シュートボクシング 7.6 TDCホール:RENA、vs浅倉カンナII前哨戦は辛勝「残り23日で不可能を可能にしたい」
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SHOOT BOXING Girls S-cup ~48kg世界トーナメント2018~
2018年7月6日(金)東京・TDCホール
レポート&写真:井原芳徳
ワンマッチ
第10試合 RIZIN女子MMAルール 51kg契約(50kg契約から変更) 5分3R
○RENA(シーザージム/SB世界女子フライ級(51kg)王者/51.0kg)
×エレイン“パンテラ”リアル [Elaine “Pantera” Leal](ブラジル/Eudes Team/52.25kg→52.0kg)
判定3-0
Girls S-cupは09年8月23日に品川ステラボールで初開催され、毎年夏の恒例行事となり、今年で10回目。1回目から毎回出場し続けているのがRENAだ。
RENAは昨年の大みそかのRIZINで浅倉カンナに敗れ、今回が再起戦。7月29日のRIZINでは浅倉との再戦も決まっており、7月は23日間隔での2試合となる。
前哨戦の相手・パンテラはシャードッグのデータによるとMMA戦績11戦5勝(3一本)6敗。1989年4月26日生まれの29歳。普段の階級はストロー級(52.16kg)。身長165cm。試合は全てブラジルの大会で、ジャングルファイト、修斗ブラジル等に出場。15年にプロデビューし年3~4試合のペースで試合をし、昨年5月の試合は3R TKO負け、今年4月の試合は1Rギロチンで一本負けと2連敗中だ。3つの一本勝ちのうち2つは裸絞め、1つは腕十字によるもので、6敗のうち4試合は一本負け。浅倉のようなタックルを駆使する選手ではないが、RENAにとっては寝技の対応力が試される。
なお、RENAは1回目の計量で51kgでクリアしたが、リアルは52.25kgで計量オーバーした。再計量でも52.0kgでオーバーしており、本来は失格だが、RENAが試合の実施を申し出たため、試合は行われ、エレインはイエローカード1枚からのスタートとなる。
リングサイド席で浅倉、RIZINの榊原信行実行委員長、那須川天心も見守る中、試合のゴング。1R、RENAはパンチを連打して前進するが、リアルは組み付き、両脇を差してテイクダウン。鉄槌を連打し、RENAを動かしつつ、RENAの立ち上がり際にギロチンを極め、外されると三角に移行し、慣れた動きでRENAを追い詰める。RENAは立ち上がって振り落とし、踏みつけを放つが、リアルは足をつかんでアキレス腱固めを仕掛ける。最後はRENAが上になるが、またも下からリアルはアキレス腱固めを狙う。
2R、RENAが開始すぐから右のパンチを当て、リアルをダウンさせ挽回。上からパウンドで攻めるが、リアルはしのぐと、またも足関節技でRENAを追い詰める。立った後、RENAが右ストレート、右ミドルを当てるが、中盤以降はリアルが再三押し込み、RENAの反撃を封じる。
3R、RENAが左右のボディフックを連打すると、リアルは苦しそうな表情を見せるが、押し込んで追撃を封じる。離れるとREANがまたもパンチを連打し、リアルは苦し紛れにタックルに行くが、RENAは振り払い、サッカーボールキックを連打する。猪木アリ状態となり、スタンドに戻り、またもRENAがパンチで追い詰め、最後は倒し、サッカーボールキックを放ち、猪木アリ状態で終了。記者採点は2R以降挽回し追い詰めたRENA。ジャッジ3者も同様に採点し、RENAの勝利となった。
辛うじて勝利したRENAはマイクを持つと「このままだとリベンジは不可能ですけど、残り23日で不可能を可能にしたいです」と話した。バックステージでは「初めて判定まで行ったけど、逆にいい経験にもなった」「危なかったけど、練習でさんざんやられているので、前見たいに焦りはなくなりました」と、少し前向きなコメント。黒ずくめのコスチュームについては「黒いRENAを見せました。世間的にヒールになったので。29日はもっと黒いRENAを見せます。躊躇なくサッカーボールキックを出せたので成長できました」と笑顔で話していた。
第8試合 女子66kg契約(65kg契約から変更) 3分3R(延長無制限R)
○KINGレイナ(FIGHT CLUB 428/65.8kg)
×キム・ヨンジ(韓国/64.7kg)
判定2-0 (平30-28/若林29-29/津山29-28)
KINGレイナは昨年9月のDEEPで腕十字で一本勝ちした相手であるヨンジと、SBルール再戦。レイナの立ち技ルールの試合はこれが初だ。
