Fighting NEXUS 11.7 後楽園ホール(レポ):柔術黒帯・横山武司、山本空良を寝技で追い詰め判定勝ちしフェザー級王者に。元ムエタイ王者・浜本“キャット”雄大がフライ級王者に。河名マスト、苦戦もTKO勝ち
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株式会社ブシドー presents Fighting NEXUS vol.29
2022年11月7日(月)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
柔術黒帯・横山武司、山本空良を寝技で追い詰め判定勝ちしフェザー級王者に
第12試合 Fighting NEXUS フェザー級チャンピオンシップ 5分2R(延長1R)
×山本空良[そら](POD/PFC/王者)※2度目の防衛戦
○横山武司(Swells柔術ジム/挑戦者)
判定0-2 (山崎19-19/梅田18-20/大藪18-19)
※横山が王者に
Fighting Nexusは2014年9月28日の新木場1stリング大会で旗揚げし、近年はGENスポーツパレスをホーム会場としてきたが、8年を経て初めて“格闘技の聖地”後楽園ホールに進出した。(右上写真はNEXUSの山田峻平代表)
NEXUSの主力選手・山本空良は22歳。昨年4月、初代フェザー級王者決定トーナメント決勝で須貝秋彦をわずか40秒でKOし王座を奪取。今年5月の初防衛戦では寿希也に2R裸絞めで一本勝ちした。昨年の王座獲得後はRIZINに上がり5戦3勝2敗。初戦で鈴木千裕に敗れ、その後は新居すぐる、中村大介、カイル・アグオン相手にRIZINで3連勝。7月の埼玉大会ではウガール・ケラモフに判定負けしたが、NEXUSの防衛戦含め今年は既に7月末までに5試合と、非常にハイペースで戦ってきた。
対する横山は26歳。4歳の時から伝統派空手を習い、中学から始めたブラジリアン柔術では19年にJBJJF全日本選手権黒帯アダルト・フェザー級優勝。同年のJBJJF東京オープンの黒帯無差別決勝でクレベル・コイケとも対戦し三角絞めで敗れている。今年2月のNEXUSでMMAプロデビューすると、木村豊に1R三角絞めで一本勝ち。5月大会では十河卓児に1Rヒールフック、8月大会ではファビオ・ハラダに2R裸絞めで一本勝ちし、3戦全てフィニッシュし王座挑戦につなげた。
NexusのMMAルールの試合は5分2R(延長1R)制で、タイトルマッチも同じだ。1R、横山はカポエィラ風の後ろ回し蹴りを出しつつ、寝転がってから回転する今成ロールで山本の足をつかみ、ヒールフックや膝十字等を狙い続ける。山本は動いて防御すると下になり、右肘をヒット。横山は頭の上をカットし出血する。その後も横山は執拗に足関節技を狙うが、山本は防御する。終盤、猪木アリ状態で山本が立ったところでドクターチェックが入る。猪木アリ状態で再開し、膠着状態が続き、残り10秒に山本がガードの中に入り、右肘を落として終える。記者採点は肘でカットさせた山本。
2R、横山がタックルを仕掛け、金網際で押さえる。だが山本は下からスペースを作り、左フックを何発も横山にダメージを与える。すると横山は上から密着し、肩固めを狙いつつパスガードする。さらにマウントに移りパウンドを落とし、腕十字を仕掛ける。
山本は間一髪で防御するが、すぐに横山は切り替えて上で押さえ、パウンドを落とし、主導権を維持して終える。記者採点は横山。合計19-19で横山。ジャッジは1者が記者と同じ採点だったが、他の2者は18-20、18-19と、横山のサブミッションで一本に近づいた攻めを高く評価し、横山の判定勝ちとなった。
横山は「父親がプロレス好きだったのが僕の格闘技のルーツでした。空手と柔術をやってきたんですが、いくら勝っても金メダルしかもらえませんでした。プロレス好きの父親からは『チャンピオンベルトが欲しい』と言われ、僕にしかできない親孝行ということでMMAをやりました。父ちゃんおめでとう。父親と一緒に柔術ジムをやってて怒られてばかりです。年内結婚するんで、来年からは家族を支えていける人間になりたいです」と、家族愛をアピールし、最後は父の和忠氏、兄の大鋳と共に記念撮影した。
(11月17日追記:大会後、山本陣営は採点に対する異議申し立てを行い、相原雄一コミッショナーは17日に回答を発表し、申し立てを却下しつつ、後楽園ホールの使用時間を考慮して10-8の採点を増やした「特別ルール」ではなく「通常ルール」での早期再戦実現を要望している。)
