ONE 1.20 ルンピニー(レポ):新シリーズ「ONE Friday Fights」開幕。ノンオー、8年ぶりルンピニーでONE王座7度目の防衛。K-1金子戦控えたコンペット、元ONE王者・プラジャンチャイに判定負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
リバーサルジム久喜WINGS
未経験者でも大丈夫!様々な年代の方がキック 柔術 MMA等を楽しくトレーニング!今なら入会金等無料!
ONE Championship「ONE Friday Fights 1」
2023年1月20日(金/現地時間)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム
レポート:井原芳徳
ルンピニーでの新シリーズ「ONE Friday Fights」スタート。北米意識の「ONE FIGHT NIGHT」との2本柱化進む
ONE Championshipの新シリーズ「ONE Friday Fights」が今大会からスタートした。ONEはタイ陸軍と提携し、タイ陸軍が管轄するルンピニースタジアムで23年1月から毎週金曜夜に開催することを昨年9月に発表した。
ルンピニーはラジャダムナンと並ぶ、ムエタイの2大スタジアムで、ONEで活躍するタイ人選手の多くも試合をしてきた会場。コロナ禍以降、タイ陸軍が運営改革を進め、21年9月から会場内での賭け事を禁止し、女子の試合の解禁し、22年1月からMMAの試合も行われていた。シンガポール政府からの全面的な支援を受け莫大な資金力を誇るONEとの提携も、その改革の一環といえる。ラジャダムナンでも大手広告代理店の傘下の会社が主催する、海外勢との3R制の対抗戦主体の「ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)」が昨年スタートし、タイの国技ムエタイが大きく変化している。
記念すべき「ONE Friday Fights 1」は、オープンフィンガーグローブ着用・3R制の「ONEムエタイルール」の10試合と、MMA 2試合の編成。試合場はリングとなるのが、ONEの通常の大会で採用されているケージとは異なるところ。派手な照明の入場ゲートから選手が登場するが、近年はタイの他の大会でもそういう演出は増えた。客席の照明が暗いままなのはONEスタイルで、ルンピニーの会場の雰囲気が今一つわからないのは残念だが、マットもロープもコーナーも全て真っ白なリングと、場内の漆黒の闇のコントラストは、新生ルンピニーを印象付けるには効果的かもしれない。
ONEは1月14日、バンコクのインパクトアリーナで2023年の最初の大会「ONE FIGHT NIGHT 6」を開催したばかり。2月25日(土)朝~昼の「ONE FIGHT NIGHT 7」もルンピニーで開催され、タイでの大会を増やしている。通常のナンバーシリーズの予定はなく、3月25日のシンガポール大会もアマゾンプライムを通して北米に生中継されるONE FIGHT NIGHTシリーズの大会となっている。MMAの本場米国、ムエタイの本場タイ、この2つの国を主要ターゲットとする路線が、当面続くことになりそうだ。
「ONE Friday Fights」シリーズには、日本からも今後次々選手が参戦する模様だ。ムエタイプロモーションのBOMでは昨年12月と今年4月にかけて「Road to ONE」トーナメントを4階級で開催している。KNOCK OUTの宮田充プロデューサーも鈴木宙樹を「ONE Friday Fights」の参戦候補として挙げている。また、今大会のコーメインイベント(セミファイナル)に登場したコンペット・シットサラワットスアは、昨年9月に続き3月のK-1にも上がり、金子晃大の保持するK-1スーパー・バンタム級(55kg)王座に挑戦することが決まっている。ONEの動向が、日本の立ち技シーンに今年はどういう影響を及ぼすか見逃せない。
K-1での金子晃大戦控えたコンペット、元ONE王者・プラジャンチャイに判定負け
第13試合 ムエタイ ストロー級(56.7kg) 3分3R
○プラジャンチャイ・PKセンチャイ(1位、元王者)
×コンペット・シットサラワットスア
判定3-0 (29-27/29-27/30-26)
もともとこの試合はコーメインイベントの位置だったが、大会が長引いたせいもあってか、メインイベントのノンオーの防衛戦の後に行われた。
プラジャンチャイはルンピニー2階級、ラジャダムナン2階級を制覇し、21年7月にONEでサムエーに勝利しムエタイ・ストロー級王者に。昨年5月の初防衛戦でジョセフ・ラシリにTKO負けして以来の試合となる。
コンペットはルンピニーを2階級制覇した実績があり、近年はラジャダムナンやチャンネル7で活躍し、ONEには初参戦。昨年9月にK-1に初参戦し、玖村将史を華麗な技術で完封し判定勝ちし、今年3月のK’FESTA.6での金子晃大の王座挑戦を控える。プラジャンチャイとは20年に2連戦し初戦はコンペットが判定勝ちし、ルンピニーでの再戦ではプラジャンチャイが判定勝ちしている。
1R、コンペットがプレッシャーをかけ、プラジャンチャイがロープやコーナーを背負う構図が続く。少しずつ互いの左ジャブが当たるようになり、中盤、プラジャンチャイの左ボディストレートが炸裂すると、少しコンペットの動きが止まる。終盤にはプラジャンチャイが左のパンチから右フックにつなげて当てる場面が目立つように。記者採点もジャッジ3者もプラジャンチャイ。
