KNOCK OUT 9.16 後楽園ホール:森岡悠樹「BLACKルールは自分をモロに出せる」、玖村修平「上京する前に次勝てばKNOCK OUTという話もあった」、ぱんちゃん璃奈「『色々やらかしたけど実力はある』と思われるようになりたい」
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KNOCK OUT 2023 vol.4(9月16日(土) 後楽園ホール)の主要出場選手のインタビューが主催者から届いた。メインイベント(第9試合)のKNOCK OUT-REDスーパーライト級王座決定戦・良太郎 vs. バズーカ巧樹、セミ(第8試合)のBLACKライト級王座決定戦・大谷翔司 vs. 久井大夢の前の第4~7試合に登場する8選手のうちチャッキーを除く7選手のインタビューで、この6試合がTOKYO MXでの当日19:00~21:30の生中継枠で行われる予定だ。
第7試合 BLACK 56kg契約 3分3R(延長1R)
古木誠也(G-1 TEAM TAKAGI/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)
森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)
第6試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
玖村修平(K-1ジム五反田チームキング/元Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
第5試合 ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル・ウェルター級(67kg)暫定王座決定戦 3分5R
ジャマル・ワヒィム[Jamal Wahim](フランス/FC Creusotion/元ISKAオリエンタルルール世界同級王者、元ストライカーズリーグ&IPCC欧州同級王者)
宇佐美秀メイソン(Battle Box)
第4試合 BLACK 女子49kg契約 3分3R(延長1R)
ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級(47.5kg)&アトム級(46kg)王者)
チャッキー[Chucky](台湾/パワーパンチ/台湾ボクシング全国総統杯48kg級金メダル、WOTDキックボクシング女子51kg級優勝)
古木誠也「森岡選手は憧れていた相手。前回以上にいろんな技を出して勝ちます!」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級/3分3R・延長1R」で森岡悠樹と対戦する古木誠也。8月大会で小倉尚也を1RKOに下し、保持するBLACK同級王座を防衛したばかりの王者が2ヵ月連戦に臨む。小倉戦でさらに掴んだ自信を持って、以前から憧れていた相手に臨む“静かな王者”の心境とは?
―― 8月にタイトルを防衛したばかりなのに、2ヵ月連続で試合ですね。
古木 8月の試合が終わったばっかりで9月大会での試合は予想してなくて、10月か11月ぐらいかなと思ってて。でも、トレーナーから「もしかしたらあるかもしれないから、準備はしておけよ」と言われてたんです。練習はいつも通り、試合の次の日からやってたんですけど、あまり食べ過ぎないように節制して、一応、準備はしていました。
―― そうなんですね。ここで森岡選手との対戦となったのは、8月に両者ともいい形で勝てたからだと思うんですが、小倉尚也選手との防衛戦を改めて振り返ると?
古木 防衛戦ということでプレッシャーもあったし、小倉選手は強いという印象を持っていたので、勝てて安心しました。今までは一発が中心だったんですけど、今回はいろんな技とかコンビネーションを練習していて、それを出稽古でも出せていたので、試合でも出せてよかったです。自信につながる内容で勝てました。
―― 自分で一番よかったという部分は?
古木 いろんなパンチが出せたことですね。アッパーとかけっこう練習していたので、それはよかったなと思います。
―― 同じ日、森岡選手もK-1 GROUPとの対抗戦でいい勝ち方をしました。
古木 自分の試合の前だったので、後から映像で確認しました。自分がKNOCK OUTに参戦する時から、トレーナーに「森岡選手とやれるような一流選手になれよ」ということを言われていて、森岡選手は憧れの選手でもあったんです。
―― そうなんですか!
古木 だから試合もよく見ていたんですけど、この前の試合もやっぱり上手だなと思いました。
―― 森岡選手は、同じ階級だけどREDルールとBLACKルールで分かれているから、対戦する機会はないだろうと思っていたそうなんですが、古木選手は違う視点で見ていたんですね。
古木 僕は、森岡選手とはいずれ対戦することになるだろうと思っていました。小倉戦が決まる前から、「次は森岡選手という可能性もあるね」という話もしていましたし。だから自分は、いつ当たってもおかしくないなと思って見ていました。
―― 対戦相手として、まず浮かぶ特徴は長身ということだと思います。「対長身」ということでは響波戦も思い出しますが、古木選手としてはいかがですか?
古木 確かに響波戦を思い出す部分はあるし、長身の相手に対しては特別苦手というところはないです。やっぱり森岡選手はパンチがすごく伸びるし、相手の攻撃をかわすのもうまいので、そういうところを意識して練習しています。
―― 今回はノンタイトル戦での激突ですが、どう戦おうと思っていますか?
古木 いつも通り、変わりはないと思います。いつも通りの自分が出せればなと。倒せれば理想的ですけど、相手もすごく上手だし、カウンターとか合わせられても怖いので、いき過ぎないようにしたいです。小倉戦はちょっといき過ぎてしまったので。
―― いき過ぎましたか。
古木 そうですね。そのせいでガードが甘くなった部分があります。最初は自分のやりたい形でできたんですけど、1回ダウンを取ってからそれが乱れちゃって、倒そう倒そうと焦ってしまったので、何発か反撃をもらってしまいました。たまたま自分がもらったところが急所じゃなかったから倒されなかっただけですからね。
―― 今回はTOKYO MXでの生中継もあります。そこはいかがですか?
古木 自分としては生中継だから特別にどうというのはなくて、いつも通りやりたいと思っていますけど、普段、応援はしてくれてるけど会場には来れない人も見られますよね。特に連絡を取り合うことがない人でも「YouTubeで見たよ」と言ってもらえることがあったりするとうれしくて、そういう人たちにも見てもらえる機会だと思うので。
―― 森岡選手としては、ここで勝ってタイトルマッチへという気持ちで、モチベーションが上がっているようです。
古木 自分もKNOCK OUTに初参戦した頃から憧れていた選手と対戦できるので、モチベーションは高いです。
―― この森岡選手もそうですし、チャンピオンになって追われる立場になりました。
古木 確かに終われる立場なので油断できないというか、浮かれてられないというか。なので練習はいっぱいしています。
―― でも、そんなに浮かれるタイプでもないのでは?
