Krush 1.23 後楽園ホール:レオナ・ペタスの弟・加藤虎於奈、山際和希に完勝しウェルター級王座奪取。47歳の大月晴明、6年ぶりKrushでKO勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
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Krush.121
2021年1月23日(土) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第7試合 メインイベント Krushウェルター級(67.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×山際和希(谷山ジム/王者、Bigbang王者)※初防衛戦
○加藤虎於奈[こおな](TEAM TOP ZEROS/挑戦者)
判定0-3 (豊永26-30/西村26-30/岡田26-30)
※加藤が王者に
レオナ・ペタスの弟・虎於奈は、昨年8月の同級王座決定トーナメントに出場予定だったが、怪我のため欠場。代役の山際はトーナメントまで2週間を切って緊急出場が決まった。山際は一回戦で一吉に1R KO勝ちしたが、一吉も松岡力の欠場で大会2週間を切ってからの参戦。山際は決勝で近藤魁成に勝利したが、魁成が1R終了間際に右手首を負傷したためレフェリーストップという形だった。
ベルトを巻いた山際も「チャンピオンになりましたけど、実力ではなく、ラッキーだと思っています」と認める形の戴冠。しかも山際は11月のBigbangでFUMIYAにバックハンドブローでKO負けしている。
対するレオナも11月のKrushで松岡から2Rに2ダウンを奪ったが、最後は反則勝ちというスッキリしない形だったため、山際もレオナも今回ははっきりした形で勝ちたい試合だった。
1R、お互い距離を取り、右のロー主体の攻防。カーフキック、ミドルキックも織り交ぜての蹴り合いが続くと、終盤、虎於奈の右ローをもらった山際が少し後退し、印象を悪くする。
2R、虎於奈が右のカーフキックを当てていると、山際はバランスを崩し、そこから虎於奈は右ストレートや右ハイにつなげて追い詰め好印象を残す。その後も虎於奈は執拗に右のロー、カーフを狙う。
3R、虎於奈も疲れが見え始め、クリンチが増える。終盤、虎於奈は組んだ状態で膝を出し、梅木レフェリーから注意を受ける。だがその後、虎於奈は右ローで足払いのようにスリップさせると、立ち上がった山際に対し、二段蹴りを放ってからコーナーに詰めて、左ミドルと左右のストレートのラッシュで山際からダウンを奪う。山際はなんとか立ち上がるがダメージは大きく、虎於奈が攻勢を維持し終了。虎於奈が大差の判定勝ちで初のベルトを巻いた。
虎於奈は涙を浮かべ「12月末にお兄ちゃんとスパーリングをしていたら肩を脱臼したり、不安な日々が続きましたが、俺ならできると自分に言い聞かせました。空手の時から支えてくれたお父さんや、亡くなったお母さんにベルト姿を見せられてうれしいです。兄弟同時に(Krushの)チャンピオンは初めてなんですけど、これからK-1チャンピオンを目指して兄弟で頑張ります。前回変な勝ち方だったので、タイトルマッチで松岡選手とやりたです」とアピール。終始涙声だったが、最後は「今日はチャンピオンになった余韻に浸って、明日からは女の子のため頑張ります」と話し、観客を笑わせた。その後、兄のレオナ、ジムの後輩でK-1甲子園2020 -60kg優勝の松山勇汰と共に記念撮影を行った。
第6試合 セミファイナル バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×松本日向(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1カレッジ2018 -55kg優勝)
○壬生狼一輝(力道場静岡)
判定0-2 (岡田30-30/豊永29-30/太田27-30)
バンタム級ではプロ3戦全勝の松本と8戦全勝の壬生狼による全勝対決が組まれた。1R、松本は序盤から積極的に右ローを放つが、中盤、カウンターで壬生狼が右フックを合わせてスリップさせ好印象を残す。
2Rも松本は執拗に右ローを当て、中盤からは左ボディフックを2度強打し印象を残す。だが壬生狼もひるまず、終盤に手数を上げパンチと蹴りを増やし、前半の悪印象をぬぐう。
3R、お互い積極的に攻めるが、均衡状態が続く。終盤にお互い攻撃を増やし、やや壬生狼のヒットが多い感はあるが、明確な差はないまま終わる。記者採点は30-30。ジャッジは要所の攻撃の評価で大幅にバラついたものの、2者が壬生狼を支持し、壬生狼の勝利となった。
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○大月晴明(NEXT LEVEL渋谷/元Krushスーパー・フェザー級王者、元ISKAムエタイ・インターコンチネンタル・スーパーライト級王者、元WPKC世界ムエタイ&元全日本ライト級王者)※マスクマンズから所属変更
×明戸仁志(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
3R 1’53” KO (右フック)
