九州プロキック(KPKB)5.22 アクロス福岡(レポ):岩崎悠斗、5年ぶり復帰戦でダルビッシュ黒木をKO。銀次、KO勝ちでフェザー級王座防衛
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九州プロキックボクシング(KPKB)vol.7 & 8
2022年5月22日(日)アクロス福岡イベントホール
レポート&写真:井原芳徳
コロナ禍の近年、K-1・Krush・RISE・KNOCK OUTといった東京のキックボクシングプロモーションの大会に多数選手を送り込み存在感を増している「KPKB」。この略称を知っていても、実際どういう大会なのか、まだ知らない人も多いのではないだろうか。記者も最近気になっていたこの大会を、今回は本拠地の福岡にて初めて取材した。
KPKBの正式名称は「九州プロキックボクシング」。約15年前までRISEやNJKFに出場していたこともある元選手の渡邉真治氏が代表を務め、19年7月に旗揚げした、福岡が本拠地の大会。ルールは肘無し。コロナ禍の影響でしばらく休止が続いたが、昨年21年2月の第2回大会で、6階級の初代KPKB王座決定戦を実施すると、王者たちが多数、大手の立ち技大会に出場するようになった。
その後、昨年は2大会を開催。今年2月の昼夜大会では昨年2月大会を上回る8階級で王座戦が行われ、ヘビー級の丸山公豊、スーパーウェルター級の幸輝、ライト級の貞松宏隆が初防衛に成功し、5階級で新王者が生まれた。昨年7月のK-1福岡大会で丸山は実方宏介に、幸輝は安保瑠輝也にKO負けし、貞松は11月のKrush-EXで新太に勝利しており、それらの経験もKPKBのリングで活きただろう。
そして今回5月の昼夜大会には、昨年K-1に上がったダルビッシュ黒木、KNOCK OUTに上がった銀次も登場。昼夜合わせ15の試合が組まれた。プロ大会の前にはアマチュア大会も実施。今年前半のKPKBで腕を磨いた選手たちが、今年後半、さらに将来、どのような形で中央のリングで輝くか今から楽しみだ。
(後日KPKBに関する追加記事をアップ予定です。)
(KPKB公式ホームページ https://www.kyushuprokickboxing.info/ 公式Twitter https://twitter.com/kyushu_pkb )
vol.8(夜大会)
第7試合 メインイベント ライト級 3分3R(延長1R)
×ダルビッシュ黒木(DAR/KPKBスーパーライト級王者)
○岩崎悠斗(PURGE TOKYO/元J-NETWORKスーパーライト級王者、元S-BATTLE KICKライト級王者)
3R 2’25” KO (左ボディフック)
前回2月大会で康弘を下しKPKBスーパーライト級王者になったダルビッシュ黒木は、元J-NETWORK同級王者の岩崎悠斗と対戦した。岩崎は今回が復帰戦。6~7年前にKrushで安保瑠輝也にも勝ったことがあり、佐々木大蔵とも1勝1敗で、今大会の出場選手では一番の実績を持つ。静岡出身で現在は上京しPURGE TOKYOに在籍している。試合前のインタビューでは「感覚的にはデビュー戦です」「こんなところで負けていられない」と話したが、復帰初戦で九州勢とのレベルの違いを見せつける。
1R、開始すぐから岩﨑が、左右のロー、ミドル、ハイ、前蹴り等を自在にヒットし主導権。黒木は時折パンチを返すが、もらう時間が圧倒的に長い。
2R、岩﨑はバックスピンキックを序盤から当てつつ、ボディ狙いのフック、ミドル、膝を度々当て、黒木を圧倒する。
3R、黒木も序盤こそボディと顔面にパンチを連打し、王者としての意地を見せるが、次第に岩﨑ペースに戻る。岩﨑がボディ狙いの膝、パンチを当て続けると、最後は顔面に左フックを当ててからの左ボディをクリーンヒット。ダウンした黒木は立ち上がれず、岩﨑のKO勝ちとなった。
岩﨑は「5年ぶりにリングに帰ってこれました。お父さんお母さんありがとう。九州なのにたくさん応援に来てくれて感謝しています。これからの活躍に期待していてください」とアピールし、K-1・Krushの上位戦線再浮上を誓った。
