シュートボクシング 4.1 後楽園ホール:海人、今度は不可思を肘で撃破「皆さんも一緒に世界を取りに行きましょう」。宍戸大樹、復帰戦は判定勝ち。MIO、連勝20でストップ
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SHOOT BOXING 2018 act.2
2018年4月1日(日) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第8試合 64kg契約(肘有り) 3分5R(無制限延長R)
○海人(TEAM F.O.D/SB日本スーパーライト級(65kg)王者/64.0kg)
×不可思(クロスポイント吉祥寺 REBELS/RISEライト級(63kg)王者/64.0kg)
4R 2’45” TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる額のカット)
海人は昨年6月に鈴木博昭、9月に宮越慶二郎に肘でTKO勝ち。11月でのSB日本スーパーライト級王座決定トーナメントで憂也、健太を下し優勝した。
今年2月の後楽園では鈴木に3度勝利しているタップロン・ハーデスワークアウトをKOと、快進撃は止まらず。SB協会は今年11月にS-cup -65kg世界トーナメント開催を予定し、その主力として20歳の海人に「SB真のエース」として期待をかけている。
対する不可思は16年6月のバリーズ・カラバス戦で3R KO勝ちして以来のSB参戦。以降は水町浩を下しRISE王者、ハチマキを下しREBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者に。昨年は麻原将平相手にRISE王座を防衛しつつ、KNOCK OUTに5大会も出場し、山口裕人、水落洋祐、茂木俊介、金原正徳から勝利。6月の初代ライト級王座決定トーナメント1回戦では準優勝者の勝次に敗れたが、ダウンの応酬でインパクトを残した。
今年はKNOCK OUT初代スーパーライト級王座決定トーナメントに参戦し、2月大会の一回戦で健太に判定勝ち。6月8日の後楽園大会の準決勝を控えている。海人戦4日前の公開練習では「リスクは高いですけど、強い選手とやることに意味がある」と話し、前日計量でもRISE王座奪取の実績を踏まえ「アウェーは得意」とコメント。こういった冒険する姿勢がファンを着実に増やしている大きな要因だろう。
1R、長身の海人がじわじわ前に出ると、不可思は左に回って距離を取り、右ロー、左の奥ローを確実にヒット。左ハイ、右フック等も織り交ぜ主導権を握る。とはいえまだ大差は無く、記者採点は10-10で、ジャッジ3者も10-10だ。この5R肘有りの試合のみ、KNOCK OUTのように、3Rまでオープンスコアリングシステムが採用される。
2Rも不可思が右ローを当て続け、しばらく主導権を維持する。だが海人も時折返す右ローに重みがあり、パンチの連打をまとめる勢いも激しく、危険なムードを漂わせる。不可思は右ボディを当てて左フックにつなげるが、海人は左フックをカウンターで当て、少し不可思をひるませる。終盤は不可思は持ち直し、右ローを当て続けペースを戻す。記者採点は10-10。津山ジャッジは10-9で海人につけ、若林・茂木ジャッジは10-10でイーブンだ。
3Rも不可思が執拗に右ローを当て続けると、海人はローを嫌うようにスイッチするが、不可思が少し攻めあぐねた後に左ローを放つと、海人はすぐ左ストレートをヒット。不可思は強気を保とうと笑顔を浮かべる。海人はオーソドックスに戻すと、距離が詰まり、パンチの打ち合いを増やすことに成功し、ヒット数で少し上回る。記者採点は10-10。若林・茂木ジャッジは10-9で海人につけ、津山ジャッジは10-10だ。
4Rも不可思は右ローを狙うが、パンチのダメージが溜まったか?少し疲れが見え始める。海人が左ジャブで距離をうまく保ち、右フックもクリーンヒットし、じわじわ流れを引き寄せる。中盤過ぎ、またも海人はスイッチし、しばらくしてオーソドックスに戻すと、今度は右の縦肘をヒット。不可思は額から大出血し、最初のドクターチェックでストップがかかった。
今回も肘を炸裂させ勝利した海人は「日本のトップクラスは『海人』じゃなくて、『シュートボクサーの海人』で覚えてください。シュートボクシングを背負い、これから世界も取りに行きます。皆さんも一緒に取りに行きましょう」とアピールした。
