KNOCK OUT 2.9 後楽園ホール:髙橋亨汰「松山勇汰の練習に協力しているうちに、また頑張ろうと思った」×折戸アトム「サラリーマン代表として勇気が出るような試合をする」|般若HASHIMOTO「丹羽選手に引導を渡す」×丹羽圭介「最後は勝っても負けても出し切る」
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KNOCK OUT 2025 vol.1(2月9日(日)後楽園ホール)に出場する髙橋亨汰、折戸アトム、般若HASHIMOTO、丹羽圭介のインタビューが主催者から届いた。
RED 63.5kg契約 3分3R(延長1R)
髙橋亨汰(髙橋道場/元WKBA世界62kg級王者、元新日本ライト級王者)
折戸アトム(PHOENIX)
BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺/KROSS×OVER KICKライト級王者)
丹羽圭介(TEAMニワールド/元REBELS-BLACK 63kg級王者)
髙橋亨汰「存在をアピールするためにも、必ずKOで勝ちます!」
2・9「KNOCK OUT 2025 vol.1」の[KNOCK OUT-RED -63.5kg契約/3分3R・延長1R]で折戸アトムと対戦する髙橋亨汰。昨年8月は満を持してのKNOCK OUT参戦だったが、下地奏人に黒星を喫し、一度は練習からも離れていたという。そこから復活に懸ける彼の意気込みとは?
―― KNOCK OUTには昨年8月の下地奏人戦以来となります。あの時はご本人としても待望というか、満を持しての参戦で、それだけに敗戦は痛かったと思うんですが。
髙橋 そうですね、だいぶ凹みましたね。ちょっと挫折というか、気持ちが切れそうになって、長いこと練習行かなくなったりとかもしていました。
―― そうなんですか。それだけショックが大きかったんですね。
髙橋 はい。でも下地選手が強いことは知っていたので、全然ナメていたわけでもないんですけど、やっぱり待ちに待ったKNOCK OUTだったので、そこで落としちゃって、「ああ、俺ってこんなに弱いんだな」という感じで、ちょっと挫折しちゃいました。
―― ただ、そこからまた立ち上がったから今回の試合があるわけで。そのきっかけは?
髙橋 きっかけとしては、昨年12月のKrushで、松山勇汰という選手がスーパーフェザー級のタイトルマッチをしたんですね。僕は彼とは小学校5年生ぐらいから付き合いがあって、空手でずっと一緒だったんですよ。すごくかわいがっていて。
―― ああ、なるほど。
髙橋 その彼から「次のタイトルマッチ、相手がサウスポーなので練習をお願いできませんか」っていう話をいただいて、しばらく練習してなかったけどやるかと思って。そこで協力しているうちに、「せっかく頼ってくれた後輩が頑張っているのに、俺はこのまま終わってちゃ情けないな」っていう気持ちになって、そっからまたちょっと頑張ろうかなと思って今に至る感じです。
―― 松山選手はありがたい存在だったわけですね。
髙橋 そうですね。たぶん、僕なんかよりずっと強いと思うんですけど、やっぱり頼ってもらえるのはうれしいですね。試合には負けてしまって、僕も会場で応援してたんですが、ちょっと泣けましたね。
―― そういった経緯もあって、もう1回やろうというところで、当面の目標というのは?
髙橋 とりあえず前回、けっこういろんな方から期待されてる中で下地選手に負けちゃったので、対戦相手を選べるような立場でもないですし、折戸選手とどうですかっていうオファーをいただいて、もう二つ返事でやらせていただきますということで。今の目標としては、REDルールがオープンフィンガーグローブ(OFG)になったじゃないですか。もちろん僕はOFGは初めてですし、ちょっと怖い面もあるんですよ。殴った方の手が折れちゃうとかも聞くので。それでちょっといろいろビビってるところもあるんですけど(笑)、僕としてはOFGは記念に絶対1戦ぐらいはしておいた方がいいなと思って。あとBLACKルールもちょっと興味が出てきているんですよ。
―― ほう!