第6試合 セミファイナル スーパーフェザー級(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×児島伸弥(GREED GYM/KPKBスーパーフェザー級王者)
○YUZUKI BRAVELY(BRAVELY GYM)
判定0-2 (28-30/29-29/28-30)
YUZUKIはムエタイの選手だが、このルールに順応した戦いを見せる。1R、児島がガードを固め前に出てパンチと右ローを放つが、YUZUKIはステップでかわして右ロー、左ミドルを当て、接近戦では首相撲で組むことなく、アッパーを当てる。
2R、YUZUKIは左ボディを随所で強打し、詰めればアッパー、左右のテンカオを度々当て、児島を苦しめる。
3R、児島も左右のフック、右ハイを当て、見せ場を作るが、YUZUKIはひるまず、度々左右のテンカオを当てて主導権を維持。点差を広げ判定勝ちした。
第5試合 ウェルター級 3分3R(延長1R)
○幸輝(インタージム/KPKBスーパーウェルター級王者)
×佑悟(Lion Gym)
3R 1’18” KO (右フック)
幸輝は昨年4月のKrushでFUMIYAをKOし、7月のK-1福岡大会で安保瑠輝也にKO負けした選手。今年も8月11日のK-1福岡大会が控えるため、K-1福岡連続出場に向けて存在感を示しておきたい試合となる。
1R、佑悟が先手必勝とばかりに前に出て、サウスポー主体で時折スイッチしつつ、右フックを随所で強打する。幸輝は防戦が続くも、終盤、佑悟が疲れて来たタイミングで、一瞬の隙を突くように左フックを当ててダウンを奪う。
2R、佑悟は鼻血を出しながらも必死にパンチを振るうが、このラウンドも途中から疲れてくると、幸輝が左右のストレートを度々当てる。佑悟は何度もフラつくがダウンはしない。
3R、佑悟は序盤、左ストレートを当て、幸輝を下がらせる。だが幸輝は佑悟のラッシュをしのぐと、右フックをクリーンヒット。ダメージの溜まっていた幸輝は一瞬遅れて崩れ落ちると、すぐさまレフェリーがストップ。幸輝が激戦を制した。
第4試合 52kg契約 3分3R
○西林翔平(K-1福岡チームbeginning)
×大平 龍(KICK SPARK)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
西林は一昨年と昨年のK-1福岡大会に出場した選手。1R、西林がプレッシャーをかけ続け、右ローを随所で的確に当てる。終盤、大平が後ろにスリップした際、西林が右ローを顔に当ててしまう反則を犯すが、流れの中での攻撃とみなされ減点とはならない。
2R、しばらく大平もステップでかわしたが、中盤以降、西林は右ローを当て続け、大平はスリップが増える。3Rも大平は動き回るが、疲れが溜まったところで西林が左ストレートを当ててフラつかせて好印象を残し判定勝ちした。
第3試合 バンタム級 3分3R
△旬ノ介(K-LIFE KICKBOXING GYM)
△幸四郎(NEW light)
判定1-1 (28-29/30-29/29-29)
※幸四郎が前日計量で53.5kgのリミットを800gオーバーし減点1。グローブハンデあり
両者サウスポーで構え、体格で勝る旬ノ介がプレッシャーをかけ、幸四郎が回る構図。旬ノ介がやや積極的にパンチを振るうが、幸四郎はかわす。お互いなかなか有効打や連打につなげられないまま終了。旬ノ介の積極性を取ったジャッジもいたが、全く評価しなかったジャッジもおり、減点1を含む合計点は三者三様のドローとなった。
第2試合 女子46kg契約 2分3R
○日畑夏美(FKD Fighting Sports Gym)
×彩花(KING EXCEED)
判定3-0 (30-29/30-29/30-29)
リーチで勝る日畑がサウスポーを主体に度々スイッチしつつ、左ジャブで距離を取りながら、自分のミドル、前蹴りを随所で当て主導権を維持し判定勝ちした。