古木 そうですね。浮かれはしないですけど。試合が決まってない時でも、いつ試合が決まってもいいように、普段から心がけています。
―― だからこそこうして、2ヵ月連続で試合ができるわけですしね。さらに、3月の敗戦をきっかけに仕事もやめて練習環境を変えたのが、大きく生きている感じですね。
古木 はい。前回の勝利で、やってきたことが間違ってなかったことが証明できたと思うので、自信になっています。
―― そのことによって、この先のことだったりで新たに見えてきたものはありますか?
古木 今は王者なのでもう絶対に負けないということと、自分とこのベルトの価値を高めていきたいなと、改めて思うようになりました。今は対抗戦なんかもやっているので意識している部分もありますし、誰と組まれても負けないように、準備していきたいと思います。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
古木 コンビネーションとかいろいろ練習しているんですが、前回の試合は倒そうとしすぎてパンチだけで終わってしまったので、今回はそうならないように気をつけて、もっといろんなコンビネーションとかを出していければいいなと思っています。練習したことがまだ一部しか出せていないので、集中を切らさずにやれることをやりたいと思います。なので、そこに注目してください。
―― 分かりました。ありがとうございました!
森岡悠樹「間違いなく一番盛り上がる試合になります」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級/3分3R・延長1R」で古木誠也と対戦する森岡悠樹。8月大会ではK-1 GROUPとの対抗戦で内田晶を1RKOに下し、BLACKルールでの自信も深めたところで現王者との対戦が実現した。モチベーションが上がりまくっている森岡、この勢いで2ヵ月連勝となるか?
―― カードが発表されて驚いたんですが、オファーは8月の試合後だったんですよね?
森岡 そうですね。試合の数日後にお話をいただいたので、自分としても急な感じでしたね。2ヵ月連続の試合になるとは自分も思ってなかったので驚いたんですけど、喜んでOKさせてもらいました。
―― その背景には、両選手とも8月の試合がいい勝ち方だったからだと思うんですが、内田晶戦を改めて振り返ると?
森岡 対抗戦ということもあって本当に自分の気合いが入りすぎてて……3vs3で初戦と2戦目でKNOCK OUT側が負けてたじゃないですか。それもあって気持ちが入りすぎた結果がアレと言ったら何なんですけど、あの時はそれがいい方向に行ったのかなという感じですね。
―― 試合内容やフィニッシュについては、想定していた中でもベストの形になった?
森岡 はい、自分の得意なところをしっかり出して倒すと決めていて、右ストレートはもともと武器にしているので、それで決められたのはよかったのかなと思ってます。
―― あの試合だけ見ると、普段REDルールで戦っている選手とは思えない感じでしたが(笑)。
森岡 ですよね(笑)。BLACKルールに挑戦してみて、改めて自分に合ってるなと思いました。REDルールだと近距離の戦いも頭に入れないといけなくて、思いきり踏み込むのに不安もあったんですよね。BLACKルールだとそれがないので、自分の気持ち通りに思いきり振り回せるのが、やりやすかったなと思いますね。
―― 森岡選手は長身なので、REDルールだと組んだ際に有利でしたが、BLACKルールでは打ち下ろすのに最適でしたよね。
森岡 そこはホントにハマってるなと思いましたね。本当に踏み込んで打てるし、打ち下ろせるので。
―― もっと早くBLACKルールでやっていればよかったというぐらい?
森岡 ジムの周りの人たちからも、BLACKルールがいいんじゃないかというのはさんざん言われてたんですよ。ただREDルールで負けた相手がいて、やり返したいという気持ちが強かったので、BLACKルールは全然考えてなかったんです。でもやってみたら戦いやすくて、自分をモロに出せるなという感じで。
―― 同じ大会で、今回対戦する古木誠也選手の防衛戦もありました。
森岡 自分の試合の後だったので、会場で見させてもらいました。正直、自分がBLACKルールでやることを考えていなかったので、対戦するとは全く思ってなかったんですよ。
―― 古木選手は「BLACKの人だから」という感じ?
森岡 そうですね。REDルールに来ることもないだろうなと思ってて。ただあの日、自分がBLACKルールで結果を出して、その直後にBLACKのチャンピオンの防衛戦だったので、「これはすぐ対戦があるんじゃないかな」と思って注目してました。彼もBLACKらしい強振が武器で、自分とは違うフック、アッパー系は見てて気持ちいいぐらい振ってきますよね。それに、戦績はまだ浅いですけど、その分一戦一戦の成長がすごいなと思って見ていて、試合はかなり噛み合うんじゃないかと思います。
―― 古木選手は前回の試合、パンチの種類が増えていました。その理由の一つに、彼が3月の敗戦の後、仕事をやめてキック一本に絞ったことで練習環境を変えられたことを挙げていたんです。
森岡 僕は今も仕事してますけどね(笑)。正直、キック一本に絞れるのがうらやましいというのはありますし、自分でも何回か考えたこともあるんですけど……結局、今の状況でも結果を出していきたいと思ったので。そこがまた自分の強みでもあるのかなと思っていて、それで密度の濃い練習ができているというのもあると思うし、一戦一戦が大事なので。
―― なるほど。1ヵ月前に、ともに1RKO勝ちを果たした2人が激突するわけだし、森岡選手もREDで王座決定戦まで進んでいるので、何ならタイトルマッチでもおかしくないカードですよ。
森岡 そうなんですけど、まあ古木選手も防衛したばっかりですしね。ワンマッチならワンマッチでタイトルが懸かってない分、彼ももっとガンガン来れると思いますし、自分も「勝ちにいく」というよりは「倒しにいく」という気持ちでいけるので、それはそれでまた楽しくなるんじゃないかと思ってます。やっぱりここで倒して、再戦でタイトルマッチをという流れが理想ですね。
―― 今年は他団体の王座も獲得して、8月は対抗戦でいい勝ち方ができて、さらにその流れが実現できれば……。
森岡 本当に最高ですね(笑)。だから次は本当に大事な一戦だと思ってます。このところポンポンと来てるんで、調子に乗ってはいないですけど、自分の中で掴めてきてるかなとは思ってます。
―― その自信がさらにいい形になって、好循環なのでは?
