Krush 6.27 後楽園ホール(レポ):Krush初のOFGマッチで神保克哉・橋本雷汰・歩夢・龍がKO勝ち、悠斗・大脇武もダウン奪い判定勝ち。木村萌那がTKO勝ちでデビュー3連勝
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Krush.177
2025年6月27日(金)東京・後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
Krush初のOFGマッチで神保克哉・橋本雷汰・歩夢・龍がKO勝ち、悠斗・大脇武もダウン奪い判定勝ち
MMAで使われるオープンフィンガーグローブ(OFG)着用でのキックボクシングは、2018年にONEがOFGでのムエタイをスタートして以降、世界に浸透し、日本でもRISE、シュートボクシング、KNOCK OUTなど、各プロモーションがOFGの立ち技の試合を組むようになった。
K-1の宮田充プロデューサーは4月28日の記者会見で「OFGで試合をしてみたいとか最近はよく聞きます」「OFGの戦いはK-1の中であるかもしれない」等と話し、6月以降のKrushでのOFGマッチを希望する選手を募ったところ、30名以上の選手から参戦の名乗りがあったことを5月12日のXで明かし、今回、本戦9試合中7試合でOFGマッチが行われた(1試合は中止)。6試合中4試合がKO決着となり、残り2試合でもダウンがあり、どの試合も通常のKrushよりも激しい展開となった。なお、OFGは相手をつかみやすくなる面もあるが、K-1ルールはつかみ禁止だ。
第9試合 メインイベント OFG(オープンフィンガーグローブ着用) ミドル級(75kg) 3分3R(延長1R)
○神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
×夜叉猿[やしゃざる](力道場静岡/IPCC日本スーパーミドル級王者、KROSS×OVER KICKミドル級王者)
3R 2’10” KO (左フック)
5月18日の大阪大会でKO勝ちしレオナ・ペタス率いる反乱軍・RibelLion(リベリオン)加入を希望している夜叉猿が、早速OFGマッチに起用され、キャリアで勝る神保との試合が組まれた。
試合は神保の完勝に。1R、神保がプレッシャーをかけ続け、序盤から左ボディストレート、ジャブを随所で当て、優位に進める。終盤、夜叉猿も左ストレートを返すが、神保も同様に返し、ヒット数での差をキープする。記者採点は神保。
2R、神保はヒットは減るものの、変わらずプレッシャーをかけ続け、主導権を維持する。夜叉猿は1R同様、時折左のパンチを返すが、強打は打てず、ヒットをまとめきれず、流れを変えられない。記者採点はイーブン。
3R、変わらず神保が前に出て、夜叉猿が回る構図が続く。お互い攻撃があまり出ず、このまま判定決着かというムードだったが、残り1分、夜叉猿のセコンドのレオナが打ち合いを指示すると、夜叉猿は足を止めて打ち合いに行く。途中、夜叉猿の左も神保の顔面をかすめたようで、神保は右まぶたから出血するが、神保はカウンターで左フックをクリーンヒット。ダウンした夜叉猿のダメージは大きく、すぐさまレフェリーがストップした。
マイクを持った神保は「今回薄いグローブでしたけど、ベアナックルでやりたいです。ゴム無しでお願いします」と、カード発表記者会見と同じく下ネタでアピールした。宮田プロデューサーは大会後の総括で「神保は海外でのベアナックルに送り出したい。Krushのメインであれだけの勝ちっぷりを見せたら、いい宣伝材料になる」と、神保の挑戦を後押しする方針を示している。なお、神保のマイクの最中、レオナがリングに上がり、敗れはしたが最後に打ち合いに行った夜叉猿を称え、RibelLion入りを認めた。
第8試合 セミファイナル OFG スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○岩尾 力(POWER OF DREAM/元WINDY MUAYTHAIバンタム級王者)
×鈴木太尊(クボジム)
不戦勝 (鈴木の計量失格)
鈴木の計量失格で不戦勝となった岩尾は、勝ち名乗りを受けた後にマイクを持ち、「OFG、楽しみだったんですけど、中止になって滅茶苦茶ショックです。またすぐ次、試合組まれればできるんで、タイトルマッチでもOFGでもオファーもらえたらと思います」と話した。
