空道 5.13-14 代々木第二体育館(レポ):岩﨑大河、世界最重量級王座を13年ぶり日本に奪還。小野寺玲奈、大倉萌を下し稜太と史上初兄妹同時制覇
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国際空道連盟 大道塾「2023北斗旗第6回世界空道選手権大会」
2023年5月13日(土)14日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
記事提供:全日本空道連盟(レポート:編集スタジオとのさまがえる、写真:牧野壮樹)
コロナ問題、競技創始者・東孝大道塾初代塾長の逝去、ロシアのウクライナ侵攻のトリプルショックを受け、開催さえ危ぶまれていた「4年に一度の空道世界選手権」。全8クラス中、日本が6階級を制覇し、一方で、日本と旧ソ連圏以外から初の世界王者が生まれるなど、長田賢一第2代大道塾塾長を頂点とした空道の新体制のスタートに相応しい快挙に溢れた大会となった。
270+クラス
岩﨑大河(大道塾総本部)は、イランのセイエド・ヴァヒード・ホセイニからパンチ連打で一本を奪い、決勝に進出すると、5年前の世界選手権で旗判定でリードされ、かろうじて延長戦に持ち込んで勝った相手であるアドリアーノ・リビオ・メネゲッティ(写真白・イタリア) と再戦。右ストレートを効かせてからの頭突きで、連続一本勝ちを奪い、2005年大会の藤松泰道以来、13年ぶりの世界最重量級の王座を日本に奪還した。トリプルショックを経ての、二日に渡る大会の最終試合において、頭突きという空道ならではの技で、この偉業が達成された瞬間、場内は大きな興奮に包まれた。
-270クラス
日本代表・西尾勇輝(大道塾大阪南支部)は準決勝でゲディミナス・マカウスカ (リトアニア) にハイキックを浴びて技ありを喫して敗れ、そのマカウスカは決勝で右ストレートで有効、ニーインベリーからのキメ打撃で効果を奪われ完敗。優勝したのは、アゼルバイジャンで空道をはじめて14年、空道以外には格闘技キャリアがないというヴサル・アリエフ(写真白)だった。アゼルヴァイジャンという馴染みの薄い国の選手が優勝したことも、その選手に14年のキャリアがあったということも、この競技の国際的な普及をうかがわせる結果であった。
-260クラス
キューバのリディエ・ジョロン・ゴンザレスが極真空手の派閥のひとつ(WKF極真会館)の世界選手権で準優勝した経験をもつ宮原穣(大道塾東中野支部)、この階級の日本のエース選手・近藤瑞起(写真青・大道塾岸和田支部)から腕十字による一本を連取し、世界制覇。前評判では話題にすら上らなかった男のマシーンのような闘いぶりに場内に戦慄が走ったが、すぐに近藤を気遣う姿、大会MVP(北斗旗)を授与され東惠子・大道塾事務局長(東孝初代塾長夫人)と談笑する姿は、温かな人間性を感じさせた。
-250クラス
20歳にして全日本優勝&準優勝の実績を誇り早々に世界選手権日本代表に選出されるも、コロナウィルス感染による血栓症を患い、2022年後半から大会を欠場していた小野寺稜太(大道塾総本部)は、1回戦、準々決勝、準決勝とも、薄氷を踏むような競り合いを制し、決勝へ。ボーアンドアローチョークでモハマド・ハイル・カーン(インド)を絞め落とし、寺阪翼との延長戦に競り勝ち駒を進めた ヴィリウス・タラセビシウス(写真青・リトアニア)の勢いが小野寺を飲み込むかと思いきや、小野寺はパンチをヘッドスリップでスイスイと躱してはカウンターを打ち込み、後ろ回し蹴りをハイキックで迎撃する離れ業までみせる。延長旗判定で完勝、この階級で初の日本人世界王者となった。
-240クラス
ロシアスポーツ省の要請によりロシア選手が出場できなくなったことで出場権の回ってきた曽山遼太(大道塾岸和田支部)が全日本のディフェンディング王者・伊東宗志(大道塾日進支部)を準々決勝で退け、決勝進出。イタリア、アゼルバイジャン、フランスの選手をねじ伏せて勝ち上がった2019年の全日本王者・寺口法秀(写真青・大道塾横浜北支部)が迎え撃ち、曽山の膝蹴りを喰らいながらも構わずテイクダウンを奪い、アキレス腱固めを極めかけ、延長旗判定で世界王座を手に入れた。
-230クラス
