修斗 5.22 後楽園ホール(レポ):石井逸人、小野島恒太との決着戦制し環太平洋バンタム級王者に。新井丈、黒澤亮平を圧倒しストロー級世界王者・箕輪ひろばに回答要求
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2022 Vol.3
2022年5月22日(日)後楽園ホール
レポート:井原芳徳
第9試合 メインイベント 修斗環太平洋バンタム級チャンピオンシップ 5分3R
×小野島恒太(Combat Workout Diamonds/環太平洋王者、世界2位)※初防衛戦
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/環太平洋3位、世界5位)
判定0-3 (橋本28-29/福田28-29/豊永27-30)
※石井が第11代王者に
両者は20年8月のインフィニティリーグで対戦し、小野島が再三テイクダウンを奪い主導権を握ったが、2Rドローだった。リーグ戦は両者とも2勝2分0敗の同じ星数だったが、石井がうち1試合で1R一本勝ちしたため、合計の勝ち点で差をつて優勝した。石井はこれで当時の環太平洋王者・安藤達也への挑戦権を獲得し、昨年9月に挑戦したが、2R肩固めで一本負け。安藤は世界王座奪取に専念することを理由に環太平洋王座を返上。1月大会で小野島と藤井伸樹の間で新王座が争われ、小野島が判定勝ちし、プロ13年、38歳で初のタイトル獲得を果たした。防衛期限の1年から大幅に早い4か月での防衛戦だが、石井との決着戦にベルトを懸けた。
1R、序盤から中盤にかけ、お互い金網に押し合うが、どちらも倒せず、膠着しブレイクがかかる。その後はスタンドの打撃戦が続き、石井が随所で左ジャブ、右ストレート、右カーフキックを当てる。ほとんど手の出ない小野島に対し、石井は強打こそ無いものの、積極的に打撃を出し、若干優位に進めている印象だ。記者採点は石井。ジャッジ3者も石井につける。
2R、小野島が序盤から押し込むが、倒せず膠着しブレイクがかかる。中盤、小野島が右のカーフを当てた後、石井がタックルを仕掛け、押し込んで倒そうとする。小野島は耐えると押し返してから離れる。終盤、打撃戦の中で石井が右フックを立て続けに当てる。小野島はパンチを振うが、そのタイミングで石井が両足タックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。だが小野島はすぐ立ち、押し込んで終える。記者採点は終盤主導権を握った石井。ジャッジは割れ、1者が石井につけ、2者が小野島につける。僅差だったとはいえ、小野島にポイントを振る印象的な攻めがあったようには思えなかった。
3R、打撃戦が続き、小野島が左右のロー、石井が左ジャブを当てるが、均衡状態は続く。すると中盤、石井が右ストレートヒットを増やすと、またも小野島が逆転を狙ってパンチを振ったタイミングで、石井がタックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。石井がトップキープし、小野島が金網際で脱出しようとした隙に、石井がバックマウントを取る。小野島がもがいても石井がバックキープしていたが、終盤、小野島は脱出すると、サイドバックでつかまえ右のパウンドを当てる。石井もすぐに動いて足を取りに行くが、小野島は防御しがぶってスタンドに戻る。最後はお互い雄たけびを上げながらパンチを振うが、有効打は当てられず終える。記者採点はテイクダウンとバックコントロールで印象を作った石井。ジャッジ3者も石井。合計27-30で石井。ジャッジ3者も順当に石井を支持し、石井が判定勝ちで王座奪取を果たした。
石井は小野島との初対決から2年間での成長の差を見せての判定勝ち。ベルトを巻くと「環太平洋と世界チャンピオンあるじゃないですか。もう一本欲しいですね。俺がチャンピオンなっちゃいます」と話し、現在、安藤が持つ世界王座奪取を次の目標に掲げた。
第8試合 セミファイナル ストロー級 5分3R
○新井 丈(キングダムエルガイツ・和術慧舟會HEARTS/世界1位)
×黒澤亮平(パラエストラ松戸/世界3位、元王者)
2R 2’12” TKO (レフェリーストップ:パンチによる口内の負傷)
新井は18年のインフィニティリーグで4試合とも一本負けし、他団体の3試合含め9連敗した時期もあったが、19年10月から5連勝中。最近2試合では昨年6月に飯野タテオを、今年1月に木内崇雅を1R KOし勢いに乗る。以前から黒澤との新旧ストライカー対決を熱望し、木内戦後のマイクでは「黒澤、俺と殴り合えよ」と対戦要求していた。
黒澤は16年に澤田龍人をKOしストロー級王者になるが怪我のため返上。約2年の療養の後、5戦4勝の好成績を残し、昨年11月に猿丸ジュンジと暫定王座を争うが、1R裸絞めで一本負けした。今回はそれ以来の試合だ。
1R、新井がプレッシャーをかけ、右ボディを時折当てる。黒澤は回ってパンチを振っていると、新井は左まぶたを少しカットする。だが中盤、新井は黒澤のタックルを切ると、すぐに左ジャブを当て、右ストレート、左フックを連打する。新井は黒澤の右フックをかわし続けると、カウンターで右フックを当てるように。新井はプレッシャーをかけ続け、右フック、右カーフキックを当てると、黒澤はバランスを崩すように。記者採点もジャッジ3者も新井。
2R、新井は変わらず圧をかけ、回る黒澤を追い続け、左右のストレートをヒット。黒澤は口から出血するように。追いかける新井は笑みを浮かべつつ、右ロー、右ボディ、左ジャブを着実に当て続け、黒澤を削る。すると中盤、黒澤にドクターチェックが入り、上唇が切れており、ストップがかかった。
