PFL 6.13 コネチカット(レポ):渡辺華奈、ベラトール王者リズ・カモーシェを肩固めで追い詰めるも3R腕十字で一本負けし女子フライ級リーグ予選敗退
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PFL 4 (2024)
2024年6月13日(木/現地時間)米国コネチカット州アンカスビル:モヒガン・サン・アリーナ
レポート:井原芳徳 Photos by Cooper Neill / PFL
PFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)はMMAの階級別のリーグ戦が主体のイベント。4~7月の予選(PFLでは「レギュラーシーズン」と呼ばれる)の2試合を戦い、10人前後の参加選手のうち勝ち点上位の4選手が夏の4人トーナメントの準決勝(プレーオフ)に進み、秋の決勝(チャンピオンシップ)で勝利すれば100万ドル(約1億5千万円)の優勝賞金を獲得する。
レギュラーシーズンは短いラウンドで勝利するほど高い勝ち点を獲得できる(1R勝ち6点、2R勝ち5点、3R勝ち4点、判定勝ち・反則勝ち・不戦勝3点、引き分け1点)。試合場はケージ。通常のMMAルールと異なり肘無しとなっている。
PFLは18年からリーグ戦を行い、昨年のリーグ戦には、男子のフェザー級に工藤諒司、ライト級に西川大和、女子のフェザー級に東よう子が参戦したが、3人とも2連敗し予選で敗退した。
PFLは中東のサウジアラビア政府からのバックアップを受け、昨年11月にベラトールを買収した。今年は男子のヘビー級、ライトヘビー級、ウェルター級、ライト級、フェザー級、女子のフライ級の6階級でリーグ戦が行われている。
女子フライ級には10人がエントリーし、ベラトールの同級王者のリズ・カモーシェ、1位のジュリアナ・ベラスケス、2位の渡辺華奈、5位のデニス・キールホルツが参戦し、他の階級でもベラトールの選手が多数参加しているのが今年の特徴だ。
第8試合 女子フライ級リーグ 5分3R
○リズ・カモーシェ(米国/ベラトール同級王者/勝ち点3→7)
×渡辺華奈(FIGHTER’S FLOW/ベラトール同級2位/勝ち点3)
3R 4’52” 腕ひしぎ十字固め
渡辺は35歳。柔道をベースとし、17年にMMAデビュー後、DEEP JEWELSとRIZINで活躍。21年からRIZINの派遣でベラトールにレギュラー参戦している。昨年は4月にイリマ・レイ・マクファーレンに判定負けしたが、7月のBELLATOR JAPAN(超RIZIN.2)ではヴィタ・アルテイガに判定勝ちした。4月のPFL女子フライ級リーグ初戦では、シャナ・ヤングを寝技主体で3Rとも攻め続け判定勝ちし、勝ち点3を獲得した。
カモーシェは40歳。2010年にMMAデビュー。ストライクフォース、インヴィクタに参戦後、13年2月のUFC初戦ではロンダ・ラウジーの女子バンタム級王座防衛戦の相手に抜擢されたが1R腕十字で一本負け。その後はジェシカ・アンドラージ、ローレン・マーフィー、ジェニファー・マイアらに勝利。19年8月のヴァレンティーナ・シェフチェンコとのフライ級王座戦で判定負けしたのを最後に、20年からベラトールに移籍し2連勝後、21年6月の3戦目で渡辺にスタンドパンチ連打でわずか35秒TKO勝ちしている。続く22年4月のジュリアナ・ヴェラスケス戦で勝利し女子フライ級王者になると、ヴェラスケス、ディアナ・ベネット、マクファーレン相手に3度防衛。4月のPFLリーグ初戦ではヴェラスケスに判定勝ちしている。
3年前にカモーシェに35秒でKOされた渡辺は、久保優太や木村“フィリップ”ミノルを指導していたことでも知られる矢口哲雄・ARROWS GYM代表から打撃を習い、対応を強化してきた。
リーグ初戦ではダコタ・ディッチェバ、タイラ・サントス、ジェナ・ビショップの3選手が1R勝利し勝ち点6を獲得しリードした。2戦目ではカモーシェ×渡辺よりも前の試合で、サントスがビショップに判定勝ちし3点をプラスして9点とし、敗れたビショップが6点で終え、初戦黒星のジュリアナ・ベラスケスがリサ・モールディンに2R TKO勝ちしして5点を獲得している。強豪ディッチェバの試合を待つ状況だが、ディッチェバはチェルシー・ハケットに勝つ可能性が非常に高く、渡辺もカモーシェも判定勝ちで3点プラスするだけでも、高い確率でベスト4入りして予選突破できる状況だ。
カモーシェの知名度もあってか、渡辺戦は大会のメインカード枠の冒頭に置かれる。試合は渡辺も2Rまで健闘したが、3Rに失速し、カモーシェに一本を取られることに。
