UFC 7.27 マンチェスター(レポ):ベラル・ムハマッド、ウェルター級王者になり「パレスチナに捧ぐ」。アスピナル、ブレイズを1R KOしヘビー級暫定王座防衛。マネル・ケイプはモカエフに惜敗
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UFC 304: Edwards vs. Muhammad 2
2024年7月27日(土/現地時間)英国マンチェスター:コープライブ
レポート:井原芳徳 Photo by Zuffa LLC via Getty Images
ベラル・ムハマッド、レオン・エドワーズに判定勝ちしウェルター級王者に
第14試合 メインイベント UFCウェルター級チャンピオンシップ 5分5R
×レオン・エドワーズ(王者)※3度目の防衛戦
○ベラル・ムハマッド(2位)
判定0-3 (47-48/47-48/46-49)
※ムハマッドが王者に
エドワーズはジャマイカ出身で英国のバーミンガム在住。22年8月、カマル・ウスマンを5R左ハイでKOしウェルター級王座を奪取し、昨年3月のリターンマッチで判定2-0で勝利し初防衛した。12月の年内最終大会のメインを務めコルビー・コビントンに判定勝ち。現在13戦連続無敗で今回3度目の防衛戦となる。
ムハマッドはパレスチナ出身で米国在住でルーファスポーツ所属。21年3月のレオン・エドワーズ戦は偶発的なサミングにより無効試合になったものの、その試合を挟んで9連勝中。最近では22年10月にショーン・ブレイディに2R TKO勝ちし、昨年5月にはギルバート・バーンズに5R判定勝ちしている。

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: (R-L) Leon Edwards of Jamaica punches Belal Muhammad in the UFC welterweight championship bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、サウスポーのエドワーズに対し、ムハマッドはオーソドックスでプレッシャーをかけ、サウスポーにスイッチしてから両足タックルを仕掛け、抱え上げて倒し、開始20秒でテイクダウンに成功する。エドワーズはその先の攻めを許さず、立って金網に押し込む。中盤には離れ、エドワーズは左ミドル、首相撲からの膝蹴り、三日月蹴り、アッパーを当てる。終盤、ムハマッドは圧を強めて距離を縮め、左肘、アッパー等を当てるように。金網際までエドワーズを詰めると、左ボディを当ててから両足タックルを仕掛け、またもテイクダウンを奪う。エドワーズはトップで押さえ、パウンドを肘を浅めながら当て続けて終える。記者採点はムハマッド。ジャッジは2者がムハマッドを支持するが、1者が左の蹴りを当てていたエドワーズにつける。
2R、ムハマッドが右フックを当ててからタックルを仕掛け、しばらくして足をすくってテイクダウンに成功する。すぐにエドワーズは立つが、ムハマッドは抱え上げて頭から起こし、すぐに背後に回り込む。バックマウントも狙うが、バランスが崩れそうになると固執せずコントロールを重視する。終盤、エドワーズは立ち、残り1分を切ると押し返して倒し、金網際で押さえて反撃に持ち込むが、その先に持ち込めず終わる。記者採点はムハマッド。ジャッジも3者ともムハマッドを支持する。
3R、ムハマッドは開始すぐからプレッシャーをかけ、テイクダウンに成功する。だがエドワーズはすぐ立つと、背後にいるムハマッドからすり抜け、すぐさまムハマッドのバックに回り込み、崩してバックマウントを奪う。エドワーズはポジションキープし、執拗に裸絞めやフェイスロックを狙う。終盤も同様で、やや膠着気味になり終了する。防戦の続いたムハマッドだが、4R以降に備えて反撃でパワーを使わず、このラウンドは捨てたようにも見える。記者採点はエドワーズ。ジャッジも3者ともエドワーズを支持する。
4R、ムハマッドは変わらず圧をかけ、左ジャブ、アッパー、ボディをヒットし、またもタックルを仕掛けてバックに回り込む。今度は逃げられずムハマッドがバックコントロールを続け、コツコツとパウンドを当て、裸絞めを狙う。残り30秒、ようやくエドワーズが返してトップを取り返し、最後はバックを取ったが、目立つ攻撃に持ち込めず終わる。記者採点はムハマッド。ジャッジも3者ともムハマッドを支持する。
5R、ムハマッドは変わらず前に出て、細かくパンチを出し、タックルを繰り返し、押し込んで崩してバックマウントを奪う。ムハマッドは4R同様にバックキープして細かくパウンドを当てる。残り1分を切り、ようやくエドワーズが体をひねって上になり、左肘を当てると、ムハマッドは鼻柱から大量に出血する。さらにエドワーズは肘を当てるが、ムハマッドは耐えて終える。記者採点はエドワーズ。ジャッジは割れ、1者がエドワーズ、2者がムハマッドを支持する。記者採点合計は47-48でムハマッド。ジャッジ3者も1~3点差でムハマッドを支持し、ムハマッドが判定勝ちし、ウェルター級王座を獲得した。ベルトを巻いたムハマッドは「神に感謝したい。家族とパレスチナで苦しんでいる人に勝利を捧げたい」と話した。