第7試合 OFG フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○橋本雷汰(ALONZA ABLAZE/K-1甲子園2022 -60kg優勝)
×水本悠我(優志塾平安道場/全日本アマチュア修斗選手権2024ストロー級(52.2kg)優勝)
3R 1’56” KO (左ストレート)
1R、橋本がサウスポーで構え、左ミドルを随所で当てる。水本は距離を取りつつ、やや低めに構えつつ、時折踏み込んで右フックを当てる。橋本は少し口から出血する。MMA選手でもある水本のリズムにやや手こずっているか?記者採点はイーブン。
2R、橋本は執拗に左ミドルを当てていると、終盤には効き目を発揮し、水本は口が開く。終了間際、橋本はパンチのコンビネーションの中で左フックをヒットして倒す。ややスリップに近いが、豊永レフェリーはダウンを宣告する。10-8で橋本が取る。
3R、橋本が前に出続けると、中盤、水本は起死回生を狙って右バックハンドブローを放つが、空振りすると、すぐに左ストレートをクリーンヒット。のけぞった水本は、その後、うつぶせで倒れ、レフェリーがストップした。
マイクを持った橋本は「OFGでやると決まってから、なかなか相手決まらなくて、試合を受けてくれた水本選手、ありがとうございます。OFG、めっちゃ楽しかったですし、盛り上がったと思うんですけど、痛いですね。僕が目指しているのは、ちゃんとグローブでフェザー級ベルトを取ることです。これからK-1フェザー級のトップで盛り上げます。またOFGでやるんで出してください」とアピールした。
第6試合 OFG バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○悠斗(HUNGRY GYM/元Krushフライ級王者、元WMC日本&プロボクシング日本ライトフライ級王者)
×心直[しんた](REON Fighting Sports GYM/KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王者)
判定3-0 (山根29-28/西村30-28/島村30-27)
1R、悠斗がプレッシャーをかけ続け、サウスポーの心直が回る構図が続く。悠斗は時折右ボディストレートを当てるが、まだ捕まえきれない。心直も左ミドルを当て続けるが、悠斗の前進を止められない。記者採点はイーブン。
2R、悠斗が心直をロープに詰めると、心直の右ボディのタイミングで右のフックを当ててダウンを奪う。心直はワンテンポ遅れて倒れるも、すぐ持ち直し、右膝やミドルを返すが、その先には持ち込めない。10-8で悠斗が取る。
3R、悠斗が変わらず前に出るが、心直の防御を崩せない。しかし心直も攻撃が減り、最後、ようやく蹴り数を上げるが、反撃につなげられず終了。記者採点はイーブン。合計30-28で悠斗。ジャッジ3者も悠斗を支持し、悠斗が判定勝ちした。
第5試合 OFG 58.5kg契約 3分3R(延長1R)
×竹内将生(エイワスポーツジム/元BOM・Bigbangフェザー級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者、元WPMF日本&J-NETWORKバンタム級王者)
○大脇 武[たける](BOND GYM/元DBS&RKAフェザー級王者)
判定0-3 (山根26-29/豊永26-29/中野26-30)
1R、竹内はオーソドックス、大脇はサウスポーで構える。中盤、竹内の右インローがローブローとなるが、すぐに大脇がワンツーでの左ストレートを当て返しダウンを奪う。竹内はダメージは小さい様子ですぐ持ち直す。
2R、竹内は1R同様に右ミドルを執拗に当て、大脇の左脇の下は赤く腫れる。竹内は右ハイにつなげる場面もあるが、流れは変えられず、終盤には大脇が距離を詰め、左ストレートでまたもダウンを奪う。
3R、竹内が前に出てパンチを振るい、右ストレートを当てる場面もあるが、大脇は大崩れせず、最後は右の前蹴りで突き放し終了。大脇が逆転を許さず判定勝ちした。
第4試合 OFG ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○歩夢(チームドリーム/元KPKBライト級王者)