第1試合 バンタム級 3分3R
△哲平(VAINQUEURGYM/Next零)
△岡崎晃志(NEXT STEP GYM)
判定0-1 (29-29/28-29/29-29)
哲平がオーソドックス、岡崎がサウスポーで構え、ミドル、ハイ等の蹴り主体の攻防が続く。2R、序盤は哲平が圧を強め右ストレート等のパンチを増やす。左まぶたを切られた岡崎も終盤に左ストレートを返し、蹴りも当てて挽回する。接戦のまま迎えた3R、お互いパンチを増やすと、終盤、岡崎が左ハイをきっかけに、左ストレート、ボディへの膝等のヒットを増やし優位に。岡崎は1票獲得したが、2者はイーブンとしドローとなった。
vol.7(昼大会)
第1試合 KPKBスーパーライト級次期挑戦者決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×鳥山颯真(MSKC)
○八尋開人(RAOU JAPAN)
判定0-3 (28-29/28-30/29-30)
夜の部のメインイベントにはKPKBスーパーライト級王者・ダルビッシュ黒木が登場したが、昼の部では黒木への挑戦者を決める4選手による1DAYトーナメントが行われた。組み合わせは前日計量後の抽選により決定した。
鳥山も八尋も今回がプロデビュー戦。1R、八尋が右のカーフキック、左ミドルを的確に当て続けて途中まで優位だったが、終盤、鳥山も距離を詰め、左ボディ、ワンツーのストレート、左インロー等のヒットを増やして巻き返す。
2R、お互い接近戦でパンチで打ち合う場面が増え、一進一退の展開。どちらも決勝をダメージ蓄積を気にせず倒しに行っている印象だ。
3R、打ち合いが続く中で、八尋が左右のボディフックを効かせ、右フックでフラつかせ好印象。鳥山も必死に反撃を狙いパンチを振るうが、流れは変えられず。結局、3Rに確実にポイントを取った八尋が判定勝ちし、初戦を突破した。
第2試合 KPKBスーパーライト級次期挑戦者決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
×河野晃征(BEGINNING)
○関幸一郎(ELEPHAS)
判定0-3 (28-30/27-30/28-30)
河野もプロデビュー戦。1R、河野が右ローを当て続けた後、パンチや右テンカオも当てる。途中までやや優位だったが、関も終盤に左ボディや右フックを返し、はっきりした差はつけさせない。
すると2R、関が動きがほぐれた様子で、積極的に右ハイ、左右のミドル、右ローをヒット。強打は少ないが、手数では差をつける。逆に河野は手が出なくなってしまう。
3R、関が変わらず手数多く攻め、右フック、右ハイ等を随所で的確に当てる。河野も途中パンチで巻き返し、右のバックハンドを当てる場面もあるが、関を詰め切れず終了する。2R以降のポイントを確実に取った関が判定勝ちした。
第8試合 メインイベント KPKBスーパーライト級次期挑戦者決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
○八尋開人(RAOU JAPAN)
×関幸一郎(ELEPHAS)
1R 2’32” KO (3ダウン:左フック)
両者激しい打ち合いの初戦を3R戦い抜いての決勝進出。1R、両者短期決着を狙ってか、最初から打ち合い、その中で八尋が左フックを当ててダウンを奪う。その後も打ち合いが続き、関も抵抗するが、八尋がパンチの連打でスタンディングダウンを奪い、最後は左フックで3ダウン目を奪ってKO勝ちした。
2試合とも粗削りながらも激闘の末優勝した八尋は「次、タイトルマッチ、黒木さん、今まで九州のキックボクシングを引っ張ってくださってありがとうございます。これからは僕の時代です」「待ってろダルビッシュ黒木」と王者を強気に挑発した。
