Krush 1.26 後楽園ホール(レポ):白幡裕星、林佑哉に判定勝ち。“DARUMA”健太、元ウェルター級王者の山際和希をKO。高梨knuckle美穂、2年半ぶり復帰戦はMOEに判定勝ち
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Krush.170
2025年1月26日(日)東京・後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
白幡裕星、林佑哉に判定勝ちし5月のK-1横浜大会出場希望
第8試合 メインイベント バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○白幡裕星(K-1ジム総本部チームペガサス/元KNOCK OUT-RED&ムエタイオープン・スーパーフライ級王者)
×林 佑哉(K-1ジム大宮チームレオン/元RKS&ジャパンカップキックボクシング・バンタム級王者)
判定3-0 (西村30-29/豊永30-28/梅木30-29)
2025年のK-1 GROUPの開幕戦となる今大会のメインイベントでは、Krushフライ級タイトルマッチ・大夢[だいな](王者)vs. 長野翔[かける](挑戦者)が組まれていた。だが長野が「カポジ水痘様発疹症」(ヘルペスウイルスに感染し発熱や皮膚の小さな水ぶくれが多発する病気)を発症したため王座戦が中止に。そのためセミファイナルだった白幡と林の試合がメインイベントに格上げとなった。
白幡は23戦16勝(1KO)6敗1分の22歳。橋本道場時代にムエタイ系のルールで2本のベルトを獲得し、22年からK-1 GROUPに参戦。23年12月には元プロボクシング日本王者の小浦翼に判定勝ち。昨年7月の第9代Krushバンタム級王座決定トーナメント一回戦は峯大樹の計量失格により不戦勝となり、10月の決勝では黒川瑛斗に3Rに左ストレートでダウンを奪われ判定負けし、王座を逃した。
林は27戦17勝(13KO)6敗4分の24歳。山本優弥や寺戸伸近を輩出した広島の空修会館出身。かつてはDEEP☆KICKやNJKF岡山大会等の西日本の大会で活躍。昨年からK-1 GROUPに参戦。1月に坂本寿希に判定勝ちし、6月に白幡裕星の兄・太陽を90秒左フックでKO。7月のKrushバンタム級王座決定トーナメント準決勝に急きょ出場し、黒川瑛斗にKO負けしたが、10月大会では心直を3R右ストレートでKOしている。
1R、林は開始すぐから前に出るが、白幡はサウスポーで構え、右ジャブを突きつつ距離を取り、左ミドル、膝、ストレートを当てる。林も右ストレートを当てる場面もあるが、白幡のヒット数が上回り、試合の主導権を握っている印象だ。記者採点は白幡だがまだイーブンもありうる。
2R、白幡が変わらず左ミドル、膝を的確に当て続けると、中盤、前に出た林のレバーに左のテンカオをクリーンヒット。ひるんだ林に、白幡がパンチと膝をまとめ、ダウン寸前まで追い詰める。その後も白幡が手数多く攻め主導権を維持する。記者採点は白幡。
3R、反撃を狙う林が前に出ていると、林のセコンドから「流しに来るぞ」という声が飛ぶ。すると林は圧を強め、右フックからのパンチラッシュで白幡を追い詰める。しかし白幡はこの後から、変わらず回って距離を取りつつも、声をあげながら左ミドル、膝を度々当てて、林の反撃を許さず終える。記者採点はイーブン。合計30-28で白幡。ジャッジ3者も1~2ポイント差で白幡を支持し、白幡が判定勝ちした。
マイクを持った白幡は「10月はしょうもない試合をしてしまいました。次はバチバチKrushらしい試合するんで、黒川選手ともう一回やらせてください。5月のTHE MATCH、じゃなく(31日の)K-1横浜(BUNTAI)大会に出場したいです。バンタム級のK-1チャンピオンが長く試合していなくて、どうかと思うんで、王者決定トーナメントどうでしょうか?今年はバンバン試合をして勝ち続けます」とアピールした後、今日が誕生日だという母親を祝った。