×下村泰平(K-1ジム総本部チームペガサス)
1R 1’19” KO (右フック)
1R、開始すぐからの打ち合いで、下村が左フックを当ててひるませるが、歩夢が左フックを返してダウンを奪い返す。下村のダメージは大きく、歩夢が下村をロープに詰め、パンチ連打でひるませ右フックで倒したところで、梅木レフェリーがストップした。
勝った歩夢は「ダメージはあまりないんで、すぐ試合組んでもらいたいです。九州なんで福岡大会出たかったんですけど、すぐ組んでください」とアピールした。
第3試合 OFG スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×東本央貴[ひさき](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○龍(WORLD TREE GYM)
3R 0’54” KO (右ストレート)
Krush初のOFGマッチはKO決着に。1R、サウスポーの東本に対し、龍がオーソドックスで構えてプレッシャーをかけ続け、右ストレート、ボディストレートを当て、終盤には左フックでダウン気味にスリップさせる。だが東本も左ストレートでひるませて挽回する。記者採点は龍だがまだイーブンの可能性もある。
2R、龍が東本をコーナーに詰め、パンチ連打で追い詰める。東本は顔面をカットする。龍は右ストレートでひるませる。東本はダメージが溜まっている様子だ。記者採点は龍。
3R、序盤から龍が左と右のストレートを立て続けに当ててダウンを奪う。東本は立つがダメージが大きく、最後は龍が右ストレートで倒したところで、西村レフェリーがストップした。
マイクを持った龍は「俺、強いわ」と喜び「スーパーライト級タイトルマッチ組んでください」と強気にアピールした。
宮田プロデューサー「手ごたえを感じた」「いつもやらない非日常だからOFGは面白い」
宮田プロデューサーは大会後の総括でOFGマッチ全体について「手ごたえを感じた。単純にいつもよりドキドキした。違う良さが見えた選手がいた」と話し「九州の歩夢と大阪の龍は、いい空気を作ってくれた」「負けたけど(山口出身の)高校生の水本悠我君も良かった」と、特に地方勢3名を高く評価した。
K-1 GROPU内でのOFGマッチについては「いつもやらない非日常だからOFGは面白い。KrushでもK-1 GROUPでも全試合OFGにすることはありえない」と位置づけ、今後の展開については「今回様子見のファイターも、俺もやりたっていのも出て来ると思う。年内またどっかでやってみてもいいと思う。ただ、やるとしたら、今回じゃ無い切り口で組みたいです」「会場やABEMAで見た皆さんの声も聞きたい」と話し、ファンの感想・選手の反響を見ながら検討する考えを示した。そのためタイトル制定についても「年内は無い」と慎重だった。安全面やグローブ自体に関して言及は無かったが、大きな問題は無かったようだ。
もともとKrush自体、2008年11月、全日本キックボクシング連盟の大会の中の、全試合K-1ルールの別シリーズとしてスタートしている。旗揚げ大会ポスター中央には「ぶッ壊す」のキャッチコピーが記されていたが、当時の何が起こるかわからないスリリングな雰囲気を思い起こさせるところもあり、既に確立しているK-1・Krushの通常グローブでのリーグのストーリーラインを「ぶッ壊す」可能性も無いとはいえないだろう。
ただしそれがいい方向に転がるかは未知数で、この日勝った橋本雷汰も「OFG、めっちゃ楽しかった」「またOFGでやる」と述べつつ「僕が目指しているのは、ちゃんとグローブでフェザー級ベルトを取ることです」と話したように、選手も戸惑いを隠せない状況のため、他の選手の参入状況も見つつ、しばらく試行錯誤は必要になりそうだ。既に国内外の他団体のOFGマッチが先行している中、Krush OFGマッチがどういうポジションや魅力を提示するかも今後の課題となるだろう。
OFG&木村萌那が話題も、宮田P「ベストバウトは菊地対柿﨑」
第2試合 バンタム級 3分3R(延長1R)
○菊地海斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×柿﨑 瑠[るい](KNOCK OUTクロスポイント大泉)
