ONE 7.21 ルンピニー(レポ):内藤大樹、デッドゥアンレックをローで追い詰めるも判定負け「判定はおかしくないし受け入れている」
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ONE Friday Fights 26
2023年7月21日(金)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C)ONE Championship
第6試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×内藤大樹(BELLWOOD FIGHT TEAM/ONEムエタイ4位、キックボクシング3位、元シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)王者)
○デッドゥアンレック・ティーデ99[Dedduanglek Tded99](タイ)
判定0-3
内藤は27歳。18歳でシュートボクシング日本スーパーバンタム級王者となり、村越優汰、植山征紀、原口健飛に勝利し、那須川天心には2度KO負けしている。19年からONEに参戦し8戦6勝2敗(Road To ONEの1試合は除く)。3連勝後、20年12月にジョナサン・ハガティーに判定負けしたが、21年は2戦2勝で元ONEキックフライ級王者のペッダムにも判定勝ち。昨年はムエタイ・フライ級GPに参戦したが、一回戦で強豪スーパーレックと当たり判定負けした。9月の再起戦ではアミール・ナセリに判定勝ちし、それ以来10カ月ぶりの試合となる。オープンフィンガーグローブ着用・肘有りのムエタイルールとボクシンググローブ着用・肘無しのキックルールを並行し、両方のランキングに入っている。上記の通り、8戦で負けた相手は現ムエタイ・バンタム級王者のハガティー、キック・フライ級王者のスーパーレックの2人のみ。この4年、日本の立ち技格闘家で最も過酷な戦いを続け、結果を出してきた選手と言って過言ではないだろう。
デッドゥアンレックは20歳。2月と4月にONEルンピニーシリーズに上がり、初戦はテミルラン・ベクムルザエフ(ロシア)に、2戦目はシャフリエル・ジョラエフ(ウズベキスタン)にいずれも判定勝ちし、3戦目でランカーと初めて対戦する。
1R、デッドゥアンレックが右ミドル、カーフ、フックを序盤から積極的に出す。内藤も次第に左右のミドル、ローを返すように。終盤、デッドゥアンレックの左ミドルの後、内藤が右カーフを当てると、デッドゥアンレックは少しひるみ、首相撲に持ち込むようになるが、内藤は対処する。ONEのムエタイルールはラウンドマスト判定。記者採点は僅差だが、正味のダメージを相手に与えた内藤につけた。だが、はっきり追い詰めきれなかったため、ややミドル主体でヒット数が多いデッドゥアンレックについても不思議ではない。
2R、内藤はデッドゥアンレックの右ミドルをつかんで、右フックを当てる。左インローも絡め、右カーフも当て、デッドゥアンレックの前足に攻撃を集中する。デッドゥアンレックは攻撃が減り下がり気味で、バランスを崩すように。終盤にはデッドゥアンレックの蹴り足をつかんでからの軸足刈りで倒す場面も。記者採点は内藤。
3R、内藤は2R同様、相手の右ミドルををつかんでの右ローや顔面とボディへのフックを度々当て続ける。デッドゥアンレックは随所で右ミドルを当てるが、ローをもらうとバランスを崩し、下がる状況が続く。だが内藤も連打をまとめきれず、デッドゥアンレックの首相撲に攻めを寸断される。最後はデッドゥアンレックの右ミドルをもらって、内藤がスリップして終了する。記者採点は僅差だが内藤。合計30-27で内藤。ジャッジは3人ともデッドゥアンレックを支持し、デッドゥアンレックの勝利となった。
一般的なムエタイではミドルや膝を重視する傾向は強いとはいえ、攻撃を効かせていたのは内藤の方だった。ONEのグローバル・ムエタイ・ルールの判定基準(ONE公式サイト参照)は、ノックダウン、ダメージ、正確な打撃の数、積極性・試合運びの順となっているが、ダメージがどの程度評価されているのか気になる採点だった。内藤がローだけでデッドゥアンレックを倒す等、ダメージを明確に印象付ける場面を作れず、デッドゥアンレックの正確な右ミドルの評価度がその分浮上し、1R・3Rは僅差でデッドゥアンレックについた可能性はあるだろう。
なお、敗れた内藤は試合後にTwitterに「負けました。判定はおかしくないし受け入れている。沢山の応援本当にありがとうございました!転んで立ち上がってを繰り返してきたし必ず巻き返す」と記している。判定がどうあれ、秋元皓貴ら他の多くの日本勢も苦労してきた、タイ人の蹴りへの対処が改めて重要だと伝わる試合内容だった。今後の内藤の成長に期待したい。