ムエタイ 8.9 ルンピニー:石井一成、ペットタイランドとの再戦は判定負け
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2019年8月9日(金)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム
記事提供:早田寛(Photo & Text Hiroshi Soda)
第1試合 WBCムエタイ世界スーパーフライ級王座決定戦 3分5R
×イッセイ・ウォーワンチャイ[石井一成](ウォーワンチャイプロモーション/KNOCK OUT、WPMF世界、IBFムエタイ世界フライ級王者)
○ペットタイランド・ヨードムエポンラット(タイ/元True4U&ムエサイアムイサーン・ライトフライ級王者)
判定0-3 (48-49/47-49/47-50)
2度目の対戦だ。ペットタイランドとは、今年6月にIBFムエタイフライ級王座決定戦の時に対戦し、この時は石井がバックキックで3R KO勝利している。この後、ペットタイランド陣営から猛烈な再戦要求があり、ウォーワンチャイプロモーションからもマッチングでWBCムエタイ世界スーパーフライ級王座戦としての再戦が決定。同時にペットタイランド陣営から100万バーツ(約350万円)の賭け試合としての対戦要求があり、石井側もこれに応えた。ペットタイランドは前回の日本では打撃の距離で石井にコテンパンにやられ、最後はバックキックで無残にKO負けするという最悪な負け方であり、この試合での雪辱に燃えていた。
試合は初回、ペットタイランドがスピードあるミドルを放つと、石井はこれをかわしジャブからのローキックでペースをつかむ。石井の回転の速い打撃は、本場タイでも充分すぎる武器となる。石井が上下に攻撃を散らし、ローキックが決まってゆくたびにペットタイランドの立ち方が怪しくなってゆく。これは早い回でのKO決着もありえるか…
2ラウンド、ペットタイランドは前蹴りからのミドルキックの攻撃で距離を取りたかったが、石井のスピーディーなコンビネーション攻撃を前に反応しきれず。石井のワンツーからの強烈なボディーフック、その後に続く打ち下ろしたローキック攻撃という一連の流れに、ギャンブラー陣営からも期待がかかる。この時点で5-3ペットタイランド有利という勝敗賭けレートだったが、石井側に賭けていたギャンブラーらの喝采で場内は沸きかえった。
さあ、3ラウンドに入り、ここで石井のパンチ、ローキックが更に決まれば、まずKO決着となるだろう!と誰もが予測した。それだけペットタイランドのダメージの蓄積は明白だったし、石井の打撃には一発で倒せる鋭さがあったからだ。だが、ここからペットタイランドは苦し紛れに組んできた。ペットタイランドが膝を数発決めると、石井もそれに応戦するが、次第にペットタイランドが体制捌きで優位な位置からの膝が目立ってくる。本来ペットタイランド陣営としては初回から首相撲の間合いに持ち込みたかったのだろうが、試合前半は石井の打撃の猛攻に捕まってしまっていた。3ラウンドに入りようやく自身の得意とする首相撲に持ち込む事ができ、ここにきて生き返ったかのように石井の首を取りに来る。蛇のように絡んでくるペットライランドの腕や体に、石井は体の重心を奪われてゆく。ここままだと膝蹴りのダメージ云々ではなく、首を取りあっているだけで相当なスタミナ消費につながりかねない。石井はこの3ラウンド終盤に、6月の初対戦時に自身を勝利に導いたバックキックをクリーンヒットさせるも、この日のペットタイランドはびくともせず…
4ラウンド、石井はパンチを中心に前に出る。石井の強烈なパンチの数々はペットタイランドの急所にヒットしていたにも関わらず、ペットタイランドが後退することはなかった。そして一瞬の隙に組んで体制捌きで石井を転ばし、ムエタイの採点での優位をアピール。
最終ラウンドが始まる前のインターバルで、ペットタイランド陣営のセコンド席から「いいか、あと3分だけ耐えろ!」とペットタイランドを励ます声が響く。ペットタイランド陣営は、石井の強打をものすごく恐れていたのだろう。それだけ石井の強打には一発で試合をひっくり返す可能性が秘められていた。石井のボディフックやローキックも数多くヒットし、その度にペットタイランドの顔面から汗しぶきが飛び散るほどだったが、ペットタイランドは怯む事なく石井に食いついてゆき、そして組んでは倒しポイントを稼いでいった。
試合終了ゴングが鳴った瞬間、ペットタイランドはリング上をジャンプしながらはしゃぎ回った。3ラウンドからの首相撲での優位で自身の勝利を確信していたのだろう。ジャッジ結果判定も49-48 49-47 50-47とポイント面だけを見れば石井は大差の判定負けとなってしまった。負けた原因は明白だろう。タイと日本では興行主催者やジャッジが求める試合運びというものも全く違う。タイでは組み合った距離、すなわち首相撲になったからといって、日本のようにレフリーが試合を止めることはしない。どちらかの選手が崩れてゆくまで延々と首相撲の展開が続く。タイでの試合が、約2年ぶりとなる石井一成だったが、その事を踏まえ対策をし、またタイでの距離感を取り戻していってほしい。