UFC 10.22 アブダビ(レポ):ヌルマゴメドフの後輩・マカチェフが圧勝でライト級王者に。来年2月にオーストラリアでヴォルカノフスキーとの王者対決へ
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UFC 280: Oliveira vs. Makhachev
2022年10月22日(土/現地時間)アラブ首長国連邦アブダビ:エティハド・アリーナ
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント UFCライト級王者決定戦 5分5R
×チャールズ・オリベイラ(元王者)
○イスラム・マカチェフ(4位)
2R 3’17” 肩固め
※マカチェフが王者に
オリベイラは21年5月のライト級王座決定戦でマイケル・チャンドラーをKOして王者となり、昨年12月にダスティン・ポイエーを下し初防衛。今年5月にジャスティン・ゲイジーとの2度目の防衛戦に臨んだが、計量0.5ポンド(227g)オーバーにより王座をはく奪され、1R裸絞めで勝利したものの王者として認められなかった。とはいえ18年から11連勝中だ。
マカチェフは元ライト級王者・ハビブ・ヌルマゴメドフとの3歳差の幼馴染で、同じくロシア・ダゲスタン出身で、現在はアメリカン・キックボクシング・アカデミー所属。15年からUFCに上がり、2戦目でプロ黒星を喫したが、以降は10連勝で、ここ1年ではダン・フッカーを1Rアームロックで、ボビー・グリーンを1Rパウンドで仕留め、ようやく初の王座挑戦にたどり着いた。セコンドにはヌルマゴメドフがつく。
1R、序盤からマカチェフがサウスポーからの左フックをヒット。イスラム教国のアブダビでの場内人気は当然マカチェフが上で、観客は盛り上がる。パンチが交錯してから、オリベイラが両脇を差して組み付くが、パワーで勝るマカチェフが潰して上になる。ブラジル人のオリベイラは足を登らせ腕十字を狙うが、マカチェフは対処して押さえ込む。中盤、マカチェフは肩固めを狙いつつ足を越えてパスしようとするが、その隙にオリベイラは脱出する。オリベイラがマカチェフを金網に押し込むが、今度はマカチェフが払い腰で倒し、またもトップポジションを取る。終盤になってもマカチェフが金網際で押さえ続け、時折パウンドと肘も当てて攻勢を印象付ける。記者採点はマカチェフ。
2R、またもオリベイラが脇を差すが、倒そうとしてもマカチェフは耐え、オリベイラを金網に押し込む。中盤、離れるとオリベイラがプレッシャーをかける側になるが、マカチェフはサウスポーで右ジャブを突き続けて距離を取り、表情も落ち着いた様子だ。するとオリベイラが二段式の膝蹴りを放った際に、マカチェフは右フックをヒット。オリベイラは腰から崩れダウンし、左まぶたからも出血する。するとマカチェフはサイドポジションを狙いながら肩固めを仕掛ける。ハーフガードの状態からサイドに足を超えて極まりが深くなると、すぐさまオリベイラはタップし、マカチェフの一本勝ちとなった。通常、勝ち名乗りの際にベルトを王者に巻くのはUFCのデイナ・ホワイト代表だが、ヌルマゴメドフがホワイト代表からベルトを受け取ってマカチェフの腰に巻き、肩車で持ち上げて称え、彼が後継者であることをアピールした。
イスラム・マカチェフがチャールズ・オリベイラからタップを引き出す#UFC280 pic.twitter.com/mKyx9F86vX
— UFC Japan (@ufc_jp) October 22, 2022
マカチェフも勝利者インタビューで「これは自分のベルトでもあり、コーチのハビブのベルトでもあります」とアピール。ヌルマゴメドフが「次はオーストラリアに行って、パウンドフォーパウンド1位の(フェザー級王者)アレクサンダー・ヴォルカノフスキーと戦います」と話し、マカチェフも同意し、客席にいたヴォルカノフスキーをオクタゴンに呼び寄せると、ヴォルカノフスキーも「やろうぜ」と承諾。来年2月12日にオーストラリア・パースで開催予定のUFC 284での王者対決が濃厚となった。
第11試合 セミメインイベント UFCバンタム級チャンピオンシップ 5分5R
○アルジャメイン・スターリング(王者)
×T.J.ディラショー(2位、元王者)
2R 3’44” TKO
※スターリングが2度目の防衛
スターリングは4月、暫定王者・ヤンとの王座統一戦で判定2-1で勝利して以来の試合。現在7連勝中だ。ディラショーはドーピング違反での2年間の出場停止を経て、昨年7月、当時2位のコーリー・サンドヘイゲンに判定勝ちした。その試合中、左膝の半月板・靭帯を断裂し、手術を経て今回復帰し、3度目の王座返り咲きを狙ったが、またも怪我に泣かされることに。
1R、開始すぐから両者スピーディーに動き、ディラショーが右の前蹴りを放つと、スターリングは足をつかんで倒して上になる。スターリングはハーフガードから登ってマウントポジションに。アームロックを狙いつつパウンドを連打する。ディラショーは防戦一方だ。中盤にはスターリングがバックに回り、裸絞めを狙いつつパウンドを度々当て、ディラショーを追い詰める。終盤になっても同様の状態が続き、残り1分、ようやくディラショーが脱出したが、すぐにスターリングは前に詰めてタックルで倒し、最後は上で押さえて終える。記者採点もジャッジ3者も10-8でスターリング。インターバル中、ディラショーのセコンドはディラショーの左肩を触っており、ドクターもチェックしている。最初に倒された際に左手をマットについた時に痛めた模様だ。
