RWS 10.28 ラジャダムナン(レポ):K-1黒田戦控える石井一成、ラジャ現王者に1Rにダウン奪われ肘で切られ判定負け。奥脇竜哉、プロムエタイ協会暫定王者に判定負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム
中野駅徒歩9分。本場のムエタイ、教えます。まずは見学・体験を!
ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)
2023年10月28日(土)タイ・バンコク・ラジャダムナンスタジアム
レポート:井原芳徳
第4試合 メインイベント スーパーフライ級 3分3R(インターバル2分)
×イッセイ・ウォーワンチャイ[石井一成](ウォーワンチャイ・プロモーション/BOM・WBCムエタイ・WPMF世界スーパーフライ級王者、IBFムエタイ世界フライ級王者、元WPMF世界・True4U・KNOCK OUT同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
○パントー・ポーラックブーン[Pangtor Por.lakboon](タイ/ラジャダムナン認定バンタム級王者、元オムノーイ・BBTV・True4Uスーパーフライ級王者)
判定0-3 (26-30/27-29/27-29)
RWSはDAZNを通じて日本含め世界200か国以上に配信され、タイ発祥のムエタイを世界にアピールするのが目的で始まった大会。日本の選手も多数参戦し、9月9日の大会ではタイのスター・ブアカーオと城戸康裕が対戦し、吉成名高、石井一成、伊藤紗弥も出場と、日本勢の締める割合と地位が向上している。
今回も石井、奥脇竜哉をはじめ、日本の5選手が出場した。石井はメインイベント、竜哉はコーメインイベントを任された。(元々ラジャのフェザー級タイトルマッチが組まれていたが、中止となり、コーメインの石井の試合がメインに格上げとなった)
石井は7月22日のRWS初戦でエークタワン(タイ)を得意の左ボディフックで1R KO。9月9日の2戦目では元ラジャダムナン認定バンタム級王者のジェイジェイ・オーピモンシーを2R右ストレートでKOしている。今回の相手は5月にジェイジェイに判定勝ちしラジャのバンタム級王座を奪ったパントー。今回はノンタイトル戦で3R制のRWSスタイルとはいえ石井にとっては重要な試合となる。なお、石井は12月9日のK-1大阪大会でのK-1バンタム級王者・黒田斗真への挑戦を控えている。
1R、サウスポーのパントーに対し、石井はオーソドックスで構えて前に出て、積極的にパンチを振い、右ローも絡める。するとパントーは落ち着いてかわし続けてから、1分過ぎ、石井が右ミドルを当てた直後、左ストレートを当ててダウンを奪う。すると石井は距離を取り、パントーが前に出るようになるが、今度は石井が左フックを当て、プレッシャーをかけ返す。終盤、パントーは右クロスを当ててから、パンチの連打で挽回し、右肘も当てて石井の左まぶたを切り裂く。石井はストップを危惧したか?前に出るようになるが、パントーはステップとクリンチで反撃を封じる。ジャッジ3者とも8-10でパントーにつける。
2R、石井は開始すぐから前に出て、左フックを当てる。だがパントーは左ストレートを振ってからプレッシャーをかけ返し、左右のパンチ、肘を度々当てる。石井は左まぶたの出血は止まったものの、顔が血で染まっている。終盤、石井は前に出返すと、左右のパンチを返すが、パントーは耐え、最後はパントーが左ミドルを当てて終える。記者採点は僅差だがトータルの攻撃パターンで上回ったパントー。ジャッジは割れ、2者がパントー、1者が石井につける。
3R、石井は先に圧をかけパンチを当てるが、パントーも出返し、右肘、左フック等を返す。中盤になると、パントーはステップで距離を取り、やや逃げ切りモードに。パントーは肘、ジャブ、前蹴りを随所でヒットし、クリンチでも石井の攻めを寸断する。石井は最後、必死に前に出てパンチを振るい、テンカオの奇襲で場内を沸かせるが、パントーは時間いっぱいまで逃げ切る。記者採点は石井。合計27-29でパントー。ジャッジ3者もパントーを支持し、パントーが判定勝ちした。
石井は左まぶたの出血は試合中におさまったものの、3センチほどの傷ができたため、1か月半後のK-1での黒田戦までのしばらくの間、激しいスパーリングを制限しないといけなくなりそうだ。今回サウスポーからの左ストレートでダウンを奪われたが、黒田も同じくサウスポーからの左のパンチが強みのため、石井にとって今回のダウンが次の黒田戦にどう影響するかも気になるところだ。
奥脇竜哉、プロムエタイ協会暫定王者に判定負け
第3試合 コーメインイベント フライ級 3分3R(インターバル2分)
×竜哉・エイワスポーツジム[奥脇竜哉](エイワスポーツジム/プロムエタイ協会フライ級王者、WPMF世界・IBFムエタイ世界・ムエサイアムイサーン・ミニフライ王者、元ラジャダムナン同級王者、元WMC世界ピン級王者)
