見えない選手かなと思います。
「まともにやったら勝てないですね」
―― 激闘ですか?
「激闘しかないじゃないですか! でも、ヨードクンポン選手はうまく逃げる戦いもしてくるので、そこが問題ですよね。自分がパコーン選手と戦った時は、1、2ラウンドにのらりくらりと向こうのペースやられて、思い描いた試合ができませんでした。そうなったら相手の思う展開になるので、そこは自分も譲らずにペースを作りたいですね。倒すイメージもできています」
―― 怒らせれば、激闘に持ち込むことができそうですね。
「見ていたらファイター気質のところもあるので、自然と打ち合いの展開になるかなと。その隙を突いて打ち抜こうかなと思います」
―― 完全に勝ち筋が見えている感じですね。
「負けるパターンも見えています。ポイントアウトや距離を取られてやられたり、その展開も頭に入れています。いかに自分のペースでできるかを突き詰めてやっています。さすがにパンチが急所に当たれば、倒れると思います」
―― 今回のタイトルマッチは、どんな意気込みがありますか?
「もう集大成ですね。35歳になるんで。年齢は言うほど気にしていませんけど、いつまでもこの地位でズルズルと続けていくつもりはないので。やるならば、1番になりたい。あと一歩だったね、と言われる選手になりたくない。勝って一番になって、それからのプランのことを考えていきたい。一番にならないと、繰り返しになってしまう」
―― 鈴木選手が考える一流とは?
「チャンピオンベルトを持っている人が一流とは思っていなくて、どんな状況でも勝つ人ですね。無理だと思われても、勝つ。圧倒的に存在感を出すこと。勝ったり負けたりを繰り返していると、そういう突き抜けた存在になれないです」
―― 強さの定義を大きく2つに分けると、負けない戦いをする選手、倒す戦いをする選手になると思いますが、鈴木選手はどちらですか?
「自分は誰が見ても負けることが想像できないことが本当に強い選手だと思っていて、その人が持っている存在感、そこが大事ですね。生物的な強さというか」
―― 自分は、どのレベルまで来ていますか?
「ヨードクンポン選手を倒してからですね。そこからがスタートだと思っています。こう言いながらも、肩書とか立ち位置も大事だなと。チャンピオンかチャンピオンではないかも大事なので、そこも拘りとしてあります。タイトルマッチは互いに一歩も引かない戦いになるので、ここを勝ち切れる選手になりたい。まずはチャンピオンにならないと、そのステージに行けないので、自分はスタートラインに立つことが目標ですね」
―― 前回の出血でのTKO負けは、かなり悔しい試合になったのでは。
「想定外のことでした。いろいろなパターンを考えたんですけど、この展開は頭になかったです。出血して試合を止めるなとよと焦っていたこともありましたが、後から見たらこれは止められても仕方がないなと思いました」
―― アクシデントなので、その先が見たかったですけどね。
「でも練習を含めて、すべてに負けたなと思いました。なんで、あのタイミングでハイキックをもらったのかなとか、あれがなければ出血もなかったことなので。リング上では、一瞬一瞬の技や気持ちの駆け引きがあるんですけど、あそこは受けに入っていてもらってしまいました。そう考えると、メンタルで負けましたね。周りは、たまたまとか言ってくれますけど、掘り下げて考えると、メンタル面ですでに負けていたと思いました」
―― では、前回の敗戦は受け入れていると。
「完敗ですね。試合が終わった時にトレーナーとも話をしましたが、トーナメントも初めてですし相手もよく分からない状態だったので、ぶっつけ本番的に臨んでしまいました。気持ちの入り方も含めて、自分の準備不足です。あの負けは必然だったなと、受け入れています」
―― それを踏まえて、ヨードクンポン戦は万全を期して臨むわけですね。
「はい。そのために、いろいろなことを想定していますし、どうすれば自分が負けない試合ができるのかを考えています。次は“バチっ”と、はまると思います。“おおー”となるはずです」
―― ヨードクンポン選手は巨大な敵ではないわけですか。
「まったく及ばない相手ではないです。手も足も出ないとは思っていません。周りからは、『あれは勝てないよ。強いぞ』と言われるんですけど、自分のポテンシャルを出せれば勝てると思っています。やり方によっては崩せるイメージがあります」
―― 過去には引退の言葉も飛び出したこともありましたが、今は自信に満ち溢れているわけですね。
「前回のトーナメントで負けたら引退しようと思っていましたが、あの結末になって感情がぐちゃぐちゃになって。まだ、やり切っていないなと。でも、やることになったので今回の試合に集中しています」