前回、前々回と、世界選手権で優勝者に敗れてきた全日本連覇記録(2022年でV7)保持者・目黒雄太(大道塾長岡支部)が、インド、ブラジルの選手を下し、3度目の挑戦で世界制覇へ王手。大会6日前に出場権の回ってきたリザーバーながら強豪国ジョージアの選手、2大会連続アジア選手権王者の谷井翔太(大道塾横須賀支部)を下して決勝進出を果たし、勢いに乗る佐々木龍希(写真青・大道塾総本部)を迎え撃つ。佐々木の腹を前蹴りで抉りスタミナを削った目黒は、延長戦で効果2(マウントパンチと、襟を左手で引きつけての右ストレート)を奪い、旗判定無しの完勝を遂げた。敗れた佐々木は「(目黒の)全日本連覇は自分が止めます」とリベンジを誓う。
女子220+クラス
準決勝で180センチ、75キロのザイネブ・ジマー(フランス)が放つ重い右ストレートを凌ぎ、反則を誘い出した内藤雅子(大道塾横浜北支部)が、決勝ではプリシラ・レモンティー二(写真白・イタリア)を膝蹴りから内股、大外刈から支釣込足と波状攻撃を掛けて延長戦旗判定で勝利。
女子-220クラス
決勝は、1年前の全日本決勝の再戦。前回は、女子空道の完成形とも評される打・投・極のバランスのとれた美しい組手スタイルの大倉萌(大道塾吉祥寺支部)が接戦を制したが、今回は小野寺玲奈(写真白・大道塾帯広支部)がテイクダウンからマウントパンチで効果を奪い、リベンジ。小野寺玲奈は-250クラスを制した小野寺稜太の妹であり、きょうだい同時での世界選手権制覇は、もちろん初。20歳と18歳の若さでのきょうだい世界選手権制覇の記録は、永遠に破られないかもしれない。
入賞者
女子 -220
優勝 小野寺玲奈(REINA ONODERA)(Japan)
準優勝 大倉萌(MOE OKURA)(Japan)
3位 ILARIA AGRESTA(イラリア・アグレスタ) (Italy)
女子 +220
優勝 内藤雅子(MASAKO NAITO)(Japan)
準優勝 PRISCILLA REMONDINI(プリシラ・レモンディーニ)(Italy)
3位 ZAINEB JEMAA(ザイネブ・ジマー) (France)
男子 -230
優勝 目黒雄太(YUTA MEGURO)(Japan)
準優勝 佐々木龍希(RYUKI SASAKI)(Japan)
3位 谷井翔太(SHOTA TANII) (Japan)
男子 -240
優勝 寺口法秀(NORIHIDE TERAGUCHI)(Japan)
準優勝 曽山遼太(RYOTA SOYAMA)(Japan)
3位 KYUNG HYUN KIM(キョン・ヒョン・キム)(Korea)
男子 -250
優勝 小野寺稜太(RYOTA ONODERA)(Japan)
準優勝 VILIUS TARASEVICIUS(ヴィリウス・タラセビシウス)(Lithuania)
3位 REMUS MOGA(レムス・モガ)(Rumania)
男子 -260
優勝 LIDIER JORRÌN GONZÁLEZ(リディエ ジョロン・ゴンザレス)(Cuba)
準優勝 近藤瑞起(MIZUKI KONDO)(Japan)
3位 NALA FRANCA MOURAO GONTIJO(ナラ・フランサ・モウラン・ゴンティージョ)(Brazil)
男子 -270
優勝 VUSAL ALIYEV(ヴサル・アリエフ)(Azerbaijan)
準優勝 GEDIMINAS MAKAUSKAS(ゲディミナス・マカウスカ)(Lithuania)
3位 西尾勇輝(YUKI NISHIO)(Japan)
男子 270+
優勝 岩﨑大河(TAIGA IWASAKI)(Japan)
準優勝 ADRIANO LIVIO MENEGHETTI(アドリアーノ・リビオ・メネゲッティ)(Italy)
3位 TAMER TEMSAMANI(タミル・テムサマニ)(United Arab Emirates)
◆最優秀勝利者賞
LIDIER JORRÌN GONZÁLEZ(リディエ ジョロン・ゴンザレス)(Cuba)※男子 -260優勝
同時開催された「2023第3回世界空道ジュニア選手権大会」の結果
U13女子 42kg以下 優勝 廣田舞央(MAO HIROTA)(Japan) 準優勝 原田浬矢(RIYA HARATA)(Japan)