4R 判定2-1 (モランド9-10/山根10-9/西村10-9)
3R 判定1-0 (モランド30-29/山根29-29/西村29-29)
19歳の柿﨑はKNOCK OUTから派遣されK-1 GROUPに初参戦。KRESTの18歳・菊地が迎え撃った。1Rから菊地が距離を取りつつ、右ミドル、左インロー、左右のパンチを随所で的確に当て、やや優位の状態をキープしていると、2R終盤、左の前手でのフックでひるませ、好印象を作る。
3R、柿﨑は圧力を強めパンチを返し挽回を狙うが、菊地も回りつつ右ストレートを返し、反撃を封じて終了する。記者採点は2Rに菊地につけ30-29で菊地。ジャッジ1者も同じ採点だったが、2者は3Rの柿﨑を支持した模様で延長へ。
延長R、柿﨑が前に出る展開が続き、お互いパンチを当て、差が乏しい状態が続く。終盤、柿﨑が右ストレートをクリーンヒットしひるませれば、すぐ菊地も左フックでひるませる場面を作り、一進一退で最後までわからない展開で終わる。記者採点は迷ったがやや積極的だった柿﨑。ジャッジはやはり割れ、2者が菊地を支持し、菊地が判定勝ちした。
OFGマッチやYoutubeで話題の木村萌那が注目された今大会だったが、宮田プロデューサーは大会後の総括で「全体的なベストバウトは菊地対柿﨑かなと思いますね。菊地は前回負けて5カ月であれだけ強くできる(KRESTの新トレーナーの)卜部功也さんは凄い。両者素晴らしい試合でした。(KNOCK OUTの)山口元気さんとはフランクに話せる間柄だと思っているので、軽い階級でお互い切磋琢磨できたらと思っています」と話している。
木村萌那がTKO勝ちでデビュー3連勝
第1試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×小澤聡子(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元KPKB女子バンタム級王者)
○木村萌那[もな](K-1ジム目黒TEAM TIGER/全日本アマボクシング選手権2020女子バンタム級準優勝)
2R 1’08” TKO (レフェリーストップ:左ストレートによる額のカット)
木村は1月の試合で前蹴りを駆使し、コンピュータゲーム「ストリートファイター」シリーズの春麗(チュンリー)の必殺技「百裂脚(ひゃくれつきゃく)」のようだと話題になり、Youtubeの試合動画が約180万回再生され、魔裟斗チャンネルにも出演するなど話題となる。今回、第1試合で、ベテランの小澤聡子とのプロ3戦目に臨んだ。
1R、ガードを固め前進する小澤に対し、木村はサウスポーで構えて距離を取り、得意とする空手仕込みの顔面とボディ狙いの右前蹴り、さらにボクシング仕込みの左ボディストレート、左ストレートを何発も当てて圧倒する。小澤は前に出続けるがほとんど防御できない。終盤、木村の左ストレートで小澤は右頬をカットし出血する。記者採点は木村。
2R、木村が変わらず攻撃を当て続けていると、小澤の出血が再び激しくなり、ドクターチェックが入る。右眉の上の額も切れており、右頬よりも額の止血が3分近く続き、右まぶたも少し腫れている。再開後、木村が左ストレート、左のボディ狙いの前蹴りを当てていると、血の止まらない小澤を見たシャリー・モランド・レフェリーがストップした。
これでデビュー以来3連勝の木村は「もなワールドの強さはわかってもらえたでしょうか。倒すってイメージとは違うと思いますけど、進化が見せられたと思います。そろそろベルトに絡みたいので検討をお願いします」とアピールした。
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(62.5kg) 3分3R
×川越亮彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
○来希(TEAM ONE)
判定0-3 (29-30/29-30/29-30)
プレリミナリーファイト第1試合 バンタム級(53kg) 3分3R
×呼良[くら](K-1ジム福岡チームbeginning)
○松谷 梛[きな](キャピタルレイズ fighting GlaNz池袋)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)