天心とRIZINで戦った元ムエタイ王者・浜本“キャット”雄大がフライ級王者に
第11試合 Fighting NEXUS フライ級王者決定戦 5分2R(延長1R)
○浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉)
×平井総一朗(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
2R 2’54” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※浜本が王者に
フライ級では橋本薫汰がベルトを返上し、浜本と平井で王者決定戦が行われる。浜本はムエタイのWPMFの元日本王者で、17年の大晦日のRIZINでキックトーナメントで那須川天心に2R KO負け敗れたこともある。20年のMMA転向後はZSTで1勝2敗だったが、今年から上がったNEXUSでは3連勝し、8月大会では田口滉人に3R TKO勝ちした。対する平井は昨年11月のNEXUSでプロデビューし4戦全勝で、8月大会では吉田哲之に判定勝ちしている。
1R、サウスポーの平井が左ストレートを当て、タックルで度々テイクダウンを奪う。劣勢のつづいた浜本だが、立ち続けると、終了間際に右フックを当てて平井をダウンさせ、上からパウンドを強打し追い詰める。
2R、平井のタックルを浜本は潰し、マウントを奪うと右肘とパウンドを当てる。平井はもがいて脱出するが、浜本はがぶって耐えると、最後は潰して上になり、右の重みのあるパウンドを的確に当て続ける。平井の動きが止まると、梅木レフェリーがストップし、浜本がTKO勝ちした。
浜本は「元々キックボクシングをやっていて、後半ボロボロで、天心とやった後は『そんな奴いたな』と言われ悔しかったです。これでMMAでRIZIN上がったら面白いですよね。天心はやってくれないと思うんで、フライ級GPで優勝したりできたらいいと思います。Fighting NEXUS、本当に大好きです」等とアピールした。
森永ユキトが河村泰博のバンタム級王座挑戦権
第10試合 Fighting NEXUS バンタム級王座挑戦者決定戦 5分2R(延長1R)
×咲間“不良先輩”ヒロト(ABLAZE八王子)
○森永ユキト(ストライプル新百合ヶ丘)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)
8月大会で河村泰博が王座初防衛を果たしたバンタム級では、咲間と森永で王座挑戦者決定戦が行われた。1R、咲間が倒して上になるが、森永が足を登らせた後、ギロチンを狙う。これは外されたが、終盤には三角絞めを仕掛けて好印象を残す。
2R、森永が右のカーフキックを効かせると、咲間は片膝をつくなどバランスを崩すように。咲間はフラつきながらもタックルで森永を倒して上になるがその先には持ち込めず。森永もスタンドに戻すが、咲間を仕留めきれず終了する。森永が2Rともポイントを取り判定勝ちした。
試合後、森永が「河村選手いますか」と言うと、河村はベルトを肩にかけた状態でケージに入る。河村は「昨日、RIZINに出場させていただいたんですけど、勝利することができず申し訳ございませんでした。ただ、NEXUSで今まで戦ってきたことが出せたと思います。森永選手、勝利おめでとうございます。でも今見ていたんですけど、あれじゃ僕に勝てないです。断る権利が無いなら、僕はRIZINで負けたし、防衛戦やってもいいぐらいの気持ちです。本気で来て欲しいです」と話した。森永は「もっと練習積んで倒します」と回答。河村は「断る権利は無いらしいんで、やりましょう。次、2月大会で防衛戦やります」と話し、森永の挑戦を受け入れた。
米国LFA帰りの河名マスト、苦戦もTKO勝ち
第9試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×寿希也(BLUE DOG GYM)
○河名マスト(ロータス世田谷)
2R 終了時 TKO (ドクターストップ:左肘打ちによる右まぶたのカット)
2R 判定1-1 (18-20/20-18/19-19
8月の米国のLFAでの試合が完敗に終わった河名は、昨年7月のプロデビューした大会であるNEXUSに帰還。5月に王者・山本空良に挑戦し敗れた寿希也と対戦した。
