新極真会 10.5-6 東京体育館(レポ):多田成慶、新鋭・遠田竜司を決勝で下し全日本初優勝。鈴木未紘、’22全日本 ’23世界 今年のJFKOとKCCに続きまたも優勝
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全世界空手道連盟 新極真会「骨髄バンクチャリティー 第56回オープントーナメント 全日本空手道選手権大会」
2024年10月5日(土)6日(日)東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
フルコンタクト空手の大手・新極真会は、秋に年間最大の体重無差別の大会を開催し、4年に1度、世界大会を行い、ほかの3年は全日本大会を開催するのが恒例となっている。昨年10月の世界大会では、入来建武がヴァレリー・ディミトロフを決勝で破り男子優勝を果たし、女子では鈴木未紘が父・国博に続く世界制覇を成し遂げた。入来はこの優勝を最後に引退。男女とも次回2027年の世界大会に向けての争いが始まっている。
一方で新極真会は、新たに男女各8選手による体重無差別ワンデートーナメント「空手 Champion of Champions(略称:KCC)」を今年7月に初開催した。通常の大規模トーナメントは2日かけて争われ、途中にダメージを負い自滅する強豪選手も少なくない。KCCは男女各8名のため、決勝まで比較的ダメージが少ない状態で戦えるのが特徴で、男子は新鋭の岡田侑己、女子は世界大会覇者の鈴木が制した。(KCCは今後2年に1回開催予定)
今年の秋の全日本大会の男子にはKCCを制した岡田侑己、今年5月の体重別のJFKO全日本大会で優勝した渡辺優作、21年の全日本準優勝の多田成慶、昨年世界大会で7位の遠田竜司らがエントリーした。女子は世界大会優勝者の鈴木、準優勝の網川来夢、3位の目代結菜、4位の藤原桃萌の4強が揃い踏みした。多田と遠田以外は7月のKCCにも出場していた。またKCCに出たマレック・ヴォルニー(ポーランド)も今回の全日本に参加した。
男子は71名、女子は30名がエントリー。2日に渡って争われ、初日は2回戦まで、最終日の2日目は3回戦から決勝まで行われた。男子は6~7試合、女子は4~5試合を勝たなければ優勝できない。試合時間は男子は4回戦以上は本戦3分。それ以外のラウンドは2分。男子は4回戦から、女子は準々決勝から再延長以降あり。
男子:多田成慶、新鋭・遠田竜司を決勝で下し全日本初優勝
4回戦
○渡辺優作(世田谷・杉並支部/2024 KCC 3位、2023世界8位、2023 JFKO全日本重量級優勝)
×前平斗真(福岡支部/2024 JFKO全日本軽中量級優勝)
本戦5-0
4回戦
○前田勝汰(和歌山支部/2016全日本3位、2017全日本3位)
×古本翔基(広島支部)
本戦4-0
4回戦
×落合奏太(栃木支部)
○塚本慶次郎(世田谷・杉並支部/2024 JFKO全日本中量級3位)
本戦 2’15” 胴廻し回転蹴り
4回戦
×吉澤穂高(東京城南川崎支部/2024 JFKO全日本中量級準優勝)
○多田成慶[なりよし](福岡支部/2024 JFKO全日本重量級準優勝、2022世界軽重量級準優勝、2021全日本準優勝)
延長0-5 本戦0-2
4回戦
○遠田竜司(東京江戸川支部/2023世界7位)
×大坪裕希(福岡支部)
本戦5-0
4回戦
×マレック・ヴォルニー[Marek Wolny](ポーランド/2023欧州軽重量級優勝、2022欧州優勝)
○後藤優太(空手道MAC/2022全日本準優勝)
本戦0-5
4回戦
×金岡陽大(川崎東湘南支部/2024 JFKO全日本軽重量級優勝)
○髙橋耕介(世田谷・杉並支部)
再延長0-5 延長0-2 本戦0-2
4回戦
×渡辺和志(世田谷・杉並支部/2024 JFKO全日本軽重量級3位)
○岡田侑己(和歌山支部/2024 KCC優勝、2023世界5位)
本戦0-5
準々決勝
×渡辺優作(世田谷・杉並支部/2024 KCC 3位、2024 JFKO全日本重量級4位、2023世界8位、2023 JFKO全日本重量級優勝)
○前田勝汰(和歌山支部/2016全日本3位、2017全日本3位)
本戦0-5
31歳のベテラン前田が本戦中盤、左のミドルを効かせると、突きの連打で渡辺を下がらせる。防戦の渡辺は抱え込みの反則を繰り返してしまい、注意の累積で減点となり、前田の勝利となった。
