空道 11.9 愛知県武道館:北斗旗全日本無差別選手権 加藤和徳、悲願の初優勝
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全日本空道連盟「2019北斗旗 全日本空道無差別選手権大会」
2019年11月9日(土)愛知県武道館
記事提供:全日本空道連盟(レポート:編集スタジオあまがえる 写真:牧野壮樹)
中継:BS 11 12月22日(日)25:30~27:28
男子優勝の加藤和徳と、女子優勝の今野杏夏。加藤が手にしている旗は、ペナントリボンに長田賢一、山田利一郎、市原海樹、加藤清尚、セーム・シュルト、西良典、山崎進、加藤久輝……といった歴代優勝者の名が刻まれた“北斗旗”。
〔男子〕
頭突き・ヒジ打ちを含む打撃、道着を掴んでの投げ技や絞め技、タックル、関節技、グラウンド打撃(グラウンド状態の相手に対して、マウントポジション、ニーインベリーの体勢から疑似打撃を行うことでポイントが与えられる)など、多様な技術が認められる着衣MMA「空道(くうどう)」の無差別の全日本大会。22歳にしてキャリア15年、185センチ・97キロの体格ながら俊敏な動きと、打・投・極とすべての局面を制する技量を誇る岩﨑大河の初戴冠、その勝ち名乗りが「新エース襲名」の瞬間となることが想定されたが、現実は、予定稿どおりには進まないものである……。
(所属の後の数字は体力指数=身長+体重の数値。以下同)
◆準々決勝
○目黒雄太 (大道塾長岡支部/232.7/27歳)
×押木英慶 (大道塾新潟支部/260/27歳)
延長旗判定5-0
※延長戦で右上段回し蹴りにより目黒に1ポイントあり。
※体力指数差が20以上30未満のため、双方の選手に金的蹴りが認められ、片方もしくは双方が掴んだ状態でのパンチや頭突きやヒジ打ちは禁止(蹴り技は可)。
近々の無差別全日本で2年連続ベスト4に入っている押木(白)。その腰に両足の裏を置いて、両手で襟を引きつけてぶらさがるなど、牛若丸が弁慶を翻弄するかの如く、終始ペースを握った目黒。延長で右ハイで効果(1ポイント)を奪うと、豪快な反り投げまで決めてみせた。
○加藤和徳 (大道塾吉祥寺支部/265/34歳)
×曽山遼太 (大道塾岸和田支部/239/20歳)
延長 ポイント2-0
※本戦でマウントパンチによる1ポイント、延長戦でもマウントパンチによる1ポイントを加藤が奪い、2ポイント以上の差が開いたため、規定により旗判定なしで決着。
※体力指数差が20以上30未満のため、双方の選手に金的蹴りが認められ、片方もしくは双方の選手が掴んだ状態でのパンチや頭突きやヒジ打ちは禁止(蹴り技は可)。
小学低学年で空道をはじめ、3年連続でU19クラスで全日本を制し、昨年、一般部へ昇格、直ちに世界選手権代表に選出された曽山(白)に対し、高校卒業まではサッカー部、社会人となってから空道の道に入った加藤。対照的な道を歩んできた二人の対戦、組んでからの上段膝蹴りやグラウンドコントロールで加藤が完勝を収めた。
○岩崎大河(大道塾総本部/282/22歳)
×寺口法秀(大道塾横浜北支部/240/24歳)
本戦 一本勝ち
※岩﨑がマウントパンチによる1ポイントを奪った後、腕十字で一本勝ち。
※体力指数差が30以上のため、双方の選手に金的蹴りが認められ、片方もしくは双方が掴んだ状態でのパンチや頭突きや蹴りやヒジ・ヒザなど一切の打撃(空道ではこれを加撃と呼ぶ)が禁止。
今春の階級別全日本で-240クラスを制した寺口(白)だったが、岩﨑との体力指数差42はいかんともしがたかった。序盤から真っ向勝負で突っ込むも、岩﨑はニーインからの十字絞めを仕掛け、これを嫌った寺口が体を翻そうとしたところを足掛けの片手襟絞め(いわゆるボーアンドアローチョーク)で攻め、最後は腕十字でフィニッシュ。器用さをみせつけた