U13女子 52kg以下 優勝 菊地奈々乃(NANANO KIKUCHI)(Japan) 準優勝 MILANA MANILOVA(ミラナ・マニロバ)(Malta)
U13男子 42kg以下 優勝 亀田空(SORA KAMEDA)(Japan) 準優勝 島橋陽也(HARUYA SHIMAHASHI)(Japan) 3位 DIMITRI BERAYA(ディミトリ・ベラヤ)(Georgia)
U13男子 52kg以下 優勝 佐藤大峨(TAIGA SATO)(Japan) 準優勝 鈴木奏多(SOTA SUZUKI)(Japan) 3位 KIRAKOSYAN HAYK(キラコシアン・ハイク)(Armenia)
U16女子 43kg以下 優勝 五十嵐心桜(KOHARU IGARASHI)(Japan) 準優勝 横山香織(KAORI YOKOYAMA)(Japan)
U16女子 53kg以下 優勝 槻田ゆい(YUI TSUKITA)(Japan) 準優勝 MARIAM NANAVA (マリアム・ナナバ)(Georgia) 3位 KARINA KONKOVA(カリーナ・コンコバ)(Kazakhstan)
U16女子 63kg以下 優勝 由利弥琴(MIKOTO YURI)(Japan) 準優勝 ZUKHRO ABDUKHAMIDOVA(ズクロ・アブドゥカミドヴァ)(Malta)
U16男子 48kg以下 優勝 中山涼雅(RYOGA NAKAYAMA)(Japan) 準優勝 坂本天音(AMANE SAMAMOTO)(Japan) 3位 DOMINIC ARCHULETA(ドミニク・アルチュレッタ)(USA)
U16男子 58kg以下 優勝 相原琉唯斗(RUITO AIHARA)(Japan) 準優勝 飛澤周希(SHUKI TOBISAWA)(Japan) 3位 RATI SHURGAIA(ラティ・シュルガイア)(Georgia) 4位 HAKOBYAN DANIEL(ハコビャン・ダニエル)(Armenia)
U16男子 68kg以下 優勝 佐藤歩(AYUMU SATO)(Japan) 準優勝 NIKA BERAYA(ニカ・ベラヤ)(Georgia) 3位 熊谷慈英(ZIE KUMAGAI)(Japan) 4位 NICHITA MAZURCHEVICI(ニチタ・マズルチェヴィッチ)(Malta)
U16男子 88kg以下 優勝 SABA MAKACARIA(サバ・マカカリア)(Georgia)
U16男子 88kg超 優勝 NOJUS MARTUSEVICIUS(ノジュス・マルテビシウス)(Lithuania)
U19女子 215以下 優勝 SEVINJ MOVSUMZADE(セヴィニ・モヴスムザデ)(Azerbaijan) 準優勝 MARINA NATALIA GUSAROV(マリーナ・ナタリア・グサロフ)(Malta)
U19女子 235以下 優勝 髙橋京香(KYOKA TAKAHASHI)(Japan) 準優勝 ANYA SAHNI(アーニャ・サーニ)(India)
U19男子 220以下 優勝 柵木来斗(RAITO MASEGI)(Japan)
U19男子 230以下 優勝 RENAT AUTOV(レナート・アウトフ)(Kazakhstan) 準優勝 加藤遼己(HARUKI KATO)(Japan) 3位 曽山隆聖(RYUSEI SOYAMA)(Japan)
U19男子 240以下 優勝 NALBANDYAN GOR(ナルバンディアン・ゴル)(Armenia) 準優勝 VLADISLAV GULEVICH(ウラジスラフ・グレビッチ)(Kazakhstan) 3位 NURSULTAN BATYRBEKOV(ヌルスルタン・バティルベコフ)(Kyrgyzstan) 4位 佐々木翼(TSUBASA SASAKI)(Japan)
U19男子 250以下 優勝 URMATBEK UULU RINAT(ウルマットベク・ウル・リナト)(Kyrgyzstan) 準優勝 佐藤裕太(YUTA SATO)(Japan)
U19男子 260以下 優勝 SEDRAK KARAPETYAN(セドラク・カラペチャン)(Georgia) 準優勝 KEEGAN MENEZES(キーガン・メネゼス)(India)
U19男子 270以下 優勝 ETHAN AINSWORTH(イーサン・エインズワース)(USA)