バックステージでの海人は「不可思選手はパンチで勝つことがあるので、今回はパンチで倒したかったんですけど、結果的に肘が当たって切れた感じでした。肘有りでの試合が続いて、練習して身についている感じです」「不可思選手のローをもらうと、カットしている膝がカクンとしてしまったので、僕もアドレナリンも出てきていたので、最後のほうは踏ん張ってローを受けているほうが楽でした」「スイッチはローが効いたとかじゃなく、サウスポーも練習しているので出そうと思いました。フェイントにもなって迷ってくれたなら練習通りですね」「正直、ドクターに止められるより、もっと続けたかったです。試合中も面白かったし、知名度もある選手やったので、5Rまで続けたかったです」「強い人とできるとテンションが上がりますし、パンチが当たっていたので、5Rまで続けて、最終的に倒すつもりでした」と、まだまだ余裕を感じさせるコメントだった。
さらにマイクアピールの意図については「シュートボクシングはキックボクシングやボクシングやMMAに比べると知名度が低いので、それを上げていくのが僕の仕事やと思うし、『シュートボクシングの海人』と僕が言われるようにしないといけない。でも『ついて来い』と偉そうに言える立場じゃないので、『皆さんと一緒に世界を取りに行けたら』と思って言いました」と説明。コメントからもSBのエースとしての自覚が増して来たことが伝わって来る。
なお、シーザー武志・SB協会会長は大会後の総括で「KNOCK OUTで全部勝った選手(=不可思が参戦しているトーナメント優勝者)を11月のS-cupに上げたい」と話し、「S-cupにアジアの選手を集めたいね。アジアは立ち技のほうが総合よりも盛んだし、盛り上がる。中国や韓国の選手もいいし、今日もイランの方が見に来ていたし、インドネシアとかオーストラリアとかの選手も集めたい」と、まだ決定ではないものの、現時点でのプランを明かした。
第7試合 62kg契約 3分3R(無制限延長R)
○村田聖明(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級(-60kg)王者/62.0kg)
×ジョエイ・レウン [Joey Leung/梁 傲軒](香港/61.7kg)
1R 3’00” KO (右ストレート)
シーザー武志会長の長男・村田は2月大会でSB日本フェザー級王者・深田一樹とノンタイトル戦で延長1R判定勝ち。19戦目で初の国際戦だ。今回は村田、北斗拳太郎、宍戸大樹が本戦で香港勢を迎え撃つ。
1R、開始すぐからジョエイはパンチの打ち合いを仕掛け、村田も応じると、村田の右ストレートがヒットし少しずつ優勢に。コーナー、ロープに詰め、パンチを連打し、首投げでシュートポイント1も奪う。さらに右ボディを効かせると、ラウンド終盤には右の膝蹴りを連打して動きを止め、右ストレートでマットに沈めた。
この日はこの試合まで判定続きで、第6試合の後の休憩明け、シーザー会長が恒例のリング上での挨拶で、KO決着を促した。すると長男がその約束を果たすことになり、それも相まって場内は大歓声に包まれた。さらにマイクを持った村田が「もっと実力をつけて、他団体の選手も倒していきたいです」と宣言すると、拍手が起こった。
第6試合 女子ミニマム級(48kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(無制限延長R)
×MIO(シーザージム/SB日本王者/47.85kg)
○イム・ソヒ [Lim So hee](韓国/Jungmumun Gym/韓国コンテンダー女子フライ級王者/48.95kg→48.56kg)
判定0-3 (茂木28-29/津山28-29/若林28-29)
MIOは2月大会でMISAKIに判定勝ちしSB日本女子ミニマム級王座を初防衛し、連勝記録も20に伸ばした。7月恒例のGirls S-cupで今年は-48kgでの世界トーナメントが予定され、そこに向けてさらに勢いづけたいところ。
対するイムは中国武術、キックボクシングをベースとし14年4月にSBでRENAと対戦。サイドキックで吹き飛ばす見せ場を作ったが、1RギロチンチョークでKO負けした。だが以降、韓国最大手のMMA大会・ROAD FCで経験を積んできた。なお、イムは計量オーバーし、本来ならファイトマネー半額没収、レッドカード1枚(減点1)からスタート、グローブハンデありとなるが、MIOが拒否し、通常通り行われる。
1R、MIOが前に出るが、リーチで勝るイムの右ストレートをもらってしまい、中盤には片膝をつく場面も。大村レフェリーはダウンとみなさなかったが、試合後のコメントでMIOは効いていたことを認める。記者採点は9-10でイム。