元Krushスーパー・フェザー級王者で47歳の大月晴明が、15年1月のレオナ戦での勝利以来6年ぶりにKrushに出場した。
1R、大月はガードを下げたり、片手を出し続けた状態で、足を止めつつ、フックを振り回す。左右のミドルも随所で当て、終盤、明戸の右フックの空振りを誘ってから、右フックを当ててダウンを奪う。明戸は押し倒された感じもあり、ダメージは自体小さい。
すると2R、明戸の右フックがヒットすると、一瞬大月の動きが止まり、明戸がコーナーに詰めてパンチを連打し追い詰める。終盤は持ち直したものの、大月は目立った攻撃が返せず、ゴングの後は首をひねってコーナーに戻る。
3R、大月は雄叫びを上げて、己を鼓舞するようにして前に出て、積極的にパンチを振るう。右ローも効かせると、明戸が前に出てきたところで右フックを合わせてダウンを奪う。大月はアゴを突き出して「来い」と挑発して明戸に殴らせて場内をどよめかせた後、再び前に出て来た明戸に右フックを当ててダウンを奪うと、明戸のダメージが大きく、レフェリーがストップ。大月が異名の“爆腕”を炸裂させ見事KO勝ちした
マイクを渡された大月は「47歳ですけど 昭和40年代生まれは若いのには絶対負けません。そういう(同世代の)人に夢を与えられると思います。また頑張ります」とアピールした。
第4試合 第5代Krush女子フライ級(52kg)王座決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○壽美[ことみ](NEXT LEVEL渋谷)
×芳美(OGUNI GYM)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
K-1女子フライ級王者のKANAが返上したKrush王座を懸け、4選手のトーナメントが今大会からスタートした。優勝候補は昨年11月のK-1福岡大会で、KANAからノンタイトル戦で金星を奪った壽美だ。
1R、壽美が序盤からサウスポーに構えて圧力をかけて、左ストレートを度々ヒット。中盤には芳美が得意とするバックハンドブローも積極的に出す。終盤には左ストレートを連打すると、芳美の腰が落ちる場面も。2Rも壽美が随所で左ストレートを連打し芳美を苦しめる。3Rも左ミドルを主体にしつつ主導権を維持し完勝した。
第3試合 第5代Krush女子フライ級(52kg)王座決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R(延長1R)
○真優(月心会チーム侍)
×NA☆NA(エスジム)
2R 1’15” KO (左前蹴り)
1R、NA☆NAが近距離での左右のフックの連打を積極的に放つ。真優は負うダメージは小さいものの、もらう場面が多く、やや攻撃も消極的だ。だが2R、NA☆NAの圧力からうまく距離を取るようになると、左フックを当ててから左の顔面狙いの前蹴りをヒット。NA☆NAはワンテンポ遅れてダウンすると、そのまま立ち上がれず、真優のKO勝ちとなった。
なお、NA☆NAは試合後のツイートで「1/10の練習中から手が痺れてしまい頚椎ヘルニアと診断されました。痺れ止めを飲んで試合に臨みましたが前蹴りもらった時に全身しびれて立てなくなってしまいました」と、安全面に配慮すれば欠場が妥当な状態だったことを明かしている。
次の試合で壽美が勝利後、真優もリングインし、決勝(王座決定戦)に向けての意気込みを語った。両者は19年12月のK-1名古屋大会のK-1初代女子フライ級王座決定トーナメントのリザーブファイトで対戦し、壽美が判定勝ちしている。
◆真優「今日のKO勝ちもいまいちで反省しています。壽美選手は圧倒的な強さを見せてKANA選手に勝って、華がついてきていますけど、華だけなら負けないです。もっと試合で魅せられるようになります。リベンジしたい気持ちよりも、チャンピオンになりたいので、そこを目標に4月まで練習します」
◆壽美「やってきたことが出せなくて悔しいですけど、私はここで宣言します。4月23日、ここでチャンピオンになります」
第2試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○小倉尚也(スクランブル渋谷)
×黒田勇斗(K-1ジム心斎橋チームレパード)
判定3-0 (30-28/30-28/30-27
※2R左フックで黒田に1ダウン
第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○龍斗(K-1 GYM横浜infinity)
×國枝悠太(二刃会)
4R 判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
3R 判定0-1 (29-30/29-29/29-29)
※4R左ハイキックで國枝に1ダウン
プレリミナリーファイト第1試合 女子アトム級(45kg) 2分3R
×AIKO(FREEDOM@OZ)
○紗依茄[らいか](月心会チーム侍/第9回K-1アマチュア全日本大会 チャレンジBクラス 女子-50kg優勝)※長崎紗依茄 改め
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
※3R右ストレートでAIKOに1ダウン