KNOCK OUT 4.6 後楽園ホール(レポ):鈴木千裕戦目指す中島玲、ウクライナのポズドニアコフにダウン奪われ判定負け。森岡悠樹、乙津陸を1R KOし壱・センチャイジムとBLACK王座決定戦を希望
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2025 vol.2
2025年4月6日(日) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※KNOCK OUTのBLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールはオープンフィンガーグローブ着用・肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒してからの打撃も有効なルール
鈴木千裕戦目指す中島玲、ウクライナのポズドニアコフにダウン奪われ判定負け
第8試合 メインイベント BLACK ウェルター級(67.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×中島 玲(ハイブリッドアカデミー/KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者)
○ユリアン・ポズドニアコフ[Yulian Pozdniakov](ウクライナ/ウクライナIFMA王者、PRO Champion of Europe WKU K1 70kg、ウクライナK1 WAKO王者)
判定0-3 (少26-29/秋谷27-29/北尻26-29)
中島は26歳。子供のころに空手を習い、高校時代にボクシングを始め、19年にプロデビュー。23年4月には日本スーパーウェルター級暫定王者となったが、キックに転向。昨年3月のK-1の-70kg世界最強決定トーナメント開幕戦でのキックデビュー戦でヴィクトル・アキモフに2R KO負け。6月のKNOCK OUT代々木大会でのキック2戦目はバズーカ巧樹に3R TKO勝ち。10月のBLACKウェルター級王座決定トーナメント準決勝では漁鬼に判定勝ち。12月の横浜武道館大会での決勝では渡部太基を1R右フックでKOしベルトを巻くと、1階級下のスーパーライト級王者の鈴木千裕との対戦を希望していた。
ポズドニアコフは初来日の22歳で戦績18戦14勝(6KO)4敗。タイに1年以上住み、ムエタイの名門のシッソンピーノンジムに寝泊まりし、ONEの主力選手のシッティチャイらと練習している。タイで試合をしつつ、KNOCK OUTの久井大夢が参戦したカンボジアのクンクメールの大会でも勝利している。KNOCK OUTのUNLIMITEDルール同様に倒れた相手への攻撃が可能なカラテコンバットのタイでの大会にも出場している。
試合はポズドニアコフのムエタイスキルに、キックデビュー2年目の中島が手を焼く展開に。1R、長身のポズドニアコフはオーソドックスをベースにスイッチを織り交ぜつつ、前蹴りのフェイントを駆使し、左ミドルを随所で当て、右ストレートや左テンカオも絡める。中島は左ボディから顔面への左フックにつなげるコンビネーションを多用し、随所でパンチを強打するが、ポズドニアコフはまだ崩れない。記者採点はイーブン。ジャッジ2者はポズドニアコフを支持する。
2Rも同様の攻防が続いたが、中島はパンチのパターンが読まれ、攻めあぐねている感がある。すると中盤、ポズドニアコフが左ハイで中島の右まぶたを切り裂くと、左テンカオ等の攻撃を増やして勢いづく。そして終盤、ポズドニアコフが中島をロープ際まで詰めると、首相撲からの左膝蹴りを顔面に当ててダウンを奪う。中島は10カウントギリギリでなんとか立つが、ダメージが大きく、その後もポズドニアコフに飛び膝等で攻め込まれて終わる。ポズドニアコフが8-10でポイントを取る。
3R、開始すぐに中島の右まぶたのカットのドクターチェックが入るが、すぐ再開する。ポズドニアコフはバックハンドブローを放つが、肘が当たり、1Rにも同じ反則があったため、和田レフェリーは減点1を宣告する。ポズドニアコフは中盤まで勢いが落ちたが、中島も反撃できず、終盤、ポズドニアコフが組んで左膝蹴りを度々当てて中島を追い詰めて終える。記者採点はポズドニアコフ。合計29-27でポズドニアコフ。ジャッジ3者もポズドニアコフを支持し、ポズドニアコフが判定勝ちした。
マイクを持ったポズドニアコフは「次回はもっといいファイトマネーと、ベルトを懸けた戦いを待っています」と話し、中島の持つBLACKウェルター級王座を懸けての再戦を希望した。
