修斗 7.21 後楽園ホール(レポ):齋藤奨司、藤井伸樹との5Rの接戦制し世界バンタム級王者に。椿飛鳥、たておに辛勝
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2024 Vol.5
2024年7月21日(日)後楽園ホール
レポート:井原芳徳
齋藤奨司、藤井伸樹との5Rの接戦制し世界バンタム級王者に
第10試合 メインイベント 修斗第13代世界バンタム級チャンピオン決定戦 5分5R
×藤井伸樹(ALLIANCE/世界1位、環太平洋王者)
○齋藤奨司(FIGHT FARM/世界2位、環太平洋1位)
判定1-2 (福田45-50/田澤49-46/鍋久保47-48)
※齋藤が王者に
安藤達也が5月のRoad To UFC参戦を前に返上した修斗世界バンタム級王座を懸け、藤井と齋藤が対戦した。
藤井はパンクラスで活躍後、18年から修斗に上がり、石橋佳大、後藤丈治らに勝利。22年11月に石井逸人に判定2-1で勝利し環太平洋王者となる。昨年7月のノンタイトル戦では元環太平洋王者・竹中大地に判定負けしたが、今年1月に須藤拓真に判定勝ちし、環太平洋王座を初防衛した。
齋藤は高校・大学時代にボクシング部に在籍し、RISEでキックを3戦した後、MMAに転向。デビュー2戦は敗れたが、その後は7戦6勝1分で負け無し。22年4月のPOUND STORMでは後にUFCと契約する風間敏臣を飛び膝蹴りでKOした。昨年1月に野尻定由を1R KO、5月に須藤に判定勝ちし、1年2か月ぶりの復帰戦が初の王座戦となる。
試合は藤井のトップキープの評価を巡り、ジャッジの採点が大幅に割れることに。以下は修斗コミッションが公開した各ラウンドの採点。解釈が一致したのは3Rのみだった。
福田正人 45-50(1R 9-10/2R 9-10/3R 9-10/4R 9-10/5R 9-10)
田澤康宏 49-46(1R 10-9/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 10-9)
鍋久保雄太 47-48(1R 9-10/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 9-10)
1R、齋藤が左ジャブを当てていたが、藤井が片足タックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。藤井は金網際で押さえ続ける。下になったままの齋藤だが、藤井の背中に肘を時折当てる。反則となる脊髄の攻撃になりかける肘もあるため、片岡レフェリーは時折注意する。終盤も藤井が押さえ続け、時折パウンドを当てるが攻撃は少ない。残り30秒、ようやく齋藤が立って離れると、右ボディ、右フック、左ジャブを当て、打撃での優位を印象付けて終える。記者採点は齋藤。
2Rも似た展開に。齋藤が左ジャブを当て、またも藤井がタックルを仕掛けて押し込むが、齋藤は倒されず耐え、中盤には突き放す。齋藤は左ジャブ、ワンツーでの右ストレートを当てる。またも齋藤はタックルを仕掛け、齋藤は金網際で中腰で耐える状態が続く。終盤、藤井はそのまま左アッパーを当てる場面もあるが、相変わらずトップキープからの先の攻撃が乏しい。とはいえ齋藤も防戦のまま終わる。記者採点はイーブン。1Rと似た展開だが、齋藤の打撃のヒットが1Rよりも少なく、藤井のコントロール時間が長かったため、プロ修斗ルールで認められる10-10のイーブンとした。一般的なマスト判定なら齋藤につけるだろう。
3Rも同様の構図に。藤井がタックルを仕掛けるが、齋藤は2分近く耐え、倒されること無く突き放す。打撃戦ではお互い左ジャブをヒットする。終盤、藤井が左ジャブ、右ストレートを立て続けに当ててから、片足タックルを仕掛けると、今度はテイクダウンに成功する。藤井は金網際で押さえ続ける。最後、スタンドに戻ったところで終了する。記者採点は藤井。ジャッジは3者とも齋藤を支持する。
4R、齋藤が左ジャブ、右フックを当てると、藤井がタックルで倒す。だが齋藤は下から右肘を連打し印象を作る。藤井は立たれてもしつこく組み付き、齋藤を金網に押し込み、再び倒してトップキープしてコントロールを続ける。終盤も藤井が押さえ続け、時折パウンドや右ボディを当てる。これまでのラウンドよりは打撃を当てる頻度が上がる。記者採点は僅差だが藤井。ジャッジは割れ、2者が藤井を支持するが、1者は齋藤を支持する。
