RWS 9.9 ラジャダムナン(レポ):ブアカーオ、城戸康裕を追い詰めるも3Rバッティングで無効試合に。吉成名高、ラオスの王者を1R右肘KO。石井一成、元ラジャ王者を2R KO
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ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)
2023年9月9日(土)タイ・バンコク・ラジャダムナンスタジアム
レポート:井原芳徳 写真:(C)BOMプロモーション
ブアカーオ、城戸康裕を追い詰めるも3Rバッティングで無効試合に
第9試合 メインイベント キックボクシング(肘無し・キャッチ制限あり) 73kg契約 3分3R
―ブアカーオ・バンチャメーク(タイ/バンチャメークジム/K-1 WORLD MAX世界70kgトーナメント’04 ’06優勝、シュートボクシングS-cup 70kg ’10優勝、元WMC世界スーパーウェルター級王者)
―城戸康裕(TEAM ONE/元Krush・WBKF世界スーパーウェルター級王者、元MA日本ミドル級王者)
3R 無効試合
RWSはDAZNを通じて日本含め世界200か国以上に配信され、タイ発祥のムエタイを世界にアピールするのが目的で始まった大会だが、吉成名高、石井一成、福田海斗、三浦孝太といった日本勢の活躍も目立ち、今回は日本勢を大々的に取り上げるマッチメイクとなった。
メインイベントにはタイのスター・ブアカーオが登場した。これまでの三浦や佐藤嘉洋との戦いはあくまでエキシビション扱いだったが、今回は公式戦だ。ブアカーオと城戸はゼロ年代のK-1 WORLD MAXのトップ戦線で活躍していたが、対戦経験は一度もなかった。両者とも1982年生まれで今や40代。5月のRIZINでブアカーオは10年ぶりに日本で試合をし、安保瑠輝也と引き分け。城戸は同じ大会で新生K-1を離れてから初の試合を行い、木村“ケルベロス”颯太に終了間際にダウンを奪われ判定負けしている。
なお、この試合はK-1 MAXと同じ70kg契約で行われる予定だったが、大会前の記者会見をブアカーオは体調不良を理由に欠席し、実質1階級上の3kg重い73kg契約に変わった。当然城戸は73kg契約に合わせた体作りをしていたはずで、ブアカーオの事情はどうあれ、ブアカーオが試合のバリューを下げてしまった感は否めない。
城戸のセコンドには皇治がつく。1R、長身の城戸は広いスタンスで構えて距離を取り、右のカーフキックを当てる。すると城戸はすぐにサウスポーにスイッチする。城戸は左ローを放つがローブローとなり一時中断する。ブアカーオは前に出続けるが、城戸は回って距離を取り続ける。ブアカーオは単発で右膝蹴り、右ボディフックを当てる。城戸は左ハイ、ローを放つが、軸足の右足を痛めたか?ステップがぎこちなく、蹴った後にバランスを崩す場面が目立つ。すると終盤、ブアカーオが城戸をコーナーに詰め右フックを当ててひるませると、さらにボディと顔面にパンチを当て続け、城戸をダウン寸前まで追い詰める。記者採点はブアカーオ。
2R、ブアカーオは変わらずプレッシャーをかけ、左ハイ、右ストレートをヒットする。だが膝蹴りがローブローとなってしまい一時中断する。再開後も距離を取る城戸をブアカーオが追いかけ、時折パンチをまとめ、組んで左膝を当て、主導権を維持する。城戸も時折左ハイ、パンチを返すが、踏ん張りが効かず、力が入らない。記者採点はブアカーオ。通常のRWSの試合と異なり、この試合はラウンドごとにジャッジの採点を発表していないが、ここまでジャッジも3者ともブアカーオだろう。
ところが3R、序盤にアクシデントが発生する。ブアカーオが組もうとすると、同じように組もうとした城戸と頭がぶつかり、城戸は額を切られ大出血する。ドクターチェックが入ると、すぐさまストップがかかる。ブアカーオ有利の展開だったが、不完全燃焼の結末となってしまった。多くの格闘技の大会ではその時点までの内容で判定が行われるが、RWSのルールではノーコンテスト(無効試合)となった。
リング上でのインタビューで城戸は「頭がパッカーンですね。圧力ありましたね。想像通りで。ここハゲちゃうと思うので、カツラのお金を下さい」と冗談を口にしたが、通訳にうまく伝わらなかったか?不満の残る結末だったせいもあったか?観客から笑いは無かった。アナウンサーに再戦について聞かれると「無茶苦茶やりたいです」と話し、ブアカーオに「やろうよ、もう一回」と呼びかけた。ブアカーオは「直前に怪我をしてしまい思うように動けませんでした。がっかりさせてしまいすみません」と話し、観客に謝った。
吉成名高、ラオスの王者を1R右肘KO
第5試合 スーパーフライ級 3分3R(インターバル2分)
○名高・エイワスポーツジム[吉成名高](エイワスポーツジム/ラジャダムナン認定フライ級王者、プロムエタイ協会・WPMF世界・BOM同級王者、WBCムエタイ・ナイカノムトム・スーパーバンタム級王者、元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者、元WBC・IBF・WMCムエタイ世界同級王者)