唐突な終わり方ではあるが、新井が元王者の黒澤を圧倒し、完勝と言える内容だった。これで6連勝の黒澤はマイクを持つと「1年間黒澤選手追いかけて、1年の物語のいい締めくくりにできたと思います。黒澤選手強かったです。気持ちのぶつかり合い、これが俺の憧れの格闘技です。真剣勝負でケージの中で気持ちをぶつけ合い、見ている人の心を動かす力が格闘技にあると信じています。見ている人の明日の活力になれば。それが俺が格闘技をやっている理由です」と話した。
さらに「最後、このストロー級、俺が勝っていると思うんですけど、ここ3か月ほどんとのランカーが試合して、勝って上に上がっている奴らが絞られたんで、結構(王座挑戦の)順番が詰まってきていると思います。俺はチャンピオンでもランカーでも相手になるんですけど、まずは正規チャンピオンの箕輪(ひろば)選手、防衛する気があるのかないのか、SNSでもいいんで声明上げてください」と話した。箕輪は20年1月に世界王座を奪取後、ONEに参戦していることを理由に、2年4か月間、防衛戦を行っていない。箕輪はこのレポート掲載時の試合2日後の時点ではTwitter等で何もコメントしていない。
第7試合 バンタム級 5分3R
○藤井伸樹(ALLIANCE/世界3位、環太平洋4位)
×齋藤 翼(総合格闘技津田沼道場・FIGHT FARM)
判定3-0 (片岡30-25/福田30-26/柴田30-27)
両者は19年9月に対戦し、藤井が判定勝ちしている。藤井は今年1月、小野島と環太平洋バンタム級王座を争ったが判定負けした。
1R、藤井が1分過ぎに藤井が片足タックルで倒し、サイド、ハーフでコントロールし、バックも狙いつつパウンドを当て圧倒する。記者採点は10-8で藤井。
2R、藤井が序盤からタックルで倒すが、齋藤は脱出する。中盤、藤井がまたも倒すと、齋藤は足関節技を狙うが、藤井は防御し、マウントを奪い、パウンドを連打し追い詰める。最後、齋藤は立つがその先に持ち込めない。記者採点は藤井。10-8でも不思議ではない。
3R、齋藤も左フックを当てるが、藤井は変わらずテイクダウンに成功し、コントロールを続ける。藤井はハーフから肩固めを狙い、バックマウントを奪う。最後、齋藤も立って右フックを当て反撃するが、逆転ならず終了。記者採点は藤井。合計30-26で藤井。ジャッジ3者も藤井を支持し、藤井が返り討ちを果たした。
キッズ6 40kg級 3分1R
○横田大空[かなた](X-TREME海老名/小5/J修斗チャンピオンズカップ2022 vol.1 キッズ6 40kg以下級 優勝)
×根井真成美(パラエストラ千葉/小6)
2’59” 腕十字ひしぎ固め
第6試合 インフィニティリーグ2022女子アトム級 5分2R
×久遠[ひさえ](ZERO/元DEEP女子ライト級(48kg)王者/勝ち点4)
○澤田千優(AACC/勝ち点2→5)
2R 0’59” 裸絞め
1R、レスリングベースの澤田が前蹴りから距離を詰め、タックルを仕掛けて、わずか30秒で上になる。澤田は金網際で押さえてパウンドを当て続ける。中盤、一旦立たれてもすぐ澤田が倒しサイド、ハーフで押さえ、パウンドを当て続ける。記者採点は8-10で澤田。ジャッジ3者も同じだ。
すると2R、久遠の右ミドルの蹴り足を澤田がつかんで、10秒ほどでテイクダウンに成功。澤田はサイド、バックと移り、裸絞めを極めてタップを奪い完勝した。
澤田は昨年5月MMAデビューし初戦は引き分けたが以降は2連勝で、今回が初の一本勝ち。マイクを持つと「まだまだMMAはペーペーなので、もっと上を目指して頑張ります」とアピールした。
第5試合 女子ストロー級 5分2R
―杉本 恵(AACC/女子スーパーアトム級(50kg)世界2位)
―須恵樹季(トリニティーサンズ)
中止
※須恵が前日計量前に体調不良を起こし病院に搬送されドクターストップ
第4試合 ストロー級 5分2R
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(和術慧舟會GODS/世界5位)
○阿部マサトシ(AACC)
判定0-2 (橋本18-20/福田18-19/豊永19-19)
1R、阿部がスタンドで右ストレートを当てると、木内がタックルを仕掛けてから足をつかんでヒールフックを狙う。木内は執拗にヒールを狙うが、阿部は防御し続けて極まらない。お互い時折顔面にパンチを当てる。記者採点は主導権を長時間維持した木内。
2Rも木内がタックルを仕掛け、足関を狙うが、阿部は腰を上げて防御しつつパウンドと肘を当て続ける。背後でしがみつく木内に阿部が何発も肘を当て好印象を作る。最後、木内がバックを取り鉄槌を当てるが時間切れになる。記者採点は阿部。合計19-19でイーブン。ジャッジの解釈は様々だったが、2者が阿部を支持し、阿部の勝利となった。
マイクを持った阿部は「これでランキング返り咲くことができます。もうすぐ46歳になりますが年齢は関係なく頑張ります」と話した。
第3試合 バンタム級 5分2R
○榎本 明(リバーサルジム東京スタンドアウト)
×ガッツ天斗(パラエストラ綾瀬)
判定3-0 (橋本20-18/福田20-18/豊永20-18)
第2試合 フライ級 5分2R
○大竹 陽(HAGANE GYM)
×須藤晃大(EXFIGHT)
2R 0’53” KO (左ストレート)
第1試合 バンタム級 5分2R
△伊集龍皇[いじゅう りゅうおん](パラエストラ小岩)
△川北晏生[はるき](TRIBE TOKYO MMA)
判定0-0 (片岡19-19/福田19-19/豊永19-19)