1R、序盤からスリップした寿希也だが、下から蹴り上げを連打する。スタンドに戻り、河名は小手差しから倒そうとし続けるが、寿希也は対処し、タックルでテイクダウンを奪い返し、スタンドでも右ストレートを当て好印象を残す。最後は河名が倒してバックを取るが、その先には持ち込めない。記者採点は寿希也。
2R、河名が反り投げで倒して上で押さえる。中盤には上から左肘を連打し、寿希也は右眉から出血する。スタンドに戻ったところでドクターチェックが入る。だが再開後、寿希也が首投げで河名を倒すと、すぐにバックマウントを奪い、裸絞めを狙って挽回する。記者採点はダメージをを与えた河名。合計19-19でイーブン。ジャッジは意外にも三者三様と採点がバラつく形で、結果的に延長へ。だが延長R開始前のドクターチェックで寿希也にストップがかかり、河名のTKO勝ちとなった。
第8試合 ライト級 5分2R(延長1R)
○ジェイク・ウィルキンス(米国/フリー)
×キム・ハンオル(韓国/コリアン・トップチーム/TFC)
1R 1’59” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、ウィルキンスが首投げで倒し、すぐに袈裟固めで押さえると、鉄槌を当て続けレフェリーストップ勝ちした。マイクを持ったウィルキンスは「タイトル戦やらせてください」とアピールした。
第7試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×島村 裕(宇留野道場)
○栁川唯人(K-PLACE)
2R 3’53” 裸絞め
1R、35歳のベテラン・島村がサウスポーで構え、22歳・2戦目の栁川に対し、左インカーフキックを的確に当て続け、時折フラつかせ好印象を残す。
だが2R、栁川が前に出て右フックを随所で当て、中盤に相打ちになりながらも右フックを当て島村をダウンさせると、バックを取って裸絞めを仕掛けタップを奪い、逆転勝ちした。
第6試合 ストロー級 5分2R(延長1R)
○木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(和術慧舟會GODS/修斗世界7位)
×楠美貴嗣(T-Pleasure)
1R 0’21” フロントチョーク
1R、楠美が開始すぐから前に出てタックルを仕掛けるが、木内は下がって金網を背にしながら切り、ギロチンチョークを極め、そのまま引き込んで絞め落とし一本。ノーダメージで完勝した。
マイクを持った木内は「対戦カードが難航する中、楠美選手、受けてくれてありがとうございます。避けている選手はどうでもいいんで、ストロー級のベルト欲しいです」とアピールした。
第5試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
○中桐涼輔(トイカツ道場)
×岡元飛龍(CARPE DIEM OKINAWA)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
第4試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×大石真丈(フリー/元修斗世界バンタム級(60kg)王者)
○小倉卓也[小蒼卓也](スカーフィスト)
1R 2’26” 腕ひしぎ十字固め
デビュー30年・53歳の大石と、3年ぶりの試合の39歳の小倉によるベテラン対決。1R、小倉が右ローを強打し、大石のタックルを潰して倒し、ハーフガードから左肘を当てて痛めつけ、サイドに移ると、腕十字を極めてタップを奪い完勝した。
第3試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
○堀 友彦(フリー)
×大谷啓元(パンクラスイズム横浜)
判定3-0 (19-18/19-18/19-18)
第2試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
○岩松哲也(リベルダージ)
×秋山佑史(FREEDOM@OZ)
1R 1’38” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第1試合 オープニングファイト ジュニア 3分1R
○島崎こなつ(心技舘/14歳)
×諏訪笑護(X-TREME EBINA/13歳)
判定3-0