Fighting NEXUS 8.25 ニューピア(レポ):ダブル王座戦は三角絞めの競演。横山武司、網膜剥離手術経て1年ぶり復帰戦で1R快勝。河村泰博も1R完勝し「もう一回RIZINに喧嘩売りに行く」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
現場で役立つ格闘技医学を研究/公開/実践中!
Fighting NEXUS vol.36 ~ 初代ミドル級王者決定トーナメント準決勝 ~
2024年8月25日(日) 東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
横山武司、網膜剥離から1年ぶり復帰戦で1R一本勝ち
第12試合 ダブルメインイベント2 Fighting NEXUSフェザー級チャンピオンシップ 5分3R
○横山武司(Swells柔術ジム/王者)
×岸野“JUSTICE”紘樹(トイカツ道場/挑戦者、ライト級王者)
1R 1’25” 三角絞め
※横山が初防衛
横山はブラジリアン柔術の強豪で、19年のJBJJF全日本選手権黒帯アダルト・フェザー級優勝。22年2月にMMAプロデビューし、11月のNEXUS初の後楽園大会のメインイベントで山本空良に判定勝ちしNEXUSフェザー級王者となる。5月大会でRIZINに初参戦すると、山本琢也に1R腕十字で一本勝ち。9月のRIZINでは計量0.2kgオーバーの摩嶋一整と対戦し判定負けし、MMA 6戦目で初黒星を喫した。その1ヶ月後、網膜剥離となり、手術を経て約1年ぶりに復帰する。
岸野は12年にMMAデビューし、DEEP、ZSTに上がりつつ、15年からNEXUSに参戦。22年からの5戦は全てNEXUSで、現在4連勝中。昨年8月の後楽園大会ではジェイク・ウィルキンスとの初代ライト級王者決定戦で判定勝ち。今年2月のフェザー級王座挑戦者決定戦で村井和道に判定勝ちした。
横山のセコンドには佐藤将光がつく。試合は横山の完勝に。1R、両者サウスポーで構え、横山が左ローを当て、さらに右ハイを放つ。岸野が腕を上げてブロックすると、横山はすぐさまこれをフェイントにしつつ、片足タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。
横山はすぐに岸野の頭に飛びついて引き込んで下になると、三角絞めを極める。岸野は対処できず、最後は横山がアームバーも仕掛けつつ絞め落とし、梅田レフェリーがストップした。
マイクを持った横山は「去年9月に総合で初めて負けた後 網膜剥離の手術して、どん底に落ちましたが、復帰できました」と話し、関係者や仲間に感謝の言葉を述べ、「特にお礼言いたい、嫁。2か月前に子供が生まれて、肉体的にも精神的にも負担の多い中、これまで以上にサポートしてくれて感謝しています」とも話し、最後は「格闘技最高、NEXUS最高」とアピールした。
河村泰博も1R勝利し「もう一回RIZINに喧嘩売りに行く」
第11試合 ダブルメインイベント1 Fighting NEXUSバンタム級チャンピオンシップ 5分3R
○河村泰博(和術慧舟會AKZA/王者、パンクラス2位)
×小倉卓也(スカーフィスト/挑戦者、元PFC王者)
1R 1’29” 三角絞め
※河村が3度目の防衛
河村は15年にパンクラスでプロデビューし、20年まで15戦近く出場した後、21年以降はNexusを主戦場としバンタム級王座を獲得。須藤拓真と森永ユキトにいずれもダースチョークで一本勝ちし2度防衛した。22年11月のRIZIN LANDMARKではアラン・ヒロ・ヤマニハに判定負け。昨年9月大会で3年ぶりにパンクラスに上がると、バンタム級1位の井村塁をわずか56秒、ダースチョークで仕留めた。12月の横浜武道館大会での同級王座決定戦では透暉鷹を1R序盤、ヘッドシザース(洗濯ばさみ)で追い詰めたものの、終盤に肩固めを極められ敗れている。
小倉は41歳のベテラン。修斗ではいずれも敗れはしたが田中路教、小野島恒太、岡田遼、竹中大地、魚井フルスイングとも対戦経験がある。22年からNexusに上がり、初戦はジェイクムラタに判定負けしたが、大石真丈と小林博幸を1R腕十字で下す。昨年8月の後楽園では元NEXUSバンタム級王者・渡部修斗のMMA引退試合の相手を務め、敗れたものの判定0-2の接戦を繰り広げた。12月のバンタム級王座挑戦者決定戦では唐沢タツヤに1Rフロントチョークで一本勝ちした。
