KNOCK OUT 2.11 大田区総合体育館:チャンヒョン、森井洋介粉砕しヨードレックペットとの決勝へ。不可思、強豪コリンズに判定負け。タネヨシホ、大﨑孔稀との死闘制す
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KNOCK OUT 2019 WINTER 「THE ANSWER IS IN THE RING」
2019年2月11日(月/祝) 東京・大田区総合体育館
レポート&写真:井原芳徳
第8試合 メインイベント KNOCK OUTライト級(61.5kg)アジアトーナメント準決勝 3分5R
×森井洋介(ゴールデングローブ/元KING OF KNOCK OUTライト級王者/61.50kg)
○イ・チャンヒョン[チャンヒョン・リー](韓国/仁川ムビジム/RISEスーパーフェザー級(60kg)王者/61.40kg)
2R 1’21” KO (左フック)
ライト級アジアトーナメントは10月の後楽園ホール大会、12月の両国国技館大会で一回戦2試合ずつが行われ、今大会は準決勝。決勝は4月29日のベルサール高田馬場大会で行われる。
一昨年のライト級王座決定トーナメントを制した森井は、今回のトーナメント一回戦でミャンマー代表のカ・イェン・レイと戦う予定だったが、大会直前にタイ人のキヨソンセン・FLYSKYGYMに相手が変わり、延長戦まで苦戦の末に判定勝ち。12月の両国では通常のワンマッチでマサ佐藤に4R KO勝ちしている。チャンヒョンは一回戦で町田光に4R肘によるカットでTKO勝ちした。3月10日のRISE WORLD SERIESからスタートする61kgトーナメントにエントリーし、裕樹と一回戦を行うことが決まっており、“二兎を追う”状況となっている。
1R、森井はボディへのパンチ主体、チャンヒョンは右ロー主体。顔面へのパンチの打ち合いも絡め、激しい展開となる。次第にチャンヒョンの右ローが効き目を発揮し、森井はバランスが早くも悪くなる。ジャッジ3者も記者もチャンヒョン。
2Rもチャンヒョンが右ローを当てて効かせると、右のフックを空振りさせてから、すぐ左のショートフックを放つ。不意を打たれた森井はダウンしてしまう。森井は立つがダメージが大きく、チャンヒョンが左フックを当て再びダウンを奪う。倒れ方が危なく、ここで終わっていいぐらいだったが、森井が立ち、大成レフェリーは続行させる。案の定、チャンヒョンがパンチを連打し、左フックをクリーンヒットすると、森井は伸びた状態のまま凄惨に倒れ、フィニッシュとなった。
第7試合 KNOCK OUTライト級(61.5kg)アジアトーナメント準決勝 3分5R
○ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ/KING OF KNOCK OUTライト級王者、ラジャダムナン1位・元王者、ルンピニー2位・元王者/60.70kg)
×ボルドバートル・アルタンドルグーン(モンゴル/SHINOBU FIGHT 2018 プロキックボクシング全モンゴル最強決定トーナメント60kg優勝/61.20kg)
判定3-0 (小川50-48/和田50-48/岡林50-47)
タイの強豪・ヨードレックペットは、昨年4月のKNOCK OUTに初参戦し、肘で森井の鼻を粉砕しTKO勝ち。10月のアジアトーナメント一回戦でも岩城悠介を圧倒し判定勝ちした。ボルドバートルは日本でも活躍したアマラ忍の推薦で12月のKNOCK OUTで初参戦し、重森陽太に逆転KO勝ちし、下馬評を覆したが、ヨードレックペットの壁は高すぎた。
1R、ヨードレックペットがサウスポーで圧力をかけ続け、重みのある左ローを当てていると、早くも効き目を発揮し。ホルドバートルの足取りがぎこちなくなる。ヨードレックペットは左ミドルも効かせ優位を維持する。ジャッジ3者も記者もイーブン。
2Rもヨードレックペットが左ロー、ミドルを随所で当て主導権。ホルドバートルは時折右フックを当て、危険なムードを漂わせるが、流れは変えられない。ジャッジ3者ともイーブン。記者採点はヨードレックペット。