森岡 そうなってますね。自分の中でモチベーションも上がってきますし、自信もついてきてるので。試合でもリラックスして戦えてるかなと思います。
―― その流れに乗って、どういう試合にしたいですか?
森岡 当日、間違いなく一番盛り上がる試合になると思います。勝ちを取りにいくなんてしょっぱい真似は絶対しないですし、真正面から打ち合って倒して、現チャンピオンに勝ちたいと思います。
―― 今大会はTOKYO MXで生中継もあります。
森岡 そうなんですよね。僕と古木君だからTV中継向きの試合になると思ってるんですけど、僕らの試合って中継枠に入りますよね? 生中継のオープニングになる試合順でもいいんじゃないかと思ってるんですけど。
―― 試合順はまだ発表されていませんが、中継枠に入る資格は十分すぎるほどあると思いますが……。
森岡 間違いなく、視聴者を引きつける試合をしますから。今の格闘技で、地上波、しかも生中継って唯一じゃないですか。だから一般層に魅せる試合もしていかなくちゃと思いますね。
―― 当日は他にも王座決定戦だったり注目カードが並んでいますが。
森岡 K-1 GROUPとの対抗戦もあるし、タイトルの懸かった試合も多いですが、それでも内容では負けない自信があります。その後にもつながる試合がしたいですね。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
森岡 一番注目してほしいのは、間違いなく自分が一番得意な“強振”です。BLACKルールにも慣れてきて、次は前回以上に踏み込んで一発で倒そうと思っているので、そこを見てほしいです。
―― 古木選手を一発で倒したら……。
森岡 頑丈そうですからね。そんな彼を一発で倒すので、その姿を会場と地上波で見てほしいです。
―― 分かりました。ありがとうございました!
栗秋祥梧「倒すのは一瞬。勝って龍聖選手とタイトルマッチを」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「KNOCK OUT-BLACKフェザー級/3分3R・延長1R」で玖村修平と対戦する栗秋祥梧。6月から続いているKNOCK OUTとK-1 GROUPの対抗戦の中で一つの天王山と言えるこの一戦は、カード発表の時点で大きな話題となった。ホームリングで迎え撃つ形の栗秋は、この戦い、そしてその向こうに何を見据えているのか?
―― 試合が迫ってきましたが、練習の具合はどんな感じですか?
栗秋 順調です。変わらず、いつも通りな感じですね。
―― TOKYO MXで放送されている『KNOCK OUT STYLE』の取材があったんですよね? そこでまた「栗秋選手は練習しない」という話題になったと聞きました。
栗秋 ああ、そうですね。「全然してないですよ」という話をしました。まあ「練習しない」というか、僕は自分が必要だと思う練習しかしてないので。他の選手みたいなやり方の練習はしないので、してないと思われるんですよ。
―― なるほど。ただ、周りの選手、トレーナーやジムの山口元気会長からすると、なかなか理解してもらえなさそうですよね。それでいろいろ言われるのは気分悪くならないですか?
栗秋 まあ……人の目線で格闘技をやっているわけではないんで。自分が好きでやってるんで、別にそこはどう思われても大丈夫です。自分がやってることには自信があるんで。会長からもチョイチョイ言われますけど、今はもう「好きにやってくれ」と思ってるんじゃないですかね。
―― チョイチョイ言われても、それで変える気はない?
栗秋 そうですね。そんなんで曲げてると、自分じゃなくなりそうなんで。
―― そう聞くと、メンタルが強いですよね?
栗秋 そうかもしれないです。宮田プロデューサーにも「顔に出るタイプでもないし、何言われてもドシッとしてるよね」と言われたことがあって、確かにそうかなと。まあ僕は、大して考えてないだけなんですけどね(笑)。アンチとか、僕のことを叩いてくる人もいるんですけど、そういうヤツらのことも何とも思ってないです。そういう意味ではメンタルが強いかもしれないですね。
―― 試合の勝敗についてはどうなんですか?
栗秋 そこもあんまり深くは考えてないし、引きずったりすることもないです。その時その時で、目の前の試合のことしか見てないので。次の試合に向けて何かやるというだけで、「前回の試合がどうだった」とかは全然考えたことはないですね。「前回負けたから、今回は勝たないとヤバい」とかも全然思ったことはないです。
―― そうなんですね。これからの試合で勝つか負けるかだけ、ということですか。例えば「前回の試合でここが悪かったから、こう直そう」みたいなものはあるんですか?
栗秋 それはありますよ、さすがに(笑)。毎回毎回、修正はしてるんで、以前とは動きが変わってるんですよね。そういうところは見てほしいなと思います。
―― 特に変わったと思うところはどこですか?
栗秋 単純なことなんですけど、足数が増えたなと。
―― 手数ならぬ足数ですか。
栗秋 まあこのところ、やれることが増えたなとも思うし、そうじゃないと勝てないということも分かってきたというか。結局、手数、足数が大事なんだなということが分かってきたというのもありますね。
―― キャリア60戦を超えて気付いたと。
栗秋 そうっすね、今までは一発狙いだったので。「一発があるから怖いぞ」と言われてきて、そこだけ警戒されるとプランが崩れるんですよね。いろんなプランを作るためにも、いろんな戦い方をしようと思うようになりましたね。
―― 今回の玖村戦に向けても?
栗秋 実際にK-1に上がってる玖村選手との戦いで、いい意味で新しいスタートが切れる気もするし、そこでだったら勝って得られるものもあるでしょうけど、負けても自分の中で得られるものがある気がするんですよね。K-1系の選手は見ていても、打撃の中のリズムが違うのは分かるので、玖村戦はそこを体験できるのが一番楽しみです。どう味わえるのか、どう感じられるのかと。
―― それで言うと、5年前の2018年に1回だけ、Krushのリングに上がってますよね(三輪裕樹に1RKO勝利)2分10秒という短い時間でしたが、あの経験は今振り返るとどうですか?