1R、中盤まで少し蹴りとパンチをもらってしまったレイナだが、ヨンジをロープに詰めてのパンチの打ち合いで右フックをクリーンヒット。終盤には膝の連打も当て、やや優位に試合を運ぶ。記者採点は10-9でレイナ。
2R、レイナは疲れて来たか?動きが落ち、逆にヨンジのサウスポーからの左ストレートのヒットが目立つように。レイナはガードが上がらず、反応もできない。記者採点9-10でヨンジ。
3R、序盤はレイナがコーナーに詰めてのパンチの連打でチャンスを作るが、ヨンジは中盤に左ストレートを連打して挽回。お互いローも蹴り合って消耗が激しくなるが、終盤はヨンジが左ストレートでレイナをのけぞらせて巻き返す。記者採点は10-10。合計29-29。ジャッジ1者はドローだが、2者はレイナを支持し、激戦を制した。
レイナはシーザー会長にお中元のカステラとチュッパチャップスをプレゼントした後、「8月12日、RIZIN愛知大会、次は絶対KOで勝つんで、応援お願いします」とアピールした。
第5試合 RIZIN女子MMA特別ルール(踏みつけ、サッカーボールキック、四点ポイントでの頭部への膝蹴りは禁止) 65kg契約 5分2R
○未奈(秀晃道場/SB日本女子バンタム級(55kg)3位/65.0kg)
×ペットローイエット・ハイランドジム[Phetroiet Highlandgym](タイ/64.45kg)
1R 2’17” KO (スタンドパンチ連打)
Girls S-cup 48kg世界トーナメント2018
第1試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○MIO(シーザージム/SB日本女子ミニマム級(48kg)王者/48.0kg)
×イム・ソヒ(韓国/ジュンムンジム/韓国コンテンダー女子フライ級王者/47.85kg)
判定3-0 (若林30-29/茂木30-28/津山30-28)
女子ミニマム級(48kg)では2年前のGirls S-cupで4選手による「アジアトーナメント」が開催され、MIOがユリカGSBとUnion朱里に勝利し優勝。昨年のGirls S-cupでトーナメントは無かったが、今年は8選手による世界トーナメントとして復活した。
4月大会でソヒに判定負けし連勝が20でストップしたMIOは「前回は自分の中でナメてた部分もある。私が何もできなかった印象が強いですけど、今回は真逆で何もさせないぐらいでやりたいです」と6月26日の組み合わせ発表会見で話していた。
1R、中央から圧力をかけてくるソヒに対し、MIOは左のジャブと前蹴りのフェイントをかけつつ、右回りでかわしながら、少しずつ鋭い右ローのヒットを増やす。まだお互い手数は少なく記者採点は10-10。
2R、序盤のソヒのラッシュをMIOがしのぐと、距離を取りつつ、時折パンチの打ち合いでヒット。少しずつイムの口が開いて消耗してきた様子で、終盤にはMIOが右ロー、腰投げで攻勢を印象付ける。記者採点は10-9でMIO。
3Rも基本的に同じ構図で、MIOが慎重ながらも高い集中力を維持して動き続け、ソヒに攻撃をほとんど当てさせず、右ロー、組んでの膝を確実に叩き込み続ける。ムエタイ式に崩しや左の奥ローも絡め、トータルで上手さを印象付ける。記者採点は10-10。合計30-29でMIO。MIOが手堅くも、公約通り「何もさせない」形でソヒにリベンジし、準決勝に駒を進めた。3R戦かったがダメージや体力消耗はほとんど無さそうだ。
第2試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○ゲーオター・ポー・ムンペット[Kaewta Por Muengpetch](タイ/WPMF女子世界ライトフライ級(49kg)王者/46.5kg)
×ジュジー・ナガオワ[ジュジース・ナガワ/Jujeath Nagaowa](フィリピン/元ボクシングWIBAインターナショナル・ライトフライ級(49kg)王者/47.5kg)
判定2-1 (津山30-29/若林29-30/和田29-28)
ナガオワはカッコ書きの「ジュジース・ナガワ」の表記で5回ほど日本でも戦っているプロボクサー。高く構えるゲーオターに圧力をかけ、大振りのフックを放つが、ゲーオターが組み付いて膝を当てる展開が繰り返される。
お互いなかなか攻めきれず、レフェリーが注意を繰り返すが、3R、ようやくゲーオターの左ミドル、組んでの左膝のヒットが増え優勢に。記者採点は3Rのゲーオターにつけ30-29でゲーオター。ジャッジは蹴りとパンチの評価で割れたようだが、ゲーオターが2者に支持され準決勝に進んだ。