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: Belal Muhammad reacts after his victory against Leon Edwards of Jamaica in the UFC welterweight championship bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
アスピナル、ブレイズを1R KOしヘビー級暫定王座防衛
第13試合 コーメインイベント UFCヘビー級暫定チャンピオンシップ 5分5R
○トム・アスピナル(暫定王者)
×カーティス・ブレイズ(4位)
1R 1’00” KO (左ジャブ→グラウンドパンチ)
※アスピナルが初防衛
マンチェスター出身のアスピナルはイギリスの大会で活躍後、20年からUFCに上がり8戦6勝(5KO/2一本)1敗。22年7月のブレイズ戦では開始早々に右膝を負傷しTKO負けしたが、昨年7月の復帰戦ではマルチン・ティブラをわずか73秒でKO。11月のヘビー級暫定王者決定戦でもセルゲイ・パブロビッチを69秒右フックでKO。UFC 7勝のうち6勝が1Rフィニッシュだ。
ブレイズはアスピナルに勝利後、昨年4月にパブロビッチに1R TKO負け。今年3月にはジャイルトン・アルメイダに2R KO勝ちしてパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得し、タイトル初挑戦につなげた。
1R、ブレイズが開始すぐから左ジャブ、右ストレートを積極的に出す。アスピナルはブレイズの右が飛んできたタイミングで右を返しつつ前に出て、右脇を差しつつブレイズを金網に押し込む。だがブレイズは固執せず、10秒ほどで離れる。するとブレイズのワンツーがヒットしたが、さらにブレイズが突っ込んできたところで、アスピナルが左ジャブを合わせるとブレイズはダウンする。アスピナルは背中を向けたブレイズにパウンドを連打し、レフェリーがストップし、リベンジと初防衛を果たした。
勝利者インタビューでアスピナルは、正規王者のジョン・ジョーンズに向けてのメッセージを求められると「俺のほうが上だよ」と話した。

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: Tom Aspinall of England reacts after his knockout victory against Curtis Blaydes in the interim UFC heavyweight championship bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
ピンブレット、グリーンに一本勝ちしランク入り
第12試合 ライト級 5分3R
×キング・グリーン(15位)※ボビー・グリーン 改め
○パディ・ピンブレット
1R 3’22” 三角絞め

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: (L-R) Paddy Pimblett of England punches King Green in a lightweight bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、リバプール出身の人気選手・ピンブレットが、大声援を背にしつつ、ステップで距離を取り、右ロー、左ジャブを当てる。グリーンはスイッチを繰り返しつつ、サウスポーになると右の前足での関節蹴りを多用する。両者攻撃が少ない状態が続いたが、中盤、ピンブレットが右インローを強打すると、グリーンは前方にスリップし、すぐにタックルを仕掛ける。だがピンブレットは待ってましたとばかりに得意のギロチンチョークで迎撃しながら引き込む。ピンブレットはギロチンを仕掛けながら足を登らせると、ギロチンを解除し、すぐさま三角絞めに切り替える。グリーンは耐えながらもがくが、最後はピンブレットが三角のまま腕も極め、グリーンが落ちたところでレフェリーがストップした。
ピンブレットは21年のUFC参戦後の連勝を6に伸ばし、ランカーのグリーンを下したことで、ランキング入りが確実となった。
ケイプ、モカエフと接戦も判定負け
第6試合 フライ級 5分3R
○ムハンマド・モカエフ(6位)
×マネル・ケイプ(8位)
判定3-0 (29–28/29–28/30–27)
モカエフはロシア・ダゲスタン出身。22年からUFCに上がり6連勝。地元マンチェスター在住の選手ということもあり大歓声を浴びる。元RIZINバンタム級王者のケイプは4連勝中。
1R、お互い中央付近で慎重に見合う状態が続く。モカエフのインローが少し目立つが差が乏しい。終盤、モカエフが後ろ上段廻し蹴りを空振りさせると、ケイプも圧をかけて前に出てパンチを振うようになるがヒットしない。最後、モカエフはタックルを繰り返すがケイプは切り続け、左ストレートを当て、わずかだが差をつける。記者採点はケイプだが、ほとんど差がないため迷った。ジャッジは3者ともモカエフにつけるが、UFCの中継画面に表示される識者のXの採点は3人ともケイプ支持だった。

