ONE Championship 7.13 クアラルンプール:徳留一樹&下石康太、ONE初戦は完敗
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ONE Championship「ONE : Pursuit of Power」
2018年7月13日(金) マレーシア・クアラルンプール・アクシアタアリーナ(旧称プトラ・インドアスタジアム)
レポート:井原芳徳 photos by One champiohship
第8試合 フェザー級(70.3kg) 5分3R
○ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル/元ONEフェザー級王者)
×徳留一樹(パラエストラ八王子/元パンクラス・ライト級王者)
判定3-0
パンクラスの元王者で、13~14年にはUFCでも4戦1勝3敗の経験もある徳留が、ONEに初参戦。MMAの試合は昨年12月のパンクラスのタイトルマッチで久米鷹介でKO負けして以来だが、チーム対抗グラップリング大会のQUINTETでの6月9日の試合での奮闘がONEのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOの目に留まり、ONE参戦につながった。今回は実質1階級下げての試合となる。
元々、エリック・ケリー(フィリピン)と対戦予定だったが、ナラントンガラグに変更となった。ナラントンガラグはK-1で04年に魔裟斗、アルバート・クラウスとも戦った42歳のベテラン。MMAデビュー戦では山本“KID”徳郁にKOされたが、09年あたりからMMAに本格的に取り組み、日本のSRCでは10年に横田一則をKO。香港のレジェンドFCで12年に王者となり、14年から参戦したONEでは大石幸史を破ってフェザー級王者となった。16年11月のマラット・ガフロフとの王座戦で敗れてから、しばらく休んだが、6月23日のエドワード・ケリー戦でTKO勝ちし復帰。エリック・ケリーの欠場で、3週間間隔での出場となる。両者とも試合が決まってからの準備期間が短いが、適応したのはナラントンガラグのほうだった。
4月から立ち技部門のスタートしたONEでは、リングを使う大会もあるが、今大会の試合場はケージ。1R、オーソドックスでダン・ヘンダーソンのように構えて圧力をかけるナラントンガラグに対し、徳留はサウスポーに構え、左回りで距離を取る。1分半ほどで両者が組み、ナラントンガラグが両脇を差して押し込み、中盤に足をかけて倒すが、徳留はすぐ立つ。組んだ状態が続き膠着ブレイク。終盤にもナラントンガラグが圧力をかけてタックルでテイクダウン。終了間際に徳留は立つが、ナラントンガラグに組まれて終わる。
Former ONE World Champion Jadambaa took a huge step towards regaining featherweight gold, defeating Kazuki Tokudome with a unanimous decision win! #WeAreONE #PursuitOfPower #KualaLumpur #MartialArts pic.twitter.com/4QbYdpsinL
— ONE Championship (@ONEChampionship) 2018年7月13日
2R、30秒ほどで徳留が右のストレートを当ててナラントンガラグがダウンするが、ナラントンガラグはタックルでダメージを誤魔化し、倒してトップをキープする。スタンドに戻ると、今度はナラントンガラグが右フックを放つと、偶発的なバッティングとなり、徳留はダウンする。レフェリーはブレイクせず、徳留もタックルで誤魔化すが、ナラントンガラグは潰して上になり、パウンドと肘をコツコツと当てて徳留を苦しめる。
3R、ナラントンガラグが圧力をかけ左フックを連打し、徳留は後退。1分半過ぎにナラントンガラグがタックルで倒して上に。徳留は口が半開きで、疲労の色が濃い。スタンドに戻り、徳留も左ストレートを当てるが、ナラントンガラグのパワフルな左右のフックを被弾し、残り30秒にもタックルで倒されて下に。最後はスタンドに戻り終了する。
ジャッジの判定は3者ともナラントンガラグに。徳留はナラントンガラグのパワフルな攻めに押され続け、2Rのバッティングのアクシデントを差し引いたとしても、厳しい試合内容となってしまった。
第5試合 ライト級(77.1kg) 5分3R
○アリエル・セクストン(コスタリカ)
×下石康太(BLOWS)
3R 0’44” 腕ひしぎ三角固め
下石はDEEPで北岡悟の王座に挑戦した経験もあり、韓国のROAD FCでの100万ドルトーナメントでは2勝し、アジア人でただ1人ベスト4まで勝ち残り評価を高め、今度は勢いのあるONE Championshipを次の戦場に定めた。
対するセクストンは36歳で、06年にMMAデビューしたベテラン。14年からONEに参戦し3勝(2KO/1一本)2敗。最近では2月大会でイブ・タンに判定1-2で惜敗している。日本のKRAZY BEEにも留学経験がある。
Ariel "Tarzan" Sexton defeats Kota Shimoishi at 0:44 of Round 3 with a WILD submission! #WeAreONE #PursuitOfPower #KualaLumpur #MartialArts pic.twitter.com/BGF3nzZViv
— ONE Championship (@ONEChampionship) 2018年7月13日
1R、下石がサウスポーに構えて中央から圧力をかけ、パンチと低いタックルでフェイントをかけてから押し込み、1分半ほどでテイクダウンに成功。数十秒でスタンドに戻るが、下石が首相撲で捕まえて左膝蹴りを連打する。やや優位な展開となるが、離れた直後、前に詰めた下石にセクストンが右アッパーをクリーンヒット。下石はダウンし、パウンドや膝蹴りをもらって追い詰められる。耐えた下石はタックルで倒し、立たれてもしがみつき、左ストレートを返すが、またもセクストンの右アッパーが炸裂。ひるんだ下石を潰してセクストンがバックマウントで捕獲し、裸絞めを極めたが、ブザーに救われる。
2R、しばらくスタンドの間合いが続き、下石がタックルを仕掛けるが、セクストンは突き放す。それでもしぶとく下石はしがみつき、セクストンに立たれてもテイクダウンを重ね、時折パウンドを当てる。5度近くテイクダウンを奪い、いい流れを作ったが、セクストンもタフで、終了間際に右ストレートを当て、下石はダウンする。だがこれもブザーに救われる。
しかし下石に余力は無く、インターバル中も目がやや虚ろ。それでも3R、果敢にタックルを仕掛けるが、力が入らない。セクストンは難なく脱出すると、バックに回り込み、最後は腕ひしぎ三角固めを極めタップを奪った。
4月からAbemaTVでのONEの生中継が再開し、毎大会に日本人2選手が出場。来年3月30日のONE初の日本大会も決まり、大手広告代理店の電通もバックアップすることになり、日本でもONEの注目度が少しずつ高まっている。
だが日本勢の成績は藤沢彰博、内藤のび太、青木真也、山田哲也(2戦)、小笠原裕典、上久保周哉が勝ったものの、今成正和、V.V Mei、安藤晃司、長谷川賢、和田竜光、徳留、下石が黒星。とりわけ新規参戦組で、日本のDEEPとパンクラスの上位戦線で活躍した長谷川、和田、徳留、下石がONEの実力派に競り負けたショックは、日本のファン・関係者にとっても小さくないだろう。
とはいえルールや試合環境の違い、日本の試合よりも短い準備期間も結果に影響しているはず。これまでの彼らの実績を考えれば、またONEでのチャンスは回ってくることだろうし、再び同じ轍は踏まないようにアジャストできる選手たちだ。そして今後ONE初参戦を控えた選手たちにとっても、緊張感を高める上で逆に彼らの敗戦は好材料となる。
シビアな戦いがそこにあるからこそ、ONEでの勝利は尊いものになる。日本勢の現状の苦難も、来年3月30日の日本大会に向けての糧になることを期待したい。