3Rも同じ構図だが、少しずつヨードレックペットの攻撃の切れが落ち、ホルドバートルの右フックが当たる頻度が上がるように。それでもヨードレックペットが左ミドルと膝を随所で叩き込み、逆転は許さない。ジャッジ1者と記者がイーブン。ジャッジ2者がヨードレックペット。
4R以降もヨードレックペット以降が左ミドルを当て続け、左肘と膝も当て優位をキープする。記者採点は4Rも5Rもヨードレックペット。合計50-47でヨードレックペット。ジャッジ3者も順当にヨードレックペットを支持し、下馬評通り決勝に駒を進めた。決勝はチャンヒョンと対戦する。
チャンヒョンは右の足首を試合後は冷やしていたが、3月のRISEは「大丈夫」とのこと。決勝はヨードレックペットが相手で、タイ人とは過去肘無しルールで3度戦い3勝しているという。
第6試合 65kg契約 3分5R
×不可思(クロスポイント吉祥寺 REBELS/KING OF KNOCK OUTスーパーライト級(64kg)王者/64.80kg)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/シッソーンピーノーン・プーケット/64.75kg)
判定0-3 (大成47-49/小川46-49/岡林47-50)
不可思は昨年のスーパーライト級王座決定トーナメントに出場し、8月の大田大会の決勝で秀樹に判定勝ちし優勝。12月の両国では山口侑馬に判定勝ちし、4年間隔でのリベンジを果たしている。対するコリンズはKNOCK OUT初参戦の23歳。戦績63戦48勝(22KO)13敗2分。タイを主戦場とし、2015年ラジャダムナンMVPのセクサンに2年前に判定勝ちし、パコーン、サックモンコンら強豪にも勝った実績がある。
1R、手足の長いコリンズが圧力をかけ続け、前蹴りのフェイントをかけながら左ミドルを当て続ける。不可思はボディブローとローで抵抗を続けるが、コリンズは圧力が強く、終盤はパンチをもらってしまう。ジャッジは三者三様で、記者採点はイーブン。
2R、不可思が右ローを当て続けていると、効き目を発揮し、コリンズはスイッチし、首相撲を多用するように。不可思は抵抗し、必死にローを返し続ける。コリンズも圧力を強め、パンチを増やす。終了間際、パンチと肘が交錯する打ち合いとなると、コリンズの右の縦肘が当たり、不可思はダウンしてしまう。記者採点もジャッジも8-10でコリンズ。
3R、不可思は必死に左右のローを当て続けるが、コリンズはひるまず、圧力をかけ続け、組んでの膝、肘、右アッパーを当て続け圧倒する。特に右アッパーは威力抜群で、不可思の頭がのけぞり、場内がどよめく。ジャッジ1者は不可思、2者はコリンズ。記者採点はコリンズ。
4R、不可思も必死にローを当て続けるが、コリンズは執拗に首相撲で捕まえて攻撃を寸断する。コリンズは時折当てる膝、前蹴りが鋭い。不可思は終盤、ローの連打と右のスーパーマンパンチで好印象を残すが、はっきりした差がついたかは難しいところだ。記者採点イーブン。
5R、両者さすがに消耗が激しく、不可思はロー、コリンズはボディへのパンチと組んでの膝を当てるが、どちらも力が入りきらないまま終わる。記者採点イーブン。合計47-50でコリンズ。不可思は強豪相手にタフなファイトで健闘したが、及ばなかった。
第5試合 70kg契約 3分5R
○緑川 創(藤本ジム/元新日本キック日本ウェルター級王者/69.95kg)
×北斗拳太郎(ボスジム/SB日本スーパーウェルター級王者、元J-NETWORK王者/69.90kg)
判定3-0 (ノッパデッソーン49-48/大成50-48/岡林50-47)
緑川は昨年8月の大田大会で宍戸大樹に2R肘でTKO勝ちして以来のKNOCK OUT登場。12月の新日本キック後楽園大会でも3R TKO勝ちしている。SBを主戦場としてきた北斗はKNOCK OUT初参戦。北斗も昨年11月に穴戸に判定勝ちしている。
1R、リーチで勝る北斗が中央から圧力をかけ、左ジャブ、右ストレートを随所で当ててやや優位に試合を運ぶ。緑川も右ロー、右フックを返すが、攻撃が少ない。ジャッジも記者採点もイーブン。