髙橋 それはなぜかというと、昨年末、大谷翔司選手がBLACKライト級のチャンピオンになったじゃないですか。僕は大谷選手とREBELS時代に対戦させていただいていて(2019年6月)、その時は引き分けだったんですけど、決着をつけたいなと思っていたんです。それが大谷選手のベルトに挑戦する形で再戦ってなれば、盛り上がるじゃないですか。そうなれば僕としてもうれしいし、そういう意味でBLACKルールにも興味がありますね。
―― それはそれで、実現すれば楽しみですね。
髙橋 と言っても、ヒジありからヒジなしに行くというのはそんな甘くないので、やっぱり戦い方も変わってくるだろうし、そういった面でナメてはないんですけど、いろいろやりたいこともある中で興味が出てきている感じですね。でも今回はとりあえず、敗者に口なしというか、今はまだはこの選手とやりたくないとか、この選手とやりたいとか言える状況ではないので、とりあえずこの試合に勝って、自分がどれだけいけるのかが、ちょっと楽しみではありますね。
―― そんな中で相手の折戸選手に関しては、どういう印象ですか?
髙橋 試合映像は少し見たんですけど、最初に年齢を聞いて、すごいなと思って。42歳ですよね。まだ6戦しかしてないみたいですけど、うまいし、普通にベテランの動きですよね。見ていても、最近始めたような動きじゃないなと思います。これといった強い攻撃とかがあるわけではないですけど、全体的な試合運びがうまい感じはしましたね。ちょっとやりづらそうだなと思います。
―― では、そういう相手にどう戦ってどう勝ちたいですか?
髙橋 今回はもう、絶対KOしなきゃいけないなと。ここで判定で勝っても「大したことないな」と思われちゃうので。折戸選手をナメてるわけじゃないんですけど、やっぱり立場で言ったら圧倒的に僕が上なので、ここはやっぱり、ベルトを2本獲った格の違いというものをちょっと見せなきゃいけない試合なのかなと思ってますね。
―― それこそこれからKNOCK OUTでやっていくためにも、存在感をアピールしないとですよね。
髙橋 はい。ここでアピールしないと、一生影が薄いままで終わっちゃうので(笑)。ここでしっかり勝ち方を見せた上で、次を見据えられればっていう感じですね。
―― 今の練習環境はどんな感じなんですか?
髙橋 もうずっと、毎日ウィラサクレック三ノ輪でお世話になってます。たまに空手の髙橋道場の方でもやってますけど、基本はもうずっと三ノ輪の方でお世話になってます。
―― それこそトレーナーもたくさんいて、すごく整った環境だと思いますが。
髙橋 確かにいい環境ですね。今、ゴンナパー選手とかはタイにいるので、一緒に練習したりとかはできないんですけど、やっぱり刺激になりますね。
―― しかも今回はゴンナパー選手も同じ大会に出ますしね。
髙橋 そうなんですよ。しかも相手の古村匡平選手は僕も過去に対戦経験があるので、その試合はすごく楽しみです。だから僕がKOで勝って、試合をゆっくり見るっていうのが一番いいですね。あと、大谷選手と対戦するリード・ミラー選手もこの間まで日本にいて、ウィラサクレックで練習してたんですよ。僕が過去に戦った選手をウィラサクレックの2人が戦うので、そういった面でも楽しみですね。ミラー選手は2~3回ぐらいスパーリングというか軽く実戦練習して、すごくパンチが固いので、大谷選手とはけっこう噛み合う試合になると思います。僕がまず勝って、この2人につなげたいなと思います。
―― ライト級戦線という意味では、自分も含めて楽しみなところはあるんじゃないですか?
髙橋 そうですね。ライト級はREDでも重森陽太チャンピオンを筆頭に、マルコス・リオス選手だったり古村選手、REITO BRAVELY選手とか、強者しかいないので、そこに食い込めるのかっていうところですよね。そのためにもこの試合は絶対落とせないですし。
―― 久しぶりのリングでもありますが、どういう面を見せたいですか?
髙橋 僕はあんまりコンビネーションで戦うっていう選手ではなくて、一撃必殺じゃないですけど、一発で終わっちゃうようなところをちょっと見てほしいですね。ラッシュしてまとめて勝つのもいいですけど、僕の場合はもう瞬き厳禁というか、本当に一発で倒せる自信があるので、そういうところを楽しみにしてほしいです。
―― 今回の試合で一番注目してほしいポイントというと、やはりそこになりますか?
髙橋 そこもですし、やっぱり他の選手と違う蹴り技だったりも見てほしいですね。下地戦の時はあまり蹴れなかったんですけど、その分も蹴っていきたいと思うので。
―― 分かりました。ありがとうございました!