敗れた中島は「キックボクシングというかムエタイの洗礼を浴びました。僕の準備不足でした」と反省し、タイトルを懸けての再戦について聞かれ「再戦できるならやり返したいです」と話した。
KNOCK OUTの山口元気代表は大会後の総括で「6月再戦でいいと思います。ウクライナ、カンボジア 中国、色んな国の選手がKNOCK OUTのベルトを争うのはいいことだと思います」と話している。
森岡悠樹、乙津陸を1R KOし壱・センチャイジムとBLACK王座決定戦を希望
第7試合 セミファイナル BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者、KICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント優勝)
×乙津 陸(クロスポイント大泉/KNOCK OUT-REDバンタム級(53.5kg)王者)
1R 2’42” KO (右ストレート)
森岡は31歳。昨年5月のONE Friday Fightsではイラン人選手に1R KO勝ち。6月のシュートボクシング(SB)でのOFGマッチで山田虎矢太に1R KO負け。9月のスック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王座初防衛戦ではSBの笠原直希に判定勝ちした。11月から行われたKICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント一回戦では真琴と3R引き分けとなったが、真琴の計量オーバーにより延長は行わず、森岡が準決勝に進出。12月の横浜武道館大会では準決勝で古村光から右ストレートでダウンを奪い判定勝ちし、決勝では壱・センチャイジムとのダウンの応酬を制して2R TKO勝ちし、過去に敗れた2人にリベンジを果たすと共にトーナメント優勝し、55kgの頂点に立った。
乙津は20歳。23年11月にサンチャイに敗れて以来のKNOCK OUT出場となる。昨年2月のKrushでは齊藤龍之介に延長判定勝ちしたが、アゴを骨折し、療養を経て、階級を上げて約1年ぶりに復帰した。本格的なスパーリングは10月頃から再開しているという。
試合はトーナメント覇者・森岡が格の違いを見せることに。1R、森岡が右テンカオ、乙津が右カーフを当て、離れた状態からの攻防から始まる。中盤、乙津は圧を強め、右フックを当てると、森岡をロープ際に詰め、パンチを何発も放つ。森岡は被弾する場面もあったが、スウェーとブロックである程度防御しつつ、自分もパンチを返してしのぎ切る。
すると終盤、森岡は前に出返し、下がった乙津に対し、左ジャブからのワンツーの形で右ストレートをクリーンヒット。アゴにもらった乙津はダウンしたまま立てず、森岡のKO勝ちとなった。
マイクを持った森岡は「年末トーナメント優勝に続いて乙津君倒したんで、6月の代々木、BLACKのタイトルマッチ、いいですかね」と、古木誠也の返上したKNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級王座挑戦を希望した。するとREDルールの同級王者の壱・センチャイジムがリングに上がり「森岡君、おめでとう。去年、森岡君に負けて、チャンピオンじゃないと思っているんですけど、今年に入って2連続KO勝ちなんで、REDでタイトルマッチ、どうですかね?」とアピールした。森岡は「REDでのオープンフィンガーグローブの試合の経験が無いんで、BLACKなら受けます」と主張すると、壱は「よっしゃ、BLACKでやりましょう」とすんなりと受け入れ、両者のBLACKルールでの半年ぶりの対戦が濃厚となった。
KNOCK OUTの山口代表は大会後「てっきりREDのタイトルマッチかと思いました。どうしようか。話し合います」とコメントしており、ルールに関しては改めて話し合うことになりそうだ。
古木誠也、フェザー級初戦は2R KO勝ち
第6試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○古木誠也(フリー/元KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)※G1 TEAM TAKAGIから所属変更
×辰樹(Y”ZD GYM/国際チャクリキ協会インターコンチネンタル・フェザー級王者)
2R 2’14” KO (右ストレート)