2R、緑川が圧力を強め、パンチのヒットを増やし挽回する。北斗は手数が落ちるが、終了間際にバック肘を当てて一矢報いる。ジャッジも記者採点もイーブン。
3Rも接戦が続くが、少しずつ緑川が顔面へのパンチと左ボディを当てていると、北斗はクリンチや背中を向ける場面が増え、印象を悪くする。終盤には緑川が右肘を立て続けに当てて差を印象付ける。ジャッジも記者採点も緑川。
4R、北斗は自ら組み付いて、攻撃を伴わないままブレイクをかけられる状況を繰り返す。緑川も攻撃は減るが、随所でパンチを当てて、若干優位の印象を保つ。記者採点イーブン。
5Rもクリンチを繰り返す北斗に、和田レフェリーは注意を出す。構図は変わらないまま終了。記者採点イーブン。合計50-48で緑川。ジャッジ3者も順当に緑川を支持し判定勝ちした。
第4試合 53.5kg契約 3分5R
×大﨑一貴(OISHI GYM/KING OF KNOCK OUT初代フライ級(51kg)王座決定トーナメント準優勝、WMC日本フライ級王者/53.35kg)
○チョークディー・PKセンチャイジム(タイ/PKセンチャイジム/WMC世界バンタム級王者/52.35kg)
判定0-3 (岡林46-49/大成45-49/和田46-48)
大﨑兄弟の兄・一貴は、12月の両国でのフライ級初代王座決定トーナメント決勝で石井一成に判定負けし、今回が再起戦。対するチョークディーはKNOCK OUT初参戦の24歳。同トーナメントに出場した仲山大雅と引き分けたことがあり、昨年9月には佐々木雄汰をKOしWMC世界王者となっている。
1R、一貴がプレッシャーをかけ続け、右ロー、左ボディを確実に当て続けてダメージを与え、左のバックスピンキックも2発成功させ圧倒。終盤にはパンチ連打でダウン寸前まで追い詰める。ジャッジ3者とも一貴。記者採点も一貴。
2R、チョークディーは首相撲に持ち込み、膝、肘を随所で当て続けて挽回する。一貴も肘と膝を返すが攻撃が少なく、右ローを当ててぐらつかせるが、その後も首相撲で攻め込まれる。ジャッジは1者のみチョークディー。記者採点はチョークディー。
3Rもチョークディーが首相撲で執拗に攻め続け、膝と膝を当て続ける。一貴は抵抗できず、疲れの色が濃くなると、終盤、チョークディーが首相撲からの右肘でダウンを奪う。ジャッジ3者も記者も8-10でチョークディー。
4Rもチョークディーが執拗に肘を当て続け攻勢をキープする。一貴も耐え、左ボディ、左右の肘で応戦するが、チョークディーの勢いは止まらない。記者採点はチョークディー。
5Rもチョークディーが膝、肘を当て、肘で随所でひるませ、一貴は必死に左ボディを当てて反撃を狙うが、逆転の糸口を見いだせず終了する。記者採点はチョークディー。合計45-49でチョークディー。一貴は粘りを見せ奮闘したが、完敗に終わった。
第3試合 ライト級(61.5kg) 3分5R
×髙橋一眞(真門ジム/NKB王者/61.40kg)
○重森陽太(伊原道場稲城支部/元新日本キック日本フェザー級王者/61.20kg)
判定0-3 (大成49-50/和田48-49/ノッパデッソーン48-49)
髙橋兄弟の長男・一眞と戦う予定だった前口太尊が膝の内側じん帯を損傷したため欠場し、重森の代役出場が3週間前に発表された。重森は12月のライト級アジアトーナメント一回戦で、ボルドバートルに2R KO負けを喫している。約2か月の間隔でのダメージの残り具合、短い準備期間が気になるところだ。
1R、一眞がやや積極的に左ミドル、右ストレートを当てる状況が続く。重森は慎重だったが、終盤、左ボディと左フックの連打で一眞を下がらせ好印象を残す。ジャッジは三者三様となる。記者採点は重森。
2R、圧力をかけてパンチを狙う一眞に対し、重森は距離を取りながら、右ローを効かせつつ、左右のミドルも随所で当て、若干優位に進める。ジャッジ1者が高橋を支持する。記者採点はイーブン。
3R、重森は右ロー主体を崩さずにいると、少しずつ効き目を発揮する。一眞もパンチを返すがブロックされ、左インローを返すがまだ効き目は薄い。ジャッジ2者が重森を支持する。記者採点はイーブン。
