ONE 9.30 シンガポール(レポ):スタンプ・フェアテックス、ハム・ソヒを3R右ボディでKO、アンジェラ・リーが引退・返上のMMA女子アトム級王座獲得
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ONE Fight Night 14: Stamp vs. Ham
2023年9月30日(土)シンガポール・インドア・スタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C)ONE Championship
スタンプ、ハム・ソヒを3R右ボディでKO、アンジェラが引退返上の王座獲得
第10試合 メインイベント ONE MMA女子アトム級王者決定戦 5分5R
○スタンプ・フェアテックス(1位、元キックボクシング&ムエタイ同級王者)
×ハム・ソヒ(2位、元ROAD FC&DEEP JEWELS同級王者、元RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)王者)
3R 1’04” TKO (レフェリーストップ:右ボディフック)
※スタンプが王者に
ONEは北米向けのファイトナイトシリーズで、女子戦主体の大会を開催した。
タイ人のスタンプはムエタイをベースとし、ONEではMMAの上位戦線で活躍しつつ、キック・ムエタイのルールで王座獲得の実績がある。21年のONE女子アトム級GPではアリヨナ・ラソヒナ、ジュリー・メザバルバ、リトゥ・フォガットを下して優勝し、同級王座への挑戦権も獲得したが、昨年3月のチャンピオンシップでは王者・アンジェラ・リーに2R裸絞めで一本負けした。その後はMMA 2連勝で、今年5月に行われたONE初の米国大会ではアリース・アンダーソンを2R KOしている(1月にはキックルールで勝利)。
韓国人のソヒはROAD FC、DEEP JEWELS、RIZINで王座を獲得。21年の女子アトム級GPからONEに参戦し、初戦でデニス・ザンボアンガに判定2-1で辛勝。準決勝は怪我により欠場し、昨年3月の復帰戦ではザンボアンガとの再戦が組まれ判定勝ちした。11月に平田樹戦が組まれたが、平田の計量オーバーを理由に対戦を拒否し、今年3月の平田との仕切り直し戦では判定勝ちし、ONE 3戦全勝とした。
アンジェラが休養中のため、1位のスタンプと2位のソヒによる今回暫定王者決定戦が組まれた。もともと9月2日のバンコク大会で予定されていたが、約1か月延びて実施された。大会当日の王座戦の前には、アンジェラがケージに登場し、ベルトをマットの上に置き、プロ選手を引退すると表明した。これによりスタンプとソヒの一戦が正規の王座決定戦に変わった。
1R、ソヒはサウスポーで構えてじりじり前に出て、オーソドックスのスタンプが距離を取る。お互いミドルとローを出すが、攻撃が少なく、探り合う状態が続く。オリヴィエ・コスト・レフェリーは「アクション」「ワーク」等のコールを繰り返し、2分過ぎには一旦タイムを止めて両者に攻撃するよう注意するが、それでもお互い慎重な状態で変わらず終える。ここまでスタンプの右ミドルの蹴り数が多く若干だが優位だ。
2R、変わらず見合う状態が続き、レフェリーは「アクション」とコールして手拍子して攻撃を促す。するとスタンプがこれまで当てていた右ミドルのヒットが少し増え、右フックも当たりだす。ソヒは右ミドルをもらい続け、少し苦しそうな表情を浮かべたが、中盤過ぎ、スタンプの右ミドルのカウンターで左フックを当て、スタンプをダウンさせる。ソヒはすぐに上から押さえ、時折パウンドを落とす。スタンプは腕や首をつかもうとするが、ソヒは対処する。ここまでソヒ優勢だ。
3R、ソヒは開始すぐから前に出てスタンプを押し込む。だがスタンプは離れ際に右膝を当てる。見合う状態に戻ると、ここで突如クライマックスに。スタンプが右ボディストレートをクリーンヒットすると、ソヒは後ろに下がる。スタンプは前に出ると、組もうとするソヒを振りほどきつつ、膝を連打してから右ボディをさらに連打すると、ソヒはダウンして亀になる。スタンプが追い打ちのパウンドを当てたところでレフェリーがストップした。