―― 言える範囲で、強化すべき点はどこですか。
「バリエーションを増やすこと。あとは自分のストロングポイントを伸ばすことですね。技術は劣っているとは思っていないので、気持ちを作るのは最低限のこととして、自分のペースに持ち込みたいです」
―― 自信満々ですね。鈴木選手が勝つイメージが伝わってきました。
「勝てると思うんですけどね(笑)。これで負けたら、そういうことなのかなと」
―― 鈴木選手の先ほどの一流選手の話ではないですが、K-1トップ戦線で戦い、タイトルに絡む時点で、すでに一流です。
「そうですかね」
―― ただ、ボクシングの井上尚弥選手ほどの無敗の強さを見せている選手は、一握りの“S級”になるのかもしれません。
「S級になりたいですね! とんでもない枠かもしれませんけど、自分を信じているので。ここから全勝で強さを見ていけば、少しでもそこに近づくと思っています。真剣に競技を始めてちょうど10年目なので、早く次のステップに行きたいです。ファンの印象に残る試合をしていきます!」
佐々木大蔵、16年のキャリアかけた稲垣柊戦への思い「ここを崩さないと先に進めない」
―― 昨年9月の第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメントでは、リザーブファイトで齋藤紘也選手を破りましたが本戦出場はありませんでした。
「正直、なんで自分がリザーブなんだという気持ちはありました。でも、齋藤選手はRISEとの対抗戦で激闘を制したこともありましたし、試合に集中するようにしていました。後は、なるようになるという精神でしたね。これも試練の一つなのかなと、結果で見返してやろうという感じでした」
―― モチベーションの保ち方が難しい試合だと思いました。
「格闘技をやっていること自体がモチベーションなので、試合があるのが当たり前ではなく、常に自分を高めて行こうと思っています」
―― 佐々木選手は、我が道を行く侍という印象があります。あまりSNSとかでアピールはしないですね。
「今の時代は、やった方がいいのかなと迷うことはあります。でも、自分が変なアピールをし始めたら、なんかやっているのではないかと心配されてしまいますよ(苦笑)」
―― 自分は、あえてやらないと。
「あえてというか、いろいろなアピールのやり方があるので否定はしませんけど、自分は格闘技をすることが生きがいであり、人生そのもの。そこはブレないし、格闘技に対する向き合い方の熱量は誰にも負けていないと思っています」
―― その熱量を、みんなが試合前に知りたいのだと思います。
「分かりました。そこは、少しずつ伝えていきます」
―― ちなみに、K-1-65kgトーナメントのリザーバーに甘んじた悔しさを教えてください。
「そこを突っ込んでくるんですね(笑)。そうですね、自分はKrushの綱引きマッチに出ましたが、あれはK-1-65kgトーナメントの査定試合だと思っていました。その試合では、なかなかKOしない自分が寺島輝選手を倒してアピールできたと。そうしたら、リザーブマッチに組まれていました。でも、悔しさを出させようとしているのかなとか、それには乗らないとか葛藤があって(笑)」
―― 気持ちを隠していたんですね。
「出さないようにしていました。出したら負けのような気がして(笑)」
―― 出してもいいと思います。
「それで言ったら、今回のタイトルマッチはおかしくないですか?」
―― ヨードクンポン選手と鈴木勇人選手のタイトルマッチですね。
「最初に聞いた時は、何かの間違い?と思いました」
―― 鈴木選手はトーナメント一回戦敗退。しかも佐々木選手は、過去に2回、鈴木選手に勝っています。
「過去は過去だと飲み込んでいましたが、記者会見で並んだ時は“なんで?”とずっと思っていました。でも稲垣柊選手との対戦が決まっていたので、切り替えるようにしていました。感情に振り回されて足をすくわれた経験も過去にあるので、そうならないようにしていました」
―― トーナメント本戦を見て、どんな印象を持ちましたか?
「自分が出ていたら結果は変わったと思うので、そんな気持ちで見ていました。ヨードクンポン選手が優勝した時は、待ってろという感じでしたね」
―― ヨードクンポン選手は、どんな印象ですか?
「強いなというかゲーオ選手やゴンナパー選手とは違うタイプで、勢いがあるなと思いました。でも自分が戦うならば、こうしようとかは思っていました」
―― 今回、対戦する稲垣選手はいかがでしたか?
「トーナメントだったため、決勝までのダメージの差があったように見えました」
―― 稲垣選手とは、今回が初対戦になります。どんなイメージですか?
