UFC 6.23 シンガポール:佐々木憂流迦が一本勝ち。井上直樹、接戦落とし初黒星。石原“夜叉坊”暉仁・阿部大治・安西信昌は完敗。日本勢は1勝4敗
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UFC Fight Night 132 : Cowboy vs. Edwards
2018年6月23日(土) シンガポール・インドア・スタジアム
レポート:井原芳徳 情報協力:UFC日本広報
Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images
第13試合 メインイベント ウェルター級 5分5R
×ドナルド・“カウボーイ”・セラーニ(11位)
○レオン・エドワーズ(13位)
判定0-3 (47-48/47-48/47-48)
第12試合 ライトヘビー級 5分3R
○オヴィンス・サン・プルー(7位)
×タイソン・ペドロ(13位)
1R 2’54” アームバー
第11試合 女子フライ級 5分3R
×ジェシカ・ローズ・クラーク(9位)
○ジェシカ・アイ(10位)
判定0-3 (27-30/28-29/28-29)
第10試合 ウェルター級
○リー・ジンリャン
×阿部大治(HMC JAPAN)
判定3-0 (30-26/30-27/30-27)
UFCのシンガポール大会は昨年6月以来で、今後3年間、毎年シンガポールで大会を開催することも決まっている。今回は日本勢が5人も揃い踏みする。
初代J-NETWORKライトヘビー級王者、元パンクラス・ウェルター級王者の阿部は昨年9月の埼玉大会でUFCに初参戦し勝利していたが、2月のパース大会でのルーク・ジュモー戦では得意の打撃戦で逆に攻め込まれ判定負けを喫している。
対する中国人のジンリャンは15年9月のUFCさいたま大会で中村K太郎を打撃で追い詰めるも、3RにK太郎の必殺技のチョークで逆転一本負けしたことで日本のUFCファンにも印象を残してしまったが、それ以降はUFC 5戦4勝(3KO)1敗と好調をキープ。昨年6月のフランク・カマチョ戦(判定勝ち)はファイト・オブ・ザ・ナイト、11月のザック・オットー戦(1R右フックでTKO勝ち)はパフォーマンス・オブ・ザ・ナイト、2月のオーストラリア大会のジェイク・マシューズ戦(判定負け)は打ち合いでも見せ場を作りファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得し、試合内容でもUFC側の信頼を得ている。
1R、お互い中央付近でフェイントをかけ合う状況が続き、ローを当て合っているが、ジンリャンがやや積極的に右ローを当てていると、阿部はバランスが悪くなりスイッチ。しばらしてオーソドックスに戻すが、ジンリャンはローを執拗に当て続け、パワフルなフック系のパンチも当て着実にダメージを与える。記者採点は10-9でジンリャン。
MASSIVE RIGHT @UFCJingliang #UFCSingapore pic.twitter.com/R8XZCRDtK6
— UFC (@ufc) 2018年6月23日
2Rも阿部は足取りがぎこちない状況が続く。ジンリャンも少しローのダメージが溜まったか?やや踏み込みが弱くなる。両者ともスイッチを繰り返す中で、パンチとローの応酬。その中で時折、ジンリャンが右フックを当てて阿部をぐらつかせて好印象。右ハイも終盤には絡める。記者採点は10-9でジンリャン。
3Rもジンリャンが手数多く攻め、右フックを当ててふらつかせ主導権。スイッチやボディストレートも絡め、左右のロー、ミドルを当て続け、阿部の反撃を封じる。記者採点は10-9でジンリャン。合計30-27でジンリャン。ジャッジ3者とも順当にジンリャンを支持し、ジンリャンの勝利となった。阿部は2連敗となってしまった。この日は中国勢が4人とも勝利しており、中国の勢いも伝わる大会となった。
第9試合 バンタム級
×石原“夜叉坊”暉仁(チーム・アルファメール・ジャパン)
○ピョートル・ヤン [Petr Yan]
1R 3’28” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
フェザー級で戦っていた石原は2月のパース大会から、修斗時代と同じバンタム級に戻し、ホセ・キノネス(メキシコ)に判定負けを喫している。
対するヤンはUFC初参戦の25歳でMMA 8勝(3KO/1一本)1敗。UFC参戦経験者や日本からも水垣偉弥や中島太一が上がったことでも知られるロシアの大会「ACB」で9戦のうち7試合を経験し、昨年4月にACBバンタム級王座を獲得し、9月にはブラジル人選手に左ストレートからのパンチ連打で3R TKO勝ちし初防衛を果たした。今年に入ってUFCとの契約が発表され、期待通りの強さを見せつけることに。
