UFC 8.30 ラスベガス(レポ):コンテンダーシリーズ日本人初出場の木下憂朔、左ストレート→パウンドで3R TKO勝ち。UFCとの契約勝ち取る
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Dana White’s Contender Series: Season 6, Week 6
2022年8月30日(火/現地時間) 米国ネバダ州ラスベガス:UFC APEX
レポート:井原芳徳
第5試合 ウェルター級 5分3R
○木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/パンクラス1位)
×ジョゼ・エンリケ[José Henrique](ブラジル)
3R 0’43” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
Dana White’s Contender Series(デイナ・ホワイトのコンテンダーシリーズ/略称:DWCS)は、UFCのデイナ・ホワイト代表による選手発掘番組で、実際にトライアウトの試合が行われる。2017年からスタートし、ショーン・オマリー、ジェフ・ニール、タイラ・サントス、マリナ・ロドリゲスら、現在ランキング戦線で活躍する選手たちが発掘された。木下はDWCSに出場する選手で初の日本人となる。
木下は大阪出身の22歳。6歳から16歳まで空手を習い、アマチュアパンクラス等を経て20年4月にプロMMAデビューし、4試合連続1Rフィニッシュで勝利すると、昨年11月のRIZIN TRIGGERではDEEPウェルター級王者・住村竜市朗と対戦。2Rにパンチの連打でダウンを奪うが、金網をつかみながら何度も顔面を踏みつける反則を犯し、TKO勝ちから反則負けに裁定が覆った。今年4月のパンクラスでは元パンクラス同級王者の村山暁洋を1R飛び膝蹴りでKO。住村戦の反則負けはあったものの、実質6連続フィニッシュ勝利でUFCへの登竜門に足を踏み入れる。対するエンリケは母国ブラジルの大会で経験を重ねプロMMA 5戦5勝(3KO)。195cmと木下よりも12cm長身だ。
1R、木下はサウスポーで構え、圧力をかけて左右のローを当てる。さらに左ミドルを当てると、エンリケは一瞬止まるが、前に詰めるとエンリケも右アッパーで迎撃する。木下は左フックのフェイントをかけつつ右フックをヒットして少しひるませ印象を残す。エンリケがハイを出せば、木下はかわしてから笑顔を浮かべる場面も。エンリケの右肘で木下は左の側頭部をカットし出血するが、すぐに出血はおさまる。中盤以降、少し木下の圧力が落ちると、エンリケは右ミドル、ストレートをヒット。エンリケは長いリーチを活かし、左の前手と足のフェイントで上手く距離を取る。終盤、木下は左インローをヒットするが、詰めればエンリケもパンチを振り回し、危険なムードを維持する。記者採点は木下。
2R、エンリケが中央で構え、右ストレート、右前蹴りを当てる。木下は左ミドルを当て続け圧をかけ返すと、金網際に詰めて右フックも当て印象を残す。中盤には左ストレートも当てる。木下が左ローを当てると、エンリケはサウスポーにも切り替えるが、しばらくしてオーソドックスに戻す。終盤にも木下は左ストレートを当てるが、両者とも手数は落ちる。記者採点は木下。試合後、木下は「2R目に左インローを蹴った時に相手に膝に当たって痛めた」ことを明かしており、これが手数の落ちた理由だったようだ。
ぜひご覧ください‼
この強烈な一撃#木下憂朔 @120821saku2#DWCS pic.twitter.com/oEGKIUhSR4
— UFC Japan (@ufc_jp) August 31, 2022
3R、木下が前に詰めると、エンリケの突き出した左手の指が木下の右目に入り、一時中断する。再開後、エンリケが詰めてきて右フックを放ち木下がかわすと、再び飛んできた右フックを木下がかわし、起き上がった反動で左ストレートをエンリケのアゴにクリーンヒット。エンリケはダウンする。木下は金網際で上になってパウンドラッシュ。エンリケは木下の左足をつかんで足関節技を狙いかけたが、ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーはダメージが大きいと判断し試合をストップした。
木下は2Rの左足のダメージがあり、足を引きずりながらだが、カメラに向かって「見たか、日本人、こら。これがジャパニーズMMAや」と絶叫し大喜び。インタビューでは「今日はノックアウトして他の選手よりインパクトを残そうと思ったので良かったです」「最後、右ストレートで来るとわかっていたのでカウンターで倒しました」と試合を振り返った。VTRで映ったKOの瞬間のホワイト代表の驚いたリアクションを見て「最高っすね」と笑顔で話し「日本人初で、人生かけて格闘技やってよかったです」と話した。
大会後、試合が終わって約10分後には、ホワイト代表がインタビューの中で、木下と契約を結ぶと正式に表明した。ホワイト氏は「彼は1度負けているが反則負けで、試合を支配していて、事実上無敗です。日本から才能のある選手がなかなかUFCに出で来ませんでしたが、やっと見つけました」と木下を称えた。この日は勝利した5選手全員がUFCと契約を結んだが、高いレベルの競り合いの末のKO勝ちで、陽気なキャラクターも中継陣らにもウケており、今後のUFCでの扱いの良さも期待できそうだ。
契約決定後のインタビューで木下は「(日本人初のDWCSからの契約で)日本の格闘技に一個は名前を残せたと思うので、もっと大きい歴史を作れればと思います」と話し、インタビュアーに「怪我が気になりますが、いつ試合したいですか」と聞かれると「すぐにでも。いつでもできるように、すぐ治すんで」と笑顔で答えた。