古木は昨年6月の代々木大会で福田拓海を1R KO。8月大会でサンティアゴ・ペルシバルを3R右フックでKO。10月大会では國本真義に判定勝ちし4連勝していた。だが、12月の横浜武道館大会でのISKA K-1ルール・インターコンチネンタル・バンタム級(55kg)王者決定戦で計量1.95kgオーバーし、対戦相手のドスティン・オルティスが試合を拒否していた。古木はBLACKスーパーバンタム級王座を返上し、今回、1階級上げて戦う。
沖縄在住の辰樹は16戦7勝(3KO)6敗3分の29歳でKNOCK OUT初参戦。最近では昨年10月の新日本キックで新日本フェザー級王者の瀬戸口勝也に1R左ストレートでTKO勝ちしている。
1R、辰樹はサウスポーで構え、左ミドルを随所で当てる。古木はスイッチを繰り返し、左右のローを辰樹の前足に集中する。終盤には辰樹は少しぐらつくようになり、古木は左フックも当て、辰樹をひるませ、好印象で終える。記者採点は古木。
2R、古木が序盤、ローを当てつつ、パンチの連打で前に出るが、カウンターで辰樹が右フックを当て、さらに左ストレートにつなげ、古木をひるませる。中盤、古木は左ミドル、ハイ、ストレートを随所で当て、やや優位に進める。だが終盤、古木陣営から「ポイント取られてんだから行け」と古木を鼓舞すると、古木は圧を強め、ガードの隙間から右ストレートをヒット。少し辰樹がひるんで下がると、さらに古木は右ストレートをクリーンヒット。ダウンした辰樹は立てず、古木がKO勝ちした。
マイクを持った古木は「対戦してくれた辰樹選手ありがとうございます。これからも盛り上がる試合をします。応援ありがとうございます」と、今回もシンプルなコメントで、観客を和ませた。古木はバックステージでのインタビューで、今後もフェザー級で戦うことを表明している。
チュームーシーフー、SB内藤凌太に辛勝
第5試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○チュームーシーフー[Qumuxifu](中国/郭強ファイトクラブ/CFP)
×内藤凌太(BELLWOOD FIGHT TEAM/シュートボクシング日本フェザー級(57.5kg)3位、DEEP☆KICK -55kg級王者)
判定3-0 (センチャイ29-28/板倉30-29/和田29-28)
チュームーシーフーは23歳。中国の武林風(ぶりんふう/WLF)の推薦で23年6月にKNOCK OUTに初参戦し、龍聖から右フックでダウンを奪うも反撃を許し延長判定負け。昨年2月、久井大夢から右フックでダウンを奪い判定勝ち。8月には元山祐希を1R左ハイでKO。10月のKNOCK OUT-BLACKフェザー級王座決定戦では栗秋祥梧に延長判定2-1で惜敗している。
内藤は30歳。23年4月のKNOCK OUTでは栗秋に判定負け。昨年は8月まで土井涼雅、山浦俊一、ウー・ジウォンに判定勝ちし3連勝していたが、10月には山田虎矢太に判定負けしている。
1R、チュームーはサウスポーで構え、随所で左ミドルを当てる。内藤はオーソドックスから右インローを当てる。まだお互いヒットが伸びず、崩れない。記者採点はイーブン。
2R、チュームーが左ミドル主体でやや積極的に攻める。内藤は攻撃が減ったが、終盤、右インローを当てていると。最後はチュームーの足が流れ、内藤が巻き返して終わる。記者採点はイーブンだが割れても不思議ではない。
3R、チュームーが左ミドル、内藤が右インロー主体で攻める構図は変わらない。内藤の右インローの後、チュームーは両手を広げ笑顔を見せる場面も。だが内藤もその先追い詰めきれず。チュームーは右アッパーや左テンカオも当て、僅差のまま終わる。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは3者ともチュームーを支持し、チュームーの判定勝ちとなった。
KNOCK OUTでは今年から「KOに向かったインパクトある攻撃」がルール上評価されるようになっており、チュームーの時折見せた勢いの良さが評価された可能性がある。試合後のインタビューでチュームーは、いつものようなスピードとパワーが無かったと指摘され「今年3試合していて、疲れが出たかもしれません」と話した。
第4試合 BLACK 56kg契約 3分3R(延長1R)
△前田大尊(マイウェイジム/INNOVATIONフェザー級1位)
△福田拓海(クロスポイント大泉)
4R 判定1-1 (秋谷10-9/板倉10-10/和田9-10)
3R 判定0-1 (秋谷28-30/板倉29-29/和田29-29)