5R、藤井は開始間もなくテイクダウンを奪うと、背後に回ろうとするが、齋藤は脱出する。しかし藤井はすぐに再びタックルを仕掛けて押し込み、中盤過ぎには倒して背中をつけさせる。だがまたもトップキープで手一杯の藤井に対し、齋藤が下から右肘を連打し好印象を作る。終盤、藤井は金網際で中腰の齋藤を押さえ続ける。齋藤は肘を当てたりアームロックを狙ったりし、藤井も時折パウンドを当てるが、少し動きが止まる。残り1分がアナウンスされたところで、膠着状態と判断したか?片岡レフェリーがこの日初めてブレイクをかける。すると齋藤は藤井のタックルを切りつつ、左右のパンチをヒット。多数詰め掛けた齋藤の応援団が湧き上がる。齋藤は手を振って挑発も織り交ぜ、左ジャブ、右ストレートを随所で当て、やや優位で終える。記者採点は齋藤。合計48-48でイーブン(ラウンドマストなら47-48で齋藤)。ジャッジは既に書いた通り大幅に割れたが、齋藤を2者が支持し、齋藤が判定勝ちで勝利し世界バンタム級王座を獲得した。
ベルトを巻きマイクを持った齋藤は「大好きな格闘技が怪我で1年ぐらいできなくて、そこから藤井選手と頭の中で1年間戦ってきました。下馬評は不利だったと思うんですけど、仲間たちを信じて一つことを頑張り続けたらチャンピオンになることができました。特別才能があったわけじゃないですけど、一生懸命頑張れる性格に産んでくれたのは両親のおかげです。何より僕を強くしてくれたのは藤井選手なので藤井選手に大きな拍手をお願いします。そして総合格闘技を始めるきっかけを作ってくれた高谷(裕之)さんありがとうございます。これからも自分を信じて仲間を信じて上に行くんで応援お願いします」と話した。
上原平が不戦勝で環太平洋フェザー級王者に
修斗第12代環太平洋フェザー級チャンピオン決定戦 5分3R
×竹原魁晟[かいせい](THE BLACKBELT JAPAN/環太平洋4位、世界4位)
○上原 平(リバーサルジム横浜グランドスラム/環太平洋7位、世界10位)
不戦勝 (竹原の計量失格)
※上原が王者に
修斗環太平洋フェザー級王座は21年7月、SASUKEが同級世界王座を獲得したのに伴い空位となり、昨年春に開幕したフェザー級インフィニティリーグの優勝者と準優勝者の間で王座決定戦が行われることが決まり、竹原が優勝、上原が準優勝した。リーグ戦で両者の対戦はドロー。今年3月大会で王座決定戦が組まれたが、竹原の負傷により今大会に延期された。ところが竹原は今回、体重調整中に体調不良を起こし、計量会場に来られず失格となり、計量をクリアした上原が王者となった。
後楽園大会では上原にチャンピオンベルトが授与された。上原は「戦わずして勝つ男、上原平です。試合をして決着をつけてベルトを巻きたかったのが本音でございます。しかしこの栄誉あるベルトを巻けたことは光栄です」と話し、周囲に感謝の言葉を述べ「今後も世界のベルトに向けて人一倍努力していきたいです」と宣言した。
椿飛鳥、たておに辛勝
第9試合 フェザー級 5分3R
○椿 飛鳥(トライデントジム/世界1位、環太平洋2位)
×たてお(ELEVEN/環太平洋10位)※飯田健夫 改め。フリーから所属変更
判定2-1 (片岡29-28/田澤28-29/鍋久保29-28)
椿は昨年1月の新人王決定トーナメント決勝でCHAN-龍に1Rで敗れたが、10月の再起戦では齋藤翼に判定勝ち。今年3月大会では結城大樹に判定勝ちし、世界ランキング圏外から1位に一気にジャンプアップした。
たておは4連勝後、昨年3月にSASUKEのフェザー級世界王座に挑むも、2Rバック肘をもらいKO負け。6月に故郷札幌で開催されたRIZINでは、3カ月後にパンクラス王者となる新居すぐるに1R KO負けした。その後、札幌に戻り、札幌のELEVEN所属となり、1年ぶりに復帰した。
1R、椿が素早く出入りしながら左ジャブ、右カーフを当てる。中盤、たておが押し込むが、倒せず離れる展開が繰り返される。終盤も椿が左ジャブ、右カーフ等を当て主導権を維持する。椿は組めば右肘も当てる。記者採点もジャッジ3者も椿。