「格闘技との向き合い方がマジメで、技のスキル、駆け引き、試行錯誤しているのが垣間見えますね」
―― 稲垣選手は、5年前にK-1の職員だった頃、裏方で選手出しをしている時に佐々木選手もいて感慨深いと。その頃に会っていたようですが。
「まったく覚えていないです(笑)。でも稲垣選手とスパーリングした時があって、その時の写真と5年前のスタッフ時代の写真を見て、時代の移り変わりを実感しました」
―― スパーリングはいつですか?
「白鳥大珠戦の前です(23年3月)」
―― どんな経緯で、スパーリングをしたのでしょうか?
「K-1大宮ジムの選手がクレストで練習することがあって、ちょうど稲垣選手は白鳥選手と同じくらいの身長だったのでスパーリングをしました。パンチのみでしたけど、格闘技に対する向き合い方の強さを感じました」
―― 稲垣選手の分析は。
「ある程度はしますけど、そこまで徹底することはないですね。その時の会場の雰囲気とか、相手があってのことなので試合は何があるか分からない。そこまで突き詰めてやることはしないです。相手がどうこうではなく、自分がその瞬間にどれだけ出せるかが鍵なのかなと思っています」
―― 今回の試合の位置づけをどう見ていますか?
「タイトル挑戦権をかけた試合ですね。ここを勝った方が、タイトルに挑戦できるという前哨戦。誰がどう見ても挑戦すべきだという説得力のある試合をしたいです」
―― ミスター・パーフェクトを崩せそうですか?
「ここを崩さないと先に進めないですね」
―― デビューして16年、稲垣選手より優っているところは?
「やはり経験値ですね。こうした考え方、スタイル、生き方ができるのは、これまでの経験値があるからです。練習への向き合い方、減量、会場に入る時、試合中、すべてにおいてブレない強さがあります。元々ビビりなので(笑)」
―― ビビりなんですか?それを乗り越えられたキッカケは。
「いろいろ経験をしていますからね。練習中のスパーリングで喉仏がズレてしまったこともありました」
―― 喉仏がズレる?
「はい。パンチを喉にもらって、痛いな声が出にくいなと思って次の日の練習中に鏡を見たら、喉仏が横にズレて出っ張っているのが分かって。検査したら喉の骨が折れていました。奇遇にも、鈴木勇人戦の前だったんですけど(19年11月)、手術で治して勝ちました」
―― そんな経験をしながら、今もなお格闘技をやっている原動力は何ですか?
「家族もそうですし、格闘技で人生が変わりました。元々、中学生の時にイジメにあって、真っ暗な世界に格闘技と出会って光りが差し込んできました。あの時のことを忘れられません。格闘技を嫌いになることはありませんし、辞めようと思ったこともありません。そのくらいの覚悟で臨んだ試合もありましたけど、どんなに厳しいトレーニングがあっても楽しいですね。まだ成長していることを感じていますし、自分は町田でジムを開いていますので指導していることで勉強になっています」
―― 気になっていたのですが、喉が潰れて声を出しにくいように聞こえますが、喉仏がズレてしまった影響ですか?
「いえ、指導で大きい声を出し過ぎて、天龍源一郎さんみたいになっています(笑)」
―― では、最後に意気込みをお願いします。
「K-1のベルトは、あと一歩で逃してしまった過去がありますので、今回の稲垣戦で勝利してタイトルマッチへつなぎ、今度こそベルトを手に入れたいです」
“ミスター・パーフェクト”稲垣柊、佐々木大蔵戦へ覚悟「1試合で5試合分の経験値を得られそう」
―― 昨年9月の第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメントを振り返っていただきたいのですが、まず一回戦のレニー・ブラジとの試合はどうでしたか?
「今までの中で一番、スリルがありました。これまで戦った中で一番強かったこともありましたし、楽しかったです」
―― 相手が強かったことが楽しかったと。
「はい。トーナメントの中で一番強いと思っていましたので、かなり研究して臨みました。ひたすら反復練習しました」
―― 思い通りに戦えたわけですか。
「僕は相手を強くイメージして戦うので、それ以上のことはなかったです。ブラジ選手を倒した飛びヒザ蹴りも、練習していた技のひとつでした」
―― ディフェンスも含めて、的確に攻撃を与えている印象でした。
「すべて思い描いていた通りの試合内容になりました。そこまで作り込んでいたので」
―― 準決勝のアギーレ戦も同様ですか?