○デッピチャイ・ネヴィアンダマン[Detchpichai NavyAndaman](タイ/プロムエタイ協会フライ級暫定王者、元タイ南部ミニマム級王者)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
元ラジャダムナン認定ミニフライ級王者の竜哉は、コロナ禍の間、BOM、RISEでの試合が続いたが、今年からタイのリングにも並行参戦。6月にはラジャでマレーシアの選手にKO勝ちし、8月にはタイの選手に判定勝ちしプロムエタイ協会フライ級王座を獲得している。今回は同級暫定王者のデッピチャイと対戦した。
1R、竜哉がオーソドックス、デッピチャイがサウスポーで構え、ミドル、ハイ、ローの応酬となる。終盤、デッピチャイは圧力を強め、左肘、組んでの膝、右ハイ、左ミドル等のヒットを増やし、竜哉は攻撃が減ってしまう。記者採点はデッピチャイ。ジャッジ3者ともデッピチャイにつける。
2R、ミドルの攻防もあるが、デッピチャイが組んで膝を当てる場面が目立つように。中盤、デッピチャイが右ローを当ててから右ハイにつなげる。デッピチャイは首相撲から左肘も当てる。終盤、竜哉は前に出て右ミドル、ストレートを返すが、デッピチャイは距離を取り、クリンチ等でも攻撃を寸断する。記者採点はデッピチャイ。ジャッジ3者ともデッピチャイにつける。
3R、竜哉は前に出て右のストレートやボディストレートを当てるが、2ポイント差でリードしているデッピチャイは、距離を取りつつ、随所で左のミドルや前蹴りを返す。デッピチャイはしっかり守りつつ時折印象の残る攻撃を見せて、逃げ切りに成功する。記者採点はデッピチャイ。ジャッジ3者ともデッピチャイにつける。記者採点合計27-30でデッピチャイ。ジャッジ3者もデッピチャイを同じ採点で支持し、竜哉は完敗に終わった。
タイ在住3選手も奮闘。石田颯真・悠真兄弟が1R KO勝ち。中村慎之介、判定負けも“サムライスピリッツ”発揮
第2試合 ミニフライ級(105ポンド=47.63kg) 3分3R
○ソウマ・ロンポージム[石田颯真](ロンポージム)
×Ayoub Elamghari(モロッコ/Satien muay thai)
1R KO (右フック)
岡山出身の石田颯真は12戦8勝4敗の16歳。弟の悠真と共にタイのロンポージムに所属する。
1R、開始すぐからElamghariが、サウスポーからスイッチして右ストレートを当てると、颯真は後ろにフラつき、コーナーにぶつかってダウンは免れる。颯真は物怖じせず右ローを当てつつプレッシャーをかけると、Elamghariが右の縦肘で飛び込んだところに、右フックを合わせてダウンを奪う。さらに颯真は、ダメージの溜まっているElamghariに、再びカウンターの右フックを当ててダウンを奪う。Elamghariは立ち上がったものの、状況がわかっていないのか?ロープにもたれて首をセコンドの方に向け、レフェリーに促されてもファイティングポーズを取らなかったため、レフェリーがストップ。颯真のKO勝ちとなった。
第1試合 132ポンド(59.87kg)契約 3分3R(インターバル2分)
×中村慎之介(ジッティージム)
○ジェレミー・デブリース[Jeremy Devrese](フランス)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
中村は長野県出身の31歳。川崎のインスパイヤードモーションに所属し、13~16年に日本のキック大会に出場し続けた後、17年からバンコクに移り住み、ジッティージムで練習しながら、タイや中国やマレーシア等の試合に出場してきた。戦績55戦37勝16敗2分。
1R、中村がプレッシャーをかけ、左ミドル等を積極的に当てる。デブリースはロープを背負う時間が長く、左フック、右肘も返すが、手数で劣る。ジャッジ3者とも中村につける。
2R、中村が変わらず前に出て左ミドルを当てるが、デブリースが左右のミドルを返す場面が増える。デブリースは右ハイ、肘、膝もヒット。中村は左まぶたを切られてしまう。ジャッジ3者ともデブリースにつける。
3R、中村は執拗に左ミドルを当てるが、デブリースも攻撃を返す。中盤、デブリースが右肘で中村の額を切り裂くが、中村は前に出て右ストレートをお返し。中村は血だるまになりながらも、自分の顔を叩いて挑発し、前に出続け、場内を沸かせるが、デブリースは落ち着いてパンチを当て続ける。ジャッジ3者ともデブリースにつけ、点差を広げデブリースが判定勝ちしたが、英語の中継の解説も「サムライスピリッツ」と中村を称え、印象を残した。
プレリム第2試合 106ポンド(48.08kg)契約 3分3R(インターバル2分)
○ユウマ・ロンポージム[石田悠真](ロンポージム)
×セーンセーブ[Saensaeb Moofingarqudongbdei](タイ)
1R KO (左フック)
プレリムには岡山出身の15歳・石田悠真が登場した。悠真はムエタイ7戦全勝。本戦に登場した石田颯真の弟。1R終盤、セーンセーブの左縦肘を浴びたが、直後に右ハイでダウンを奪い、さらに右肘と左フックで2ダウンを奪い鮮烈なKO勝ちを果たした。