UFC 5.10 モントリオール(レポ):ジャック・デラ・マダレナ、ベラル・ムハマッドに判定勝ちしウェルター級王者に。シェフチェンコ、フィオロとの接戦制し王座防衛。ジョゼ・アルド、2連敗し引退示唆
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UFC 315: Muhammad vs. Della Maddalena
2025年5月10日(土/現地時間)カナダ・ケベック州モントリオール:ベルセンター
レポート:井原芳徳
ジャック・デラ・マダレナ、ベラル・ムハマッドとの死闘制しウェルター級王者に
第12試合 メインイベント UFCウェルター級チャンピオンシップ 5分5R
×ベラル・ムハマッド[ムハメド/モハメド](王者)※初防衛戦
○ジャック・デラ・マダレナ(5位)
判定0-3 (47-48/47-48/46-49)
※デラ・マダレナが王者に
ムハマッドはパレスチナ出身で米国在住の36歳。21年3月のレオン・エドワーズ戦は偶発的なサミングにより無効試合になったものの、その試合を挟んで10連勝中。23年5月にはギルバート・バーンズに5R判定勝ちすると、昨年7月、王者・レオン・エドワーズに挑戦し判定勝ちし王座を奪い、今回初防衛戦を迎える。
デラ・マダレナはオーストラリア出身の28歳。エターナルMMAでウェルター級王座を4度防衛後、22年からUFCに参戦。4連続1R勝利の後も3連勝し、昨年3月、ギルバート・バーンズに3R KO勝ちし、今回約1年ぶりの試合で王座に初挑戦する。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: (R-L) Jack Della Maddalena of Australia punches Belal Muhammad in the UFC welterweight championship bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
1R、マダレナが時折オーソドックスからサウスポーにスイッチするが、いずれの状況でもムハマッドは随所で的確に左ジャブ、右ストレートを当てる。マダレナも左右のフックとローを返し、均衡状態が続く。終盤、ムハマッドはタックルを仕掛け、離れ際に左フックを当てる。最後、ムハマッドが圧を強め、左ミドル、フックを当て、積極性を示して終える。記者採点はムハマッドだが割れても不思議ではない。ジャッジは2者がムハマッド、1者がマダレナにつける。
2R、お互いパンチや蹴りの数を増やすが、ブロックやスウェーで対処し、攻守共に両者譲らぬ展開が続く。終盤、ムハマッドがタックルを仕掛けるが、マダレナは突き放す。終盤、ムハマッドが右フックをヒットするが単発止まりだ。記者採点はやや積極的だったムハマッドだが、マダレナにつく可能性もある。ジャッジは3者ともマダレナにつける。
3R、序盤にマダレナが前に詰め、左ボディを強打する。ムハマッドが圧を強めるが、マダレナはスイッチを繰り返してサークリングで距離を取り、ジャブやストレートを随所で当てる。残り1分を切り、ムハマッドがマダレナを金網際に詰め、パンチと膝を当て、テイクダウンを奪いかけるが、マダレナは立って終える。記者採点はマダレナだが、このラウンドも割れても不思議ではない程度の差だ。ジャッジは3者ともマダレナにつける。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: (R-L) Belal Muhammad punches Jack Della Maddalena of Australia in the UFC welterweight championship bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
4R、ムハマッドが前に出てマダレナを金網際に詰めるが、マダレナがパンチを当てると、ムハマッドは右まぶたから出血する。それでもムハマッドは組み付いて倒し、立たれても押し込むが、マダレナは離れる。終盤、打撃戦の後、ムハマッドが押し込むが、ここでも倒せず終わる。記者採点は打撃で優位だったマダレナだが、ムハマッドのグラップリングが評価される可能性もある。ジャッジは3者ともムハマッドにつける。
5R、ムハマッドは必死に前に出るが、マダレナはかわしてパンチを当て、ムハマッドは左まぶたからも出血する。だが中盤、ムハマッドはタックルを仕掛けて倒し、今度はハーフで押さえ、ようやくグラウンドキープに成功する。だが中盤過ぎ、マダレナは足を効かせて脱出する、終盤、マダレナが前に出て、ボディと顔面にパンチを当て、ムハマッドを追い詰める。ムハマッドは首投げで倒し、再び上になるが、これマダレナが立つ。するとマダレナは右ストレートをヒット。血だるまのムハマッドは苦しそうで、ガードが上がらなくなり、前に出られず終了する。記者採点はマダレナ。ジャッジ3者ともマダレナにつける。記者採点合計48-47でマダレナ。ジャッジ3者もマダレナを支持し、マダレナが判定勝ちし、ウェルター級王者となった。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: Jack Della Maddalena of Australia reacts after his unanimous-decision victory against Belal Muhammad in the UFC welterweight championship bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
