ジャパンキック 9.18 後楽園ホール(レポ):馬渡亮太、元ラジャランカー・ガンとの肘のダブルダウンから立ち上がりKO勝ち。モトヤスック&藤原乃愛もKO勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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ジャパンキックボクシング協会「Challenger 6」
2022年9月18日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
馬渡亮太、元ラジャランカー・ガンとの肘のダブルダウンから立ち上がりKO勝ち「肘有りじゃないとダメだよ」
第8試合 ダブルメインイベント1 58kg契約 3分5R
○馬渡亮太(治政館/WMOインターナショナル・スーパーバンタム級王者、元ジャパンキック&チェンマイスタジアム・バンタム級王者)
×ガン・エスジム(タイ/エスジム/元ラジャダムナン認定フェザー級7位)
3R 1’25” KO (右肘打ち)
馬渡は5月の後楽園のメインイベントでWMC日本フェザー級王者の佐野貴信に3R TKO勝ちし、豪快な勝ちっぷりだったことから、大会MVPも獲得した。7月にはタイのランシットスタジアムでのペッティンディー興行に上がり、フェザー級より1ポンド重い127ポンド(57.60kg)契約でジャーオパヤー・ペッポートーオーに判定勝ちしている。
対するガンは7月の新宿大会で睦雅(ビクトリージム/ジャパンキック・ライト級1位)と対戦し、首相撲からの膝と左ミドルを駆使し判定勝ちしている。前回のライト級からフェザー級相当の58kgまで落とし、より攻撃力を増すことに。
1R、ガンは序盤から積極的に攻め、左ミドル、肘、組んでの膝を当てる。だが馬渡は膝を返しつつ、離れればコツコツと右のカーフ、ローを当て続ける。ガンも負けじと右ローを返す。記者採点はイーブン。
2R、馬渡は手数を上げ、左膝蹴り、左ハイをヒットし先手を取る。そして左の前蹴りをボディに効かせて下がらせると、組んでボディに膝を連打しつつ、左の飛び膝を顔面に当ててダウンを奪う。
ガンは大の字で倒れ、これで終わったかに思われたが、ガンは立ち上がり10カウントギリギリでファイティングポーズを取ると、一気に詰めて右肘を連打。馬渡は頭を切られ出血し、波乱の展開に。その後もパンチ、膝、肘の激しい応酬が続く。終了間際に馬渡にドクターチェックが入るが続行する。
3R、ガンは挽回を狙い、左フックを当てるが、馬渡はボディ狙いの左前蹴り、膝を返しガンを削る。それでもガンは前に出て来るが、馬渡はパンチを効かせ追い詰める。すると両者右肘の相打ちとなり、揃って後ろに倒れ、場内はどよめく。だが馬渡はすぐ立ち、少白竜レフェリーは倒れたままのガンに向かってダウンカウントを続ける。ガンはダメージが大きく、頭を押さえたまま立ち上がれず、馬渡のKO勝ちとなった。
マイクを持った馬渡は「肘で切られちゃいましたけど、肘有りルール、面白くないですか。肘有りじゃないとダメだよ」と、かつてのPRIDEでの五味隆典を思い出させるような言い回しでアピールをした。
モトヤスック、左フックでKO勝ち「肘有り首相撲あり5R最強を証明する」
第9試合 ダブルメインイベント2 WMOインターナショナル・スーパーウェルター級王座決定戦 3分5R(インターバル2分)
○モトヤスック(治政館/元ジャパンキック・ウェルター級王者)
×ダーンチョン・アーヨンムエタイ(タイ/元タイ・ブリラムスタジアム認定フェザー級王者)
2R 1’19” KO (左フック)
※モトヤスックが王者に
モトヤスックは5月の後楽園大会でNJKFの北野克樹に判定負けし、7月の新宿大会でもキング・ムエの小原俊之の圧力と首相撲に苦戦したが、判定2-0で勝利した。
今回はタイに拠点のあるWMO(世界ムエタイ機構)の王座に挑む。対戦相手のダーンチョンは66戦46勝15敗5敗の17歳。183cmと長身だが、フェザー級の元王者とのことで、10kg以上重いスーパーウェルター級となると、モトヤスックに比べ線が細い感は否めない。
両者ワイクルーを踊った後、試合スタート。レフェリーは元ラジャダムナン王者のノッパデッソーン氏、ジャッジも在日タイ人が務める。1Rはタイの試合同様、両者慎重な立ち上がり。モトヤスックが中央で構えダーンチョンが回り、お互いミドルを時折蹴る程度で差はない。記者採点はイーブン。インターバルはタイ同様2分設けられる。
2R、お互い少し蹴り数を上げ、モトヤスックが圧をかけていたが、ダーンチョンが前に出て来て左テンカオを放ったタイミングで、モトヤスックがカウンターで左フックを当て、ダウンを奪う。ダーンチョンはダメージが大きく立ち上がれず、モトヤスックのKO勝ちとなった。ダーンチョンは担架で運ばれた。
モトヤスックは「こうやってベルトを巻いて、これからジャパンキックが肘有り首相撲あり5R最強だということを、もっと強い奴らと戦って証明します。皆さんついてきてください」とアピールした。モトヤスックには大会をプロモートした治政館OBの武田幸三氏から大会MVP賞が授与された。