×スーウィチャイ[Soulixay](ラオス)
1R 1’17” KO (右肘打ち)
名高は今年2月のRWSでパタックシン(元オームノーイ認定フライ級王者)を最終3Rに左ハイキックでKO。8月12日の大会ではルンヴィッタヤーを圧倒の末に4Rレフェリーストップ勝ちし、ラジャダムナン認定フライ級王座の初防衛を果たしている。今回はタイの北のラオスのムエタイ王者だというスーウィチャイという選手との試合が組まれた。
1R、小柄なスーウィチャイに対し、名高はサウスポーで距離を取りつつ、左ミドルを的確に当て続ける。すると中盤、名高の左ハイがスーウィチャイの顔面をかすめ、スーウィチャイがロープ際まで後退すると、名高はチャンスを逃さず右ボディ、顔面へのフックを連打してから、左の縦肘を当ててダウンを奪う。スーウィチャイは立ったものの、右まぶたがふさがっている。名高は飛び膝蹴りで距離を詰めると、今度は右肘をこめかみに当てダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
石井一成、元ラジャ王者を2R右ストレートKO
第4試合 53kg契約 3分3R(インターバル2分)
○イッセイ・ウォーワンチャイ[石井一成](ウォーワンチャイ・プロモーション/BOM・WBCムエタイ・WPMF世界スーパーフライ級王者、IBFムエタイ世界フライ級王者、元WPMF世界・True4U・KNOCK OUT同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
×ジェイジェイ[JJ]・オーピモンシー(タイ/元ラジャダムナン認定バンタム級王者)
2R 0’43” KO (右ストレート)
石井は7月22日のRWSでエークタワン(タイ)を得意の左ボディフックで1R KOし、RWSでの2連戦となる。今回は元ラジャダムナン王者のジェイジェイと対戦した。
1R、ジェイジェイは左前蹴りで距離を取り、随所で右ロー、ミドルを強打する。中盤、ジェイジェイはノーモーションの右ストレートをヒット。すると石井は詰めて来たが、ジェイジェイはサウスポーに切り替えて左ミドルを8連打する。石井は負けじと前に出るが、ジェイジェイは左ミドルを当て続ける。それでも石井はしつこく前に出続け、右ロー、左フック、右肘、左ボディを当てて挽回する。ジェイジェイは左頬を切られ、少ししんどそうになってきたが、最後に自身の右肘もお返しする。石井は中盤の悪印象を払拭するほどの攻勢には持ち込めないが、流れを引き寄せることには成功する。記者採点もジャッジ3者もジェイジェイ。
2R、距離を取るジェイジェイは口が開き少ししんどそう。ジェイジェイは右ミドル、ローを当てるが、石井は相手の蹴りをもらっても前に出ていると、左フックを振りつつジェイジェイをロープ際に詰め、右ストレートをクリーンヒット。ジェイジェイは腰から崩れ落ち、さらに石井が右ストレートを当ててダウンさせると、目が飛んだ状態になり、すぐさまレフェリーがストップした。
伊藤紗弥は判定負け
第3試合 女子アトム級 2分3R(インターバル2分)
×伊藤紗弥(尚武会/WBCムエタイ&WMC世界女子ミニフライ級王者、BOM女子ライトフライ級王者、IPCC世界女子アトム級王者、元WPMF世界女子ピン級王者)
○モンクッペット[Mongkutpetch]・カオラックムエタイ(タイ)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
伊藤は7月9日のBOM渋谷大会でプロムエタイ協会王者のサネガンに判定勝ちして以来の試合で、タイ・パトンスタジアムの王者でRWS 1戦1勝のモンクッペットと対戦した。
1R、体格で勝るモンクッペットが、左の前蹴りを細かく出して伊藤に入らせず、随所で左右のミドルを叩き込む。伊藤も右ロー、ミドルを返す場面もあるが、攻撃が少なく印象が悪い。ジャッジ3者ともモンクッペットにつける。
2R、伊藤が圧を強め、右ミドルを当てるが、モンクッペットは蹴り足をつかんでから右ストレートを当て、伊藤はのけぞってしまう。モンクッペットはサウスポーも織り交ぜ、左ミドルを当てる。伊藤も随所で右ミドルを当てるものの、印象に残る攻撃につなげられず終わる。ジャッジ3者ともモンクッペットにつける。
3R、モンクッペットは変わらず距離を取り、伊藤が詰めてきても右ストレートや前蹴りを当てる。それでも伊藤は前に出て、右ストレートを返す場面もあるが、モンクッペットも右ストレートをお返し。伊藤はバックハンドブローで打開を図るが、簡単にかわされる。モンクッペットは最後まで伊藤の攻撃を封じ終了する。ジャッジ3者ともこのラウンドもモンクッペットにつけ、27-30でモンクッペットが完勝した。記者採点も27-30でモンクッペット。