ONE 9.22 ジャカルタ:松嶋こよみ、元王者ガフロフを1R KO。内藤のび太と若松佑弥は判定負け。ロッタン圧勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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ONE: CONQUEST OF HEROES
2018年9月22日(金) インドネシア・ジャカルタ・コンベンションセンター
レポート:井原芳徳 photos by ONE Championship
第12試合 メインイベント ONEストロー級(56.7kg)チャンピオンシップ 5分5R
×内藤のび太[内藤禎貴](パラエストラ松戸/王者)※初防衛戦
○ジョシュア・パシオ[Joshua Pacio](フィリピン/挑戦者)
判定0-3
※パシオが新王者に
内藤は5月のジャカルタ大会でアレックス・シウバとの寝技合戦を制し判定2-1で勝利し、王座奪還に成功。試合終盤にはインドネシア人の観客からも「のび太」コールが起こったが、初防衛戦でまたもジャカルタの地に立つ。
パシオとは16年10月、前回ベルトを保持していた時の初防衛戦で対戦。当時8戦全勝の20歳の新鋭だったパシオの打撃に耐え、しつこくタックルを続け、3Rに一瞬の隙を突いてチョークでタップを奪取している。その後のパシオはタイ人のデェダムロンに勝利した後、昨年8月のマカオ大会で鈴木隼人に1R裸絞めで一本負けを喫したが、その後は3試合とも一本かKOで勝利。2年間の成長を内藤にぶつける。ちなみに鈴木は11月にアレックス・シウバに1R腕十字で敗れ、王座挑戦から後退したが、続く1月の試合ではブラジル人選手に裸絞めで勝利している。
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1R、パシオは開始間もなくから右ローを強打。内藤はタックルを仕掛けるが切られ続ける。パシオは左フックも当て、中盤に右ミドルを当てると、内藤はひるむ。内藤はタックルでごまかすが、パシオは切り、背後から制す。残り1分、スタンドに戻り、内藤はタックルを繰り返すが切り続ける。
2Rもパシオが右ミドル、右ローを当て、内藤のタックルも潰してスタンドに戻す。それでも内藤はタックルに行くが、パシオは切ってバックに回り込む。内藤も動いて上になろうとするが、パシオは逆に上になり、寝技の向上を印象付ける。しかし内藤はしぶとく、終盤はトップポジションをキープし、クロールのように腕を振り回し、当たらないがパウンドを連打。少しずつ流れを変える。
3Rは内藤が一発目のタックルでテイクダウンに成功。しばらくトップキープする。パシオに脱出されても、すぐ内藤はタックルでテイクダウンし、トップに戻る。中盤、パシオが引っ繰り返し、内藤の頭に膝を当てるが、バランスが悪くなり、その隙に内藤は脱出し、またもトップキープ。2分近く上になっており、完全に流れは内藤に傾いている。
4R、スタンドでの打撃戦が続くが、2分経過時に内藤がタックルでテイクダウンに成功し、トップをキープ。マウントを取ろうとすると脱出を許すが、すぐタックルで倒してグラウンドに引きずり戻し、ハーフガードから肩固めのプレッシャーをかける。内藤はトップポジションになり、パウンドをガムラシャラに振り回し、最後はマウントを奪って終える。
5R、スタンドの攻防の後、1分で内藤がタックルを仕掛け、少し下になりかけるが、返してトップに。いったん立たれてもすぐ倒し、サイドを奪う。逆サイド、トップにも行き来し、パシオもアームロックを狙うが、内藤は振りほどいで、その後もコントロール。終盤にはバックマウントを奪い、最後はマウントになりかけて終了する。
ONEはラウンド毎の採点は無く、試合全体でフィニッシュにより近づいた選手のほうが評価される。1Rにパシオが打撃で内藤を追い詰め、2R中盤までパシオペースだったが、以降は内藤が主導権を握り続け、序盤の悪印象を帳消しにできたと考え、記者は内藤が勝ちだと思った。しかしジャッジは3者とも帳消しとはみなさず、1Rに内藤を追い詰めたパシオを支持した。内藤はテイクダウンは何度もしたものの、そこから先のパウンドのヒットや関節技・絞め技で、はっきりとパシオを追い詰める場面を作れなかったことが敗因となった。勝ったパシオは負けと思っていたか?驚いた様子だったが、ONEで戦い慣れた内藤は、負けの理由を理解した様子でうなずいていた。
第10試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×セルジオ・ヴィールセン(スリナム)
○ロッタン・ジットムアンノン(タイ/ルンピニー認定スーパーフェザー級(59kg)1位、ラジャダムナン同級1位)
判定0-3
6月のRISEで那須川天心を追い詰めたタイのトップ選手・ロッタンが登場。ヴィールセンはRISEで11~13年に山本真弘、小宮山工介に敗れているが、その後も世界各地の大会でコンスタントに戦っている。5月にONEに初参戦し、タイの強豪・サムエーに4R肘でTKO負けしている。
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両者オープンフィンガーグローブを着用。1R、ロッタンがプレッシャーをかけ、パンチの連打を時折ヒット。パンチの連打からの右ハイや崩しも決め、ガードの隙間から右ストレートを当てた後、左フックでダウンを奪う。薄いグローブだと、破壊力がより増している印象だ。
2R、ヴィールセンも積極的にパンチと蹴りを放つが、ロッタンはかわし、前蹴り一発で吹き飛ばす。ロッタンは右の前蹴り、右ボディも効かせ、ヴィールセンを下がらせる。
3Rもロッタンが圧力をかけ続けた後、中盤からは前蹴りを多用して突き放し続け逃げ切りモードに。終盤にはダメ押しの左フックでのダウンも奪って終了。ロッタンが安定した強さを見せつけ完勝した。
