UFC 5.6 ニューアーク(レポ):バンタム級王者スターリング、元王者セフードに辛勝、次期挑戦者にオマリーを指名。クロン・グレイシー、3年半ぶり復帰戦は打撃対応できず判定負け
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UFC 288: Sterling vs. Cejudo
2023年5月6日(土/現地時間)米国ニュージャージー州ニューアーク:プルデンシャルセンター
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント UFCバンタム級チャンピオンシップ 5分5R
○アルジャメイン・スターリング(王者)
×ヘンリー・セフード(元バンタム級&フライ級王者)
判定2-1 (47-48/48-47/48-47)
※スターリングが3度目の防衛
UFC 2階級制覇王者のセフードが3年ぶりの復帰戦で、いきなり現バンタム級王座のスターリングに挑戦した。
セフードは18年にデメトリアス・ジョンソンの11度目の防衛を阻止してフライ級王者になり、19年1月にTJ・ディラショーを下し初防衛。同年6月にはマルロン・モラエスとのバンタム級王座決定戦で勝利し、2階級制覇を達成した。20年5月には元バンタム級王者のドミニク・クルーズに2R TKO勝ちしバンタム級王座の初防衛を果たすと「33歳まで満足いくキャリアを送ることができました。これで引退します。トリプルC(レスリングの北京五輪の金メダルと合わせての3冠Champion)はここで幕を閉じます」と発言していたが、昨年から復帰に向け準備をしてきた。
スターリングは21年3月、バンタム級王者のピョートル・ヤンに挑戦し、苦戦するもヤンの反則負けにより王者に。昨年4月の再戦では判定勝ちした。10月には元王者のT.J. ディラショーに2R TKO勝ちし2度目の防衛に成功し連勝を8に伸ばした。
1R、開始すぐからリーチで勝るスターリングが、時折サウスポーに切り替えつつ前進する。セフードはステップして距離を取る。するとスターリングが左のテンカオを放ったタイミングで、セフードが両脇を差して組み付き、テイクダウンを奪う。セフードは上から押さえるが、スターリングはその先を許さず、中盤には立ち上がる。スターリングは前に出て、左肘を放つが、ここでもセフードはすぐに組み付き、がぶった状態にもなりながらコントロールする。だが終盤、スターリングが押し返すと、足を掛けて崩して、背後から押さえ込み続け、膝等を随所で当てて好印象を残す。記者採点はスターリング。ジャッジ3者も同じだ。
2R、スタンドの攻防が続くが、セフードも前に出て、右ハイを当てる場面もあり、1Rほどスターリングは上手く攻められていない様子。中盤、スターリングがタックルを仕掛けるが、セフードは軽々と突き放す。以降、セフードが圧をかける側となり、右ロー、ミドル、左フック等を的確に当てるが、スターリングも細かく蹴りとパンチを返し、手数では若干上回る。記者採点はセフードだが、ジャッジは1者スターリング、2者セフードと割れる。

NEWARK, NEW JERSEY – MAY 06: (R-L) Aljamain Sterling kicks Henry Cejudo in the UFC bantamweight championship fight during the UFC 288 event at Prudential Center on May 06, 2023 in Newark, New Jersey. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
3R、セフードは左の飛び膝を当てて先手を取る。スターリングのタックルをセフードは切り続ける。中盤、スターリングが足を掛け倒した後、セフードに立たれてもボディに膝をヒットし押し込み続け主導権を握る。終盤、離れると、スターリングがタックルを仕掛けるが、セフードが切ってがぶって押さえ続け、パウンドもヒット。最後、セフードが足を掛けて倒し、パウンドを落として終える。記者採点はセフード。ジャッジも3者ともセフードにつける。
4R、スタンドの打撃戦が続き、若干スターリングの手数が上回る。お互いタックルを織り交ぜるが、テイクダウンには至らず。均衡状態が続く。終盤、ようやくセフードが崩して上になりかけるが、スターリングが上を取り返し、最後はパンチを当てて終える。記者採点はスターリング。ジャッジ3者もスターリング。記者採点合計はこれでイーブンになる。
5R、セフードが前に出続けるが、スターリングかステップでかわす構図が続く。セフードが右フックを当てる場面もあるが、手数は伸びない。中盤からスターリングが倒せないもののタックルを繰り返すように。スターリングも細かくパンチを返している。終盤、セフードがタックルから倒し、立とうとしたスターリングの背後に回って組み付くが、そのまま押し込んで終わる。記者採点はセフードだがこのラウンドも割れ、1者がスターリング、2者がセフードにつける。合計47-48でセフード。