準々決勝
×塚本慶次郎(世田谷・杉並支部/2024 JFKO全日本中量級3位)
○多田成慶[なりよし](福岡支部/2024 JFKO全日本重量級準優勝、2022世界軽重量級準優勝、2021全日本準優勝)
本戦0-5
塚本慶次郎は96年・11年の世界大会を制した塚本徳臣氏の長男で18歳。4回戦で胴廻し回転蹴りで一本勝ちし、準々決勝でも距離を取って回って飛び技を多用する。だが体格で勝る多田に押され気味で、空振りが続き、度々場外に出てしまう。多田は随所で右ローを当て、若干優位に進め、本戦で勝利した。
準々決勝
○遠田竜司(東京江戸川支部/2023世界7位)
×後藤優太(空手道MAC/2024 JFKO全日本重量級3位、2022全日本準優勝)
本戦3-0
両者体をくっつけ、突きとローを当て合い、接戦が続くが、終盤に18歳の新鋭・遠田がギアを上げてラッシュを続けて好印象を残し判定勝ちした。
準々決勝
×髙橋耕介(世田谷・杉並支部)
○岡田侑己(和歌山支部/2024 KCC優勝、2023世界5位)
本戦0-5
前に出る19歳の新鋭・高橋に対し、KCC覇者の岡田は左右の細かいステップでかわしつつ、バックスピンキックや胴廻し回転蹴りで応戦する。終盤には左右の膝、突きのヒットを増やし、回転技も絡めて翻弄し、難なく準々決勝を突破した。
準決勝
×前田勝汰(和歌山支部/2016全日本3位、2017全日本3位)
○多田成慶[なりよし](福岡支部/2024 JFKO全日本重量級準優勝、2022世界軽重量級準優勝、2021全日本準優勝)
本戦0-5
多田が接近戦で左右のローを、前田の両足の外・内に自在に度々当てる。突きの打ち合いでも上回り、多田が決勝に進んだ。
準決勝
○遠田竜司(東京江戸川支部/2023世界7位)
×岡田侑己(和歌山支部/2024 KCC優勝、2023世界5位)
本戦4-0
岡田が回って距離を取りながら随所で右ボディを強打していたが、中盤過ぎ、遠田が左ミドルを効かせると、左右の突きの連打で岡田を場外まで後退させ、好印象を作る。
終盤の打ち合いで岡田も持ち直し、バックスピンキックも当てたが、中盤の悪印象をぬぐえず。遠田が4者から支持され判定勝ちし、優勝候補の一角を崩して決勝に進んだ。
3位決定戦
×前田勝汰(和歌山支部/2016全日本3位、2017全日本3位)
○岡田侑己(和歌山支部/2024 KCC優勝、2023世界5位)
本戦0-5
※岡田が3位、前田が4位
和歌山支部同士の戦いとなり、どちらも譲らぬ突きとローの攻防を繰り広げる。だが終盤、後輩の岡田の胴廻し回転蹴りが炸裂し、前田はひるみ、審判4者が旗を上げ技有りに。これが決め手となり、岡田が判定勝ちで3位となった。
決勝
○多田成慶[なりよし](福岡支部/2024 JFKO全日本重量級準優勝、2022世界軽重量級準優勝、2021全日本準優勝)
×遠田竜司(東京江戸川支部/2023世界7位)
延長4-0 本戦2-0
※多田が優勝、遠田が2位
ローの蹴り合いから始まり、中盤から多田のローのヒットが増え、遠田は劣勢に。だが終了間際、遠田は左ハイを当て、一矢報いる。これが評価されたようで、3者はドローとする。
延長戦、遠田は序盤からサウスポーからの左ミドルを連打し、ハイにつなげ、逆転を狙う。しかし受けきった多田は、中盤から右のローの連打で怒涛の反撃に持ち込み、遠田はほとんど攻撃が返せなくなる。最後にまたも遠田が左ハイを放って場内を沸かせたが、ここまでの悪印象はぬぐえず、審判4名が多田を支持し、多田の初優勝となった。
優勝:多田成慶
準優勝:遠田竜司
3位:岡田侑己
4位:前田勝汰
5位:塚本慶次郎
6位:渡辺優作
7位:後藤優太
8位:髙橋耕介
技能賞:塚本慶次郎
敢闘賞:落合奏太
女子:鈴木未紘、’22全日本 ’23世界 今年のJFKOとKCCに続きまたも優勝
準々決勝
○網川来夢[あみかわ らむ](福岡支部/2024 JFKO全日本軽重量級3位、2023世界準優勝)
×渡部はるあ(蒼天塾)
本戦4-0
準々決勝
×漢 藍理(佐賀筑後支部/2024 JFKO全日本重量級3位)
○目代結菜(東京城南川崎支部/2024 JFKO全日本軽重量級準優勝、2023世界3位、2022世界重量級3位)
延長0-3 本戦0-1
準々決勝