第3試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○MISAKI(GSB/SB日本女子ミニマム級(48kg)2位、J-GIRLSミニフライ級王者/47.5kg)
×イシス・バービック[Isis Verbeek](オランダ/ボスジム/48.0kg)
判定2-0 (若林30-29/津山29-29/平30-29)
6月26日の会見でMISAKIは「2月に日本のベルトを賭けてMIOちゃんと戦って負けてしまって悔しい思いをしましたけど、こんなに早く大きなチャンスをいただいて感謝しています。一回戦のバービック選手は(14年11月に)RENAちゃんと試合をしたのを見ています(※RENAが判定勝ち)。GLORYを主戦場にしていて、怖い選手ですけど、私しかこのトーナメントを勝てないと思っているので、勝ってベルトを取りたいです。決勝はリベンジを兼ねてSB対決でMIOちゃんとやりたいです」とコメントしていた。
- MISAKI
1R、MISAKIは長身のバービックに対し、何度もフックを振りながら組み付いて投げ技を仕掛け続ける。パワーで勝るバービックも投げ返し、離れれば飛び膝、ミドルを当てるが、MISAKIは前進を止めない。記者採点10-10。
2Rも基本的に同じ構図で、MISAKIは序盤にギロチンを仕掛ける場面も。MISAKIは何度も払い腰や大外での投げにトライするが、腰より上まで投げられずポイントにはならない。バービックも時折膝を強打し抵抗する。記者採点10-10。
3Rも同様にMISAKIが投げにトライを続ける。バービックは疲れの色が見え始め、押し込まれる場面が増える。終盤、バービックが投げを決めると、シュートサインを出したジャッジもいたが、投げと認めないジャッジもおり、ポイントにならない。記者採点は10-10。計30-30でドロー。ジャッジ1者もドローだったが、2者はMISAKIのシュートボクシング的な攻め方を支持したようで、MISAKIの勝利となった。
第4試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
×小林愛三[まなぞう](NEXT LEVEL渋谷/MuayThaiOpen女子フライ級王者/47.95kg)
○イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア/キック&パンチ/グレイシー・ファイター・ドージョー/WBCムエタイ欧州女子フライ級王者/48.0kg)
判定0-3 (平29-30/津山28-29/若林29-29)
小林はKNOCK OUT代表としてSB初挑戦。昨年7月にはMIOのライバルとでSB女子ミニマム級2位Union朱里と引き分けている。ヴァレンティーノはRENAとRIZINでMMAルール、SBでSBルールで戦い、いずれも敗れている。サウスポーからの左ミドルを得意とする。2月のKNOCK OUTで小林戦が一度組まれたが中止となっていた。ヴァレンティーノのセコンドには石原夜叉坊がつく。
1R、小林はサウスポーのヴァレンティーノに対し、右ハイを放つ。ヴァレンティーノはギリギリでブロックしているが、小林の巧さを印象付ける。小林は右ストレートを当てる場面も、ヴァレンティーノも左ミドル、膝を随所で返し、まだ大差はつけさせない。記者採点10-10。
2Rも同じ構図だが、ヴァレンティーノの左ストレートも当たり出す。小林は右ミドル、ハイで腕を殺そうとするが、終盤に蹴った直後、ヴァレンティーノが不意打ちの左のバックハンドブローをクリーンヒットし、小林はダウンしてしまう。記者採点8-10でヴァレンティーノ。
3Rも小林は左右のミドルを当て続け、ヴァレンティーノは右腕が赤く腫れあがり、ダメージの大きさを印象付ける。終盤のヴァレンティーノは疲れの色が濃く、小林は必死にハイも絡め蹴り続けるが、ダウンは取れず終了。記者採点は10-9で小林。合計28-29でヴァレンティーノ。ジャッジ3者も順当にヴァレンティーノを支持し、小林は初戦敗退した。小林は戦績14戦9勝(3KO)1敗4分となり初黒星だが、結果的に優勝者となるヴァレンティーノを日本勢3選手の中で一番追い詰め、SB協会のシーザー武志会長も「初めて見たけどいい選手だね」と高く評価しており、敗れても価値を高める試合だったのではないだろうか。
第6試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