「じつは準決勝、決勝とすべて逆の選手が勝つと思っていました。予想と逆になったので、急遽その場で作戦を練ることになったんです」
―― アギーレ選手は、中国のメン・ガオフォン選手に勝ちました。
「ええ、ガオフォン選手の対策をひたすらやってきましたので、負けた時は驚きましたね。でも、まったくアギーレ選手を見てなかったわけではないので大丈夫でした」
―― 実際にアギーレ選手と戦っていかがでしたか?
「見ている人では分からない、対戦した人しか分からないような強さがありました。前回対戦した大岩龍矢選手は、そうとうアギーレ選手が強かったと言うと思います」
―― 何が強かったのでしょうか。
「まずタフでした。ヒザ蹴りを顔面に当てても倒れなかったですし。外国人は気持ちが折れる選手が多いんですけど、アギーレ選手は攻撃が入って声がもれていたにも関わらず前へ出てきて。この選手は、対戦してみないと強さが分からないタイプだなと思いました」
―― 外国人のトップ選手は、攻撃を効かされても巻き返すことが多いです。そうした傾向は、どう分析していますか?
「もともとの身体の強さもあるでしょうけど、この試合に負けたら生きていけないという環境で戦ってきたのかなと思います。背負っているものの大きさというか。育ってきた環境も大きく左右するのかなと。僕も決して裕福な家庭で育ってきたわけではないので、そういう意味では負けたくないという気持ちは人一倍強いと思います」
―― ご自身の強さは、そこにあると。
「自分はまだそこまで追い込まれたことがないんですけど、絶対に自分から折れない自信があります。ただ、そこまで追い込まれないよう完璧に準備をして臨んでいます」
―― さすがは、ミスター・パーフェクトです。決勝のヨードクンポン戦は、いかがでしたか?
「正直、決勝へ上がってくるとは思わなかったんですけど、初めてタイの選手と対戦してみて、なぜか相手のペースになっているという感じでした。ヨードクンポン選手は、一回戦、準決勝とKO勝ちで上がってきましたが、たまたまパンチが当たっただけかなと。強いのはもちろんですけど、怖さはなかったです」
―― 何がうまかったですか?
「アギーレ選手と同じ感じで効いた攻撃もあったと思うんですけど、逆にラッシュをかけてきて印象を悪く見せないとか。終盤に攻撃をまとめてきて、ポイントを奪うところはキャリアに裏付けされたうまさを感じました。攻撃力もヨードクンポン選手にパワーを感じ、これをもらったらヤバイなと試合中に初めて思いました」
―― 今大会では、ヨードクンポン選手と鈴木勇人選手のタイトルマッチが組まれました。
「正直、悔しい気持ちがあります。何で?と言うのもありますけど、今回の相手は佐々木大蔵選手なので、次の挑戦者は自分が相応しいということを証明したいと思っています」
―― 稲垣選手はK-1のスタッフとして働いていた時代に、佐々木選手がすでにトップ戦線で戦っていたと話していました。どんな存在なのでしょうか。
「当時は、芸能人を見るかのように思っていた選手の一人ですね。まさか5年経って、同じ舞台で戦うとは思ってもいなかったです。それと同時に、俺はこんなところで終わる存在じゃないぞという意識でいます」
―― ファイターの印象は。
「変わらずにテクニシャンで、うまいという感じです。ヨードクンポン選手にも似ているんですけど、ベテラン選手なので後半に自分のペースに引き寄せるのがうまいですね。それをやられたら判定で持っていかれる可能性もあるので、自分を貫くことをテーマにしています。もちろん、相手の研究はしっかりやっていきます」
―― 言える範囲で、穴とかは見えているのでしょうか?
「良くも悪くも、堅実的な試合をする選手。勝つ時は完璧な試合運びをしますが、負ける時はもう少し頑張れば勝てたのにという場面も見てきました。僕の中では何パターンか展開を想定していますので、自分のペースで戦えば勝てると思っています」
―― 怖さは?
「大蔵選手もアギーレ選手と同じで、実際にやってみないと分からない強さがあると思っています。そこですかね、怖さは。今回の大蔵選手との試合で、1試合で5試合分の経験値を得られるくらいの試合になると思っています。そのくらい大蔵選手は強いです」
―― 佐々木選手は、前回のトーナメントでリザーバーに甘んじた悔しさがあったと思いますので、かなり強い気持ちでこの試合に臨んでくるはずです。
「たしかに、ここを勝てばタイトルが近づく可能性が高くなりますので、それは僕も同じです。これまでは自分一人で戦ってきた感じだったんですけど、家族がいますし、大宮ジムを引っ張っていく立場にいます。後輩のために背中を見せるではないですけど、背負うものは自分も大きいです」
―― 練習が辛い時は、どうやって乗り越えているのでしょうか?
