UFC 9.10 ラスベガス(レポ):空道世界王者・岩﨑大河、UFCの登竜門DWSC出場。GLORYでペレイラと3度戦ったベルガルイ相手に奮闘も打撃とアイポークに苦しみ3R TKO負け
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Dana White’s Contender Series: Season 8, Episode 5
2024年9月10日(火/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:UFC APEX
レポート:井原芳徳
第3試合 ミドル級 5分3R
×岩﨑大河(大道塾/パラエストラ東京/修斗世界ミドル級1位)
○ユースリ・ベルガルイ[Yousri Belgaroui](オランダ)
3R 2’34” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
Dana White’s Contender Series(デイナ・ホワイトのコンテンダーシリーズ/略称:DWCS)は、UFCのデイナ・ホワイト代表による選手発掘番組で、ショーン・オマリーを発掘したことでも知られる。日本からは22年8月に木下憂朔が参戦しTKO勝利し、UFCと契約している。今回は岩﨑大河が出場した。来週17日(現地時間)には内藤由良が出場する。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 10: Taiga Iwasaki of Japan prepares to face Yousri Belgaroui of The Netherlands in a middleweight fight during Dana White’s Contender series season eight, week five on September 10, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
岩﨑は26歳。着衣総合武道「空道(くうどう)」の23年の世界大会の最重量の270+クラスの優勝者。2020年からMMAも並行し10戦9勝(3KO/2一本)1敗。修斗等で8連勝後、22年12月の巌流島では元ベラトール・ミドル級王者のラファエル・ロバトJr.に1Rアームロックで一本負けしMMA初黒星。昨年9月の修斗でキム・ウンスに判定勝ちして以来1年ぶりのMMAの試合となる。その間、ビクター・ヘンリーのいるカリフォルニアのCMMAで練習を積み、主にレスリングを強化し、4月にはグラップリングの試合もした。今回の試合前の紹介映像の中で、岩﨑は1994年のUFC 2で日本人として初めてUFCに出場し、ホイス・グレイシーに敗れた大道塾の先輩・市原海樹(みのき)の名前をあげ「市原選手に感化され、UFCを目指さないといけないと思いました」と話していた。
ベルガルイは32歳。元はオランダの名門マイクスジム出身のキックボクサー。GLORYでは16年にイズラエル・アデサニヤに判定負けし、17~18年にアレックス・ペレイラと3度戦い1勝2敗と、後にUFCの王者になる両選手のライバルとして活躍した。21年からMMAに挑戦し、UAEウォリアーズで試合を重ね、昨年8月のDWCSでは判定負け。その後地元オランダの大会で2連勝し、DWCSに再登場した。MMA 10戦7勝(5KO)3敗。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 10: (R-L) Yousri Belgaroui of The Netherlands knees Taiga Iwasaki of Japan in a middleweight fight during Dana White’s Contender series season eight, week five on September 10, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
試合は196cmと長身のベルガルイの打撃と、アイポークの反則に岩﨑が苦しむ展開に。1R、ベルガルイが中央からプレッシャーをかけるが、岩﨑は詰められることなくステップで動いて距離を取る。だが次第にベルガルイの右ロー、ストレート、左ジャブが当たり出すように。岩﨑も左ミドルを返すが攻撃が少ない。中盤、岩﨑が組み付いて金網に押し込むが、ベルガルイは突き放し、その後も打撃で優位を維持する。終盤。岩﨑は二段式の右前蹴りでベルガルイをスリップさせ、立ったベルガルイを金網に押し込み、右肘を当てる。その攻防の前後に2度ベルガルイの偶発的なアイポークがあり、中断が繰り返される。再開後、ベルガルイは右ロー、ボディ、肘、膝、前蹴りと自在に攻め、じわじわと岩﨑を追い詰める。記者採点はベルガルイ。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 10: (L-R) Taiga Iwasaki of Japan punches Yousri Belgaroui of The Netherlands in a middleweight fight during Dana White’s Contender series season eight, week five on September 10, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
2R、ベルガルイは右ストレート、ロー等を当てて打撃で優位を維持する。中盤、岩﨑が押し込むが、これもベルガルイが突き放す。その後の組みの展開では、ベルガルイが右肘を当てる。終盤、岩﨑は変わらず何度も組みに行き、残り40秒には倒しかける場面があるが、これも立たれる。終了間際にはまたもベルガルイの突き出した指が岩﨑の目に入り中断する。累計3度目の反則のため、ベルガルイには減点1がレフェリーから科される。記者採点はベルガルイ。減点も計算に入れるとここまで合計18-19でベルガルイ。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 10: (R-L) Yousri Belgaroui of The Netherlands punches Taiga Iwasaki of Japan in a middleweight fight during Dana White’s Contender series season eight, week five on September 10, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
3R、ベルガルイはパンチを当てるが、疲れた様子で、2Rまでよりは勢いが落ちる。岩﨑はまばたきを繰り返し、まだ目のダメージがある様子。それでも繰り返し組みに行くが、ダメージの蓄積があり、力が入りきらない。すると中盤、ベルガルイが首相撲から右膝を胸に当てると、岩﨑が離れてガードが下がったのを見逃さず、二段式の左の飛び膝を顔面に当てる。岩﨑は後退し、ベルガルイは追いかけてパンチと膝を当て続け、最後は金網に詰め、右ストレートで岩﨑をダウンさせたところで、レフェリーがストップした。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 10: (R-L) Yousri Belgaroui of The Netherlands knees Taiga Iwasaki of Japan in a middleweight fight during Dana White’s Contender series season eight, week five on September 10, 2024 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)
勝ったベルガルイはしばらく笑顔はなく、インタビューでは「サムライだった」と、タフな岩﨑を称えた。反則がマイナス要素となったか?ベルガルイはUFCと契約できなかった。
岩﨑は敗れたものの、ベルガルイの実績もこの日見せたスキルも、DWCSのレベルを超えていて、相手が悪すぎた感がある。岩﨑はその相手に対して、3度のサミングが無ければ、より健闘できた可能性もあった。ベルガルイも今回2度目のDWCSだった。岩﨑は今後ウェルター級への階級ダウンも視野に入れれば、十分に再チャレンジの可能性はあるだろう。