栗秋 今振り返るとというか、あの時点で体に叩き込まれたんですけど、やっぱりテンポが速かったですよね。一つひとつの攻撃で、スピードと、相手を崩すパワーが違いました。キレイにコンビネーションでまとめてくる選手が多い印象があって。僕はあの試合、KOで勝ったんですけど、コンビネーションでまとめる選手って逆にどうしても穴があるんですよ。速いけど、こっちがタイミングをズラせば倒せるポイントがあって。その時はそこを考えながら、けっこう冷静に試合してたんですけど、僕のスタイルが彼らとは全然違うから、特に序盤とかはけっこう飲まれてました。「あ、この人は速いな」と思ってたので。
―― その中で見事なKOで勝てて、「自分のスタイルがここでも通用するな」という思いはなかったですか?
栗秋 いや、その時はなかったですね。このまま継続的に出て、BLACKやK-1ルールの戦い方に慣れてきたらどうなるんだろうなというのもあったけど、不安も大きくて。正直、あの後も出続けていたら勝っていけたかどうかは分からないですね。僕は一から練習して戦い方を身につけるというタイプでもなくて、その時の気持ち、その時の感情で戦うので、そこは見えなかったです。
―― なるほど。ただ、あれから5年経って、今は違うという実感があると。
栗秋 そうですね。うまくハマってきてるなと思いますし。自分のスタイルを研究しながらも、「ここはこう変えた方がいいな」ということとかはお兄ちゃん(栗秋和輝・現KNOCK OUT GYM高幡不動会長)とも話してて。あとは会長が「こう攻めた方がいいよ」とかアドバイスをくれるのを聞きながら練習してるので、やっぱりいろいろスタイルは変わってきてますよね。
―― もちろん5年前とは別の相手ですが、「K-1 GROUPの選手」を相手に成長を確かめる機会というわけですね。
栗秋 今回はそこしか楽しみがないというか(笑)。5年前と違って、どういうリズム感、どういうタイミングでくるんだろうなというのが、今は楽しみです。
―― その上で、倒して勝つと。
栗秋 そこは変わってないです。玖村選手の穴はもう何個も見つけたので。自分がどこでハメて倒すか……あと、正直言うと相手の出方とかリズムを見たい気持ちもちょっとあるんですけどね。
―― そうなんですか。
栗秋 「1Rでぶっ倒す」とか「30秒で倒す」って言ってましたけど、せっかくこういう機会なので、1Rはワクワクさせてほしいなと思ってます。
―― その上で、勝ったら……
栗秋 やっぱり同じBLACKで同階級王者の龍聖選手とやらないといけないですよね。龍聖選手はK-1の軍司選手とやるのか?と騒がれてますけど、KNOCK OUTにまだやるべき相手いるぞってとこを今回の試合で見せたいと思います。KNOCK OUTのファンも、玖村選手を倒して僕と龍聖選手のタイトルマッチが決まれば、盛り上がるでしょうし。勝った方が他団体に出撃する資格を得るのかなと思ってます。
―― そういった意味でも勝たなければならない試合ということですね。では最後に、当日の試合で一番注目してほしいところはどこでしょう?
栗秋 格の違いですかね(笑)。それが圧倒的に分かると思います。向こうが強いとかイケメンとか言われてますけど、リングに上がればどっちが上かは分かると思うので。倒す時は一瞬だと思うので、一瞬一瞬を見逃さないでほしいですね。全てカウンターで合わせますから。
玖村修平「むやみに打ち合う気はない。完封して自分の道を切り開きます」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「KNOCK OUT-BLACKフェザー級/3分3R・延長1R」で栗秋祥梧と対戦する玖村修平。KNOCK OUTとの対抗戦にK-1 GROUP側から初めて王座経験者として乗り込む玖村は、その反響からも他の試合との違いを感じているという。そんな玖村はこの試合で何を実現しようとしているのか。そして彼がKNOCK OUTに不思議な縁を感じているのはなぜなのか?
―― まずはお誕生日おめでとうございます!(取材日は9月4日)
玖村 ありがとうございます。誕生日と言っても練習して、減量中なのでそのまま帰ってきて、いつも通りの日常なんですけど(笑)。誕生日は試合が終わってから、祝勝会とともに祝ってもらいます。
―― なるほど。さて、今回KNOCK OUTへの初参戦、そして栗秋祥梧戦となりましたが、発表されてからの反響はどうでしたか?
玖村 けっこう大きかったですね。やっぱり普段の試合とは違った感じで、いつもはツイッターでもK-1オフィシャルのツイートをみんなが引用リツイートしたりして直後の盛り上がりが大きいんですけど、今回はみんながいろんなところでつぶやいてたり、「やっと対抗戦らしくなってきた」みたいな意見も多いですね。そこについては、みんなにK-1ファイターだと認めてくれてるんだなというのがうれしいですね。トップではないですけど、出てきたら周りが騒いでくれるんだなと思って、余計に気合いが入りました。
―― カード発表会見では、対抗戦という側面にはそこまで積極的ではない印象でした。
玖村 3月の試合でKrushフェザー級のベルトを失った後、いろいろあってちょっと時間を置きたくて、2ヵ月ぐらい練習もしてなかったんですよ。でも納得できない形で選手生活が終わるのはイヤだったので、試合は続けたかったんです。それで練習を再開した頃にツイッターを見たら、宮田プロデューサーが栗秋選手に怒ってる動画が流れてきて、ちょっとバズってたんですね。それが記事になったところに、僕の名前がハッシュタグで入ったりしてて。何だろうと思って見たら、栗秋選手がツイッターで僕の名前を挙げてたみたいで。12月のK-1大阪大会には出たいけど、それまではちょっと休もうと思ってたところにそんなことがあって、9月だったら試合間隔的にもちょうどいいし、出たいなと思うようになったんです。
―― ああ、そんな感じだったんですね。
玖村 もともと、しばらくケガを引きずったまま試合を続けてたのもあって、その点でもちょっと休みたかったというのもあって。だから対抗戦でKNOCK OUTに乗り込むという形ですけど、僕としては半年ぶりに試合ができること自体がうれしいという感じだったんです。KNOCK OUTはルール的にもK-1ルールと近いものもあるし、自分からも出たいなと思ったこともあって。K-1ファンの方たちが僕のことを応援してくれるし、K-1を背負うという形で出場するんですけど、今回はどちらかというと個人の戦いという意識が強くて。
―― なるほど。
玖村 僕は上京する前はNJKFという団体で戦ってたんですが、そのままいたら旧KNOCK OUTに出る可能性も高かったと思うんです。実際、NJKFのチャンピオンだった時に、関係者から「次の試合で勝った方がKNOCK OUT出場という話がある」と言われたこともあったんですよね。残念ながらその試合は勝てなかったんですけど。
―― そんなことがあったんですか。では、もしかしたら玖村選手がKNOCK OUTの常連やチャンピオンになっていた可能性もあったわけですね。
玖村 そうなんですよ。だから今回の話が来た時は、不思議な縁を感じましたね。あの頃、周りにはKNOCK OUTに出ている選手も何人かいたので、このまま大阪にいれば自分も出られた可能性もけっこうあったと思うんですけど、自分は上京してK-1に出る道を選んだんです。だからこのタイミングでまさかKNOCK OUTに出られるとは思っていなかったので、うれしいですね。
―― そんな中での栗秋戦で、改めてどういう試合を見せたいですか?