折戸アトム「サラリーマン代表として、勇気が出るような試合をします!」
2・9「KNOCK OUT 2025 vol.1」の[KNOCK OUT-RED -63.5kg契約/3分3R・延長1R]で髙橋亨汰と対戦する折戸アトム。39歳でデビューし、現在42歳の折戸は、サラリーマンとして働きながらプロのリングでも好成績を上げている。今回は髙橋戦という大チャンスに、どう意気込んでいるのか?
―― KNOCK OUT参戦は2023年11月のプレリミナリーで勝利して以来となります。今回は本戦で髙橋亨汰選手との試合ですが、オファーを聞いた時はどう思いましたか?
折戸 正直なところ、すごくビックリしました。髙橋選手は有名な選手で、新日本キックのチャンピオンと世界王者にもなっていますので、逆に私でいいのかなっていうのが、率直な感想でした。
―― オファーはすぐに受けたんですか?
折戸 はい、「私でよければぜひ」と、お願いしました。ああいった強い選手と、私みたいな普通の会社員のおじさんが戦える機会っていうのはもうないと思うので(笑)。
―― 逆に髙橋選手は折戸選手の印象を、その年齢ですごくうまいと。デビューが遅かったはずなのに、試合運びがうまいと評価していたんですよ。
折戸 それは光栄ですね。私は2021年6月に、39歳でデビューしてました。だからその評価はちゃんと見ていただいてるということでありがたいです。
―― 39歳は確かに遅いデビューですが、そもそもキックを始めた時期とその理由というのは?
折戸 キックを始めたのは1998年、高校2年生の頃ですね。当時、K-1のヘビー級が流行っていて、アンディ・フグとかジェロム・レ・バンナとかの選手をテレビで見て憧れて、「こういう風になりたいな」と思って始めたんですけど、それまで運動経験がなかったものですから、もう全然練習がつらくて続かなくてですね。すぐにジムから足が遠のいて、半年ぐらいですぐ辞めてしまって。
―― ブームの頃はそういう人も多かったんでしょうね。
折戸 その後、大学に入ったらキックボクシング部があったので、そこでキックボクシングをもう1回始めて、新人戦で1試合やったんですが、つらすぎてまたすぐにやめちゃって。その後、社会人になって30歳である程度仕事が落ち着いてきたので今のPHOENIX GYMに入ったんですが……私、国内のメーカーで海外関係の仕事をしてまして、36歳までインドに赴任になってしまったんです。帰国して、高校生の時の夢だったキックボクサーになろうと本格的に頑張ったんです。
―― かねてから念願の。
折戸 インドに赴任する前から思ってはいたんですけど、赴任が重なってしまって、なかなか夢が叶えられなかったんですね。そこからアマチュアの試合を経て、3年でプロデビューという流れですね。
―― 最初に憧れてから断続的でブランクが長いんですね。
折戸 そうですね。一番最初に始めた瞬間から今日までは、もう27年経ってるんですかね。髙橋亨汰選手の年齢と一緒ですね(笑)。
―― 確かに!(笑) しかし、よくその間ずっと意欲を持ち続けられましたね。
折戸 意欲を持ち続けられたのは、その間にキックボクシングで活躍している選手たちの姿がカッコよくて。高校生の頃はK-1、その後は全日本キックの大月晴明さんとか小林聡さんとか、新日本キックの深津飛成さん、武田幸三さん。社会人になってからは2016年のKNOCK OUTで、ジムの先輩の梅野源治さん、それから那須川天心選手も出てましたし。あと勝次選手とか、前口太尊選手も出てましたし。そういう選手たちが、自分のどのライフステージでもいつも輝いて見えたので、それがすごく励みになって続けてこれました。
―― その後、ずっと憧れていたリングにプロとして足を踏み入れてからはどうでしたか?
折戸 一戦一戦、必死に仕事をこなしながらやっているので、毎回ちょっと非現実的というか。モチベーションも練習も大変ですし、試合に至るまでの過程っていうのは苦しいんですけど、何というか達観してるような、自分じゃないような感じがしていますね。ここまで7戦して6勝で自分ではもうあの出来過ぎぐらいの戦績を上げているので、本当にちょっと現実味がないというか。
―― 6勝(1KO)1敗と勝ってこれている理由は、自分では何だと思っていますか?
折戸 単純に運がよかったのかなと。あとはPHOENIXにウアン先生という先生がいるんですけど、この先生の言うことをとにかく聞いてやってたら結果が出てきたっていう感じですね。
―― これだけ勝ってくると、何かと欲が出てくるのではと思うんですが。
折戸 いや、私は本当にただの会社員のおじさんなので、欲というとアレですけど、ただ今回の試合に関しましては、髙橋亨汰選手というすごい選手とやらせていただくので、ここはいいパフォーマンスをして、最低限勝たないといけないなと思っています。
―― その髙橋選手ですが、どういう印象ですか?