「苦しいとかは思わないです。単純にキックボクシングが大好きだからやっているので。試合当日も、今日もキックができる喜びがあるんですよ、不思議なんですけど。大好きなキックで生活ができているのが、本当に幸せだなと思っています」
―― 怖さはない?
「試合へ向けての準備が完璧にできるのが1週間前なんですけど、それまではめちゃくちゃ怖いです。その怖さを克服するために、そこへ向かって準備している研ぎ澄まされた瞬間が楽しいです」
―― 稲垣選手は、ミスター・パーフェクトのイメージですが、まだ足りないですか?
「打たれずに打つという自分のスタイルができつつありますけど、世界チャンピオンになっても強くなりたいという欲は達成されないと思います。本当に誰もが認める世界最強にならない限りは、満たされない気がします」
対戦カード
第20試合 K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
金子晃大[あきひろ](K-1ジム自由ヶ丘/FROG GYM/王者、K-1 WORLD MAX 2024 -55kgトーナメント優勝、元Krushバンタム級(53kg)王者)※3度目の防衛戦
マノリス・カリスティス[Manolis Kallistis](ギリシャ/NASキャンプ/ソーデッチャパン/挑戦者、WKNフェザー級王者、MAX PAIN -58kg王者、H1 -58kg王者)
第19試合 K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
ヨードクンポン・ウィラサクレック[Yodkhunpon Weerasakreck](タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/王者、トップキング&MXムエエクストリーム-70kg級王者)※初防衛戦
鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス/挑戦者、元Krushスーパー・ライト級王者)
第18試合 K-1 WORLD GPフェザー級(57.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
寺田 匠(team VASILEUS/王者、ISKAオリエンタルルール世界スーパーフェザー級(59kg)王者)※初防衛戦
新美貴士[たかひと](名古屋JKファクトリー/挑戦者、元Krush同級王者)
第17試合 77kg契約 3分3R(延長1R)
松倉信太郎(team VASILEUS/K-1ミドル級(75kg)王者、WPMF世界スーパーミドル級王者、元KNOCK OUT-BLACK同級王者、Krush YOUTH GP 2012 -70kg優勝、K-1甲子園2009 -70kg優勝)
パク・チュンイル[Park Chung il](韓国/フリー/KBAライトヘビー級(80kg)王者)
第16試合 クルーザー級(90kg) 3分3R(延長1R)
ティアン・ターザン[Thian “Tarzan” De Vries」(オランダ/Luc Verheije Fight Club/Enfusionライトヘビー級(93kg)&クルーザー級(88kg)王者)
カルロス・ブディオ[Carlos Budiao](ブラジル/ブラジリアンタイ/FIGHT DRAGON -90kg王者、KTK WORLDヘビー級王者)
第15試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
ダリル・フェルドンク[Darryl Verdonk](オランダ/ファイトチーム・リンガー/元Enfusionライト級(70kg王者)
ジョムトーン・ストライカージム[Jomthong Strikergym](タイ/ストライカージム/元ラジャダムナン4階級王者、元WBCムエタイ世界3階級王者、クンルンファイト70kgトーナメント2016準優勝、元ボクシング東洋太平洋スーパーフェザー級王者)
第14試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
モハメド・ブタザ[Mohammed Boutasaa](モロッコ/サウスポージム/元Enfusionスーパーフェザー級(67kg)王者)
璃久[りく](HIGHSPEED GYM)
第13試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
デング・シウバ[シルバ][Dengue Silva](ブラジル/スクアドン・タイ・ブラジル/K-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント3位、SFT COMBAT -70kg級王者)
小田尋久[じんく](TEAM3K/Krushスーパー・ウェルター級王者)
第12試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
アビラル・ヒマラヤン・チーター(ネパール/志村道場/ISKA K-1ルール・インターコンチネンタル・スーパーウェルター級(70kg)王者、HEAT KICKミドル級(70kg)王者)
白須康仁(PROTAGONIST/元WMAF世界スーパーウェルター級王者、元MA日本ウェルター級王者)
第11試合 58kg契約 3分3R(延長1R)
大久保琉唯[るい](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/元Krushフライ級王者、K-1甲子園2021 -55kg優勝)
竹見浩史郎(JAPAN TOP TEAM)
~休憩~
第10試合 K-1 WORLD GP女子アトム級(45kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
準決勝(1)勝者
準決勝(2)勝者