玖村 やっぱり団体を背負って出る形だし、今K-1側は負け越してて対抗戦ももう一つ盛り上がってないと思うので、僕が出た意味を見せる試合をしたいですね。「やっぱりK-1の選手は強いんだな」と思わせたいです。いきなりチャンピオンが出るのも面白いでしょうけど、僕ぐらいの選手がここで出て、やっぱりK-1の選手は強い!となるのか、それでもKNOCK OUTの選手が強いのか、これからのカギにもなると思うので、盛り上がるきっかけになる試合をしたいです。
―― 栗秋選手は、「打ち合ってこれるの?」と言ってます。そこは?
玖村 打ち合っても勝てるとは思うんですけど、僕はこの試合は、打ち合いにはならないと思ってます。打ち合いの場面も出てくるかもしれないですけど、基本的に僕が完封しますから。もし打ち合いの局面になったらしっかり対応しますけど、僕もリスクを背負って無闇やたらに打ち合いにいくつもりはないので。しっかり魅せるところは魅せて、完封したいですね。
―― 勝ったら、その先は……。
玖村 考えてることはあります。そのためにも絶対勝ちたいという気持ちもあります。なので、楽しみにしておいてください。
―― では最後に、当日の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
玖村 気持ちですね。栗秋選手は危険な攻撃を持っている選手だと思うので、もしかしたらダウンを食らう場面もあるかもしれないですけど、その時にも気持ちで立ち上がって最後は倒しにいくので。勝負に対する泥臭い気持ちを見てほしいですね。勝利に対する気持ちは誰にも負けないと思っているし、この試合で自分の道を切り開いていきたいという気持ちも大きいので。今、僕は連敗中でベルトも失ったところですけど、こんな時だからこそ攻めの姿勢で、挑戦していきたいと思います。
―― 勝って掴むと。
玖村 栗秋選手はあまり練習しないらしいですよね。「センスで勝つ」と言っているらしいですが、その相手に勝って「努力に優る天才はない」ということを証明したいと思っています。会見では「1Rで倒す」と言ってましたけど、逆に倒して心を折ってやりたいと思ってます。しかも今回の大会は生中継もあるんですよね。
―― そうですね。TOKYO MXで生中継されます。
玖村 それも出場を決めた理由の一つではあります。生中継される中で倒して勝つので、注目してください。
―― 分かりました。ありがとうございました!
ジャマル・ワヒィム「ハードコンビネーションを武器に、フランスにベルトを持ち帰る!」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「ISKAインターコンチネンタル・ウェルター級暫定王座決定戦/3分5R・延長1R」で宇佐美 秀メイソンと対戦するジャマル・ワヒィム。フランスから初来日し、過去にISKA世界など3回のタイトル獲得歴があるワヒィムは、スーパー・ルーキーのメイソンとどう戦おうとしているのか?
―― 今回が初来日ですが、日本の格闘技界についての印象は?
ワヒィム 私は世界中で試合をしています。日本での試合は今回が初めてですが、ずっと日本で試合がしたかったので、長年の夢が叶いました。今からワクワクしています。日本の選手では魔裟斗、武尊は知っています。日本の選手はウォリアー・スタイルで、実に興味深いですね。
―― これまで75戦して3本のベルトを獲得したそうですが、デビューからの経歴を簡単に教えてください。
ワヒィム キックボクシングを始めたのは22歳からなので、他の選手たちよりは遅いスタートでした。それまでに、小さい頃からあらゆるスポーツを経験してきましたが、キックを始めたのはストレス発散のためでした。思い出に残っている強豪は、タイのPlynoi Por Pao、フランスのJimmy Viennot(SUPERKOMBAT世界ミドル級王者)あたりですね。
―― ご自分のファイトスタイルや得意技を説明するとしたら、どのように表現しますか?
ワヒィム 私の試合スタイルは、ハードコンビネーションです。一番の武器はパンチとローキックですね。私との試合は、相手が誰だろうが常に激しい試合になります。誰も私から逃げられない。
私と向かい合うしかなくなります。
―― 今回の対戦相手、宇佐美 秀メイソン選手の試合を見ての印象は?
ワヒィム 好戦的で、私が対戦者に望むスタイルです。彼となら思う存分打ち合えると思います。彼はキック3戦目でこの王座決定戦に臨むスーパールーキーだそうですが、それだけ才能があるということなのでしょう。それは素晴らしいことだと思います。
―― ご自身のプロ3戦目を振り返るとどうでしたか?
ワヒィム 私の3試合目の時には、このキックボクシングというのは最高の経験ができる競技なのだなと思っていました。あの頃は世界中を回りたいという夢を持っていました。そして今は、それが叶っています。
―― 宇佐美選手はキックデビュー戦でアルバート・クラウス選手を下しています。それについては?