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: Muhammad Mokaev of Russia punches Manel Kape of Angola in a flyweight bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Ben Roberts Photo/Getty Images)
2Rも見合う状態が続いていたが、1分ごろ、突如ケイプが右足の親指を気にするように屈んで手で触れる場面もあり、怪我をしたか元々痛めた箇所を悪化させたようだ。その後もサウスポーに切り替え、右足の親指が浮いた状態で、ステップがややぎこちない状態が続く。すると中盤、モカエフが片足タックルでテイクダウンに成功する。だがモカエフは押さえる際にケイプのコスチュームをつかんだため、レフェリーから注意され、スタンド状態での再開となってしまう。その後もモカエフの右手がケイプの左目に入るアクシデントがあり、ケイプは抗議したが、これはレフェリーは流す。やや荒れ気味の展開で、正味の攻防が乏しいまま入った終盤も、お互い攻撃が少ないまま終わる。ケイプが圧を掛けて左ストレートを当てるが、当たりは軽く、モカエフも右ミドルを返し、差をつけさせない。記者採点は僅差だがテイクダウンを取ったモカエフ。テイクダウンの後に反則があったが、テイクダウン自体は有効と評価した。ジャッジ3者もモカエフを支持する。インターバル中にケイプの右足のドクターチェックが入るが、致命傷でないためケイプは続行を希望し試合は続く。

MANCHESTER, ENGLAND – JULY 27: (R-L) Manel Kape of Angola punches Muhammad Mokaev of Russia in a flyweight bout during the UFC 304 event at Co-op Live on July 27, 2024 in Manchester, England. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
3Rも見合う状態が続き、中盤、モカエフが片足タックルで倒すと、ケイプは下から首を抱えてギロチンを狙うが、モカエフは極めさせず防御して、終盤になって外す。するとすぐさまケイプは下からモカエフの頭に右肘を連打して好印象を作る。さらにハーフで押さえるモカエフに対し、脱出を狙いながら足関節技を仕掛けようとし、スタンドに戻す。最後、モカエフがタックルからケイプを押さえるが、その先に持ち込めず終わる。記者採点はケイプ。合計28-29でケイプ。ジャッジは3者ともモカエフを支持し、モカエフの判定勝ちとなったが、大苦戦となってしまった。なお、モカエフはこの試合をもってUFCの契約が終了し、UFCのデイナ・ホワイト代表も契約を更新しないことを明言している。
第11試合 ミドル級 5分3R
×クリスチャン・リロイ・ダンカン
○グレゴリー・ロドリゲス
判定0-3 (27-20/27-20/27-30)
第10試合 フェザー級 5分3R
○アーノルド・アレン(6位)
×ギガ・チカゼ(10位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第9試合 フェザー級 5分3R
○ナサニエル・ウッド
×ダニエル・ピネダ
判定3-0 (29–27/29–27/29–28)
第8試合 女子ストロー級 5分3R
×モリー・マッキャン
○ブルーナ・ブラジル
判定0-3 (27-20/27-20/28-29)
第7試合 バンタム級 5分3R
○ジェイク・ハドリー
×ケイラン・ロクラン
判定3-0 (30–27/30–27/29–28)
※ハドリーが計量オーバー。ロクランにファイトマネーの20%を譲渡
第5試合 ウェルター級 5分3R
○オーバン・エリオット
×プレストン・パーソンズ
判定3-0 (29–28/30–27/30–27)
第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○モデスタス・ブカウスカス
×マルチン・プラフニオ
3R 3’12” 肩固め
第3試合 ウェルター級 5分3R
○サム・パターソン
×キーファー・クロスビー
1R 2’50” 肩固め
第2試合 ヘビー級 5分3R
○ミック・パーキン
×ルーカス・ブジェスキー
1R 3’23” KO
第1試合 女子ストロー級 5分3R
○ショーナ・バノン
×アリス・アルデレアン
判定2-1 (28–29/29–28/30–27)