シェフチェンコ、フィオロとの接戦制し王座防衛
第11試合 コーメインイベント UFC女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
○ワレンチナ・シェフチェンコ(王者)
×マノン・フィオロ(2位)
判定3-0 (48-47/48-47/48-47)
※シェフチェンコが初防衛
シェフチェンコはキルギス出身の37歳。23年3月、アレクサ・グラッソに4R裸絞めで一本負けし、女子フライ級王座8度目の防衛に失敗。半年後の9月の再戦はドロー。昨年9月のスフィア大会での3度目の対戦では寝技勝負を制し判定勝ちし、王座奪還を果たした。
フィオロはフランス出身の35歳。18年のMMAデビュー戦は敗れたが、以降は12連勝し、21年から上がったUFCでも7戦全勝。23年9月にローズ・ナマユナス、昨年3月にエリン・ブランチフィールドに判定勝ちし、今回約1年ぶりの試合で王座に初挑戦する。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: (R-L) Valentina Shevchenko of Kyrgyzstan punches Manon Fiorot of France in the UFC flyweight championship bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
1R、両者サウスポーで構え、中央付近で見合う状態が続く。中盤、フィオロが踏み込んだ際、シェフチェンコがカウンターで右フックを当て続けていると、フィオロは早くも鼻血を出すように。終盤、フィオロの右ミドルのタイミングで、シェフチェンコが右フックを振りつつ組み付き、そのまま倒して上になる。シェフチェンコはハーフガードで押さえ続け終える。記者採点はシェフチェンコ。
2R、フィオロは鼻血は止まり、タックルを繰り返すが、切られたり倒してもすぐ立たれる状態が続く。それでも残り1分、フィオロがタックルで金網に押し込み、抱え上げテイクダウンに成功する。グラッソはシェフチェンコの両足の乗る。最後、フィオロは立ち上がり、座った状態のシェフチェンコの顔面狙いで膝を放つ。本来反則だが、シェフチェンコが両腕でブロックしていたためか、インターバル中にレフェリーから注意されるものの、減点にはならない。記者採点はフィオロ。
3R、スタンドで見合う状態が続く中で、お互いパンチを当てるが互角の展開。終盤、フィオロが圧を強めると、シェフチェンコは右のバックハンドブローで迎撃し、前腕が命中する。フィオロはひるまずタックルを仕掛けて、シェフチェンコを金網に押し込む。シェフチェンコは金網に指をひっかけ、レフェリーから注意される。最後は離れて終わる。記者採点はフィオロだが、僅差のため割れても不思議ではない。ジャッジは割れ、1者がシェフチェンコ、2者がフィオロにつける。
4R、フィオロがタックルから押し込むが、テイクダウンを奪えない。お互い相変わらず攻撃が少ないが、フィオロは首相撲からの右膝蹴り、シェフチェンコが右のバックスピンキックを当てる。終盤、パンチが交錯すると、シェフチェンコがタックルで倒すが、フィオロはすぐ立ち、シェフチェンコを押し込みつつ、またも首相撲からの右膝を当てて印象を作る。だがフィオロは疲れが溜まっている様子で、残り10秒を切り、右の横蹴りを放ったタイミングで、シェフチェンコがかわして右フックを2連続で当ててダウンさせ、最後はパウンドを落とし、いい形で終える。記者採点はシェフチェンコ。
5R、フィオロは中盤から次第にプレッシャーを強め、時折金網にシェフチェンコを押し込む。倒せないが膝やアッパーを随所で当て、コントロールを続けて好印象を作る。シェフチェンコはフィオロの右の蹴りのカウンターで右のフックを放つが、4Rのように当てることはできない。最後もフィオロがクリンチから左膝を立て続けに当て、いい形で終える。記者採点はフィオロ。だがジャッジは割れ、2者がシェフチェンコ、1者がフィオロにつける。記者採点合計47-48でフィオロ。ジャッジは3者ともシェフチェンコを支持し、シェフチェンコが判定勝ちした。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: Valentina Shevchenko of Kyrgyzstan reacts after her victory against Manon Fiorot of France in the UFC flyweight championship bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
ジョゼ・アルド、2連敗し引退示唆
第10試合 フェザー級 5分3R
×ジョゼ・アルド(バンタム級11位、元フェザー級王者)
○エイマン・ザハビ(バンタム級15位)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
アルドは38歳。22年8月、メラブ・ドバリシビリに判定負けしたのを最後にMMAを引退し、プロボクシングで3戦していたが、昨年5月、地元リオデジャネイロ大会でMMAに復帰し、バンタム級ランカーのジョナサン・マルチネスに判定勝ち。昨年10月、マリオ・バティスタに判定1-2で惜敗した。ザハビはUFC 5連勝中の37歳で、カナダの名門・トリスタージムに所属する地元選手だ。