ワヒィム 今回は私と彼の試合です。彼が誰と戦っていようが、私以外との試合に関しては気にしていません。とにかく私自身が試合に挑むだけです。
―― 宇佐美選手は空手で何度も日本一になり、MMAの経験もあります。そこについてどう思いますか?
ワヒィム それはいいいことですね。私もキック・ムエタイ・ボクシングをはじめ、いろいろな競技を経験してきました。
―― また宇佐美選手は、カナダにいた時代にギャングのボスの家に強盗に入って銃撃されたり、1年間服役していた経験があるなど、かなりアウトローな時代がありました。そういう点について思うところは?
ワヒィム そうなんですか。正直、そういう人物との対戦は、気が進みませんが……今は更生しているというなら問題ありません。いずれにせよ、犯罪はよくないことですね。
―― あなたは以前、ISKA世界タイトルを保持していたこともありますが、今回はインターコンチネンタル暫定王座決定戦です。ベルトへの思いを教えてください。
ワヒィム 今回は再びISKAのベルトを獲るチャンスです。とても光栄に思っていて、すぐにでも試合をしたい。試合の日が待てません。練習を毎日一生懸命しています。また、KNOCK OUTに出場できることもとても光栄です。これからも引き続き、KNOCK OUTに出場したいです。今回は必ずベルトをフランスへ持ち帰ります。
―― 当日はどういう試合をして、どう勝ちたいと思っていますか?
ワヒィム やるだけ!やるだけ!やるだけ!
―― 宇佐美選手にメッセージをお願いします。
ワヒィム 万全の状態でリングに上がってくれることを祈っています。お互いに正々堂々、精一杯戦いましょう!
―― 当日の試合で、観客には自分のどこに一番注目してほしいですか?
ワヒィム 私の全てを見てほしい。私は日本が大好きです。日本のみなさんも今回の試合を見て、私のことを好きになってくれると嬉しいです。
―― 分かりました。ありがとうございました!
宇佐美秀メイソン「覚醒して頭おかしくなった自分に注目してください!」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「ISKAインターコンチネンタル・ウェルター級暫定王座決定戦/3分5R・延長1R」でジャマル・ワヒィムと対戦する宇佐美 秀メイソン。3月の代々木第二大会に続いてKNOCK OUT二度目の参戦となるメイソンは、キックプロ3戦目で国際王座戦のチャンスを掴んだ。勝てば3戦目で王者となる彼の意気込みとは?
―― 会見で「タイトルマッチがしたい」と希望していたのが叶う形で、ISKAインターコンチネンタル王座の暫定王座決定戦が決まりましたね。
メイソン 3戦目の自分にこういう機会がもらえたことに、感謝の気持ちと、エキサイトしている気持ちがあります。すごくワクワクしています。
―― 相手のジャマル・ワヒィム選手については、どういう印象ですか?
メイソン いくつか映像を見たら、「何でも屋さん」みたいな感じでしたね。ベアナックルでムエタイをやってるのがあったり、何でもやるんやなと。でも、強いかって聞かれると……ISKAの世界王座を持っていたこともあるので、強いとは思うんですけど、何か一つ、光るところがあるかというと、正直自分には感じられなかったですね。自分には問題ないかなと思います。
―― では、ここを警戒しないとというところもなかった?
メイソン そうですね。首相撲とかもチョコチョコやってはったんですけど、首相撲の練習もずっと良太郎さんにやってもらってるので、問題ないと思います。
―― その相手に、自分はどういう試合をしようと思っていますか?
メイソン もちろんKOで倒し切る試合がしたいんですけど、今回5Rあるんですよね。スタミナの練習もずっとやってるんですけど、5Rは初めてでちょっとよく分かってないところもあるので、ジリジリとベテランをいじめていこうかなと思ってます。いじめ倒そうかなと。
―― そうですか(笑)。ベテランと言えば、キックプロデビュー戦の相手のアルバート・クラウス選手も大ベテランでしたが。
メイソン そうですね。クラウス戦みたいな感じで戦っていきたいですけど、あの時よりもうちょっと展開を作って、魅せられる試合をしたいですね。
―― クラウス戦にはそんなに満足できていない?
メイソン 子供の頃から見ていた有名選手なので、勝ちに徹してしまったところがありましたね。倒しにいけるところもあったやろうけど、自分のスタミナもあったので、気にしすぎてしまって。
―― 2戦目、3月の代々木第二大会での杉原新也戦はどうでしたか?
メイソン あの時は途中で拳をケガしてしまって、試合の流れが倒しにいくとかではなくなってしまったんですよね。セコンドからも「足で遊んで入って来れなくしろ」という指示だったので、その指示に従って足で蹴り出してという感じで。ただ試合内容的には、顔もほとんど殴られなかったので、悪くなかったかなとは思いますけど、倒せなかったのが問題でしたね。
―― まだフルに力を発揮できた試合ができていないと。
メイソン デビュー戦のクラウス戦はメチャクチャ緊張しましたし、2戦目も拳をケガしてしまったので、本来の自分はまだ出せてないですね。今回はクラウス戦ほど緊張もしないと思うし、本来の力をしっかり出せるように頑張ろうと思ってます。
―― それこそ、空手時代を含めて積み重ねてきたことが発揮できれば、いじめ抜くまでもなく勝てるのでは?
メイソン はい、正直、自分も相手の試合映像を見た時に、「あれ? これは普通に勝てるな」と思ったんですけど、やっぱり王座決定戦ということもあるので、油断せずに戦いたいと思います。練習はメチャクチャしてるし、力の差は出ると思うので、そこを見てもらえれば。
―― デビューが両国国技館、2戦目が代々木第二と来て、今回は初の後楽園ホールですね。
メイソン そうなんですよ! やっぱり後楽園って格闘技の聖地と言われているので、そこで試合できるのはうれしいです。このまま、後楽園でやらないままキャリア積んでしまうかなと思ったこともあって、1回はやっておきたかったというのはあるので、うれしいですね。そしてそこで初タイトルが獲得できれば最高です。
―― 今回、TOKYO MXでの生中継が入ることもあり、他にも王座決定戦など注目カードが並んでいます。他のカードは意識しますか?