NEWARK, NEW JERSEY – MAY 06: Aljamain Sterling react after his victory over Henry Cejudo in the UFC bantamweight championship fight during the UFC 288 event at Prudential Center on May 06, 2023 in Newark, New Jersey. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
やはりジャッジは割れ、3者とも48-47とつけた中で2票を獲得したスターリングが王座を守った。採点発表後、場内はスターリングに対するブーイングが巻き起こった。試合後にはバンタム級2位のショーン・オマリーがケージに入り、スターリングとにらみ合ってののしり合い、最後はスターリングが「セプテンバー」と連呼し、9月の防衛戦を希望した。敗れたセフードは現役続行を宣言した。
第11試合 コーメインイベント ウェルター級 5分5R
○ベラル・ムハマッド(4位)
×ギルバート・バーンズ(5位)
判定3-0 (50-45/49-46/49-46)
ムハマッドは21年3月のレオン・エドワーズ戦は偶発的なサミングにより無効試合になったものの、その試合を挟んで8連勝中。最近では昨年10月にショーン・ブレイディに2R TKO勝ちしている。バーンズは昨年4月にカムザット・チマエフに敗れたが、今年に入ってから1月にニール・マグニー、4月にホルヘ・マスヴィダル相手に連勝し、ハイペースで試合をこなす。

NEWARK, NEW JERSEY – MAY 06: (R-L) Belal Muhammad kicks Gilbert Burns of Brazil in a welterweight fight during the UFC 288 event at Prudential Center on May 06, 2023 in Newark, New Jersey. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、スタンドの攻防が続き、お互い慎重な試合運び。終盤、バーンズが左ミドルを当てた直後、ムハマッドが左フックを当てると、バーンズはひるんでしまう。最後はムハマッドが左ハイも当ててバーンズをスリップさせる。
2Rもお互い慎重だが、中盤以降、ムハマッドが随所でパンチを当て、若干だが優位に進める。採点は割れそうだ。3R、ムハマッドはこれまで同様にスイッチを繰り返して距離を支配し、随所でパンチ、ミドルをヒットする。
この試合はナンバーシリーズのランカー対決でコーメインにも関わらず、5R制で行われた。4Rもお互い慎重だが、バーンズの右ミドル、ローのヒットが増える。とはいえその分、ムハマッドも手数を上げる。終盤、バーンズの右フックが炸裂し印象を残す。このラウンドはバーンズが取ったか。
5Rは元通り、見合う時間が長くなり、随所でムハマッドがパンチと蹴りを当て終了する。3R以降はブーイングの多い試合となるが、自分のスタイルを貫いたムハマッドが判定勝ちした。
第10試合 女子ストロー級 5分3R
×ジェシカ・アンドラージ(ストロー級4位・元王者、フライ級5位)
○ヤン・シャオナン(6位)
1R 2’20” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
アンドラージは最近3試合はストロー級に下げて戦い、昨年4月にアマンダ・レモスに一本勝ちし、今年1月にはローレン・マーフィーに判定勝ちしたが、2月にエリン・ブランチフィールドに2R一本負けしている。シャオナンはカーラ・エスパルザとマリナ・ロドリゲスに連敗していたが、昨年10月にマッケンジー・ダーンに判定勝ちしている。