折戸 若くて速くて強くて、スタミナもあって勝つテクニックもある。正直言って、たぶん勝てることって一つもないんじゃないかなと思ってますね。
―― でも勝たなきゃいけないわけで。
折戸 はい。髙橋選手は私に負けるところが一つもないから、たぶん普段通りの練習をしてくると思うんです。私は勝てるところがないので、そこはいろいろ作戦を練らないといけないと。この状態があるので、私は勝てると思ってます。
―― それだけ綿密な作戦を立てて臨んでいる?
折戸 綿密な作戦というとアレですけど、常に髙橋選手のことを意識して練習してますね。
―― それだけモチベーションも高いと。
折戸 そうですね。本当に髙橋選手の一戦という貴重な時間をいただくので、本当にモチベーションは高いですね。
―― 最終的にはどう勝ちたいと思っていますか?
折戸 「KOで!とか言った方がいいと思うんですけど、私は最低限、どんな形でもいいので勝ちたいです。ただ会社の同僚、部下や上司もみんな応援に来てくれるので、みんなを楽しませたいとは思ってますが。
―― そこはプレッシャーにはならないですか?
折戸 あんまりそういうプレッシャーとかは感じない方ですね。試合はもちろん若干感じるんですけど、始まってしまうと、周りのことはあんまり気にしないですし、緊張もほとんどしないですね。会社で大きなプレゼンをする時の方がだいぶ緊張するので、それに比べると、全然大丈夫です。
―― その先、KNOCK OUTでだったり、何か考えていますか?
折戸 具体的に、ベルトだとかそういう話ももちろん興味なくはないんですが、どちらかというと、私みたいな社会人が戦うことで、私と同世代だったり、もっと上の世代だったり、中高年の皆さんの励みになればなと思ってます。会社員の皆さんは、とんでもない長い時間を苦労して、仕事に捧げているので、そんなサラリーマンでもいいですし、何をやってもある程度うまくいくというところを、皆さんに見せられればと思っています。
―― もちろん折戸選手自身も、仕事との両立をされているわけですが、何か特に気をつけていたり、工夫しているところというのは?
折戸 やっぱり、どちらもないがしろにしない姿勢を見せることですね。仕事の時には「キックに行かないといけないから」っていう空気を出さないようにしてますし、一方でキックでは、仕事を言い訳にしないようにと。もちろん仕事の影響で練習に行けないこともありますし、試合前でも仕事が立て込む時もあるんですが、行ってしまったらもうそこに集中して、ジムに来たら一切仕事を忘れて100%打ち込むというところは心がけています。
―― あとリングネームなんですが、PHOENIXではオーナーの方がリングネームをつけられるというお話を伺っています。「アトム」もそれなんですか?
折戸 そうですね。私の時には、「名字か名前かどっちを残したい?」と言われて、私は名字がいいと言ったんですが、オーナーは名前を残したかったらしくて。その時の候補も聞いたんですけど、ちょっとそれは勘弁してほしかったので、折戸の方を残したら、「お前は顔が人造人間みたいだからアトムで」って言われまして。
―― そういうことだったんですか!(笑)
折戸 でも「折戸アトム」って、若干、本名っぽいじゃないですか。時々「本名なの?」って聞かれるのはちょっと恥ずかしいんですが(笑)。今は慣れて、気に入ってますけどね。
―― では最後に、今回の試合で、特にここに注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
折戸 多くのお客さんと全く同じ会社員で、同じように好きなことをやって頑張ってる姿というのを見てほしいですね。皆さんの勇気が出るような試合をしたいと思いますし、サラリーマンの皆さんを勝手に代表してお見せしようと思いますので、そこに注目いただきたいです。
―― 分かりました。ありがとうございました!
般若HASHIMOTO「バチッと倒して、丹羽選手にしっかり引導を渡します!」
2・9「KNOCK OUT 2025 vol.1」の[KNOCK OUT-BLACK -63.0kg契約/3分3R・延長1R]で丹羽圭介と対戦する般若HASHIMOTO。昨年末には他団体のリングで王座も獲得し、波に乗っている般若が、8ヵ月ぶりに『KNOCK OUT』に参戦。パンチへの自信も増しているという彼がこの試合に思うこととは?