○藤原桃萌[もも](福岡支部/2024 KCC準優勝、2024 JFKO全日本重量級準優勝、2023世界4位)
×漢 鈴那(佐賀筑後支部/2024 JFKO全日本中量級2位)
本戦5-0
準々決勝
×水谷 恋(久保田道場/2024 JFKO全日本中量級優勝)
○鈴木未紘[みひろ](厚木・赤羽支部/2024 KCC優勝、2024 JFKO全日本重量級優勝、2023世界優勝、2022全日本優勝)
本戦5-0
準決勝
×網川来夢[あみかわ らむ](福岡支部/2024 JFKO全日本軽重量級3位、2023世界準優勝)
○目代結菜(東京城南川崎支部/2024 JFKO全日本軽重量級準優勝、2023世界3位、2022世界重量級3位)
最終延長1-4 再延長0-1 延長0-0 本戦0-0
女子のベスト4は昨年の世界大会と同じ顔ぶれに。網川と目代は5月のJFKO軽重量級準決勝で対戦し目代が勝利している。
本戦ではお互い譲らぬ展開で延長へ。目代がサウスポーからの左ミドル、網川は右膝、ローが少し目立つが、そこでも差がつかず再延長へ。
同様の攻防の中で、最後に突きの打ち合いとなるが、ここでも差がつかず、体重判定に。8kg以上の差があれば軽いほうが勝者となるが、網川が65.8kg、目代は65.4kgと僅差で、最終延長へ。
最終延長でもほとんど差はなかったが、わずかに突きの手数で上回った目代を4者が支持し判定勝ちした。
準決勝
×藤原桃萌[もも](福岡支部/2024 KCC準優勝、2024 JFKO全日本重量級準優勝、2023世界4位)
○鈴木未紘[みひろ](厚木・赤羽支部/2024 KCC優勝、2024 JFKO全日本重量級優勝、2023世界優勝、2022全日本優勝)
最終延長1-4 再延長0-2 延長0-0 本戦0-0
両者はここ半年で3度対戦し、5月のJFKO重量級決勝では鈴木が延長で勝利し、KCC準決勝では鈴木が再延長の末に勝利している。
今回も接戦となり、本戦、終始体をくっつけ、突きを打ち合い、ローも絡めるが、均衡崩れず延長へ。
延長も同様の攻防で差がつかない。再延長でも突きと膝を激しく打ち合うが差がつかない。
体重判定も8kg未満の差のため最終延長へ。ほぼ互角の状態が続き、藤原も膝を度々当てて奮闘したが、審判は4者が鈴木を支持し、鈴木が決勝に進んだ。
3位決定戦
×網川来夢[あみかわ らむ](福岡支部/2024 JFKO全日本軽重量級3位、2023世界準優勝)
○藤原桃萌[もも](福岡支部/2024 KCC準優勝、2024 JFKO全日本重量級準優勝、2023世界4位)
本戦0-5
※藤原が3位、網川が4位
福岡支部勢同士の戦いとなり、体格で勝る藤原が、中盤から突きとローのヒットを増やして押す展開を続け判定勝ちした。
決勝
×目代結菜(東京城南川崎支部/2024 JFKO全日本軽重量級準優勝、2023世界3位、2022世界重量級3位)
○鈴木未紘[みひろ](厚木・赤羽支部/2024 KCC優勝、2024 JFKO全日本重量級優勝、2023世界優勝、2022全日本優勝)
最終延長0-5 再延長1-2 延長0-0 本戦0-2
※鈴木が優勝、目代が準優勝
両者準決勝が長期戦となったため動きは重いものの、中盤から鈴木が圧を強めて目代を下がらせ、突き主体で優位に立つ。とはいえ詰め切れず、2者からの支持に留まり延長へ。
すると目代も攻撃を増やし、鈴木は胸をつけての攻撃で注意されるが、最後は鈴木がやや優位で終え、再延長へ突入する。
再延長でも鈴木は胸をつけての攻撃で注意されるが、一進一退の攻防で若干優位に。とはいえ目代も巻き返して場内を沸かせる。判定は1名が目代、2名が鈴木、2名がドローで、ここでも決着がつかず、両者とも準決勝に続いて体重判定に。目代は65.2kg、鈴木は71.8kgで、8kg未満の差のため最終延長へ。
最終延長でも僅差だったが、鈴木が左右の膝を絡め、やや手数多く攻め、審判全員から支持され判定勝ちし優勝した。鈴木はこれで22年の全日本、昨年の世界に続き、体重無差別大会3連覇を果たした。
優勝:鈴木未紘
準優勝:目代結菜
3位:藤原桃萌
4位:網川来夢
技能賞:村上莉菜
敢闘賞:漢 藍理
型部門
男子優勝 田中健太(大阪神戸湾岸支部/2023世界3位)
女子優勝 田中利奈(岡山東支部/2023世界優勝)
演武
昨年の世界大会男子優勝の入来建武が、7月のKCCに続き氷柱割りを成功させた。