空道 2018 北斗旗全日本体力別選手権 5.13 仙台市青葉体育館:秋の世界選手権日本代表最終選考大会で新鋭が続々優勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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全日本空道連盟「2018 北斗旗全日本空道体力別選手権」
2018年5月13日(日)宮城県・仙台市青葉体育館
レポート提供:編集スタジオあまがえる 写真提供:牧野壮樹
今秋、4年に一度の世界選手権が開かれる着衣総合格闘技・空道。その日本代表を決める最終選考大会となる、階級別全日本選手権が開催されたのだが…。
体力指数(身長cm+体重kgの数値)-260クラスでは2014・2016全日本同級優勝の加藤和徳や2015・2016全日本無差別ベスト4の押木英慶が、-250クラスでは2015・2017全日本同級優勝の加藤智亮や2017アジア同級優勝の山崎順也が、-240クラスでは2017アジア同級準優勝の巻礼史や2015全日本同級優勝の川下義人が、-230クラスでは前回世界選手権同級王者の中村知大が、女子では2016年‐215優勝の渡邉富紀恵や2017アジア同級優勝の作田千代美が、いずれも、いままで一度も全日本クラスの大会で優勝したことのない新鋭たちに敗れる大波乱の結果に。
世界選手権日本代表メンバーは、2017全日本階級別、2017アジアと今大会の3大会での各選手の成績をポイント化することで、その多寡によって決定することとなっているが、昨年の大会でポイントを重ねてきた選手たちと、今大会でブレイクスルーした選手たちのスコアが、横一線で並んでしまった感がある。いったい、誰をメンバーに入れ、誰を落選とするのか……。
今後の日本代表候補強化練習等のなかでプレーオフ戦を行うなどして、最終決定がなされるのだろうが、全日本空道連盟にとっては、世界選手権での日本の復権に向け、悩ましくも期待に満ちた状況といえるだろう。
260+クラス
一昨年の決勝では野村幸汰が完勝。一年前の決勝では、柔道全日本選手権ベスト16の実績をもつ野村の内股や払腰を潰し、マウントすら奪ってみせた岩﨑大河が打撃で差をつけ、リベンジ達成。1勝1敗で迎えたラバーマッチ、20歳の岩﨑と26歳の野村の対戦では、やはり若さに勝る岩﨑の方がこの1年間の技術的成長度が高かったか。キレのあるパンチと、上中下段に振り分けた蹴りをコンビネーションさせ、ときには185センチ、100キロの体格にしてスーパーマンパンチすらヒットし、打撃戦においては完全に野村をリード。逆に組み技の局面においては、野村が優位を保っていたが、通常のMMAやコンバットサンボ等と比べると、判定において打撃に比重を置く空道において、岩﨑にすべての旗が挙がるのは、基準通りの評価であった。
-260クラス
準決勝、辻野浩平は、この階級のエース・加藤和徳からニーインベリー→キメ突きで効果ポイントを奪取。伊藤新太は、押木英慶から右クロスで効果ポイントを奪取。実力を評価されながら、過去、幾度、全日本に挑んでも決勝に勝ち進んだことのなかった二人が、世界選手権代表最終選考大会というタイミングで、遂に、この階級のタイトルを争った。伊藤は10年前に高校の空道部に入部して以来、高い巧緻性を評価されていたが、打ち合いでの脆さ、試合後半での粘りのなさが露呈することが多く、4年前の世界選手権も、代表候補に選ばれながら、プレーオフで敗れ、出場が叶わなかった。このまま永遠のバイプレイヤーで終わるのか……とも思わせたが、今回の決勝では、本戦で効果1(ニーイン→キメ)を奪いつつ、守りに入ることなく、延長終盤に反り投げからの腕十字でタップアウト。壁を乗り越えた二人が、このまま世界代表入りを果たし、一気にカリエフ・アダン(2009、2014世界選手権同級優勝)を越えてみせるのか? それとも今大会を欠場した〝空道創始者・東孝の義理の息子〟清水亮汰や加藤、押木らが、再び彼らの日本代表入りに待ったを掛けるのか? 日本代表枠は原則「各階級4人まで」である。