―― 12月に他団体のチャンピオンになったそうで、おめでとうございます!
般若 ありがとうございます! 12月ですよね。東京に来て、ベルトを獲るっていうのが自分の一番最低限の目標だったので、ホッとしました。自分は今、32歳なんですけど、30歳で引退がどうのこうのって、よくいうじゃないすか。だから自分もラストチャンスだなと思ってたんですよ。たぶん、「もうこれで最後にしよう」と思いながらずっとやってきて、8年ぐらい経つんですけど、あれで負けてたら、もうやめるにやめられないっすね。そういう感じだったんで、いったん、自分の中での最低ラインをクリアしたっていうのはあって、清々しい気分っす。あとはもう、行けるとこまで行ってやろうという気持ちになりましたね。
―― チャンピオンになって、気持ちの面でも変化がありますか?
般若 だいぶ違いますね。自分、3連敗から2連続KO勝ちでベルトを獲ったんで。3連敗で、切羽詰まった状況で他団体に参戦したので、その一発目とかで負けてたら、たぶんやめちゃってたと思うんですけど、でもそれもやめられたかは何とも言えないですよね。モヤモヤした気持ちがありながら、たぶんまた復帰したり復帰をやめたりとかの繰り返しで、亡霊みたいな感じになってたと思うんで、ちょっと自分の中でちょっと大きいっすね。
―― そこから2ヵ月弱で次の試合に出場というのは、その気持ちの表れでもある?
般若 そうですね。本当は他団体で3月にという話もしてたんですけど、ちょっと間隔が短かったんで、ちょっと休もうかと思ってたんですよ。まあちょっとゆっくりできるなって少し思ってたら、丹羽圭介選手が引退試合に自分を指名したって聞いて、それは面白いと思って。そもそも3年前(2021年9月)に対戦する予定だったんですけど、丹羽選手が欠場になったので、自分はApollo中山選手とやったんですよね。
―― ああ、そうでした!
般若 今のこのいい流れもあるし、丹羽選手は昔のREBELSチャンピオンなので超えなければいけない壁かなと思ったのもあるし、丹羽選手が41歳で、引退試合に自分を選んでくれるっていうのは、それはそれでありがたいことなんで。しっかりと引導を渡してやろうかなと思って、「もう大丈夫ですよ」って伝えようと思って、受けました。これで丹羽選手が勝つと、「俺、まだやれるじゃん」って思うじゃないですか。だから自分がしっかり勝つことによって、しっかり終わらせてあげようと。丹羽選手も40歳を越えてやってるってことは、やめようにもうやめられないっていうか、そういう格闘技あるあるな感じがあったんじゃないかと思うんすけど、最後の試合で自分がバッチリ勝って、引導を渡したいと考えてます。
―― なるほど。丹羽選手の印象は?
般若 印象……本当に何もなくて、分かんないっすね。何だろう、別に、人間的にムカつくとかそういうのも全然ないし、かと言ってファイトスタイルがすごく面白いわけでもないし……何だろう? まあでも、長く現役をやってるんで、リスペクトはあります。
―― 実はこの直前に丹羽選手にも同じようにお話を聞いてたんですが、丹羽選手は「般若選手に僕の印象を聞いたら、たぶん『よく分からない』って言うと思いますよ」って言ってたんですが、バッチリ当たりましたね。
般若 いや、ホントにそうなんですよ! 自分もREBELS時代からバンバン出てたわけじゃなくて、1回しか出たことないし、ちょっとよく分からないって感じなんすよね、正直。接点がないっていうか。
―― 引導を渡すということは、殴り倒すつもりということですか。
般若 そうっすね! 今、自分はパンチにすっごい自信を持ってるんで、たぶん今の自分のパンチが当たったら、立っちゃいられないっすね。
―― おお!
般若 今、ボクシングジムに行ってて、渡辺雄二さんっていう25勝中23KOの、もう本当に攻撃力に振り切ったような人に習ってるんすけど、この1年間やってきて、パンチがメチャクチャいいんですよ。自分はもともとパンチャーですけど、それに磨きがかかってて。渡辺さんからも「このパンチをもらったら、立っちゃいられないな」って言ってもらって、ちょっと今自信ついてるんで、たぶんバッチリ当たったら立っちゃいられないですよ。
―― マジすか!
般若 この前の相手も、もうバッチリ当たってそのまま倒れたんで、自信持ってますね。
―― それを今回はKNOCK OUTの後楽園のリングで見せると。後楽園ホールもけっこう久しぶりですよね?
