UFC 5.9 フロリダ:無観客でUFC再始動。ゲイジー、ファーガソンとの打撃戦制し「ヌルマゴメドフと戦いたい」。セフード、クルーズ退け引退表明
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UFC 249 : Ferguson vs Gaethje
2020年5月9日(土/現地時間) 米国フロリダ州ジャクソンビル:VyStarベテランズ・メモリアル・アリーナ(無観客開催)
レポート:井原芳徳
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、UFCは3月14日ブラジル・ブラジリアでの無観客大会を最後に、3月21日のロンドン大会からの3大会を中止していたが、5月9日(土)の「UFC 249」を皮切りに、13日(水)と16日(土)と立て続けに3大会を無観客で開催する(いずれも現地時間)。
1週間3大会の開催地、米国フロリダ州は4月14日、無観客の条件付きでプロスポーツの配信を「必要な事業」として認可し、24日にUFCがフロリダでの3大会の開催を発表した。米国のリングサイド医師会(ARP)は4月時点では格闘技の無期限延期を求めていたが、各地で外出規制が緩和され始めていることを受け、「ウイルスのリスクを完全に排除するのは不可能だが、予防策を取れば感染のリスクを減らせる」「多くのスポーツ委員会や組織団体、プロモーターが新たなガイドライン作成に取り組み、選手や陣営、協会関係者、サポートスタッフなど、イベントに関わるすべての人がウイルスにさらされる確率を減らそうとしている」等と5月4日に発表し、UFC開催を事実上容認した(参照・AFP通信)。今大会の中継ではドナルド・トランプ大統領の祝辞も放送され、行政・医療の両方面からお墨付きをもらった形となる。
だが、プレリミナリーのミドル級・ユライア・ホール vs. ジャカレ・ソウザは、ジャカレとセコンド2名が新型コロナウイルスの陽性反応が出たため、前日計量後に試合中止が発表された。ジャカレがフロリダに来る前、家族が感染していたという。ジャカレとセコンド2名は無症状とのことだが、選手たちが泊まるホテルから既に隔離され、当面UFCの医師団からの診療等を受ける。
Welcome to #UFC249!pic.twitter.com/T2F3vdFS6M
— UFC (@ufc) May 9, 2020
それでも大会自体は予定通り行われた。会場はいつものように広いアリーナの中央にケージが設置され、照明や場内のモニターはいつも通り設置され、入場などの進行もいつも通り。だが、ケージ周辺にはセコンド、運営・撮影のスタッフしかおらず、スタッフやマスコミのカメラマンやオクタゴンガールの人数も減らされ、大半の人達がマスクを着用。客席には観客はおらず、静まりかえった会場の中で試合は粛々と進む。生中継では歓声の代わりか?画面の左下に中継を見ている選手や関係者のツイートが随時表示されていた。
第11試合 メインイベント UFCライト級暫定王座決定戦 5分5R
×トニー・ファーガソン(1位、元暫定王者)
○ジャスティン・ゲイジー(4位)
5R 3’39” TKO (レフェリーストップ:左ストレート)
※ゲイジーが暫定王者に
今回のUFC 249は元々、4月18日にニューヨークで予定されていた。メインイベントではライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフにトニー・ファーガソンが挑戦する予定だったが、ヌルマゴメドフがロシアから出国できず、ファーガソンと同じ米国人のゲイジーとの暫定王座決定戦に変わった。
ファーガソンは13年のマイク・リオ戦以降12連勝中。17年にケビン・リーに勝利し暫定王者となるが、18年のヌルマゴメドフとの王座決定戦の前に負傷し、暫定王座を剥奪された。その後もアンソニー・ペティス、ドナルド・セラーニ相手に連勝している。ゲイジーは17年のUFC参戦当初はエディ・アルバレス、ダスティン・ポイエーに連続KO負けしたが、以降はジェームズ・ヴィック、エジソン・バルボーザ、セラーニを1Rで粉砕している。
1R、ファーガソンがスイッチを繰り返し、少し斜めに構えるようなトリッキーな動きも織り交ぜ、リーチを活かしストレートやアッパーを当て、足払いも駆使する。だがファーガソンの打ち終わりで、ゲイジーも左フックを返して随所で当て、危険なムードを漂わせる。終盤にかけ、ゲイジーのパンチのヒットが目立つように。記者採点はゲイジー。
2R、ゲイジーは変わらず左フックを当てつつ、中盤からは右のパンチ、右ローも絡めるように。ファーガソンは崩れないが、攻撃を当てられず、顔面からも出血し、印象が悪い。しかし終了間際、ファーガソンが左アッパーをクリーンヒットし、ゲイジーはダウンするが、ブザーに救われる。記者採点はファーガソン。
3R、ゲイジーは持ち直し、2分過ぎに右フックを当てると、ファーガソンは少しふらつく。終盤、ファーガソンは水面蹴りを当てるが、流れは変えられない。記者採点はゲイジー。
4Rもスタンドのボクシングが続き、中盤、ゲイジーの右フックが炸裂し、またもファーガソンがひるむ。ファーガソンは右目がふさがっている模様だ。ゲイジーの右ローで、ファーガソンの足取りがぎこちなくなる場面も。記者採点はゲイジー。
5Rもゲイジーが随所で左右のパンチを当て、優勢をキープする。ファーガソンは時折ひるみ、なんとか持ちこたえていたが、ダメージが溜まっているのは隠せない。すると終盤、ゲイジーが左ストレートを当て、ファーガソンが顔をそむけ、首を振って半身で金網際まで後退する。ゲイジーが左ジャブから追い打ちをかけたところで、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。