第9試合 フライ級(61.2kg) 5分3R
×若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A/パンクラス・フライ級1位)
○ダニー・キンガド[Danny Kingad](フィリピン)
判定0-3
若松は95年2月9日生まれの23歳。パンクラスで15年にMMAプロデビューし、16年のネオブラッドトーナメントで優勝しMVPも獲得。昨年は上嶋佑紀、古間木崇宏、翔兵をいずれも2R以内に粉砕。10戦9勝1敗で迎えた今年2月の仙三とのパンクラス・フライ級タイトルマッチでは5Rに散ったものの、死闘で観客を沸かせた。7月1日のパンクラスでマモルに2R TKO勝ちした後、ONEへの参戦を希望。この試合はONEのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOも生観戦し「佑弥はすぐチャンピオン、スターになれます」「絶対コントラクト(=契約)します」と話していた。
対するキンガドはMMA 10勝1敗で、ONEでも5勝1敗の注目株。内藤と戦うパシオと同じフィリピンの名門・チーム・ラカイに所属する。昨年11月、アドリアーノ・モラエスの王座に挑戦したが、1R裸絞めでプロ初黒星を喫した。その後は今年に入り2連勝中。現在のフライ級王者はキンガド同門のジェヘ・ユスタキオで、若松が勝てば王座挑戦に大きく近づくことになるだろう。
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1R、若松はケージの中を広く使って回り、右ロー一発でキンガドをふらつかせる。ジャブ、出入りのフェイントが素早く、一気に詰めて右ストレートでキンガドをダウンさせる。キンガドはすぐ立つが、鼻ら出血している。若松がプレッシャーをかけ続け主導権を維持するが、左ストレートのタイミングでキンガドがタックルを仕掛けて倒すと、流れが変わり始める。若松は立ち上がり、この後のタックルも倒されてからすぐ立つが、残り1分を切り、キンガドがタックルでまたもテイクダウンに成功。キンガドはバックを取り裸絞めを仕掛ける。若松は腕をつかんで外してスタンドに戻して終える。
2R、若松がプレッシャーをかけ続けるが、なかなかヒットにつなげられない。中盤、キンガドがタックルを仕掛けると、若松は切って逆に押し込む。離れ際にパンチをもらうが当たりは浅い。キンガドは若松の前足を狙って横蹴りを当て続ける。いわゆる関節蹴りで、通常の右ローも当たり出し、若松は少し足を引きずるように。
3R、キンガドがタックルを仕掛けるが、若松は切って、膝立ちのキンガドの背後にしがみつく。スタンドに戻ると、またもキンガドがタックルを仕掛け、これも切られるが、キンガドの積極性が目立つ展開に。若松は圧力をかけてパンチを狙うが、少し距離が遠い。残り1分、パンチのフェイントからタックルを仕掛けるが、キンガドは切って逆に若松を投げ倒す。若松が立っても再び投げ倒し、バックマウントを奪取。最後に若松が振りほどいてパウンドを少し当てるが終了のゴングが鳴る。
記者採点はキンガド。1Rは若松の打撃とキンガドのバックコントロールで五分だが、2Rはキンガドの関節蹴り、3Rはキンガドの終盤のテイクダウンが有効と判断した。ジャッジ3者もキンガドを支持。若松は敗れたものの、残り1分まで逆転の可能性を残す好勝負を繰り広げ、素質の高さを改めて印象付けた。
第8試合 フェザー級(70.3kg) 5分3R
○松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜/パンクラス・フェザー級4位)
×マラット・ガフロフ(ウクライナ/元ONE王者)
1R TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
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松嶋は92年10月8日生まれの25歳。子供の時から空手、レスリング、柔道を習い、2015年に修斗でプロデビューし新人王を獲得。昨年、AACCから北岡悟代表のパンクラスイズム横浜に移籍し、パンクラスで内村洋次郎、粕谷優介、カイル・アグオンに判定勝ち。4月15日のパンクラスのフェザー級暫定王座決定戦でISAOと対戦したが、1Rにグラウンド状態のISAOの顔面に膝を当てる反則を犯し失格となっている。6月にONEと契約を結んだことが発表されていた。
ガフロフは元ONEフェザー級王者で、横田一則、ジャダンバ・ナラントンガラグに裸絞めで一本勝ちし2度王座防衛しているMMA 17戦16勝(1KO/12一本)1敗の強豪だ。並ぶと体付きが松嶋より1回り大きい印象だ。
1R、スタンドの間合いで、松嶋がコツコツと右ローを当て、タックルで倒すが、ガフロフは下から松嶋の腕をつかんで関節技を狙い、松嶋はすぐ反応して立ち上がる。お互いプレッシャーを交互に掛け合う展開の中で、ガフロフが圧力をかけ、左ローを当てて前に詰めて来るが、松嶋がサウスポーにスイッチしながら下がって右フックをクリーンヒット。不意を打たれたガフロフが腰から崩れ落ちる。松嶋は頭への膝蹴りも織り交ぜてパウンドラッシュし、ガフロフの動きが止まったところで島田レフェリーがストップした。元王者に快勝したことで、松嶋が王座戦にさっそく大きく近づいた。
第7試合 ライト級(77.1kg) 5分3R
○サイード・フセイン・アザラナリエフ[Saygid Guseyn Arslanaliev]
×ティモフィ・ナシューヒン[Timofey Nastyukhin]
1R TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)