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: (L-R) Aiemann Zahabi of Canada punches Jose Aldo of Brazil in a featherweight bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC)
当初、今回は両者がランクインしているバンタム級で行われるはずだったが、アルドが減量に苦しんだため、1階級上のフェザー級にリミットが変わった。
1R、アルドは開始すぐからプレッシャーをかけ、右ストレートを随所で当て主導権を握る。終盤、少し勢いが落ちると、ザハビが前に出返す。ザハビは左ジャブ、右ストレート、組んでの膝を当てるが、アルドも動きを増やし、左ジャブ、左右のボディを返し、主導権を握らせない。記者採点は僅差だがアルド。
2R、ザハビがプレッシャーをかけ続け、アルドが距離を取る構図が続く。お互いパンチを出すがヒットは減る。終盤、ザハビが左ジャブ、右フック、右膝蹴り等のヒットを増やし、差を示して終える。記者採点はザハビだが、手数はやや上のアルドにつく可能性もある。
3R、中盤に入ると、アルドの右ストレートでザハビがひるみ、アルドが右膝蹴りを当てると、ザハビは倒れる。ザハビの立ち際にアルドは左の蹴りを顔面に当て、前に出てパンチラッシュで追い詰める。だがこれで計量オーバーのアルドは消耗し、ザハビは次第に回復すると、アルドのタックルをザハビが潰して上になる。終盤、ザハビはトップキープし、パウンドを随所で当てる。するとザハビが右肘でアルドの額を切り裂き、アルドは血だるまになり印象を悪くする。アルドは下からしがみついて、追撃を封じて終える。記者採点はザハビ。合計28-29でザハビ。ジャッジ3者も3Rとも記者と同じ採点で、ザハビが判定勝ちした。
敗れたアルドはグローブを外してからインタビューに応じ「デイナ・ホワイト代表らUFCのみんなありがとうございます。もう限界だ。減量だけでなく色々大変だった。もう戦争のような試合はできない」と話し、引退を示唆している。
ナタリア・シウバ、前王者グラッソを完封
第9試合 女子フライ級 5分3R
×アレクサ・グラッソ(1位・元王者)
○ナタリア・シウバ(5位)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)

MONTREAL, QUEBEC – MAY 10: (L-R) Natalia Silva of Brazil punches Alexa Grasso of Mexico in a flyweight bout during the UFC 315 event at Bell Centre on May 10, 2025 in Montreal, Quebec. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
グラッソは昨年9月、シェフチェンコとの3度目の対決で王座陥落して以来となる試合。ナタリアは22年からUFCに上がり6戦全勝の新鋭だ。
1R、スタンドでお互い見合う状態が続く。中盤過ぎ、ナタリアが蹴りを放った際にスリップすると、グラッソがタックルを仕掛けて押さえにかかるが、すぐにナタリアは立つ。終盤も見合う状態が続くが、ナタリアが当たりは軽いながらも細かく右ストレート、左ジャブ、右の顔面前蹴り等を当て、やや好印象で進める。
2R、グラッソは圧を強めるが、ナタリアは左右に回って距離を取り続け、スイッチも織り交ぜながら、細かくジャブやストレートを当てる。最後、グラッソがナタリアを金網に詰めてパンチやミドルを当てるが、手数での差は埋まらない。
3R、グラッソはナタリアを金網に押し込み、首相撲で捕まえて膝蹴りを当てるが、ナタリアはテイクダウンを許さず離れる。グラッソは変わらずサークリングして距離を取り、随所で左前蹴りをヒット。終盤にはグラッソの右フックのカウンターでナタリアは右ハイも当てる。結局最後までナタリアペースで続き、ナタリアが前王者に判定勝ちした。
第8試合 ライト級 5分3R
○ブノワ・サン・デニ(13位)
×ヨエル・アルバレス
2R 2’35” 肩固め
第7試合 ウェルター級 5分3R
○マイク・マロット
×チャールズ・ラドキ
2R 0’26’ KO
第6試合 女子フライ級 5分3R
×ジェシカ・アンドラージ(7位、ストロー級4位・元王者)
○ジャズミン・ジャズダビジアス(9位)
1R 2’40” 裸絞め
第5試合 ライトヘビー級 5分3R
○モデスタス・ブカウスカス
×イオン・クテラバ
判定2-1 (27–30/30–27/29–28)
第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○ナヴァホ・スターリング
×イヴァン・エルスラン
判定3-0 (29–28, 29–28, 29–27)
第3試合 ミドル級 5分3R
○マルク・アンドレ・ベリオー
×ブルーノ・シウバ
1R 1’27” KO
※シウバが計量1ポンドオーバー。ファイトマネーの20%を対戦相手に譲渡
第2試合 フェザー級 5分3R
○ダニエル・サントス
×リー・ジョンヨン
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第1試合 バンタム級 5分3R
×ブラッド・カトーナ
○ベクザト・アルマハン
1R 1’04” KO