-250クラス
昨年、国内で行われた2大大会(全日本、アジア)の同級は、山崎順也と加藤智亮が決勝を争い、1勝1敗だったのだが…。今大会、この両翼が、決勝を待たず姿を消した。山崎は、飯田諭のパンチラッシュの波に飲まれ、奪われた効果ポイントを取り返せず、ブロックリーグ戦で敗退。加藤は2015年同級決勝で効果ポイントの奪い合いとなるシーソーゲームの末に下した相手である藤田に、準決勝で右クロスを浴び、効果ポイントを奪われた。決勝に進んだのは、飯田を下した20歳、ジュニアクラスで輝かしい戦績を残してきた安富北斗と、藤田。決勝本戦では、安富がキレのある打撃を矢継ぎ早に決め、さらに投げてからのキメ突きで効果を奪い、藤田を圧倒。規定(決勝は効果2以上がない場合は判定を採らず、延長戦に入る)により、延長戦を迎えたが、足をひきずる藤田が気の毒に思えるほどだった。ところが、延長では藤田が日本拳法、自衛隊徒手格闘技出身らしさ爆発の武骨な粘り強さをみせ、集中力の落ち始めた安富から効果2(右ストレートとニーイン→キメ)を奪う大逆転。キレと粘りのなさ、諸刃の若さをみせた安富と、遅咲きの初戴冠(33歳)となった藤田、好対照な持ち味がスウィングした一戦だった。
-240クラス
2017アジア同級準優勝の巻礼史が18歳の曽山遼太のハイキックに沈み、2015全日本同級優勝の川下義人は、服部晶洸に競り負け。2015全日本無差別ベスト8の国枝厚志も、金光樹の投げ→キメで効果を奪われ、消えた。決勝に残ったのは、服部と昨年の全日本同級王者・神代雄太。本戦、延長と一進一退の攻防であったが、写真のヒジ打ちなど、首相撲からの展開で優位に立った神代が僅差の旗判定勝利を得た。この階級もまた、ケガにより今大会を欠場した2016年王者・田中洋輔を含め、代表争いは今後に持ち越されそうだ。
-230クラス
準決勝。19歳の菊地逸斗が2014世界選手権同級王者の中村知大の組み技を凌ぎ切り、スピード溢れる打撃でイニシアチブを握り、延長判定勝利。もう一方のブロックでは、目黒雄太が、37歳のベテラン・末廣智明のテクニックに、落ち着いた対応をみせ、完勝。決勝では目黒が怒涛の攻め(写真)をみせ、菊地から効果2つを奪い、本戦で勝負を決めた。25歳の目黒、6歳年下の新鋭から、12歳年上のベテランまで、それぞれの得意分野で勝負してなお、相手を寄せ付けないだけの盤石の強さを持っている。これで全日本同級4連覇達成。小川英樹の全日本階級別大会7連覇の記録を超える日は来るか? なお、この階級、半年前のアジア選手権の同級王者・谷井翔太が職務の事情で、今大会を欠場している。目黒、末廣、中村、谷井、菊地の5人だけでも、すでに世界代表の枠に収まらないのに、2017アジア同級準優勝、2016全日本同級準優勝の近田充、2015全日本無差別ベスト8の小芝裕也も、まだ諦めてはいないだろう。闘いは続く。
女子220+クラス
決勝。絶対的エースの大谷美結が欠場した今大会、ここ数年は毎回のように大谷と全日本決勝を争ってきた今野杏夏が、ポスチャーの乱れないパンチ、キックの連繋をみせ、柔道技の冴える内藤雅子を制す。
女子-220クラス
ディフェンディングチャンピオン・大倉萌が膝の怪我により欠場した今大会、小柳茉生(青)が、2016年‐215優勝の渡邉富紀恵(白)、2017アジアー220級優勝の作田千代美に競り勝ち、初優勝。このカテゴリーも、大倉萌を含めて、実績は4人の選手が横並び。女子は各階級、2人程度の日本代表選出かと思われるが、果たして誰が選ばれるのか?