バックステージでのインタビューで白幡は「林選手とはスパーリングをしたことがあって、その時は人間でしたけど、試合だとスイッチが入って殺しに来ました」と林を評し、2Rに流れを変えたテンカオについては「行かないと倒せないと思って、相打ち覚悟でいきました」とのこと。「3Rはクリンチが多くなってしまって、延長かなと思いました」と厳しく自己評価しつつも、黒川との再戦への手応えを聞かれると「あります」と答え「試合を挟まないといけないなら3月大会に出てもいい」と話し「今年はKrush・K-1のベルトを取ります」と改めて野望を語った。
白幡も言うように、K-1バンタム級王者の黒田斗真は、23年12月に石井一成に判定勝ちして王座の初防衛をして以降、1年以上試合をしていない。宮田充プロデューサーは「黒田選手の所属するK-1ジム心斎橋チームレパードの宍戸代表と黒田選手について去年から話していて、もうちょっとで結論が出せると思います。でも、もし空位になったとして、すぐK-1のリングでトーナメントをやるということはないと思います。外国人も交えて世界でベルトを争いたいです。今日勝ち残ったのは白幡選手ですし、チャンピオンの黒川選手ともういっちょでやるなら、どういう流れがいいか考えたいです」とコメントし、白幡の提案には慎重だったものの、何かしらの浮上のチャンスを与えることには前向きだった。
なお、メインいべんとの前には試合中止となったフライ級級王者の大夢がリングに上がり「長野選手が一番悔しい思いをしていると思います。僕は引き続き試合の準備を進めますのでオファーを待っています。メインイベント最後まで楽しんでください」と話した。
“DARUMA”健太、元ウェルター級王者の山際和希をKOしトーナメント開催希望
第7試合 セミファイナル ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×山際和希(谷山ジム/元Krush&Bigbangウェルター級王者)
○“DARUMA”健太(K-1ジム蒲田チームアスラ)※田上“DARUMA”健太 改め
2R 3’03” KO (右ストレート)
山際は36歳。20年8月に第7代Krushウェルター級王者となるが、2021年1月に初防衛戦で加藤虎於奈に判定負け。その後もK-1 GROUPでは21年6月に寧仁太・アリに、22年2月に中野滉太に敗れると、Bigibangで試合を重ね、約3年ぶりにK-1 GROUPの大会に参戦する。24年のBigibangでは3月に松山翔に判定勝ち、6月に昇也に判定負け、9月に水上陽生と引き分け、12月に狂介に判定負けと苦戦が続いている。
DARUMAは8戦5勝(2KO)3敗の27歳。23年10月には水上陽生に判定勝ちし、昨年8月には海斗に判定勝ち。11月のKPKB福岡大会では幸輝に判定負けしている。
1R、お互い慎重に見合う状態の中で、山際がミドル主体、DARUMAがロー主体で攻めるが、まだどちらもヒットが乏しい。
2R、山際は左右のミドル、ローのヒットを増やす。DARUMAも右ボディフック、左右のローのヒットを増やすと、終盤、DARUMAの攻撃がじわじわと増え、山際は下がり気味に。すると終了間際、DARUMAが右カーフキックを当て、山際がバランスを崩すと、DARUMAがワンツーでの右ストレートをクリーンヒット。山際がダウンする。山際は立ち上がったもののダメージが大きく、西村レフェリーがストップし、DARUMAのKO勝ちとなった。
マイクを持ったDARUMAは「ウェルター級チャンピオンになるとずっと思っています。今日みたいにKOにこだわってやっていきます。ウェルター級が盛り上がっていないんで、トーナメント開催お願いします。自分が中心になって盛り上げます」とアピールした。
高梨knuckle美穂、2年半ぶり復帰戦はMOEに判定勝ち
第6試合 女子ミニマム級(48kg) 3分3R(延長1R)
○高梨knuckle美穂(K-1ジム五反田チームキングス/元Krush女子アトム級(45k)王者)※Y’ZD GYMから所属変更