第9試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushスーパー・ライト級王者&ライト級王者)
稲垣 柊[しゅう](K-1ジム大宮チームレオン/Krushスーパー・ライト級王者)
第8試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
ヴィクトル・アキモフ[Viktor Akimov](ロシア/ブラジリアンタイ/元RKSウェルター級王者)
近藤拳成(TEAM3K/AJKNスーパーライト級王者、K-1甲子園2016 -65kg優勝)
第7試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
里見柚己[ゆずき](team NOVA/元Krushライト級王者)
トーマス・アギーレ[Tomas Aguirre](アルゼンチン/ドージョー・セルピエンテ/WGPスーパーライト級(64.5kg)王者)
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
兼田将暉(RKS顕修塾/RKS&ACCELフェザー級王者、元RKSスーパーフェザー級王者、元HEATライト級王者、K-1甲子園2017 -60kg優勝)
玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/元Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
石田龍大[りょうた](POWER OF DREAM/Krushフェザー級王者、K-1甲子園2019 -60kg優勝)
永坂吏羅[りら](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
第4試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
池内紀子(POWER OF DREAM/Krush女子フライ級王者)
ベセラ・ロガスカ[Vesela Rogaska(ギリシャ/ダイアモンドキャンプ/ギリシャ・ムエタイ選手権2023優勝)
第3試合 K-1 WORLD GP女子アトム級(45kg)王座決定トーナメント準決勝(2) 3分3R(延長1R)
松谷 綺[きら](ALONZA ABLAZE/Krush女子アトム級王者)
マフィア・ペットモンコンディー[Mafie Petchmongkoldee](タイ/Petchnongki Gym)
第2試合 K-1 WORLD GP女子アトム級(45kg)王座決定トーナメント準決勝(1) 3分3R(延長1R)
ルシール[Lucille Deadman](オーストラリア/テイラーメイド・ムエタイ/WBCムエタイ世界女子ミニマム級(45.35kg)王者、WBCムエタイ豪州女子ミニフライ級(47.62kg)王者、MTL女子ミニマム級(45kg)王者)※ルシール・デッドマンから日本語表記変更
末松 晄[あき](K.I.K team BLADE)
第1試合 K-1 WORLD GP女子アトム級(45kg)王座決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R(延長1R)
チョン・ユジョン[Jung Yujung](韓国/ペバン・カンスンジム/Refresh女子-50kg級王者)
大西日和(K-1ジム福岡チームbeginning)
プレリミナリーファイト5 ライト級(62.5kg) 3分3R
川越亮彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
中野大輝[ひろき](TAD/全日本空手道連盟全日本体重別選手権2023男子個人組手-67kg準優勝)
プレリミナリーファイト4 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
龍生(ALONZA ABLAZE)
遥心[はると](K-1ジム総本部チームペガサス/K-1カレッジ2023 -60kg優勝)
プレリミナリーファイト3 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
内田竜斗(チーム・タイガーホーク/K-1カレッジ2021 -55kg優勝)
大地(ZEBRA GYM/K-1甲子園2024 -60kg優勝)
プレリミナリーファイト2 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R
石川優斗[まさと](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
浜名颯斗[はやと](日本/K-1ジム大宮チームレオン)
プレリミナリーファイト1 51kg契約 3分3R
大久保世璃[せり](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/K-1甲子園2024 -55kg優勝)
龍希(K-1ジム五反田チームキングス)
概要
大会名 K-1 WORLD MAX 2025
日時 2025年2月9日(日) 開場・11:00 プレリミナリーファイト開始・11:30 本戦開始・13:00
会場 国立代々木競技場第二体育館 [HP]
中継 ABEMA(無料)、 GAORA(当日16:00~22:00生放送/2月10日(月)19:00~28:00再放送)
チケット料金 ロイヤル 70,000円 アリーナSRS 50,000円 アリーナRS 30,000円 アリーナS 15,000円 スタンドS 15,000円 スタンドA 10,000円 スタンドB 7,000円 ※当日500円増し ※小学生からチケットが必要
チケット販売 チケットぴあ イープラス ローソンチケット K-1.SHOP グッドルーザー K-1ジム各店舗 出場選手・所属ジム
お問い合わせ グッドルーザー 03-6450-5470 https://www.k-1.co.jp/contact/