勝ち名乗りを受けたゲイジーは、UFCのデイナ・ホワイト代表から暫定王座のベルトを巻かれるが、勝利者インタビューの前にベルトを外しでマットに捨て、「本物が欲しい」と一言。「今日は楽しめた。世界最高の試合ができた。ロシアも強いけど、米国を代表し、ヌルマゴメドフと戦いたい」と王座統一戦を熱望した。
第10試合 セミメインイベント UFCバンタム級タイトルマッチ 5分5R
○ヘンリー・セフード(王者)
×ドミニク・クルーズ(元王者)
2R 4’58” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※セフードが初防衛
セフードは18年にデメトリアス・ジョンソンを下してフライ級王者になり、昨年1月にTJ・ディラショーを下し初防衛。6月にはマルロン・モラエスとのバンタム級王座決定戦で勝利し、2階級制覇を達成した。クルーズはWEC時代に2度、UFCで通算3度バンタム級王座を防衛。16年12月、コーディ・ガーブラントに敗れバンタム級王座から陥落。17年11月、18年12月に試合が組まれたが、いずれも怪我で欠場し、ガーブラント戦以来3年半ぶりの試合となるが、過去の実績が買われ、いきなり王座戦が用意された。現在35歳だ。
1R、セフードは中央から圧をかけ、スイッチを繰り返すクルーズに対し、時折右のローを強打する。中盤、クルーズが左テンカオを当てると、セフードは足をつかんで倒すが、すぐクルーズは立つ。その後もセフードが着実にローを当てる。お互い攻撃は少ないが、主導権はセフードが握り続けている。
2Rも同じ構図で、セフードはヒット自体は少ないもののパンチの比重を高めて随所で当て、主導権を維持する。クルーズもトリッキーに動き続け、パンチを振るうが、思うように当てられない。
すると終盤、バッティングでセフードが額から出血し、ドクターチェックを受ける。再開後、10秒前の拍子木が鳴ると、クルーズが右アッパーを空振りさせてから足元へのタックルを狙うが、セフードは右の膝蹴りをクルーズのアゴにクリーンヒット。クルーズは真後ろにダウンし、セフードは金網際で背後から押さえて左のパウンドを連打すると、レフェリーがストップした。クルーズはキャリア初のKO負け。ストップ直後、両手を広げ、インタビューでも不満を述べたが、ストップは妥当な範囲内だろう。
セフードは「33歳まで満足いくキャリアを送ることができました。これで引退します。トリプルC(レスリングの北京五輪の金メダルとの3冠Champion)はここで幕を閉じます」と表明した。
第9試合 ヘビー級 5分3R
○フランシス・ガヌー(2位)
×ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(6位)
1R 0’21” KO (左フック)
3月28日のオハイオ大会のメインイベントで予定され、スライドされた一戦。ガヌーはスティーペ・ミオシッチとデリック・ルイスに連敗後、カーティス・ブレイズ、ケイン・ヴェラスケス、ジュニオール・ドス・サントスを1Rで粉砕し、着実に王座再挑戦に近づいている。
ホーゼンストライクは今大会の地元フロリダのATT所属。18年5月のRIZINでアンドレイ・コヴァレフに判定勝ち。昨年からUFCに参戦し4戦ともKO勝ちし、プロデビュー以来の連勝を10に伸ばしている。
ヘビー級のイキのいいハードパンチャー同士の対戦として注目が集まったが、ガヌーが格の違いを見せる結果に。1R開始まもなく、ガヌーが左ボディを軽く当てた後、右の大振りのフックを振りながら前に出て、左右のフックを振り回すと、真っすぐ下がったホーゼンストライクに左フックをクリーンヒット。ダウンしたホーゼンストライクは金網を背にして座った状態で意識を失い、ガヌーが衝撃的な形で快勝した。
第8試合 フェザー級 5分3R
×ジェレミー・スティーブンス(7位)
○カルヴィン・ケーター(9位)
2R 2’42” TKO
※スティーブンスは前日の公式計量で4.5ポンド(約2kg)オーバー
第7試合 ヘビー級 5分3R
○グレッグ・ハーディ
×ヨルガン・デ・カストロ
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第6試合 ウェルター級 5分3R
○アンソニー・ペティス(15位)
×ドナルド・セラーニ(ライト級6位)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第5試合 ヘビー級 5分3R
○アレクセイ・オレイニク(12位)
×ファブリシオ・ヴェウドゥム
判定3-0 (29-28/28-29/29-28)
第4試合 女子ストロー級 5分3R
×カーラ・エスパルザ(7位)
○ミシェル・ウォーターソン(8位)
判定1-2 (27-30/30-27/29-28)
第3試合 ウェルター級 5分3R
○ビセンテ・ルーケ(13位)
×ニコ・プライス
3R 3’37” TKO (ドクターストップ:パンチによる右まぶたの負傷)
第2試合 フェザー級 5分3R
○ブライス・ミッチェル
×チャールズ・ローザ
判定3-0 (30-25/30-25/30-24)
第1試合 ライトヘビー級 5分3R
〇ライアン・スパン
×サム・アルビー
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)