試合結果
女子220以下 【優勝】 小柳茉生(大道塾新潟支部)
女子220超 【優勝】 今野杏夏(大道塾多賀城支部)
230以下 【優勝】 目黒雄太 (大道塾長岡支部) 【準優勝】 菊地逸斗 (大道塾横浜北支部)
240以下 【優勝】 神代雄太 (大道塾吉祥寺支部) 【準優勝】 服部晶洸 (大道塾横浜北支部)
250以下 【優勝】 藤田隆 (大道塾秋田支部) 【準優勝】 安富北斗 (大道塾札幌南支部)
260以下 【優勝】 伊藤新太 (大道塾日進支部) 【準優勝】 辻野浩平 (大道塾岸和田支部)
260超 【優勝】 岩﨑大河 (大道塾総本部) 【準優勝】 野村幸汰 (大道塾札幌西支部)
◆最優秀勝利者(北斗旗獲得):目黒雄太 (大道塾長岡支部)
◆優秀道場賞(勝利数ポイントによる団体戦) 1位:大道塾岸和田支部、大道塾横浜北支部、大道塾行徳・東中野支部(同率)
※以下、併催の大会結果(○○支部とあるのは、すべて大道塾○○支部の略)
2018 全日本空道シニア選抜選手権大会
シニア軽軽量級 【優勝】 桐田淳利 (仙南支部) 【準優勝】 佐藤嘉紘(新潟支部)
シニア軽量級 【優勝】 岡田季之 (仙台東支部)
シニア軽中量級 【優勝】 平石哲也 (行徳支部)
シニア中量級 【優勝】 平田祐二 (浦和支部) 【準優勝】 吉永直樹 (高尾支部)
シニア軽重量級 【優勝】 新出勝治 (行徳支部) 【準優勝】 戸谷誠 (練馬支部)
シニア重量級 【優勝】 飯塚 進 (岸和田支部)
シニア超重量級 【優勝】 寺門勝利 (草加支部) 【準優勝】 諏訪一郎 (広島中央支部)
2018 全日本空道ジュニア選抜選手権大会
U13女子 42kg以下 【優勝】 相内春花 (青森支部) 【準優勝】 佐藤日和 (登米支部)
U13女子 52kg以下【優勝】 神 舞優 (青森支部)
U13男子 42kg以下 【優勝】 鈴木 廉 (四日市支部)
U13男子 52kg以下 【優勝】 酒井晃希 (塩釜支部) 【準優勝】 本田亮太 (紋別支部)
U16女子 43kg以下 【優勝】 稲垣琴愛 (四日市支部)
U16女子 53kg以下 【優勝】 小野寺玲奈 (帯広支部) 【準優勝】 高橋真綾(三沢支部)
U16女子 63kg以下 ワンマッチ 【勝利者】 小泉穂乃華 (帯広支部)
U16男子 48kg以下 【優勝】 今井健太郎 (四日市支部) 【準優勝】 坂本琥珀 (塩釜支部)
U16男子 58kg以下 【優勝】 吉田優太 (大広支部) 【準優勝】 齋藤聖覇 (仙南支部)
U16男子 68kg以下 【優勝】 鶴田 陸 (朝倉支部) 【準優勝】 末藤海瑳( 岸和田支部)
U19女子 215以下 【優勝】 中村粋里花 (帯広支部)
U19女子 225以下 ワンマッチ 【勝利者】 末永あゆ (石巻支部)
U19男子 230以下 【優勝】 遠藤春翔 (塩釜支部)
U19男子 240以下 【優勝】 酒井優太 (塩釜支部) 【準優勝】 小野寺稜太 (帯広支部)
U19男子 250以下 ワンマッチ 【勝利者】 曽山智輝 (岸和田支部)
U19男子 270超 ワンマッチ 【勝利者】 江上遼太郎 (三沢支部)