2R、イムが右ストレートと左ハイの連打で先手を取り、MIOが後退する。大村レフェリーが両者に積極的に攻めるよう促すと、その直後の打ち合いでもMIOが右ストレートをもらう。悪い流れになったが、終盤、イムの左前蹴りの直後に右フックを当てると、その後も右フックを2度クリーンヒットし反撃に成功する。記者採点は10-9でMIO。
3RもMIOが途中まで近距離で左ストレート、右フックを随所でヒットし、やや優勢。お互い差を付けようと投げを狙うが失敗が続く。終盤、イムが右フックをクリーンヒットして、少しMIOを苦しめてから組みつくと、RENA戦のお返しとばかりにギロチンチョークを極め、キャッチポイント1を獲得する。MIOは終了のゴングに救われる。イムは試合前のウォームアップで複数のスタンディングチョークの入り方を試していたことも功を奏したようで、点差を広げることに成功。記者採点は9-10でイムで、合計28-29でイム。
結果的にMIOの減点拒否も影響することになり、ジャッジ3者ともイムを支持し、イムの判定勝ちに。MIOが20まで伸ばした連勝が、意外な形でストップしたが、7月のGirls S-cupに向けて奮起と因縁材料が生まれる形となった。
大会後のMIOは「手も足も出なかったですね。1Rにいいのをもらって、ダウンは取られなかったけど頭がホワッと来ました。最後の絞め技も危なかったです。ゴングに救われました」と振り返り、3月の舞台出演との両立は難しかったかと問われると「そんな甘くないなって思いました。練習が全てだなって感じですね。一番嫌なことが起こった感じで、これで負けたら舞台のせいだって言われると思って…」と話しながら涙を流し、「一からRENAちゃんと出直したい」と再起を約束。ハンデを拒否したことについては「ハンデがあっても差があったと思う」と潔く語った。
第5試合 70.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
○北斗拳太郎(ボスジムジャパン/SB日本スーパーウェルター級(-70kg)王者/70.4kg)
×パク・ウィンヒョン [Pak Wing heung/向 柏榮](香港/ボンバージム/香港Energy Fight×Shoot Boxing 70kg級王者/70.45kg)
判定2-0 (若林30-29/北尻29-29/津山30-29)
北斗は2月大会で、9年ぶりの日本での試合となった忍アマラーと対戦し、パンチ主体で優位に試合を運んだが、延長1Rに判定負け。連勝が7で止まり、今回の前日計量で「今回は明確に勝つ」とKO宣言していた。
対するパクは37歳。昨年9月の後楽園で、坂本優起に延長戦の末に判定勝ち。12月の地元香港大会での再戦でも、前回同様にムエタイスキルを存分に発揮し判定勝ちした。
1R、北斗は左ジャブを突きつつ圧力をかけ右ストレートを当てて先手を取るが、パクは次第に左右のミドル、右ローを返すようになり、隙を突いて右ストレートもヒット。まだ大差は無く記者採点は10-10だが、若干パクのペースになりつつある印象だ。
2R、北斗が右ローをクリーンヒットすると、パクは嫌そうな様子を見せ、サウスポーに変える。パクも左ミドルを返していたが、次第にクリンチが増え、北斗はその展開で首投げでシュートポイントを取りに行く。北斗優勢だが、まだはっきりした差はなく、記者採点は10-10。
3Rになると、パクは疲れた様子を見せ始め、北斗の右フックでスリップする場面も。北斗が前に出れば下がり、クリンチが増える。北斗も攻めにくそうではあるが、最後までに積極的に前に出てパンチを振るい終了。記者採点は10-9で北斗で、合計30-29で北斗。ジャッジも2者が北斗を支持し、北斗の判定勝ちとなったが、勝敗をジャッジに委ねてしまった北斗は、勝利が宣告された直後こそガッツポーズをしたものの、すぐ気持ちを切り替えて首をひねり、不満そうな表情を崩さなかった。
第4試合 -70.5kg契約(※スーパーウェルター級(-70kg)から変更) 3分3R(無制限延長R)
○宍戸大樹(シーザージム/元SB東洋太平洋ウェルター級(-67.5kg)王者/70.0kg)
×ベルナルド・ファン [Bernard Fung/馮 本汝](香港/ベルナルド・ファンMMA/70.5kg)
判定3-0 (若林30-29/北尻30-28/津山30-28)
宍戸はSBのスーパーウェルター級で長年活躍し、2年前にジャオウェハー・シーリーラックジムを相手に引退試合を行い3R TKO負け。18年間の格闘技人生にピリオドを打ったが、「終わったと思っていた格闘技に対する情熱が実はまだ残っていて、時間と共に大きくなっていきました」といい、41歳にして現役復帰を決意した(SB公式インタビュー記事参照)。復帰戦の相手・ファンは宍戸より10cm近く背が高いMMA選手だ。