メイソン 正直、全く意識してないですね。自分の試合は自分だし、出場する選手それぞれの戦い方もいいところも全然違うと思うので。もちろん、人に見てもらって喜んでもらうというのが僕らエンターテイナーの仕事なので、どの試合よりも喜んでもらえる試合がしたいというのはありますけど、この試合には僕の人生もかかっているので、今は人のことを考えるよりも自分のことに集中しています。
―― なるほど。
メイソン 僕が一番いい試合をしたら、お客さんも見て喜んでもらえると思うので、それが第一ですね。
―― 勝利すれば、プロ3戦目で王座獲得ということになりますが、その先は?
メイソン まだあんまり考えてないですけど、自分は日本に帰ってきてもともとはMMAから始めていたので、MMAを荒らしに行こうかなとも考えてます。もちろんキックでも、誰かが俺とやりたいと言うのであれば全然やりますし。
―― 最終的にこうなりたいという理想像みたいなものはありますか?
メイソン 知名度で言えば、コナー・マクレガーみたいになりたいですよね。戦い方はジョン・ジョーンズとかショーン・オマリーとかそのへんが好きで、やっぱりMMAファイターで好きな選手が多いので、そんな感じになれればというのはありますね。
―― ということは、今は目標に行き着くまでの過程?
メイソン そうですね、ちょっと寄り道してる感じです。MMAばっかりやってても面白くないし、キックばっかりやってても面白くないんで、チョコチョコ寄り道しながら、いろいろやっていければと思ってます。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
メイソン 自分のフットワークだったりコンビネーションだったりもあるんですけど……やっぱり自分が覚醒して、頭おかしくなるところですかね。
―― おかしく(笑)。
メイソン 杉原戦でも、目がガン開きになってたんですよ。試合中、頭おかしくなってるときがあるんで(笑)。けっこう無意識というか、クラウス戦ではなってなくて、杉原戦ではなってたんですよね。あとMMAの試合の時もなったんですよ。自分でもよく分からないんですけど、たまに出てくるみたいな感じになってます。
―― 後楽園ホールの空間でそれが見られるのを期待してます。ありがとうございました!
ぱんちゃん璃奈「ケガの前より強くなった自信があります。周りにも思ってもらえる試合をしたい!」
9・16『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』の「KNOCK OUT-BLACK ー49kg契約/3分3R・延長1R」でチャッキーと対戦するぱんちゃん璃奈。3月の代々木大会でのエキシビションを経て、4月の後楽園で左膝のケガから1年ぶりの復帰を果たしたぱんちゃん。脚もだいぶ回復したという今回は、練習の成果を出したいと意気込む。そんな彼女が最も見せたいものとは?
―― 今回、復帰2戦目になりますが、現在の脚の状況はどんな感じですか?
ぱんちゃん 徐々によくなりました。前回はまだ蹴れなかったんですけど、1ヵ月ごとに、徐々に徐々に蹴れるようになってきて、今は全然大丈夫です。
―― では、まだ100%ではない?
ぱんちゃん ヒザの状況的に100%になるということはないと思うんですけど、それに近いところまでは治ってきたんじゃないかと思います。あと、今までは出せる攻撃が少なかったんですよ。左ミドルと前蹴りのみという感じで。でも前回の試合から右ミドルが出せるようになって、ヒザ蹴り、顔面前蹴りなどもできるようになってきました。
―― 確かに出していましたね。
ぱんちゃん 手術の後、治ってくるまでは背伸びができなかったんですよ。それが回復してきてハイキックとかも可能になって、左足を軸にした攻撃もできるようになってきました。練習していても「やっとできるようになってきたなあ」という感じで、今は楽しいです。
―― 今回は台湾のチャッキー選手との試合になりました。相手の印象は?
ぱんちゃん 1ヵ月前のボクシングの映像は見たんですけど、キックの試合映像は見てないんですよ。見た限りでは、フックのイメージしかなくて、あとはあんまり印象がないです。
―― そんな中で試合へのモチベーションは?
ぱんちゃん メチャクチャ楽しみですよ。5ヵ月空いたのと、前回1年ぶりの復帰だったんですけど、1年間蹴れてない中でのGOという試合だったので、本当にダメな試合をしたなあという感じがあって。やっとちゃんと練習ができた上でリングに立てるということがすごく楽しみです。どこまで動けるのかなというのが。だから、相手どうこうというのはないですね。リングに立てることがうれしいので。
―― 今は練習スケジュールはどんな感じなんですか?
ぱんちゃん 今はウィラサクレック・フェアテックスジムに週3回行っていて、大阪の正道会館で週2回、パーソナルで見てもらっています。あとは良太郎さんのTEAM AKATSUKIが週1回と、フィジカルが週2回という感じですね。
―― 相変わらずハードワークですね。
ぱんちゃん いえ、以前に比べたらあえて練習してないんです。
―― そうなんですか?
ぱんちゃん 以前は週13回練習とかでやり過ぎだったので。今は2部練の日も週に2回ぐらいにしています。3部練もなしで、今は週9回ぐらいですね。その方がパフォーマンスもよくて、動けますね。以前は練習中に動けなくて、だからケガばっかりしていたというのもあるんですよね。一つひとつのパフォーマンスが出なくて、ただ量をこなしていた感じで。そこはフリーになって自分で決められるのが、一番の利点なのかなと。プロは毎日決まった長時間の練習じゃないですか。でも今は「今日は疲れてるから軽めにしよう」という感じで決められるのがいいですね。私にはこのスタイルが合ってます。
―― なるほど。大阪でのパーソナルはどうですか?