般若 メチャクチャ久しぶりですね。2022年9月の庄司啓馬戦以来なんで、2年半ぐらいですかね。はい。それから1年近く離れて、山浦迅也戦で復活というか、戻ってきたんで。
―― そしてKNOCK OUTへの参戦は昨年6月の代々木第二大会、小森玲哉以来ですね。これからは、タイトルを獲ったKROSS×OVERを主戦場に?
般若 そう考えたんですけど、以前に出た中国の武林風から、また話が来て。自分がこの前、武林風で戦った試合がメチャクチャ評価高かったみたいで、また登場してほしいと言われてるので、それも入ると思います。
―― そうなんですか。
般若 自分は、やはり武林風で活躍している朝久道場のやり方がすごく好きなんですよ。武林風でチャンピオンになって、日本に戻ってくるっていうのが、格闘技の本質っていうか。力だけで相手の陣地に行って王座を奪い取ってくるっていうのが、すごい格闘技の本質だと自分は思うんですよ。ただ主戦場のリングで人気者になろうとするんじゃなくて、ジョーカーみたいな感じじゃないすか。そこが自分的にはカッコよさを感じるっていうか。
―― ではその方面でも、けっこうモチベーションが高いんですね。
般若 武林風って、日本人はほとんど勝てない“魔境”じゃないすか。だからそこで勝ちたいんすよね。KROSS×OVERでチャンピオンになって、勝ちグセ、勝ち運をつけてきてるので、中国でも勝ちたいっすね。そうやっていく中で、KNOCK OUTのベルトも虎視眈々と狙っていければって感じで。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
般若 ちょっと自分の流れが来てるんで、貪欲に勝ちを掴み取りに行く姿を見てほしいっすね。もちろんKOも狙ってるんすけど、正直自分って、「KOで勝ちます!」って言ってる時よりも、狙わないでやった時の方がKOになるんすよ。
―― なるほど。
般若 なので、言霊的な意味でも「KOで」って言った方がいいんですけど、正直、自分的には当たったら倒れると思ってるんで。ナックルをしっかりバチッと当てれば、絶対立っちゃいられないと思うんで。観客の皆さんが熱狂するような、みんなが見たいような試合をします!
―― 分かりました。ありがとうございました!
丹羽圭介「これは『引退』という名のタイトルマッチ。そこで伝えたいことは……」
2・9「KNOCK OUT 2025 vol.1」の[KNOCK OUT-BLACK -63.0kg契約 -63.0kg契約/3分3R・延長1R]で般若HASHIMOTOと対戦する丹羽圭介。4年以上ぶりのリング登場で、これを最後に現役引退を果たす丹羽は、今何を思うのか?
―― KNOCK OUTには2020年2月の古村匡平戦以来、実戦出場は同年12月REBELSの耀織戦以来、4年以上ぶりとなります。久しぶりの参戦で正直ちょっと驚いたんですが、このタイミングというのは?
丹羽 前回負けてからいろいろ考えることもありまして、引退っていうのをずっと考えていたんですね。REBELSでチャンピオンになったことで、拳で成し遂げることは一つやり遂げたので、ここからは、その成し遂げてきたことをどう残していけるか、どう役に立てていけるかという方に意識に変わってきました。命懸けで戦うリングではなくて、そこで戦ってきたリングの証をどう残していけるかっていうところで、アスリートの命の価値を上げるというところに意識が変わってきて、それで一つ自分のあり方というか、アスリートが必ず通過するであろう「引退」というものをちゃんと明るいものにすると。悲しい別れではなくて新しいスタートなんだということで、「笑う門には福来る」というテーマのもと、何となくフェードアウトするのではなくて、僕も15年ぐらい現役やってきたので、15年間の中で関わってきてくれた人たちに向けて一つ感謝のリングを最後に体現したいなと思ったんです。
―― なるほど。
丹羽 それで2年前ぐらいからそれをぼんやり考えてたんですけど、なかなかタイミングが折り合わず、対戦相手もなかなか折り合わず、ようやく決まったという形になります。
―― それこそ引退するにしても、セレモニーやエキシビションというパターンもあると思うんですが、公式戦を選んだというのは?