1R、ファンはMMAの選手らしく重心が低くステップをほとんどせず、宍戸は回って距離を取りながら着実にローを当て続ける。ファンは時折右フック、左ボディ、右ハイ、右ローを強打し、場内はどよめくが、宍戸は耐える。記者採点は10-10。
2Rも宍戸が右ロー、左インローを当て続け、回転系の技も使って観客を沸かせ、終盤には右ボディからの顔面パンチ連打で手数でも差をはっきりとつける。記者採点は10-9で宍戸。3Rも基本的には同じように宍戸が右ロー、パンチの連打で手数差を印象付け、最後まで運動量は落ちず試合終了。記者採点は10-9で宍戸で、合計30-28で宍戸。ジャッジ3者も宍戸を支持し、宍戸が復帰戦を白星で飾った。
大会後、師匠のシーザー会長は「まあ、プロだね。見せ方がうまかった。前に折れた右腕が(左ミドルをカットした際に)また折れたみたいだけど、痛い所も見せないのもプロ。引退して復活するなんて祝儀泥棒みたいなもんだし、褒めると甘くなるから、試合が終わって俺の所に来た時は『まあまあだな』と言っておきました。でも体が大きい相手にかかっていく姿勢は、後輩たちが見てどう思ったか聞きたいね」と、厳しい中でも愛情と信頼のあふれるコメントを残していた。
第3試合 ウェルター級(-67.5kg) 3分3R(無制限延長R)
×チングン新小岩ジム(モンゴル/シーザージム新小岩/SB日本1位/67.25kg)
○奥山貴大(GSB/SB日本ウェルター級3位/67.45kg)
判定0-3 (若林29-30津山29-30/平28-30)
7戦全勝のチングンが3連勝中の奥山と対戦。1R、チングンは二段蹴り、回転蹴りも駆使し、場内をどよめかせるが、奥山と共にまだ慎重だ。記者採点は10-10。2Rも同様な状況が続くが、大技を狙いがちなチングンに対し、奥山が右ローを着実に当てるように。とはいえまだ差は無く、記者採点は10-10。
3R、奥山が序盤に変則の右ハイを当て、左右のフック、左ボディを効かせてからの右フックで攻勢に。終盤には前方への投げを決め1点を確実に取る。記者採点は8-10で奥山で、合計28-30で奥山。ジャッジ3者に支持され、奥山がチングンに初めて土をつけた。
第2試合 スーパーバンタム級(-55kg) 3分3R(無制限延長R)
○笠原友希(シーザージム/SB日本5位/54.85kg)
×竹野元稀(風吹ジム/SB日本6位、S-BATTLEバンタム級(-55kg)王者/55.0kg)
判定2-0 (若林30-29/津山29-29/平30-28)
笠原弘希の弟・友希は昨年4月、15歳でプロデビューし、2戦目の5月の浅草花やしき大会で竹野に判定勝ちしている。以降も山田航暉、内藤啓人らを破りプロ7戦7勝。竹野も11月に地元愛知のS-BATTLEでベルトを獲得して4連勝中だ。
1R、竹野がサウスポーの友希に圧力を序盤からかけてパンチを当てていたが、友希が右のジャブと前蹴りで距離を作り、次第に左ミドルのヒットを増やして挽回する。記者採点は10-10。
2Rも同じ構図の中で、友希が左のミドルだけでなく、テンカオ、ローも増やし、少し差を見せるように。記者採点は10-9で友希。
3R、竹野は挽回を狙って序盤から圧力をかけ、右フックを当てて友希を下がらせ反撃。友希も蹴りとパンチを返して持ち直すが、終盤にも右フックをもらってのけぞり、印象を悪くする。記者採点は9-10で竹野。合計は29-29でドロー。ジャッジ1者もドローとしたが、2者は友希を支持し、友希がなんとか本戦R内で勝利をものにした。
第1試合 スーパーバンタム級(-55kg) 3分3R(無制限延長R)
○大桑宏章(シーザージム渋谷/SB日本10位/55.0kg)
×優吾・FLYSKYGYM(FLY SKY GYM/RISEバンタム級(-55kg)3位/56.5kg→56.2kg)
判定3-0 (平29-21/若林29-22/津山29-21)
※1R大桑にシュートポイント1が2回。2R大桑にシュートポイント1が2回。3R大桑にシュートポイント1。3R優吾に膝蹴りで2ダウン
※優吾はファイトマネー半額没収。レッドカード1枚(減点1)からスタート。グローブハンデあり。
オープニングファイト ライト級(-62kg) 2分3R(最大延長2R)
○江澤悠里(シーザージム/61.9kg)
×イ・ジュンヒョン [Lee June Hyong/李 俊亨](香港/SB香港・榮拳館/63.2kg→63.0kg)
判定3-0 (30-24/30-24/30-24)
※1Rイに右フックで1ダウン、2R江澤にシュートポイント2
※イはファイトマネー半額没収。レッドカード1枚(減点1)からスタート。グローブハンデあり。