×MOE(若獅子会館)
判定2-1 (箱崎29-30/西村30-29/伊藤30-29)
高梨は11戦10勝(2KO)1敗の31歳。18年12月のKrush 2戦目でMOEに判定勝ち。19年5月にC-ZUKAにKO勝ちし第2代Krush女子アトム級王者王者に。19年10月、パヤーフォンに延長判定勝ちし初防衛。20年にミニマム級に階級を上げ、MIO、MARIらに勝利したが、22年6月のK-1女子大会でエリヴァン・バルトに判定負けし、デビュー以来の連勝が10でストップした。それから2年半のブランクを経て、ジムも移籍し復帰する。
MOEは12戦6勝6敗の22歳。18年12月のKrush初戦で高梨に判定負けしたが、当時は16歳だった。22年11月のケイト・ウィラサクレック戦まで3連勝していたが、23年4月のKrush女子大会で真美に判定負け。その後、鍼灸師の資格試験の勉強に専念し、1年9か月ぶりの試合となる。
1R、高梨がプレッシャーをかけ続け、右ストレート、ロー等を当てる。MOEは回り続けるが、中盤から次第に細かいパンチのヒットを増やし、終盤には右フックを力強く叩き込むようになり、やや優位で終える。記者採点はまだイーブンだがMOEにつく可能性はある。
2R、MOEは左のジャブ、前蹴りを巧く当てるが、高梨も右のパンチを当て続け、終盤にはMOEが鼻血を出すように。記者採点はイーブン。
3R、高梨は変わらず前に出続けると、なかなか捕まえられなかったが、終盤、右ストレートをクリーンヒットし、MOEをひるませ、パンチラッシュで追い詰める。記者採点は高梨。合計30-29で高梨。ジャッジは割れたが、2者が高梨を支持し、高梨が復帰戦を白星で飾った。
第5試合 66.5kg契約 3分3R(延長1R)
○松岡翔大(KING CONNECTION)※ISHITSUNA MMAから所属変更
×石田 廉(top UN/AJKN日本ウェルター級新人王)
1R 2’40” KO (左ハイキック)
“KONG”光生(K-1ジム蒲田チームアスラ)が練習で脳しんとうとなり欠場し、石田が急きょ代役出場することが大会2日前に発表された。石田はKrush初参戦。岡山出身の24歳。戦績2戦1勝(1KO)1敗で大阪で開催されているAJKNのウェルター級新人王となっている。
1R、松岡がサウスポーからの左のパンチ、蹴りを自在に当てて圧倒する。中盤からは左インローを効かせ、終盤、左ストレートでダウンを奪う。ダメージに大きい石田を、松岡が左ハイで再び倒したところでレフェリーがストップした。
マイクを持った松岡は「近々のオファーを受けてくれた石田選手ありがとうございます。石田選手がいたから試合が成立しました。後楽園で初めて勝利できました。これからK-1 GROUPで上に上がります。死ぬ気でトップ絶対に食ってやります」とアピールした。
第4試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
○吉川仁清(WIZARDキックボクシングジム)
×菊地海斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
1R 1″29 KO (左フック)
両者とも18歳の高校3年生で、吉川は3戦3勝(2KO) 、菊地は3戦3勝(1KO)。吉川は京都在住でホーストカップを主戦場とし今回Krush初参戦。菊地は3月に加藤一虎に、9月に西林翔平に判定勝ちしている。
試合は短時間決着に。1R中盤、足を止めてのパンチの打ち合いで、吉川がカウンターの左フックをクリーンヒット。ガードがガラ空きだった菊地はダウンし、立ち上がったもののフラついており、レフェリーがストップした。マイクを持った吉川は「Krushのベルト狙いにいきます」とアピールした。
第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○水津空良(team NOVA)
×渡邉 陸(POWER OF DREAM)