1R、ヤンは右手のガードを上げ、最初から圧力をかけ、サウスポーの石原は回って距離を取る。ヤンは左フックのフェイントから右ボディを当てる。石原は左ミドルを当ててからタックルで倒すが、すぐヤンは立つ。ヤンはしつこく圧力をかけ続け、左ジャブのフェイントから右ストレート、右ボディを当てる。中盤には右を振ってからの左フックも使うように。
そして3分過ぎ、ヤンが石原を右ストレートでぐらつかせてから、左ストレートを当てて石原をダウンさせる。石原は追撃を免れ立ち上がり、首相撲でヤンを捕まえて膝を当てるが、ヤンは突き放してバックハンドブローを放つ。最後はヤンが右ストレートを石原のアゴに叩き込み、石原が大の字で倒れ、ヤンがパウンドを落としたところでレフェリーがストップ。ヤンが圧巻の強さで完勝すると、バック転で大喜びした。石原も阿部同様に2連敗となってしまった。
What a debut!! No Mercy from @PetrYanUFC at #UFCSingapore! pic.twitter.com/j0LHphDQ8F
— UFC Europe (@UFCEurope) 2018年6月23日
第8試合 バンタム級 5分3R
×フェリペ・アランテス
○ソン・ヤドン
2R 4’29” KO (右肘打ち)
ROLL THE CREDITS!
Yadong UNLEASHES one of the most lethal elbows ever seen. #UFCSingapore pic.twitter.com/HHYKBIKokg
— UFC (@ufc) 2018年6月23日
第7試合 フェザー級 5分3R
○ロランド・ディ
×シェーン・ヤング
2R 4’49” TKO
第6試合 ウェルター級 5分3R
○ソン・ケナン
×ヘクター・アルダナ
2R 4’45” TKO
第5試合 ウェルター級 5分3R
×安西信昌(TEAM CLIMB)
○ジェイク・マシューズ
1R 3’44” 裸絞め
元パンクラス・ミドル級王者の安西は、昨年9月のさいたま大会で2年ぶりの試合をし、ルーク・ジュモーに判定勝ち。対するジェイク・マシューズはオーストラリア出身でUFC 6勝3敗、2月のUFC 221のリー・ジンリャン戦で判定勝ち。両者とも2連勝中で共通するが、地力の差が如実に出る試合となる。
1R、開始すぐから安西が圧力をかけ、30秒ほどで片足タックルを仕掛けるが、マシューズがカウンターで膝蹴りを当てる。それでも安西は押し込むが、体格で勝るマシューズは両手で押してスペースを作ると、左の膝を安西の顔面に叩き込む。ひるんだ安西を突き放すと、クリンチアッパーを連打し、膝蹴りを当ててから倒して上に。ハーフガードで固めると、力強いパウンドを連打する。鼻血を出した安西は背中を向けてしまい、最後はマシューズが裸絞めを極め、安西は意識を失って敗れ去った。
WHAT A STUNNER.
'The Celtic Kid' gets the finish in the FIRST ROUND! @JakeMatthewsUFC #UFCSingapore pic.twitter.com/nDAdqadwD1
— UFC (@ufc) 2018年6月23日
第4試合 女子ストロー級 5分3R
×ビビアン・ペレイラ
○ヤン・シャオナン
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第3試合 フライ級 5分3R
○マット・シュネル
×井上直樹(空手道白心会)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
DEEP育ちの井上は昨年6月のシンガポール大会で日本人最年少(20歳と3日)UFCデビューを果たし、カールス・ジョン・デ・トーマスに判定勝ち。9月の埼玉大会にも出場予定だったが、負傷欠場していた。対するマット・シュネルは米国出身、アメリカン・トップ・チーム所属。UFC 1勝2敗で、昨年10月にマルコ・ベルトランに判定勝ちし、UFC初白星を飾った。
1R、井上が出入りしつつ左に回りながら左ジャブをヒット。シュネルも左フックを返す。中盤には接近戦で井上が右フックを当てる。その後もお互いパンチを狙う展開。僅差でお互いまだ手数は多くないため、判定が難しい展開。記者採点はヒット数で評価し9-10で井上。
2Rも同様の構図が続くが、シュネルが少し動きを上げ、パンチの手数を増やす。井上もスピードをあげ、右ローも絡め応戦する。シュネルが右の前蹴りを井上の胸に当てる場面も。接戦が続くが、残り1分、井上が右前蹴りと左ジャブの連打を決め、若干いい印象で終える。記者採点は9-10で井上だが、ヒット数はほぼ同じのため、1R同様に割れていても不思議ではない。