横山同様に河村も寝技で完勝することに。1R、河村が右ストレートを当てると、小倉は自ら組みに行き、押し込んでテイクダウンを奪い、河村相手に寝技勝負に挑む。だが河村は下から足を登らせると、三角絞めを仕掛ける。小倉は抱え上げて落として外そうとしたが、極まりは深くなり、最後は小倉がタップした。
河村はマイクを持つと「俺一人だけレベル違うくないですか?」と話し「俺、RIZIN出たいんですけど、最近ブレイキングダウンの選手ばかりチャンスあげてて、NEXUSの俺らを上げてくれなくて、ふざけんなと思うんで、もう一回、RIZINに喧嘩売りに行くんでよろしくお願いします」とアピール。最後は家族と記念撮影した。
ジェイク・ウィルキンス、韓国の選手に逆転負け
第10試合 ライト級 5分2R(延長1R)
×ジェイク・ウィルキンス(JAPAN TOP TEAM)
○ソン・ヒョンソク(韓国/コリアントップチーム)
3R 判定0-3 (大藪28-29/梅田28-29/小池28-29)
2R 判定0-0 (大藪19-19/梅田19-19/小池9-19)
1R、プレッシャーをかけ続けるヒョンソクに対し、ウィルキンスがサウスポーで構えて素早く回り続け、随所で左ローやミドルを当て主導権を維持する。
2R、ウィルキンスは変わらず回り続け、随所で蹴りを当て、終盤には右ハイでひるませる。完全に流れはウィルキンスだったが、残り1分を切り、金網際に詰められると、投げを仕掛けるが失敗して下になる。ヒョンソクはすぐさまマウントを奪うと、パウンドを当てて反撃する。これでヒョンソクがポイントを取り返し延長へ。
延長R、ヒョンソクが右ストレートを当てると、ウィルキンスはタックルを仕掛けるが、ヒョンソクが潰して上になる。ヒョンソクがハーフで押さえ続け、時折パウンドを当てて主導権を維持し終了。ヒョンソクが逆転勝ちした。
初代ミドル級王座決定トーナメントは佐藤龍汰朗と将斗が決勝進出
第9試合 Fighting NEXUS 初代ミドル級王座決定トーナメント準決勝 5分2R(延長1R)
○将斗[ゆきと](AACC)
×マシン(BLUE DOG GYM)
2R 1’41” TKO (レフェリーストップ:右フック)
1R、スタンドでお互いローを蹴り合った後、中盤過ぎから金網際で組み合う展開に。どちらもテイクダウンを奪えない。
2R、将斗がプレッシャーをかけ、パンチを狙うと、中盤過ぎ、金網に詰めて右ストレートをヒット。ひるんだマシンに、将斗が左右のフック、ストレートを当て続けたところで、梅田レフェリーがストップした。
第8試合 Fighting NEXUS 初代ミドル級王座決定トーナメント準決勝 5分2R(延長1R)
○佐藤龍汰朗(坂口道場一族/パンクラス1位)
×瓜田幸造(掣圏会瓜田道場)
1R 1’10” KO (右ストレート)
優勝候補の佐藤が1R、スピードを生かし左右のローを当てて主導権を握ると、右ストレートの3連打で瓜田をマットに沈め完勝した。
これで11月28日の後楽園ホール大会のミドル級王座決定戦は佐藤龍汰朗×将斗に決定した。将斗は「トーナメントがデビュー戦で『まだ早い』とか言われましたが、関係なく圧倒的な強さを見せます」と話した。佐藤は「将斗選手、まだ俺とやるの早いかな。高校柔道で同じ地区だったらしく、将斗選手がブイブイ言わして後輩がビビってたらしいので、その分俺がケジメつけます」と挑発した。
第7試合 ライト級 5分2R(延長1R)
×竹上航平(MMA空手道場 鷹)
○小川健晴(ゴッドサイドジム)
1R 0’17” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、開始すぐにパンチが交錯すると、カウンターで小川の右フックが当たり、竹上がダウンする。小川が上から鉄槌を連打したところでレフェリーがストップした。試合後のマイクで小川はライト級王座への挑戦を希望した。
第6試合 フライ級 5分2R(延長1R)
○宮澤雄大(K-PLACE/Fighting NEXUSストロー級王者)