○服部晶洸 (大道塾横浜北支部/245/29歳)
×加藤智亮 (誠真会館東伏見道場/250/32歳)
延長 ポイント2‐0
※延長で、服部が右ストレートで1ポイント、右ローで1ポイントを得る。2ポイント以上の差が開いたため、規定により旗判定なしで決着。
階級別大会ではー240クラスの選手であり、全日本大会ではファイナリストになった経験のない服部(白)が、-250クラスの全日本を2度制している加藤に対し、旗判定に持ち込むことなく勝利。打撃・投げ・寝技とすべての面で優れた技量を有しながら、ここ数年、あと一歩のところでチャンピオンクラスの選手たちに競り負けてきた男が、遂に上位にいる者を喰ったかたちだ。今後のさらなるブレイクスルーに期待したい。
◆準決勝
〇加藤和徳 (大道塾吉祥寺支部/265/34歳)
×目黒雄太 (大道塾長岡支部/232.7/27歳)
延長 旗判定5‐0
※延長で加藤が右ストレートで1ポイントを得る。
※体力指数差が30以上のため、双方の選手に金的蹴りが認められ、片方もしくは双方が掴んだ状態でのパンチや頭突きや蹴りやヒジ・ヒザなど一切の打撃(空道ではこれを加撃と呼ぶ)が禁止。
2015年の無差別全日本でも対戦していた両者。その際は、孫悟空の如く自由に跳びまわる目黒を加藤が捕らえられず、一本背負い投げで豪快に加藤の体を宙に舞わした目黒が勝利を収めていた。4年ぶりの対戦でも、目黒(青)は極端に低く構えたり、加藤の帯の先端を掴んで闘ったり、胴回転回し蹴りを繰り出したりと、自由な闘いをみせたが、今回は加藤が心を乱されることなく対処。パンチの連打に狙いを絞り、右ストレートで効果を奪い、リベンジを達成した。
〇岩崎大河 (大道塾総本部/282/22歳)
×服部晶洸 (大道塾横浜北支部/245/29歳)
本戦 一本勝ち
※本戦で岩﨑がマウントパンチ、右ロー、マウントパンチでそれぞれ1ポイント、計3ポイントを奪った後、襟絞め(ボーアンドアローチョーク)で一本勝ち。
※体力指数差が30以上のため、双方の選手に金的蹴りが認められ、片方もしくは双方が掴んだ状態でのパンチや頭突きや蹴りやヒジ・ヒザなど一切の打撃(空道ではこれを加撃と呼ぶ)が禁止。
ベスト4進出者のなかで、目黒は5度、岩﨑&加藤は2度、全日本(階級別)を制しており、服部だけが全日本で優勝も準優勝も経験がない。実直に前に出て技の交換を行う服部(白)を、岩﨑は右ローでグラつかせ、あっという間に効果3つを奪い、絞めで一本へ。無差別で軽量級の選手が闘うにはフットワークを取って相手に的を絞らせず、打ったらすぐ離れる戦略をとることが必須かと思われるが、それにしても、服部のここまでの健闘は光った。
◆決勝戦
〇加藤和徳 (大道塾吉祥寺支部/265/34歳)
延長 旗判定5‐0
×岩崎大河 (大道塾総本部/282/22歳)
※本戦で加藤に上段膝蹴りによるポイント1あり。
本戦で加藤(青)が組んでの顔面ヒザで1ポイント(効果)を奪取。岩﨑は跳び前蹴りで加藤を転倒させたり、ニーインベリーからのキメ突きで効果認定を得そうになったりするのだが、あと一歩及ばず。次第に焦りがみえ、本来、寝技の局面を得意としない加藤に、逆に俗にいうセンタクバサミのかたちで首を捕らえられてしまう。勝つときは圧倒的な破壊力をみせる岩﨑だが、5年前の世界ジュニアでの敗戦、2年前のアジア選手権でのバイラン・ゴザレフ、イ・ウンチョル戦での連敗と、今回の試合結果からは、序盤でポロっとポイントを与えてしまう甘さ、ポイントを奪われた後の心の乱れが露呈している。加藤久輝、野村幸汰、清水亮汰のビッグ3が、引退や競技転向等で姿を消したからといって、すぐに“新エース”となれるほど、道は易しくはなかった。一方、20代半ばで空道に取り組み始めた加藤が、曽山や岩﨑のような20代前半かつ“純粋培養”タイプの空道選手たちを、34歳にして制し、無差別の頂点に立ったことは、活躍する選手の多くが小学生時代からの空道専従のキャリアを有している時代にあって、社会人になってから空道にコンバートした競技者たちに希望をもたらしたといってよいだろう。