3R、シュネルが流れを変えようと片足タックルを仕掛けるが、井上は切ると、シュネルの脇を差して押し込んで、膝を連打して主導権。だがシュネルも突き放しながら左フックを当てて印象を良くする。1分半過ぎから、2Rまで同様の打撃戦に戻る。井上が右ローを当てると、シュネルは疲れも影響してか?少し足取りが重くなる。逆に井上はまだスタミナに余裕がありそうで、軽快にステップしながら左ジャブ、右フック、右ミドルを随所で当て続け好印象を残す。記者採点は9-10で井上でジャッジ3人もおそらく同じだろう。
記者採点合計27-30で井上。井上は採点を待ちながら、右まぶたを冷やしており、シュネルの左フックの威力があったことがわかる。ジャッジは割れ、2者がシュネルを支持。2Rまでのシュネルの左フックが好印象を残したものと思われる。これで井上は15年のプロデビュー以来の連勝が11でストップしたが、6月14日に21歳になったばかり。この初黒星は今後の成長の糧にしてほしい。
(UFCから届いたコメントで、シュネルは「判定で勝てるかどうか、正直、分からなかった。何発か決まって相手がフラついたのは見えたけどね。接戦だったと思う。井上は良い選手だよ。ここまで無敗だったのには理由があるし、それだけの実力を持っている。井上はまだ21歳だし、これからが成長どころだ」と井上を称えている。)
Two tough rounds.
What are your scorecards looking like? #UFCSingapore pic.twitter.com/HK4yogtuQd
— UFC (@ufc) 2018年6月23日
第2試合 フライ級 5分3R
×ジェネル・ラウザ
○佐々木憂流迦(フリー)
2R 4’04” 裸絞め
佐々木は4月21日(現地時間)のマゴメド・ビブラトフ戦が相手の前日の負傷欠場で中止となっており、その無念を晴らすチャンスが早くも訪れた。佐々木は昨年6月のシンガポール大会でジャスティン・スコギンズに一本勝ちし、技能賞にあたるパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得している。続く9月の埼玉大会のジュシー・フォルミーガ戦は1R終盤にチョークで一本負けし、今回はそれ以来の試合となる。
対するジェネル・ラウザはフィリピン出身でMMA 7勝(2KO/2一本)4敗の29歳。UFCに16年11月に初参戦し1勝した後、昨年はビブラトフとエリック・シェルトンに連続で判定負けを喫している。
1R、開始すぐから佐々木は片足タックルを仕掛けてテイクダウンに成功。金網際で立とうとするラウザを押さえ続ける。中盤と残り1分に、ラウザが立ち上がるが、どちらの場面でも30秒ほどで佐々木が倒して上になり、残り20秒にはマウントポジションを奪い、最後は腕十字を狙う。記者採点は9-10で佐々木
2R、佐々木はサウスポーに構え、圧力をかけるが、オーソドックスのラウザの右のインローを右足にもらうと、一瞬バランスを崩す。佐々木はタックルを繰り返し、なかなか倒せなかったが、2分経過時のタックルでテイクダウンに成功する。佐々木はサイド、マウントと移動し、パウンドを連打。肘も当てると、ラウザが背中を向けたところで裸絞めを極めてタップを奪った。
勝った直後の佐々木はK-1の木村“フィリップ”ミノルや卜部功也らの間でも流行っている、直立不動で後ろに手を回して組む、プロボクサーのクリス・ユーバンク・ジュニアを真似たポーズで勝利の喜びを表現した。試合後のインタビューではフライ級2位のセルジオ・ペティスとの対戦を希望。今回は格下相手の試合だったため、次戦が正念場となりそうだ。
◆佐々木「本当に楽しかったです。自分のレスリングを見せられてうれしいですね。アルジャメイン・スターリングとトレーニングしたことで自分のレスリングスキルにかなり役立ったと思います。それが今回のゲームプランの大きな部分でした。セルジオ・ペティスを指名したのは悪い意味ではなく、彼のことは尊敬していますし、僕たちのスタイルを考えるとかなりエキサイティングな試合になりそうだと思ったからです」
Beautiful work!@UlkaSasaki controls the ground to grab a RNC! #UFCSingapore pic.twitter.com/3skvS6kzje
— UFC (@ufc) 2018年6月23日
第1試合 女子フライ級 5分3R
○キム・ジヨン
×メリンダ・ファビアン
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)