○MIO(シーザージム/SB日本女子ミニマム級(48kg)王者/48.0kg)
×ゲーオター・ポー・ムンペット(タイ/WPMF女子世界ライトフライ級(49kg)王者/46.5kg)
判定3-0 (津山30-25/若林30-25/平30-26)
1R、しばらくロー、ミドルの応酬を続けると、MIOがゲーオターにロープ際に詰め、左右のフック、ボディを当て、ゲーオターを苦しめる。記者採点は10-9でMIO。
2R、ゲーオターも左右のミドル、首相撲からの膝のヒットを増やし、1Rのように攻め込ませないが、終盤、組んで右膝を当てようと片足立ちになったタイミングで、MIOが腰投げを綺麗に決めてシュートポイント1を奪う。記者採点はシュートポイント含め10-9でMIO。
3Rも随所でゲーオターが左右のミドルを当てて巧さを印象付けるが、中盤、MIOはゲーオターの右ミドルをもらいながらも、直後にすぐさま右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪取。倒しきれなかったが、これで点差を広げ試合を完勝した。記者採点は10-8でMIO。合計30-26でMIO。
第7試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×MISAKI(GSB/SB日本女子ミニマム級(48kg)2位、J-GIRLSミニフライ級王者/47.5kg)
○イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア/キック&パンチ/グレイシー・ファイター・ドージョー/WBCムエタイ欧州女子フライ級王者/48.0kg)
判定0-3 (津山28-30/平28-30/若林27-30)
一回戦と準決勝の間の未奈戦が1Rで終わったため、ヴァレンティーノは30分も休めず準決勝へ。1R、MISAKIは序盤から一回戦同様に詰めて投げ狙い。ヴァレンティーノは中盤まで膝とパンチを返していたが、終盤は押し込まれる時間が増え、MISAKIの左右のミドルのヒットも目立つように。記者採点は10-10。
2RもMISAKIは愚直に組み付いての投げを狙い続ける。ヴァレンティーノは押し込まれる時間が長いが、組まれる前に左ストレート、膝を随所で上手く当てて印象を残す。記者採点は9-10でヴァレンティーノ。
3R、さすがのMISAKIもダメージとスタミナロスでパワーが落ち、ヴァレンティーノの左ストレートと膝がより目立つ内容に。組んできたMISAKIを潰して投げる場面も。記者採点は9-10でヴァレンティーノ。計28-30でヴァレンティーノ。ジャッジ3者も同様に採点し、MISAKIはMIOの待つ決勝にたどり着けず、涙を流した。
第9試合 決勝 3分3R(延長無制限R)
×MIO(シーザージム/SB日本女子ミニマム級(48kg)王者/48.0kg)
○イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア/キック&パンチ/グレイシー・ファイター・ドージョー/WBCムエタイ欧州女子フライ級王者/48.0kg)
判定0-2 (平29-30/津山30-30/若林29-30)
※ヴァレンティーノが優勝
両者とも計6R戦って決勝に進んだが、体力消耗が激しいのは、激戦続きで試合間隔も短いヴァレンティーノ。しかし2Rまで体力温存し、MIOの攻撃を最小限に食い止める作戦が功を奏す。
1R、MIOが圧力をかけ、サウスポーのヴァレンティーノが回って距離を取り続ける。お互い慎重だが終盤にミドルの強打の応酬に。記者採点は10-10。
2Rも同様にお互い慎重な試合運び。両者、パンチ、ミドルを当て、少し終盤にお互い攻撃が増えるが、流れは傾かない。記者採点は10-10。
3R、ヴァレンティーノは温存した体力をここで吐き出す。2Rまでとは違って序盤から前に出て、パンチ、ミドルのヒットを増やし、中盤過ぎには首相撲から膝を連打し攻勢を印象付ける。MIOも終盤はパンチを返すが、ヴァレンティーノが逃げ切り終了。記者採点は9-10でヴァレンティーノ。合計29-30でヴァレンティーノ。ジャッジ2者も同じ採点で、MIOはあと一歩で優勝を逃した。
ベルトを巻いたイリアーナが「日本は私にとってホームのような場所です。アリガトウゴザイマス」と感謝の言葉を述べると、観客からも暖かい拍手が起こった。バックステージではRENAとの3度目の対戦をしたいかを聞くと「イエス」と即答。MMAの練習も積んでいるため、ルールについては「MMA」と話していた。