なお、今大会には福岡在住でK-1で活躍する朝久裕貴・泰央兄弟と、父で朝久道場館長の篤氏が来場。八尋は「朝久さんのレベルまで行けるよう死ぬ気で追いつきに行きます」と宣言し、リングサイドで観戦していた泰央と握手した。
第7試合 セミファイナル KPKBフェザー級タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○銀次(VAINQUEURGYM/Next零/王者)
×尚幸(田畑ジム/挑戦者)
3R 2’18” KO (右飛び膝蹴り)
※銀次が初防衛
銀次は昨年9月のKPKB vol.4で栗秋祥梧をKOし、10月のKNOCK OUTで龍聖に判定負け。2月のKPKBでは56kg契約でKPKBスーパーバンタム級王者の上野賢志と対戦し判定負けしており、連敗を止めるとともにベルトも守りたいところ。
挑戦者の尚幸は地元鹿児島での12月のEruptionの57.5kg Young GunsトーナメントでKPKBのランカーの瀬戸口礼らを破って優勝し、勢いをつけてのベルト挑戦だったが、銀次の壁は高かった。
1R、銀次が序盤から圧をかけ、左右のミドル、右ロー、左ボディ、右ストレートなどを主体にしつつ、バックスピンキックやテンカオも絡め、自在に攻め続け優位を維持する。
2R、銀次は再三右ミドルを強打し、左右のハイ、右ボディも絡め、尚幸を圧倒する。
すると3Rも銀次が右ミドル、ハイを当てて攻め続けると、終盤に差し掛かったところで右の二段式の飛び膝蹴りをクリーンヒット。尚幸がダウンした後、レフェリーのストップとほぼ同じタイミングで尚幸陣営がタオルを投入し、銀次のKO勝ちとなった。
勝利後雄たけびを上げ大喜びした銀次は「2連敗して色々あってどん底で不安でしたが、練習をしてくれる人たちやプライベートでも仲良くしてくれる人たちのおかげで、勝てて良かったです。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
第6試合 スーパーフェザー級 3分3R
×平嶋勇弥(FKD Fighting Sports Gym)
○梅原祥太(BANRICK ACADEMY)
2R 負傷判定 (19-20/20-20/19-20)
1R、平嶋はオーソドック、梅原はサウスポーで構え、距離を取ってミドルを打ち合う攻防が主体で、時折クリンチに。平嶋がパンチも絡め若干優位だが、はっきりした差はない。
2R、序盤に梅原がバッティングで右まぶたを切りドクターチェックが入る。ストップがかかり、この時点までの内容で判定が行われ、2者が梅原を支持し梅原の勝利となった。
第5試合 スーパーバンタム級 3分3R
×ストロングアゴー・ケンサク(SK.ACTIVE)
○クレイジーハスキー尚吾(KING EXCEED)
判定0-3 (29-30/29-30/28-30)
近い距離でのパンチの打ち合いが続く中、2Rに尚吾がボディへのフック、膝を効かせ、前に出てパンチを随所で当てやや優位に。3Rも尚吾が膝を効かせ、前に出てパンチを当て続け判定勝ちした。
第4試合 バンタム級 3分3R
×Windy有紀夫(インタージム)
○YUKI BRAVELY(BRAVELY GYM)
2R 2’32” KO (右フック)
1R、Windyが序盤からパンチでYUKIをひるませる。中盤、YUKIも右フックを当て挽回するが、終盤もWindyがパンチと右ハイで好印象を残す一進一退の展開に。
2R、接近戦が増えると、バッティングでWindyがダメージを負い一時中断する。再開後、Windyの右テンカオの直後、YUKIが右フックを当ててダウンを奪いKO勝ちした。
第3試合 女子54kg契約 2分3R
△上野hippo宣子(ナックルズGYM)
△shoko(BANRICK ACADEMY)
判定0-1 (28-29/29-29/29-29)
RISE、Krush等での試合経験も豊富な上野が、終始積極的にパンチを振るい、shokoと手数差を大きくつける。だが空振りが多く、ジャッジはshokoの随所でのストレート、ローのヒットも評価しドローとなった。