丹羽 もちろん選択肢として、ゴングを鳴らしてもらうだけとか、エキシビションだけやるというのもあったんですけど、やっぱり格闘家としての最後を見せるという意味では、やっぱりシャンシャンで終わるんじゃなくて、ちゃんと最後に生き様を見せるというか、魂を燃やす瞬間を見せなきゃダメだなと。僕も今年で42歳になるんですけど、それでもまだやるんだぜっていうか、年齢なんて関係ないんだぜっていうところを試合の中で見せて、ちゃんと勇気を発信するという意味では、やっぱりガチガチのファイトをしないことには、僕の中で死ぬ時に後悔するなと思ったので。始まりという名の終わりでもあり、終わりという名の始まりなんですけど、そこはちゃんと自分のけじめをつけて、後悔のない選択として、不足のない相手と最後に思いっきりやって、勝っても負けても出し切るというところをお見せしたいなと思ってます。
―― その意味では確かに般若HASHIMOTO選手はガッツリやれる相手だと思いますが、まず丹羽選手にとっては、どういう印象でしょうか?
丹羽 たぶん彼に僕の印象を聞いたら「別に何もないっすね、やるだけです」っていうぐらいの感じでサラッと終わると思うんですけど、僕は、彼は努力家だろうと思うし、気合と根性とガッツのある選手だと思うし、昨年末にはKROSS×OVERのチャンピオンになって、努力を実らせた選手でもあると思うので、僕が15年間やってきた集大成を思いっきり解き放つのにふさわしい相手じゃないかなと思ってます。
―― 思いっきり解き放って、最後はどう勝ちたいと思っていますか?
丹羽 僕はもう自力では全然何もできなくて、本当にこの15年間、チャンピオンになるまでも10年かかりましたし、自分だけのマンパワーでは全然大したことはできないんですけど、みんなの力を借りるということにはすごい長けていて、それが「TEAMニワールド」でもあるんですけど。TEAMニワールドはアメリカン・トップチームみたいにいろんなプロフェッショナルの人に集まっていただいて、いろんなジャンルのプロフェッショナルに力を貸していただいてるんですね。今回に至ってはけっこう大応援団で来ていただく形になると思うので、その方々から「勝てるの?」「勝てよ!」っていう勝利の元気玉を集めて、僕の金色の元気玉を思いっきりぶつけようと思っています。リングも会場そのものも自分の色に染めて、元気玉を放とうと思ってます。
―― ただその舞台が4年ぶりのリングということで、普通はブランクは大丈夫なのかなと思ってしまうところなんですが……。
丹羽 この4年間、サボってきたわけじゃなくてずっと動いてたんですよ。臨戦態勢というか、試合はしてないですけど、試合さながらという感じで自分のトレーニングをずっとやってきて、体重も感覚値も全然変わってなくて。だから実戦という意味では、後楽園のリングに上がった時に本当の自分の真価が分かると思うんですけどブランクの心配はないし、それは当日分かると思っています。
―― その最後のリングで一番伝えたいことというのは?
丹羽 いくつになっても挑戦するっていうことの大切さを伝えたいですし、僕の中では最後の、「引退」という名のタイトルマッチだと思ってるので、自分のタイトルマッチをここで制して、自分のベルトを掲げてリングを降りたいと思ってます。
―― リングを降りた後は、今やられていることをそのまま続けていく?
丹羽 そうですね。格闘技で飯を食える状態を作っていきたいし、子供たちが目指したくなる世界を作っていくには、現役がちゃんと見せていかないといけないと思ってるので、現役が終わってもちゃんとアスリートが社会に必要とされて、それなりにメシが食えるという形ををちゃんと作りたいと思っています。格闘技でちゃんと生活ができて家族を養える状況を自分が作って、自分が満たされた上で、選手たちが活躍できるステージというかフェーズを作っていきたいと思ってるので、今は出張でトレーナーをやって自分で生計を立てていますけど、そういう拠点を持って、ジムで、格闘技で人生を豊かに生きるということを現実にしていきたいですね。トレーナーもしかり、来てくれるお客さんもしかりで、「ありがとう」の数の分だけ対価がいただけると思うので、そういう形を作って、アスリートの命の価値を上げるっていうことをどんどんやっていきたいですし、格闘技もこれからまたどんどん新しいフェーズに入っていくと思うので、その中で僕も携わっていきたいなと思っています。
―― そういう意味では、今はKNOCK OUTのフェーズもどんどん変わっていっていると思うんですが、そこはどう見てきていますか?