THREE-SPORT World Champion
Stamp 🇹🇭 stops Ham Seo Hee in Round 3 to win the ONE Women’s Atomweight MMA World Title!#ONEFightNight14 | Live Now
🇺🇸🇨🇦 Watch live on Prime https://t.co/Il4tPmkSbR
Live TV broadcast in 190+ countries (check local listings)
Also… pic.twitter.com/DelGoM5nHT— ONE Championship (@ONEChampionship) September 30, 2023
勝利したスタンプには、いつものONEのチャトリ・シットヨートンCEOではなく、前王者でライバルだったアンジェラがベルトを授与した。スタンプはこれでONEのムエタイ、キックボクシングに続きMMAでも頂点に立った。
スミラ・サンデル、1階級下の王者・ロドリゲスを粉砕
第9試合 ONEムエタイ女子ストロー級チャンピオンシップ 3分5R
○スミラ・サンデル(王者)
×アリシア・ヘレン・ロドリゲス(挑戦者、女子アトム級王者)
3R 2’58” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
※サンデルが初防衛
サンデルは18歳のスウェーデン人。ONE 2戦目の昨年4月、ジャッキー・ブンタンとのONEムエタイ女子ストロー級初代王者決定戦で判定勝ち。今年5月の試合でも勝利しONE 3戦全勝。今回初防衛戦だ。ロドリゲスはブラジル人。20年のONE初戦でスタンプに勝利し女子アトム級王者となり、今年3月に暫定王者のジャネット・トッドとの王座統一戦で判定勝ちし、今回階級を上げて2階級制覇を狙う。
サンデルが身長173cm、ロドリゲスは161cmで、並ぶとサンデルがかなり大きく見える。1R、ロドリゲスが中に入って左ボディを当てると、サンデルが前に詰め首相撲で捕まえるが、ロドリゲスは離れ際に左肘を当てる。ロドリゲスは左ボディを引き続き当て、潜り込んで左フックもヒット。ロドリゲスは距離ができれば左前蹴りも絡め、執拗に左ボディ、フックを当てる。だが終了間際、サンデルが左フックを当てると、一瞬ロドリゲスがひるむ。サンデルがパンチと膝を畳みかけ、ロドリゲスは耐えて終える。記者採点はロドリゲスだが、最後の一撃でサンデルにつく可能性はある。
2R、サンデルは先手を取ろうとパンチを連打し前に出る。ロドリゲスは苦し気な表情を浮かべつつも耐え、左ミドル、膝を返すが、サンデルの勢いは止まらない。だがサンデルの勢いが少しずつ落ちると、ロドリゲスは前に出てパンチ、肘、膝を返す。とはいえ中盤までの手数差を埋めるほどにはならない。記者採点はサンデル。
3R、ロドリゲスは首相撲勝負に持ち込むが、逆にサンデルが膝を積極的に出し、左フックも絡めロドリゲスを苦しめる。それでもロドリゲスは膝で応戦するが、終盤、さすがに限界に来たようで、サンデルがパンチと膝を当て続け、終了間際、ロドリゲスが金網際で横向きになったところでレフェリーがストップした。
ダニエル・ケリー、ジェサ・カーンに苦戦もグラップリング王座獲得
第8試合 ONEサブミッショングラップリング女子アトム級チャンピオンシップ 10分1R
○ダニエル・ケリー
×ジェサ・カーン
判定3-0
※ケリーが王者に
ケリーは道着を着ないグラップリングの世界トップクラスの選手で、昨年3月からONEに参戦し、V.V Mei(山口芽生)を圧倒し時間切れドロー。11月のマリア・モルチャノバ戦では裸絞めで一本勝ち。2月の三浦彩佳戦でも判定勝ちしている。カーンには21年にグラップリングで判定負けしている。カーンはONE初参戦。米国在住のカンボジア人で、今年6月のIBJJF柔術世界選手権(ムンジアル)で優勝している。
開始すぐ、ケリーがカーンを押し込むと、カーンはケリーの胴に飛びついて足を巻きつけてしがみつき、引き込みを狙う。ケリーは抱えたまま自分にコーナー付近まで運び、カーンを金網に押し込み、セコンドのアドバイスを聞きながら対処する。だがじわじわとカーンは下になると、ケリーの足をつかむ。ケリーはハーフガード気味の状態で足関節技の防御を続ける。