NEWARK, NEW JERSEY – MAY 06: (L-R) Yan Xiaonan of China punches Jessica Andrade of Brazil in a strawweight fight during the UFC 288 event at Prudential Center on May 06, 2023 in Newark, New Jersey. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、プレッシャーをかけるアンドラージに対し、シャオナンは回って距離を取りつつ、右のカーフキック、右フックを的確に当て続ける。すると中盤、右のカーフをもらったアンドラージの腰が一瞬沈む。アンドラージは距離を詰めようと前に出てきたが、かわしたシャオナンの右フックがクリーンヒット。ダウンしたアンドラージにシャオナンが鉄槌を連打し、すぐさまレフェリーがストップした。シャオナンはパフォーマンスオブザナイトに選ばれている。
第9試合 フェザー級 5分3R
○モフサル・エフロエフ(10位)
×ディエゴ・ロペス
判定3-0 (29–28/29–28/30–27)
第8試合 フェザー級 5分3R
×クロン・グレイシー
○シャルル・ジョーデイン
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
ヒクソン・グレイシーの次男・クロンは19年10月にカブ・スワンソンに判定負けし、MMA 6戦目で初黒星を喫して以来3年半ぶりの試合。現在34歳だ。ジョーデインは19年5月からUFCに上がり10戦4勝5敗1分。シェーン・ブルゴス、ナサニエル・ウッド相手に2連敗中だが、今回の下馬評では上だ。
1R、クロンがサウスポーで構えてガードを固めてプレッシャーをかける。ジョーデインはパンチの連打をまとめつつ、組んで来るクロンを突き放す。中盤、ジョーデインが左フックを空振りさせてから右アッパーを当てる。クロンは打撃に反応できていない。クロンは組み付き、飛びついてグラウンドに引き込んで下になる。ジョーデインも柔術黒帯だが、クロン相手では寝技に警戒し、上から密着して防御を続ける。終盤、スタンドに戻り、ジョーデインがステップで距離を取りつつ、随所でパンチを当てて終える。

NEWARK, NEW JERSEY – MAY 06: Kron Gracie of Brazil (grey trunks) fights against Charles Jourdain of Canada (black trunks) during their featherweight bout at UFC 288 at Prudential Center on May 06, 2023 in Newark, New Jersey. (Photo by Sarah Stier/Getty Images)
2R、クロンはまたも引き込み、金網際で下になるが、ジョーデインは防御を続ける。終盤、スタンドに戻り、組みたいクロンは前に出続けるが、ジョーデインが距離を取り、パンチと肘を的確に当て続ける。最後はクロンがまたも引き込むと、観客からはブーイングが起こる。
3Rも同様の構図で、クロンの組みにジョーデインが対処しパンチを当て続ける。中盤、クロンが引き込むが、ジョーデインは徹底して防御する。終盤、スタンドに戻り、ジョーデインが打撃を当て続け終了。記者採点は3Rともジョーデインで27-30。ジャッジ3者も同じ採点で、ジョーデインの完勝に終わった。
第7試合 ライト級 5分3R
×ドリュー・ドーバー(14位)
○マット・フレボラ
1R 4’08” TKO
第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○ケネディ・エンジーチュクー
×デビン・クラーク
2R 2’28” フロントチョーク
第5試合 ウェルター級 5分3R
○ケイオス・ウィリアムズ
×ロランド・ベドーヤ
判定2-1 (27–30/29–28/29–28)
第4試合 女子ストロー級 5分3R
×マリナ・ロドリゲス(5位)
○ビルナ・ジャンジロバ(9位)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
第3試合 ヘビー級 5分3R
×ブラクストン・スミス
○パーカー・ポーター
1R 2’10” TKO
第2試合 ミドル級 5分3R
×フィル・ハウズ
○イクラム・アリスケロフ
1R 2’10” KO
第1試合 ミドル級 5分3R
×ジョセフ・ホームズ
○クラウディオ・ヒベイロ
2R 3’21” TKO
※ホームズは計量3ポンドオーバー。ヒベイロにファイトマネーの20%を譲渡