前田は19歳。昨年11月のKICKBOXING JAPAN CUP 2024 スーパーバンタム級トーナメント一回戦では一航に延長判定2-1で勝利。12月のKNOCK OUT横浜大会での準決勝では壱・センチャイジムに延長判定負けした。今回はBLACKルールでKNOCK OUTに連続参戦する。
福田は25歳。昨年は3月に岩城広武を1R KOし、6月の代々木大会では古木誠也に1R KO負けしたが、12月の後楽園大会では遊羅に1R KO勝ちしており、1R決着が続いている。
1R、前田が右ストレート、左ボディ、右カーフで積極的に攻めるが、福田はある程度防御すると、終盤、逆に右カーフを効かせて前田をフラつかせる。前田が前に出てパンチを振るってきたが、ここでも福田が右ストレートを的確に当て、最後は崩しも決め、差を印象付ける。記者採点は福田だが、全体の手数で前田が支持される可能性もある。
2Rはお互い右カーフ、ストレートを当てるが、どちらも1Rよりもヒットが減り、均衡状態に。記者採点はイーブン。
3R、中盤まで前田がやや積極的に攻めていたが、カーフをもらった影響で足が流れる場面もあり、詰め切れず。すると終盤、福田が右ストレートのヒットを増やし、前田を追い詰めて終える。記者採点は福田。合計28-30で福田。ジャッジは1者が福田を支持したが、2者がイーブンで延長へ。
延長R、前田が右ストレート、左ジャブ等を積極的に放つ。強打は乏しいが、終盤には手数を当て、やや好印象。だが最後、福田も右ストレート、右飛び膝を返し、差を縮めて終える。記者採点はイーブンだが割れても不思議ではない。ジャッジは三者三様でドローとなった。
第3試合 RED スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×ソンピチャイ・センチャイジム[Sonphichai Saenchaigym](タイ/センチャイムエタイジム)
○優翔(team NOVA)
1R 1’25” TKO (レフェリーストップ:右膝蹴り)
当初、優翔と対戦予定だった下地奏人が網膜裂孔のため欠場し、ソンピチャイが急きょ出場した。1R、サウスポーのソンピチャイに対し、長身の優翔は距離を取り続けるが、中盤過ぎ、優翔はソンピチャイをロープ際に詰めると、右ボディストレートと右テンカオを連続でヒット。ソンピチャイはダウンすると、腹を押さえたまま動けず、少レフェリーがストップした。
マイクを持った優翔は「連続参戦したいですね。タイトルマッチ早くやりたいですね。6月とかできたらお願いしたいです」とアピールした。
第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×小森玲哉(ONE’S GOAL)
○辰次郎[しんじろう](Sports 24)
4R 判定0-3 (センチャイ9-10/少9-10/板倉9-10)
3R 判定0-0 (センチャイ29-29/少29-29/板倉29-29)
1R、序盤から辰次郎の右フックや右バックブローが当たっていると、早くも小森が鼻血を大量に出し、ドクターチェックを受ける。再開前、小森はセコンドに「行っていいですか」と確認すると、パンチと膝の猛ラッシュで反撃に転じる。
2R、小森の勢いがやや落ち、一進一退の打ち合いに。3R、辰次郎は右のテンカオを効かせ、パンチも当て反撃する。小森は前方にスリップする場面が目立ち印象が悪い。ジャッジは3者とも29-29とし延長へ。
延長R、お互い消耗が激しい中、パンチや膝を出すが、一進一退で差はわずかなまま終わる。だが途中、小森は組んでの膝蹴りを2発出す反則を犯す。本戦でも同じ反則で2度注意を受けていたため、秋谷レフェリーはイエローカード減点1を宣告する。結局この減点が差となり、辰次郎の判定勝ちに終わった。
第1試合 BLACK 54kg契約 3分3R(延長1R)
○工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
×馬上[もうえ]一樹(フリー)※G1 TEAM TAKAGIから所属変更
判定3-0 (北尻30-27/秋谷29-28/和田29-28)
プレリミナリーファイト第2試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R
○佐藤優樹(Katana Gym)
×ミサイル雄(ONE’S GOAL)
判定3-0 (センチャイ30-29/秋谷29-28/北尻30-27)
プレリミナリーファイト第1試合 BLACK 女子48kg契約 3分3R
○MOMO(エスジム)
×実穂(クロスポイント大泉)
判定0-3 (センチャイ26-30/秋谷26-40/北尻26-30)