2Rが始まるが、ディラショーは左腕が上がり切らない状態で、右のパンチを振り回してスターリングの攻撃を防ぐような状態に。するとスターリングは、右ミドルを当ててから、すぐにタックルを仕掛けて倒し、またも簡単に上になる。スターリングは中央付近でハーフガードで押さえる。ディラショーの立ち際にスターリングがディラショーの首と左肩を抱え、アナコンダチョークを仕掛けながら投げるが、体勢が崩れ、スタンドに戻る。だがディラショーは左肩を気にして、レフェリーにも目をやるような状態。またもスターリングが簡単に倒し、金網際で上になると、ハーフ、マウント、バックと動いてパウンドを当て続け、ディラショーがうつぶせで防戦一方になったところでレフェリーがストップした。
第10試合 バンタム級 5分3R
×ピョートル・ヤン(1位、元王者)
○ショーン・オマリー(11位)
判定1-2 (29–28/28–29/28-29)
ヤンは暫定王者だった4月、正規王者のスターリングとの王座統一戦で判定2-1で惜敗して以来の試合。オマリーは7月のペドロ・ムニョス戦で、偶発的にオマリーの指がムニョスの目に入りドクターストップがかかり、無効試合となって以来の試合。現在3連勝、4連続負けなしの状態だ。
1R、ヤンはサウスポーで高めに構えてプレッシャーをかけ、長身のオマリーはスイッチを繰り返しながら回り続ける構図から始まる。ヤンはロー、ミドル等の蹴り、オマリーは右ストレート、ジャブ等をヒット。お互いパンチや蹴りは出すが軽めの当たりが続き、手数はなかなか伸びない。中盤にヤンがタックルを仕掛け金網に押し込むが、オマリーは突き放す。その後もヤンが圧をかけ続け、左フックの連打から再び組み付くと、今度は肩まで抱え上げてからテイクダウンに成功し、オマリーを金網際で上から押さえつける。残り30秒を切り、オマリーは脱出してスタンドに戻す。オマリーは左アッパーを少し当てるが、変わらずヤンが圧をかけ続ける。終了間際にオマリーがタックルを仕掛け、バックを取りそうになるが、すぐにヤンが脱出して終了する。記者採点はヤン。
2R、序盤から一気に試合が動く。両者オーソドックスからサウスポーに切り替えた直後、オマリーの左ストレートがクリーンヒットし、ヤンは後退する。だがヤンは耐え、右フックのフェイントから左フックを当て返して、今度はオマリーをひるませると、すぐに倒してオクタゴン中央付近で上から押さえ込む。中盤、オマリーは立ち、スタンド勝負に戻り、ヤンが圧力をかけ続け、左ミドル等を時折当てる。終盤、ヤンが右ハイを当ててからタックルでオマリーを押し込んで倒し、金網際でトップをキープして終える。記者採点はヤン。
3R、打撃戦の後、ヤンが中盤、オマリーの足を抱えて倒そうとするが、オマリーは耐える。するとオマリーは離れ際に右の膝蹴りを当て、ヤンは右のまぶたをカットする。ヤンは左フック、オマリーは左ハイを当て、激しい打撃戦に。ヤンはタックルを仕掛け、金網際で倒してまたも上で押さえる。だが終盤、オマリーは立ち上がり、これもスタンドに戻す。ヤンはそれでも左フックを当て、すぐに組み付き倒しかけるが、これもオマリーが脱出し、一歩も引かない。最後はヤンが足を掛けてオマリーを倒し、上をキープして終えるが、カットの悪印象をぬぐえず終える。記者採点はオマリー。合計29-28でヤン。ジャッジは1者が順当にヤンを支持したが、2者は意外にも1Rにオマリーにつけ、オマリーをトータルで支持し、オマリーの判定勝ちとなった。試合中、アブダビの観客から声援はオマリーの方が多かったが、この裁定には場内からもブーイングが巻き起こった。
勝ったオマリーも意外な様子で、インタビューでは「正直よくわからない。試合を見直して先のことを考えたい。王座挑戦も無くは無いだろう」と冷静に話していた。
第9試合 ライト級 5分3R
○ベニール・ダリウシュ(6位)
×マテウス・ガムロット(9位)
判定3-0 (30–27/30–27/29–28)
第8試合 女子フライ級 5分3R
×ケイトリン・チョケイジアン(1位)
○マノン・フィオロ(6位)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
※チョケイジアンは計量1.5ポンドオーバー。対戦相手のフィオロにファイトマネーの20%を譲渡
第7試合 ウェルター級 5分3R
○ベラル・ムハマッド(5位)
×ショーン・ブレイディ(8位)
2R 4’47” TKO
第6試合 ミドル級 5分3R
×マフムート・ムラドフ
○カイオ・ボハーリョ
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
第5試合 ライトヘビー級 5分3R
×ヴォルカン・オーズデミア(8位)
○ニキータ・クリロフ(10位)
判定0-3 (27-30/28-29/28-29)
第4試合 ウェルター級 5分3R
○アブバカル・ヌルマゴメドフ
×ガジ・オマルガジエフ
判定3-0 (29–28/29–28/30–27)
第3試合 ライトヘビー級 5分3R
○アルメン・ペトロシアン
×A.J.ドブソン
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第2試合 フライ級 5分3R
○ムハンマド・モカエフ
×マルコム・ゴードン
3R 4’26” 腕ひしぎ十字固め
第1試合 女子バンタム級 5分3R
○カロル・ロサ(9位)
×リナ・ランズバーグ(12位)
判定2-0 (29–27/29–27/28–28)