丹羽 まだ試行錯誤だと思うんですよね。今はREDルール、BLACKルールから始まり、UNLIMITEDを始めたりとか、今は模索しながらやってますよね。レフェリーだったり大会だったり選手だったり、新しい形を今も求めている中で、ただ生物もそうですけど、変化し続けていかないと生き残っていけないと思うので、そういう意味ではKNOCK OUTの、変化をいとわないっていうスタイルはいいことだと思いますし、AIとかそういうバーチャルな世界がどんどん蔓延っていく中で、逆にリアルな世界っていうのがメチャクチャ盛り上がっていくフェーズに入っていくと僕は思ってるんですね。そうなった時に新しい形を生み出せるかどうかっていうところがすごい大事だと思うので、KNOCK OUTがこれからどういう形に収まっていくのか、変化していくのかっていうのは、僕も一緒に関わっていきたいと思っています。
―― 格闘技だけじゃなく、KNOCK OUTにも関わっていく気持ちがすごくあるということですね。
丹羽 そうですね。もちろん山口代表が僕を必要としてくれるなら僕も何かの形で応えたいなと思ってますし、それをどんどん、形として作っていきたいですね。
―― では最後に、最後のリングとなる今回の試合で、一番注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
丹羽 試練や葛藤、乗り越えなきゃいけない苦悩を乗り越えた先に、最高の未来が待ってるっていうことを自分が体で証明したいので、それをみんなで一緒に体感してほしいと思っています。
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
※KNOCK OUTのBLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールはオープンフィンガーグローブ着用・肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒してからの打撃も有効なルール
第9試合 メインイベント BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
大谷翔司(スクランブル渋谷/KNOCK OUT-BLACKライト級王者、元INNOVATION同級王者)
リード・ミラー[Reid Miller](ニュージーランド)
第8試合 セミファイナル RED 63kg契約 3分3R(延長1R)
ゴンナパー・ウィラサクレック[Kongnapa Weerasakreck](タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/元K-1&Krushライト級(62.5kg)王者、元WPMF世界スーパーライト級王者)
古村匡平[きょうへい](FURUMURA-GYM/大和ムエタイ・スーパーライト級王者)
第7試合 BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺/KROSS×OVER KICKライト級王者)
丹羽圭介(TEAMニワールド/元REBELS-BLACK 63kg級王者)
第6試合 BLACK 女子ミニマム級(47.5kg) 3分3R(延長1R)
ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級(47.5kg)&アトム級(46kg)王者)
山田真子(GROOVY/元J-GIRLSアトム級王者、元ボクシングWBO女子世界ミニフライ級王者)※KINGSから所属変更
第5試合 RED スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム/元KNOCK OUT-REDスーパーウェルター級暫定王者、スック・ワンキントーン・ミドル級王者)
蛇鬼将矢(team阿修羅道/TOPGUNGYM/元NKBウェルター級王者)
第4試合 RED 63.5kg契約 3分3R(延長1R)
髙橋亨汰(髙橋道場/元WKBA世界62kg級王者、元新日本ライト級王者)
折戸アトム(PHOENIX)
第3試合 BLACK ウェルター級 3分3R(延長1R)
漁鬼(SHINE沖縄/TENKAICHI&BEASTウェルター級王者)
西川康平(8ball fitness)
第2試合 BLACK 女子バンタム級(53.5kg) 3分3R(延長1R)
鈴木万李弥(クロスポイント吉祥寺)
秋田芭菜[はな](キング・ムエ/IMSA日本女子フライ級王者)
第1試合 BLACK 女子46kg契約 3分3R
Kiho(KNOCK OUT GYM 調布)
菊地美乃里(GONG-GYM坂戸)
プレリミナリーファイト RED フェザー級 3分3R
北島颯人(和術慧舟會AKZA)
茂木豪汰(上州松井ジム)
概要
大会名 MAROOMS presents KNOCK OUT 2025 vol.1
日時 2025年2月9日(日)開場・17:00 プレリミナリーファイト開始・17:15 本戦開始・17:45
会場 後楽園ホール
中継 U-NEXT(2,189円/月)
チケット料金 SRS席¥20,000(完売) RS席¥10,000(完売) S席¥8,000 A席¥6,000 ※当日券は各席とも500円アップ ※6歳未満は保護者の膝上の場合入場無料。座席を必要とする場合は有料
チケット販売 KNOCK OUTオフィシャルショップ イープラス チケットぴあ ローソンチケット 出場選手・所属ジム
お問い合わせ Def Fellow 03-6262-3760 inquiry@knockout.co.jp https://knockoutkb.com/