4R、重森が左右のローを当てていると、一眞はバランスを崩す場面が目立つように。左右のミドルの威力も十分だ。しかし一眞も右肘で重森の目の下を切り、左右のボディを時折強打し、危険なムードを残している。記者採点は重森。
5Rも重森が執拗にローを当てるが、一眞は何とか耐える。だがこれまでのようにパンチで詰めきれず、重森も逆転を警戒してか深追いはできない。記者採点はイーブン。合計48-50で重森。ジャッジ3者も重森を支持し、5Rの攻防を制した。
第2試合 65kg契約 3分5R
○健太(E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者/64.75kg)
×番長兇侍(Hard Worker/INNOVATIONウェルター級2位/64.80kg)
2R 1’48” KO (左ボディフックと左フックの連打)
健太は昨年9月の大阪大会でタップロンと引き分けて以来のKNOCK OUT出場。番長は1月16日のROAD TO KNOCK OUTでKNOCK OUTに初参戦し、中尾満を2R左フックでKOしインパクトを残したばかりで、さっそくキャリア最強の相手との試合が組まれた。
1R、大振りのフック主体の番長に対し、健太はかわして翻弄しつつ、首相撲で膝を着実にヒット。ノーガードの挑発にも応じ、終盤には首相撲から左右の肘を自在に当て続ける。ジャッジ3者とも健太を支持する。
2R、番長のパンチを少しもらうものの、健太ペースで変わらず、左ジャブを連続で当てつつ、首相撲で捕まえて膝を連打。左ミドル、右ストレート、左フックの連打も決める。そして左ボディと左フックの連打でダウンを奪取する。番長は腹を押さえたまま立ち上がれず、健太のKO勝ち。格の違いを見せつけた。
第1試合 53kg契約 3分5R
○タネヨシホ(直心会/WBCムエタイ日本統一フライ級王者/52.90kg)
×大﨑孔稀(OISHI GYM/WMC日本&J-NETWORKスーパーフライ級王者/52.80kg)
5R 0’51” KO (3ダウン:右ボディフック)
10月の後楽園でのフライ級トーナメント準決勝で孔稀の兄・一貴とヨシホが対戦し、一貴が勝利。その後、孔稀とヨシホの兄・ヨシキがSNSを通じて対戦を呼びかけあい、1月16日のROAD TOで対戦し、孔稀が2R KO勝ち。試合直後にヨシホが挑発し、その場で今大会での孔稀戦が決まった。
1R、孔稀が圧力をかけ、お互い慎重にフェイントを掛け合う状況が続き、ロー、ミドルを時折り打ち合う。終盤になるにつれ、孔稀の左ジャブなどのパンチのヒットが増え、やや優位に。ジャッジ2者が孔稀を支持する。
2R、ヨシホも蹴り数を上げ、五分に戻す。お互いボディ、足元狙いで攻撃を散らして蹴りとパンチを交換し、高いレベルの攻防を繰り広げる。ジャッジ1者が孔稀を支持する。
3R、開始すぐにヨシホの右肘が炸裂し、孔稀は生え際をカットし、ドクターチェックを受ける。出血が収まると孔、孔稀は前に出て反撃。ヨシホはパンチや膝をもらうとスリップを繰り返すように。ローのダメージが溜まってきたか?ジャッジは3者とも肘でカットしたヨシホを支持する。
4R、孔稀の左膝が効き目を発揮し、ヨシホの後退が続くと、孔稀の右ボディストレートでヨシホがダウンする。ヨシホは立つが、パンチを空振りしてからスリップし、これも小川レフェリーからダウンを宣告される。ヨシホは耐え、パンチを返し続け、なんとか3分まで持ち込む。
すると5R、ヨシホは開始すぐから一気に孔稀をコーナーに詰めてパンチラッシュ。顔面にも散らしつつ、右ボディを連打していると、少しずつ孔稀の動きが止まりダウン。場内は大歓声に包まれる。孔稀はファイティングポーズを取るが気力の限界で、その後もヨシホが詰めての右ボディ連打で2ダウンを重ね、見事逆転KO勝ちを果たした。マイクを持ったヨシホは「絶対面白い試合するんでどんな強い奴でもかかって来い」とアピールした。なお、小野寺力プロデューサーはこの試合を大会ベストバウトに挙げた。