判定2-0 (西村29-29/豊永30-29/金子30-29)
1R、水津が左ボディを強打しやや好印象だが、2度水津の膝蹴りがローブローとなって中断する場面もあった。渡邉は右ローを効かせ、終盤に少し水津をふらつかせる。記者採点はイーブン。
2R、渡邉が右ローだけでなく右ボディを効かせ、終盤には右ストレートでも水津を苦しめる。記者採点は渡邉。
3R、お互いくっつく場面が繰り返され、お互い攻撃を出すが攻めあぐねる状態が続き終了。記者採点はイーブン。合計29-30で渡邉。ジャッジ1者はイーブンとしたが、2者が水津を支持し、水津の判定勝ちとなった。ホールディングが多かったが、三浦レフェリーの注意が少なく、レフェリーによっては違う展開もありうる試合だった。
麻央、瑠華に判定勝ちし2連勝
第2試合 女子-53kg契約 3分3R(延長1R)
○麻央(K-1ジム心斎橋チームレパード)
×瑠華(team未来/大和KICK QUEEN -52.5kg王者)
判定3-0 (三浦30-29/西村30-28/金子30-29)
麻央は昨年1月、第6代Krush女子フライ級王座決定トーナメント決勝戦で池内紀子に延長判定負け。9月の再起戦では小澤聡子に判定勝ちしている。瑠華は福岡在住で地元の大会を主戦場としてきた18歳でKrush初参戦。戦績7戦5勝(2KO)2敗。
1R、前に出る瑠華に対し、麻央は回って距離を取りつつ、右ロー、ミドル、ストレート、左ジャブ等を的確に当て続けて主導権を握る。
2R、瑠華の右のミドル、膝も当たり出すが、麻央が変わらず蹴り、パンチを手数多く当てて、優位の状態を維持する。瑠華は鼻血を出す。
3R、麻央は手数を上げ、パンチの連打をまとめる場面を増やし、差をはっきり示す。瑠華は鼻血で血まみれになりながらも前に出るが反撃できず終了。麻央が判定勝ちした。
木村萌那、2戦目は前蹴り駆使し判定勝ち
第1試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×Yuka☆(SHINE沖縄/元ミネルヴァ・ライトフライ級王者)
○木村萌那[もな](K-1ジム目黒TEAM TIGER/全日本アマボクシング選手権2020女子バンタム級準優勝)
判定0-3 (三浦27-30/豊永27-30/山根27-30)
木村はJKJO全日本ジュニア空手道選手権大会で7度優勝。日本大学時代には全日本アマボクシング選手権2020女子バンタム級準優勝、2022年女子ボクシング世界選手権出場の実績がある。その後、キックに転向し、昨年11月のKrushでのプロデビュー戦では荻原愛をサウスポーからの左ストレートで1R KOしインパクトを残していた。
対するYuka☆は38歳でプロデビューし現在40歳で15戦6勝6敗2分1無効試合。12月に真優と対戦したが、転倒した際に真優が後頭部をマットに打ち付けてドクターストップがかかり、無効試合で終わっていた。
1R、木村はサウスポーで構え、空手仕込みの右の前蹴りをボディ、顔面に自在に当てて主導権を握る。木村は左ボディストレートも随所で絡める。Yuka☆も中盤以降、時折右ストレートを当てるが、手数差は縮まらない。2Rも基本的に同様の攻めで、木村がYuka☆を翻弄する。3Rも同様の攻防が続き、ダウンは奪えなかったが、木村が主導権を維持し判定勝ちした。
なお、宮田プロデューサーは木村の試合運びについて「期待しているものと違った。パンチが強いなら、倒しに行く試合を期待したい」と苦言を呈している。
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○小野寺隼[はやと](K-1ジム大宮チームレオン)
×森川 絆(POWER OF DREAM)
判定3-0 (30-28/30-28/29-28)
プレリミナリーファイト第1試合 女子アトム級(45kg) 2分3R
×加藤りこ(K-1ジム五反田チームキングス)
○坂上りま(岡澤道場サイクロンジム大船)
判定0-3 (26-30/25-30/26-30)