1R、渡辺は打撃戦を警戒してか?あるいは寝技でのフィニッシュを狙ってか?開始すぐ、いきなりタックルを仕掛けたが、カモーシェは簡単に切り、がぶって押さえ続ける。中盤、カモーシェが押し込む側になり、一旦離れると、すぐ渡辺が押し込み返してテイクダウンを奪うが、カモーシェは下から足を登らせて腕十字を仕掛ける。
Liz Carmouche attacking off her back!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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終盤、渡辺は外して押さえるが、変わらずカモーシェは足を登らせた状態で密着し、細かいパウンドを当て、渡辺に攻撃させない。最後、ようやく数発渡辺が鉄槌を当てたが、すぐゴングが鳴る。記者採点はカモーシェだが、ジャッジは3者とも終盤トップキープした渡辺を支持する。
2R、またも渡辺は最初からタックルを繰り返すが、簡単に切られ続ける。両者立ち、渡辺はカモーシェの首に手をかけつつ、柔道仕込みの内股を仕掛けるが、カモーシェは潰すと、すぐにバックに回り込む。カモーシェがバックコントロールを続けていたが、中盤過ぎにようやく渡辺が振り落としてハーフで押さえる側に回る。
Kana Watanabe had Carmouche in TROUBLE! We go to the 3rd round#PFLRegularSeason LIVE NOW
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終盤、渡辺は肩固めを仕掛けるが、カモーシェは足を抜かせず防御を続ける。1分を切り、渡辺はパスガードに成功し、肩固めを極めて追い詰めるが、カモーシェは体をひねって脱出する。最後、渡辺はバックに回って裸絞めを狙って終える。記者採点は渡辺。
3R、両者サウスポーで構え、カモーシェは右インローで渡辺をスリップさせる。渡辺はタックルを仕掛けるが、カモーシェは切ってスタンドに戻る。すると渡辺は疲労が溜まっていたか?金網を背にして中腰のままになって隙ができてしまい、カモーシェがパンチの連打で渡辺を追い詰める。カモーシェは上で押さえ、腹固めでコントロールしつつ鉄槌を当てる。カモーシェはアームロックを狙うが、うまく行かないと見るや、離れて立ち上がる。
Watanabe survives and ends up on top with :90 to go in round 3!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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すると渡辺はまたも、しゃがんだままで隙ができてしまい、ようやく立った時には金網を背にした状態でカモーシェのパンチを浴びてしまう。渡辺はそれでもタックルを仕掛け、カモーシェはギロチンで迎撃しつつ下になるが失敗し、渡辺はハーフで押さえる状態が続く。
終盤、カモーシェはクロスガードにし、渡辺の追撃を封じる。渡辺はガムシャラに左右のパウンドを振う場面もあるが、力が入りきらず単調で、カモーシェは頭を振って防御する。すると残り20秒を切り、カモーシェは足を登らせ、腕十字を極める。余力の無い渡辺は対処できずタップし、カモーシェが一本勝ちした。
GIRL-RILLA!!!! LIZ CARMOUCHE IS GOING TO NASHVILLE FOR THE #PFLPLAYOFFS!#PFLRegularSeason LIVE NOW
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カモーシェは勝ち点4を加算し7点でリーグ戦を終え、予選突破を確定させた。渡辺は勝ち点3で予選敗退となった。その後、ディッチェバがハケットに1R TKO勝ちし6点を獲得して12点とし予選が終了した。準決勝の組み合わせは1位・ディチェバ(12点)×4位・ビショップ(6点)、2位サントス(9点)×3位・カモーシェ(7点)となった。渡辺は5位だった。
以下はカモーシェ×渡辺のオフィシャルのスコアカード。渡辺は1Rも2Rも取っていたため、3R最後、渡辺が上で押さえて守り切れば、判定勝ちできていたこととなるが、両選手も陣営もジャッジの裁定を試合中に知ることはできないため、判断は難しいところだった。