優勝 加藤和徳(東京都吉祥寺)
準優勝 岩崎大河(東京都総本部)
第3位 服部晶洸(神奈川県横浜北)
第4位 目黒雄太(新潟県長岡)
第5位 寺口法秀(神奈川県横浜北)
第6位 曽山遼太(大阪府岸和田)
第7位 加藤智亮(東京都誠真会館)
第8位 押木英慶(新潟県新潟)
※特別賞 岩崎大河(東京都総本部)
〔女子〕
◆決勝戦
〇今野杏夏 (大道塾多賀城支部/233)
×大倉萌 (大道塾吉祥寺支部/210)
再延長 反則勝ち
※延長で、大倉に反則1(掴みからの打撃)あり。延長は旗判定3(今野)-0、主審と副主審が引き分けを支持し、再延長となるも、再延長でポイントが入らなかっため、規定により旗判定なしで決裁。
※体力指数差が20以上30未満のため、片方もしくは双方の選手が掴んだ状態でのパンチや頭突きやヒジ打ちは禁止(蹴り技は可)。
今野(白)は、16年の-215クラス全日本王者・渡邊富紀恵と今春のー220クラス全日本王者・熊谷鞠月を、大倉は今春の+220クラス全日本王者・チツァレフ・タチアナを、それぞれ撃破して決勝へ駒を進めた。大倉は今春、大学を卒業し、証券会社の営業マンとなって半年、片や今野は大学を中退し、フリーターをしながら空道の稽古に勤しんでいる。対照的な二人の闘い、アウトボクシングで華麗な上段蹴りをみせる大倉に対し、武骨に前に出てパンチを当てる今野が勝利をもぎ取った。
優秀道場賞(勝利ポイント多寡による団体戦)
第1位:大道塾吉祥寺支部
第2位:大道塾総本部、大道塾横浜北支部、大道塾岸和田支部(同率)
【2019全日本空道ジュニア選手権大会 結果】
U11女子34kg以下 優勝 日野光彩(北海道帯広)
U11女子44㎏以下 優勝 長谷川愛生(新潟県長岡)
U11男子34kg以下 優勝 坂本天音(宮城県塩釜) 準優勝 佐藤烈翔(北海道帯広)
U11男子44kg以下 優勝 遠藤誠也(宮城県仙台西)
U13女子44kg以下 優勝 五十嵐心桜(青森県三沢) 準優勝 永橋心樹(新潟県長岡)
U13女子54kg以下ワンマッチ 勝利者 千代谷遙佳(青森県青森市)
U13男子44kg以下 優勝 篠原虎汰朗(北海道帯広) 準優勝 小牧快十(三重県四日市)
U13男子54kg以下 優勝 齋藤太一(宮城県仙南)
U13男子64kg以下ワンマッチ 勝利者 増田悠人(福岡県筑紫野)
U16女子45kg以下 優勝 小川さくら(北海道帯広) 準優勝 相内春花(青森県青森市)
U16女子55kg以下 優勝 小野寺玲奈(北海道帯広)
U16女子65kg以下 優勝 高橋諭禾(宮城県仙南)
U16男子50kg以下 優勝 加藤遼己(宮城県木町) 準優勝 延命恭芽(北海道帯広)
U16男子60kg以下 優勝 川崎秀彪(宮城県仙台東) 準優勝 佐々木龍希(北海道小樽)
U16男子70kg以下 優勝 廣庭晧太(東京都吉祥寺) 準優勝 小禄海人(愛知県豊田大谷)
U19女子215以下 優勝 中村粋里花(北海道帯広)
U19女子225以下ワンマッチ 勝利者 岩月彩音(愛知県豊田大谷)
U19男子220以下ワンマッチ 勝利者 山田凌雅(宮城県仙台東)
U19男子230以下 優勝 中川昇龍(大阪府岸和田) 準優勝 佐々木豊樹(北海道帯広)
U19男子240以下 優勝 酒井優太(宮城県塩釜)
U19男子250以下ワンマッチ 勝利者 小野寺稜太(北海道帯広)
U19男子260以下ワンマッチ 勝利者 田中衆太(愛知県西尾)
U19男子270超ワンマッチ 勝利者 江上遼太郎(青森県三沢)
平塚賞 小野寺稜太(北海道帯広)