ぱんちゃん 石井館長に紹介してもらって、湊谷秀文トレーナーのところでやってるんですけど、今まで本当に何も知らなかったんだなって思います(笑)。今までは「もっと強く打って」とか「もっと力を抜いて打って」と言われても、やり方が分からなかったんですよ。そのやり方とか、どこに力を入れるとか、どこを動かすとか全部言葉で教えてくれるので、「あ、こういう感じなんだ」っていうのが初めて分かったんです。今までは「力を抜いて」とか「前重心で」とか言われても、あんまり分からなかったんですよ。それを具体的に「どうやったらこうなるのか」というところから教えてもらって、打撃の打ち方、蹴り方を根本的に変えてもらった感じがします。
―― そうなんですね。では、その成果を今回の試合で見せると。
ぱんちゃん 見せられなかったら、それは全て私のセンスがないというだけだと思います(笑)。トレーナーからは「右ストレートと顔面前蹴りが当たったら必ず倒せる」と言われているので、それで倒せなかったら本当に私のセンスがないだけということになりますね。試合のセンスがないなって、自分で思うので。
―― そうですか?
ぱんちゃん いつも思いますね。練習はいっぱいしてきたので、試合のセンスを上げられるようにしたいと思ってます。
―― それがこの試合の一番のテーマ?
ぱんちゃん そうですね。先週までタイに行ってたんですけど、世界のトップ選手たちとスパーをいっぱいして、本当にトップの選手がどのレベルにあるかというのが分かったんですね。もちろん試合は大事なんですけど、練習してきた相手ほどではないので、しっかりいい勝ち方をしなきゃなと思ってます。タイで練習した選手たちから「動画待ってるよ」って言われたので(笑)。
―― 試合が終わってもドキドキしそうですね(笑)。
ぱんちゃん 「こうやって、こうやってね、映像で確認するから」って言われてて(笑)。タイのみんなにいい動画を送れるような試合をしたいですね。
―― 最終的に、どういう試合をしてどう勝ちたいと思っていますか?
ぱんちゃん やっぱり、ダウンは取りたいです。いつも同じことを言ってますけどね。自分の試合に対する考え方はずっと同じで、「倒したい」ということが一番なので、今回も目標は「勝つこと」じゃないです。
―― 今回の大会はTOKYO MXで生中継もあり、王座決定戦など注目カードが並んでいます。その中で考えることは?
ぱんちゃん 今回も女子の試合はこの1試合だけなので「男子に比べて女子は……」とならないようにしたいです。男女の差を感じさせないようにしたいですね。どうしても男子の試合の間に挟まっていたら比べられちゃうので。他のみんなみたいな派手な試合ができるように、ちょっとでも追いつけたらと。
―― KNOCK OUTの女子部門はぱんちゃん選手ただ一人という状態ですからね。
ぱんちゃん もっと来てほしいですけどね。強さを見せられていないので、もっと強くなれば……「いろいろやらかしたけど、実力はあるな」って思われるようになりたいなって思います。前回の試合も、今のままじゃ強さも中途半端だなって思ってます。
―― そういう認識をひっくり返したい?
ぱんちゃん 周りが認めてくれても、自分が認められなければ意味がないし、逆に周りから「こいつ、弱いな」と思われてても、自分で強いと思えればそれでいいんですよ。自分とトレーナーさん、それから一緒に練習してる人たちから「あんた、さすがだわ! 強いわ!」って言ってもらえる試合をしたいです。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
ぱんちゃん 「ケガする前より強くなったな」と思ってもらえるような試合をしたいですね。前回の試合だと、「ケガの前の方が強かったな」となってたと思うので。実際に言われてるし、自分でもそう思うんですよね。「だいぶ強くなったな」と思ってもらえる試合をしようと思うので、そこに注目してください。
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール
第9試合 KNOCK OUT-REDスーパーライト級(65kg)王座決定戦 3分5R(延長1R)
良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI/元KNOCK OUT-BLACKウェルター級王者、元REBELS-REDライト級王者)
バズーカ巧樹(菅原道場/元KNOCK OUT-BLACKライト級王者)
第8試合 KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)王座決定戦 3分3R(延長1R)
大谷翔司(スクランブル渋谷/元INNOVATIONライト級王者)
久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/元KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級(60kg)王者)
第7試合 BLACK 56kg契約 3分3R(延長1R)
古木誠也(G-1 TEAM TAKAGI/KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)王者)
森岡悠樹(北流会君津ジム/スック・ワンキントーン・スーパーバンタム級王者)
第6試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
玖村修平(K-1ジム五反田チームキング/元Krushフェザー級王者、元NJKFバンタム級王者)
第5試合 ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル・ウェルター級(67kg)暫定王座決定戦 3分5R
ジャマル・ワヒィム[Jamal Wahim](フランス/FC Creusotion/元ISKAオリエンタルルール世界同級王者、元ストライカーズリーグ&IPCC欧州同級王者)
宇佐美秀メイソン(Battle Box)
第4試合 BLACK 女子49kg契約 3分3R(延長1R)
ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級(47.5kg)&アトム級(46kg)王者)
チャッキー[Chucky](台湾/パワーパンチ/台湾ボクシング全国総統杯48kg級金メダル、WOTDキックボクシング女子51kg級優勝)
第3試合 BLACK ライト級(62.5kg) 3分3R
庄司啓馬(TEAM TEPPEN)
力斗(TEAM PREPARED)
第2試合 BLACK スーパーライト級(65kg) 3分3R
YUYA(クロスポイント吉祥寺)
鈴木“シャオリン”孝司(K-1ジム五反田チームキングス)
第1試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R
酒井柚樹(TEAM TEPPEN)
柿﨑 瑠(クロスポイント大泉)
概要
大会名 MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4
日時 2023年9月16日(土) 開場・17:30 開始・18:00
会場 後楽園ホール
中継 TOKYO MX(19:00~21:30に生中継/エムキャスでも同時配信)、サムライTV(18時~/月1,980円)
チケット料金 SRS席 20,000円(完売) RS席 10,000円(完売) S席 8,000円 A席 6,000円 小中学生 1,000円(当日のみ) ※当日券500円アップ ※小学生から有料、6歳未満でも座席を必要とする場合は有料 ※小中学生券の詳細はKNOCK OUT公式HP参照
チケット販売 KNOCK OUTオフィシャルショップ イープラス チケットぴあ ローソンチケット 出場選手・所属ジム
お問い合わせ Def Fellow 03-6262-3760 inquiry@knockout.co.jp https://knockoutkb.com/