中盤、カーンは両足をすくって上になると、下になったケリーはカーンの右腕をつかむ。だがカーンは腕十字の防御をしつつ左に回ってパスガードに成功すると、ケリーのブリッジの動きに対応し、すぐにバックを取る。カーンは足4の字の状態で捕獲し、執拗に裸絞めを狙い、ケリーはピンチに陥る。だがケリーは防御し、体をひねって上になる。カーンは下になっても、ケリーが立っても、足4の字ロックを維持する。ケリーはカーンを金網に押し込むが、振りほどくことができない。するとカーンは少しずつ下に落ちつつ、ケリーの足を取りかけるが、ケリーは伸びたカーンの足をつかんでアンクルロックを狙う。極まりは浅いが、レフェリーはキャッチコールを出す。カーンは防御し外す。両者の目まぐるしく攻守の入れ替わる展開に場内は湧く。
終盤、両者の足がもつれた状態が続き、スタンドに戻ると、またもカーンが金網を背にして飛びついて両足をケリーの胴に絡めて引き込みを狙う。だがこの状態で30秒近く膠着すると、レフェリーはブレイクをかける。再びケリーが押し込むと、カーンは下になりながら、またも足関を狙う。ケリーも足関を狙う場面があるが、その先に持ち込めない。最後、カーンがバックを狙いつつ、上になり、またも足関を狙うが、これもケリーが防御して終了する。
記者採点はチャンスの多かったカーン。しかしケリーの中盤のアンクルロックが浅く入った場面で、レフェリーはキャッチコールを出したこともあり、ケリーがジャッジ3者から支持され、ケリーが判定勝ちし、ONEの金のチャンピオンベルトを獲得した。とはいえ僅差で、試合も盛り上がったため、ベルトを懸けてまた戦う可能性は高いだろう。
第7試合 打撃特別ルール 女子129ポンド(58.51kg)契約 3分3R
○ション・ジンナン(ONE MMA女子ストロー級王者)
דワンダーガール”ナット・ジャルーンサック
3R 2’42” TKO
オープンフィンガーグローブとシューズ着用、蹴り禁止でボクシング形式の「打撃特別ルール」がONEで初めて採用された一戦。女子ストロー級(125ポンド=56.69kg)で争われる予定だったが、ジンナンが計量で4ポンドオーバーした。
試合は近距離での打合いとなると、ジンナンのフックが頭を下げたワンダーガールの後頭部に当たる場面が多く、度々中断する。その中でボクシング経験者のジンナンが頭を振ってワンダーガールにパンチを当てさせず、随所で左右のフックを当て主導権を維持する。3R終盤に攻撃をまとめると、レフェリーがストップした。
第6試合 MMA バンタム級
○ジョン・リネカー(1位)
×ステファン・ロマン(2位)
判定3-0
1R、序盤にロマンがタックルで倒して上をキープする。ロマンは金網際でハーフからバックに移行する。リネカーは脱出し上になるが、すぐロマンは立つ。リネカーが金網際で押し込み、離れ際に右フックを当てる。終盤、離れると、ロマンの左ハイが軽く当たる。まだはっきりした差はない。
2R、ロマンはタックルを仕掛けるが、リネカーは動きを読んで対応するように。するとリネカーが圧力をかけ、右フックを主体にしつつ、ボディにも攻撃を散らしながらパンチを当て続け主導権を握る。
3R、リネカーは序盤、ローブローで苦しむが、その後も主導権を維持し、トップを奪い、スタンドでパンチを当て続け、差を維持して判定勝ちした。
第5試合 ムエタイ ライト級 3分3R
○ドミトリー・メンシコフ
×ルンラーウィー・シッソンピーノン
1R 2’41” KO
第4試合 MMA ライト級 5分3R
○エドゥアルド・フォラヤン
×アミール・カーン
3R 1’57” KO
第3試合 MMA ヘビー級 5分3R
○マウロ・チリリ
×ポール・エリオット
1R 5’00” TKO
第2試合 ムエタイ バンタム級 3分3R
○エイサー・テン・パウ
×ランボーレック・チョーアッジャラブーン
3R 0’25” KO
第1試合 MMA ライト級 5分3R
×ブレイク・クーパー
○モーリス・アベビ
1R 4’36” TKO