2R、椿がパンチ等の打撃の手数で上回る状態が続く。中盤、椿が右カーフを当てるが、たておは蹴り足をすくって倒し、すぐさまバックマウントを奪い、一気に主導権を握る。だが腕十字を狙うと失敗し、椿が脱出し、立ち際には右ハイを当てる。終盤、椿が細かくパンチを当て続けるが、手数は序盤よりも落ちる。終了間際、たておがしがみついて背後に回るが、その先には持ち込めず終わる。記者採点はイーブン。マストなら椿。ジャッジは割れ、1者が椿、2者がたておにつける。
3R、パンチの打ち合いの後、組みの展開になり、たておが腹固めの後、バックマウントを奪う。中盤過ぎ、一旦スタンドに戻ると、今度はたておが引き込み気味に下になると、椿がバックを奪い返す。椿は裸絞めを必死に狙い、首元に腕を入れかけるが、たておが対処して終える。記者採点はイーブン。マストなら椿。合計30-29で椿。ジャッジは割れ、2者が椿を支持し、椿が辛くも判定勝ちした。
マイクを持った椿だが「チャンピオンの名前出したかったんですけど、これじゃ出せません。また次頑張ります」と、これまでのようなアピールは無いままケージを後にした。中継の解説を務めたSASUKEも「これで(名前を)出されたらキレますよ」と話していた。
須藤晃大がリーグ戦3連勝で勝ち点9に
第8試合 epsomsalt seacrystals Presents インフィニティリーグ2024 フライ級 5分2R
×大竹 陽(HAGANE GYM/世界10位/勝ち点3)
○須藤晃大(EXFIGHT/世界4位/勝ち点7→9)
判定0-3 (片岡18-20/田澤18-20/鍋久保18-20)
大竹は3月のリーグ初戦で片山将宏に1R KO勝ちしたが、片山の計量オーバーにより、勝ち点4ではなく3獲得の扱いとなっている。須藤は5月のリーグ初戦でヤックル真吾に19秒左フックでKO勝ちし勝ち点4を獲得した。片山は昨年4月に続く計量オーバーだったため、修斗コミッションから出場停止処分を科され、リーグ戦に出場できなくなった。これにより須藤にも片山戦の不戦勝の勝ち点3が加算されている。
1R、中盤過ぎに須藤がタックルからテイクダウンを奪い、サイドで押さえる。残り1分、須藤は金網際でハーフで押さえ、マウント、バックと移行し、パウンドを当てて追い詰める。最後は大竹が返して上になるが、すぐ終了する。
2R、序盤から須藤がタックルで倒して金網際で押さえる。中盤から須藤がバックキープし、一旦立たれても再びタックルで倒し上に。終盤、須藤がまたもバックキープし、裸絞めを狙うが、一本は取れず終了。須藤が判定勝ちで勝ち点2を加算した。
第7試合 2024年度新人王決定トーナメント2回戦 フライ級 5分2R
○中池武寛(パラエストラ小岩)
×蓮池勇太(飛翔塾)
1R 3’30” 裸絞め
中池はプロ3戦3KO勝利中の17歳。5月大会の日中対抗戦に抜擢され、中国の選手に2R KO勝ちしている。1R、中池がサウスポーの蓮池に対して左ジャブを当ててから、前に詰めて組み付いて抱え上げ倒し、すぐさま背後に回り込む。中池は立たれても抱え上げて倒し、グラウンドでコントロールを続けると、中盤過ぎにバックマウントからの裸絞めを極めてタップを奪った。準決勝ではこの日の大会にも出場し判定負けしているシモン・スズキと対戦する。
第6試合 フェザー級 5分2R
△児山佳宏(THE BLACKBELT JAPAN/元修斗環太平洋ライト級王者)
△島村 裕(パラエストラ小岩)
判定0-0 (片岡19-19/福田19-19/出合19-19)
第5試合 バンタム級 5分2R
×加藤ケンジ(NeighborHood)
○人見礼王(修斗GYM東京)
1R 0’34” KO (右フック)
第4試合 フライ級 5分2R
×シモン・スズキ(和術慧舟會HEARTS)
○岡田嵐士(リバーサルジム新宿Me,We)
判定0-2 (片岡18-19/福田18-19/出合19-19)
第3試合 ストロー級 5分2R
×牧ヶ谷篤(和術慧舟會群馬支部)
○友利琉偉(パラエストラ小岩)
判定0-2 (片岡18-20/福田19-19/田澤18-20)
第2試合 2024年度新人王決定トーナメント1回戦 フェザー級 5分2R
○松岡 拓(OOTA DOJO)
×井上翔太(赤崎道場A-SPIRIT)
判定3-0 (片岡20-18/福田20-18/田澤20-18)
第1試合 バンタム級 5分2R
○中野剛貴(KRAZY BEE)
×瀬戸口怜久(パラエストラ小岩)
判定3-0 (福田20-18/田澤20-18/鍋久保20-18)