2R、開始すぐこそコンペットが前に出たが、プラジャンチャイが左フックを当てると、コンペットは腰が落ち、プラジャンチャイはその隙を逃さず前に出てパンチラッシュで一気に仕留めようと動く。コンペットはラッシュを耐え、距離を保つようになったが、鼻血を出し、目つきからもダメージは溜まっていることが伺われる。すると中盤、プラジャンチャイが右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。終盤、プラジャンチャイが右フックでコンペットをフラつかせると、ロッタンを思わせるマッスルポーズで闘志を表現し、会場を沸かせる。大会中盤に登場したセクサンも打合いで同様のポーズを取る場面が多かった。昔からタイ人が時折するパフォーマンスではあるが、ロッタン人気もあってか、他の選手がする頻度は上がった感もある。記者採点は10-8でプラジャンチャイ。
3R 、逆転を狙うコンペットは前に出続け、右のミドル、ロー、左ジャブを積極的にヒットする。プラジャンチャイも右のカーフ、左ミドルを当てる場面もあるが、やや消極的な感があり、通常のムエタイ式で逃げ切ろうとしている感もある。中盤以降、クリンチでコンペットの追撃を封じる場面が2度あったが、その先の膝蹴りには行かずブレイクがかかる。記者採点はコンペット。ジャッジ2者はコンペット、1者はプラジャンチャイにつけるが、点差は埋まらずプラジャンチャイの判定勝ちとなった。
なお、ジャッジペーパーも判定決着の試合のみだが公開されている。通常ナンバーシリーズでは公開されていなかったが、FIGHT NIGHTシリーズも同様で、この対応が定着しつつあることは歓迎したい。
古豪ノンオー、8年ぶりのルンピニーでムエタイ・バンタム級王座7度目の防衛
第12試合 メインイベント ONEムエタイ・バンタム級(65.8kg)チャンピオンシップ 3分5R
○ノンオー・ガイヤーンハーダオ(王者)
×アラヴァディ・ラマザノフ(2位、元キック同級王者)
3R 2’14” KO (右アッパー)
※ノンオーが7度目の防衛
ノンオーは現在36歳。ルンピニーで06~13年に4階級制覇した実績があり、ONEでの活躍を経て、8年ぶりにルンピニーのリングに上がる。19年に獲得したONEのタイトルは鈴木博昭、セーマペッチら相手に6度防衛し、昨年8月のリアム・ハリソン戦以来の防衛戦となる。現在9連勝中だ。挑戦者のラマザノフはロシアのダゲスタン共和国出身の28歳。元ONEキック・バンタム級王者で、21年1月にカピタンにKO負けし王座陥落したが、昨年9月、ムエタイルールでの再戦では判定2-1ながらも勝利した実績がある。
両者が登場し、コールを受けると、ノンオーは音楽に合わせ1分ほどワイクルーを披露する。一般的なムエタイの試合では必ず行われる、師に礼を示す踊りだが、今大会ではこのチャンピオンシップのみで行われた。
1R、ラマザノフはノンオーのプレッシャーをかわそうと、たまにスイッチしつつステップで回り続け、時折前に出て左ジャブを当てる。小柄なノンオーはなかなかラマザノフを捕まえきれなかったが、中盤から少しずつ左右のミドル、右インロー、カーフキックのヒットを増やすと、ラマザノフはスイッチの頻度が上がる。終盤にはノンオーが右フックも当てて脅かすように。だが終了間際、ラマザノフの左ジャブでノンオーは少しフラつくと、終了のゴングが鳴ると同時に再びラマザノフの左ジャブが当たり、ノンオーは焦ったか?右フックを軽くだが当ててしまう。記者採点はノンオー。
2R、ノンオーは左右のミドル、遠い距離からの右フックをヒット。だがラマザノフも左の伸びのあるボディストレートをヒット。ノンオーはすぐにクリンチして倒し、ダメージをごまかそうとする。だがラマザノフの反撃は続かず、ノンオーが右のカーフを随所で当てていると、ラマザノフの動きが流れる場面が目立つように。記者採点はノンオー。
3R、ノンオーは右ミドル、フックを絡めつつ、右のカーフを随所でヒット。中盤にはパンチのコンビネーションも決まりだす。するとノンオーはこのチャンスを逃さず、ロープやコーナーに詰めてパンチの数を増やし、ボディブローも当てるように。ブロックしながら必死で逃げるラマザノフを追いかけてパンチを当て続け、左ボディと右アッパーの連打でついにダウンを奪取する。ラマザノフはうずくまったまま立ち上がれず、ノンオーがKO勝ちした。7度目の防衛を果たすと、ボーナス5万ドルが授与された。
第10試合 ムエタイ アトム級(52.2kg) 3分3R
×ペットバンライ・シンハーマウィン
○クンスクレック・ブーンデクシアン
判定0-3
第9試合 ムエタイ 68.5kg契約 3分3R
×サンシリ・ペットポートーオー
○コムアウット・FAグループ
判定0-3
第8試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×タイ・ソージョーピエクッタイ
○ソンラック・フェアテックス
判定0-2 (28-28/26-30/26-30)
第7試合 ムエタイ 50.8kg契約 3分3R
○サゲンガーン・ジットムアンノン
×スアヤイ・チョーハパヤック
2R 2’47” KO
第6試合 ムエタイ 63.5kg契約 3分3R
○セクサン・オークワンムアン
×タイソン・ハリソン
判定2-1 (28-29/30-27/29-28)
第5試合 MMA ライト級(77.1kg) 5分3R
○ヒカルド・ゴドイ
×アレクセイ・リャプノフ
判定2-1
第4試合 ムエタイ 66.6kg契約 3分3R
○ムアンタイ・PKセンチャイ
×マブルド・ツピエフ
判定3-0
第3試合 ムエタイ 80.3kg契約 3分3R
○ジョシュ・ヒル
×ケイワン・ソレイマニ
判定3-0
第2試合 MMA フライ級(61.2kg) 5分3R
×藤沢彰博
○コルトン・キルバサ
1R 0’57” 裸絞め
第1試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×アンゲロス・ヤクミス
○モハメド・サデギ
判定0-3