×村田純也(リベルダージ)
判定3-0 (小池20-18/山崎20-18/大藪20-18)
1R、宮澤が村田の蹴り足をつかんで倒して上になる。村田は金網際で下から足を登らせて三角絞めや腕十字の体勢に持ち込もうとするが、宮澤は極めさせず振りほどき、パウンドや肘を随所で当てて好印象を作る。
2R、宮澤が右フックを当ててから、タックルを仕掛けて倒して、またも金網際で上になる。1R同様に村田の下からの仕掛けに対処しつつ、トップ等からパウンドや肘を当て続け主導権を維持し判定勝ちした。
第5試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×村井和道(FIGHT BASE都立大)
○宮平守太郎(トイカツ道場)
判定0-3 (梅田18-20/大藪18-20/山崎18-20)
1R、宮平が開始すぐからテイクダウンを奪い、金網際でハーフで押さえ続ける。宮平は時折パウンドを当てる。村井はほとんど攻撃を返せない。2Rも宮平が押さえ続けパウンドを時折当て主導権を維持し判定勝ちした。
第4試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×松本尚大(拳心會)
○小牧竜也(パンクラスイズム横浜)
1R 0’42” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
1R、開始すぐから小牧がパンチを当ててひるませると、松本はタックルで倒すが、小牧はすぐ立つと、右ストレートでダウンを奪う。パウンドで追撃したところで、すぐさまレフェリーがストップした。
第3試合 ストロー級 5分2R(延長1R)
○木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(トイカツ道場/パラエストラ西東京/PFCストロー級王者)
×豪瑠(Evermove)
1R 3’40” アームロック
1R、木内が序盤からタックルで倒し、ハーフからパスガードすると、三角絞めを極めつつアームロックも仕掛けタップを奪った。公式の決まり手はアームロックとなっている。
第2試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×ジェイク ムラタ(ZEEK GYM)
○神部篤坊(ABLAZE八王子)
3R 判定0-3 (山崎27-30/梅田28-29/大藪28-29)
2R 判定0-1 (山崎18-20/梅田19-19/大藪19-19)
1R、神部が序盤に左ハイ、右ストレートを当てて先手を取る。中盤、ムラタは押し込みテイクダウンを狙う。時折倒しても立たれる状態が続き、オンブを狙っても対処され続ける。終了間際に倒し、バックを取りかけるが、その先の攻撃は無く終わる。記者採点は神部。
2R、ムラタは打撃をもらわずタックルで倒して上になる。ムラタは上から押さえ続け、時折パウンドを当てるが少なく、神部は下から肘を当て続け、打撃のヒット数では上回る。記者採点は神部だが、ムラタも攻撃があったため、割れる可能性はある。やはりジャッジは割れ、1者のみ神部を支持し、延長へ。
延長Rもムラタが序盤から上になり、立たれてもグラウンドに戻し、最後までトップキープする。だが神部は下から肘を随所で当てて印象を作り、ジャッジ3者から支持され判定勝ちした。
第1試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×岩松哲也(リベルダージ)
○下田凛太郎(DOBUITA)
判定0-3 (小池18-20/大藪18-20/梅田18-20)
2Rとも金網際で岩松が押さえるが、下の下田が細かい鉄槌、肘を当てる時間が大半の内容となる。2Rともジャッジ3者は下田を評価し下田の判定勝ちとなった。第2試合同様、今の世界標準のMMAの採点基準に沿えば妥当な評価だろう。下田は「10月、横須賀大会があるんで、地元のDOBUITAのみんながいっぱい出るんで、遊びに来てください」とマイクアピールした。
オープニングファイト フェザー級 3分2R
△平澤空翔(K-PLACE)
△市川剛希(マックスジム)
判定0-0 (19-19/19-19/19-19)