麗也、ダウン喫するも挽回し平松弥とドロー
第7試合 セミファイナル 53.5kg契約 3分3R
△麗也JSK(治政館/元ISKAインターコンチネンタル&新日本フライ級王者)
△平松 弥[わたる](岡山ジム/INNOVATIONフライ級王者)
判定0-0 (和田28-28/椎名28-28/少28-29)
麗也は1月大会でNJKFスーパーバンタム級王者の日下滉大を4R右フックでKO。5月のNO KICK NO LIFEでは藤原あらしに左ハイを当て右まぶたを切り裂く等見せ場を作ったが、ジャッジの評価は厳しくドローに終わっている。平松は5月のNO KICKの薩摩3373戦で52kgの契約体重を2kgオーバーし試合が中止になっている。
1R、麗也は右のカーフキック、平松は右ミドル主体の攻めを続けていると、終盤に平松が打合いで左ストレートを当てダウンを奪う。平松はパンチラッシュでさらにダウンを狙うが、麗也も打ち合い、左フック、左ボディ等のパンチで挽回する。記者採点は8-10で平松。
2R、挽回したい麗也は積極性を増し、右ロー、カーフを軸に、右ストレート、左肘なども当て優勢に。平松も中盤から膝とミドルを返すが手数差は縮まらず、最後は麗也が崩しで攻勢を印象付ける。記者採点は麗也。
3R、麗也が左のインローカーフを効かせると、平松はステップがぎこちなくなり、麗也は右のボディも効かせて追い詰める。中盤以降は麗也がパンチ、ローで攻め続け、なかなかクリーンヒットに持ち込めず倒せなかったが、しっかり手数差をつけ終える。記者採点は麗也。合計28-28でイーブン。ジャッジ1者は平松を支持したが、2者はイーブンとしドローとなった。
藤原乃愛、今回もタイ人選手を左の蹴りで粉砕
第6試合 セミファイナル 女子45.5kg契約 3分3R
○藤原乃愛(ROCK ON/ミネルヴァ・ピン級王者)
×ヌアファー・ソーソンタム(タイ/元タイ・イサーン地方ピン級王者)
3R 1’20” KO (左三日月蹴り)
藤原は7戦6勝1分の高校3年生。5月のNJKF川崎大会でAyakaに判定勝ちし6戦目でミネルヴァ・ピン級王者となり、7月のジャパンキック新宿大会では元パタヤスタジアム40kg王者のタイ人選手を圧倒し3R左ミドルでKOした。今回は同階級のタイ人選手にどこまで得意の蹴りが通用するか見ものだったが問題無かった。
1R、藤原はヌアファー相手にミドル主体で応戦し、タイ人のムエタイにしっかり対応する。中盤までヌアファーのミドルをもらう場面が少し目立ったが、終盤は藤原がガードの上からでも構わずミドルを連打し、ボディにも当てて挽回する。パワーでは藤原が上か。記者採点はイーブン。
すると2R、藤原はヌアファーを詰め続け、ミドルの蹴り数を増す。終盤、左ミドルを効かせて動きを止めると、ボディと顔面へのパンチの連打で棒立ちにさせたところで、椎名レフェリーがダウンを宣告する。その後も右の顔面狙いの前蹴り等を当て圧倒する。
3Rもコーナーに詰めてパンチ、ミドルを当て続けると、左三日月蹴り一発でダウンを奪う。ヌアファーは悲鳴を上げたまま動けず、藤原がKO勝ちを果たした。
第5試合 61.5kg契約 3分3R
×岩橋伸太郎(エスジム/NJKFライト級王者)
○睦雅[むが](ビクトリージム/ジャパンキック・ライト級1位)
判定0-3 (27-30/28-30/28-30)
1R、睦雅が圧力をかけ続け、積極的にパンチ、右ローを放つ。岩橋はなかなか攻撃を返せない。2Rは睦雅が手数を増やし、右ストレートで印象を作りつつ、右ロー、組んでの膝等を当て続ける。岩橋は時折左ミドルを返すが後が続かない。3Rも睦雅が優位を維持し、終盤には残りの体力を使い切らんとばかりに左ハイ、ストレート等を当て続けて判定勝ちした。
第4試合 女子56kg契約 3分3R
○浅井春香(KICK BOX/ミネルヴァ・スーパーバンタム級王者、元J-GIRLS同級王者)
×北川 柚(京都野口ジム/ミネルヴァ・スーパーバンタム級4位)
判定2-0 (30-28/30-28/29-29)
第3試合 フェザー級 3分3R
×皆川裕哉(KICK BOX/ジャパンキック・フェザー級2位)
○義由亜[ヨシュア]JSK(治政館/ジャパンキック・バンタム級2位)
判定0-2 (28-29/28-29/29-29)
第2試合 ジャパンキック・ウェルター級王座決定トーナメント1回戦 3分3R
○ダイチ(誠真ジム/2位)
×山内ユウ(ROCK ON)
判定3-0 (30-27/30-28/29-27)
第1試合 ジャパンキック・ウェルター級王座決定トーナメント1回戦 3分3R
○正哉(誠真ジム/3位)
×鈴木凱斗(KICK BOX)
2R 1’00” TKO (レフェリーストップ:左フック)
モトヤスックが返上下ウェルター級王座を懸けたトーナメントは4選手が参加したが、うち2名が誠真ジムという異例のラインナップに。それ以外はノーランカーで、ランカーでもある誠真ジムの2選手が順当に勝ち上がり、1月の決勝に進んだ。ダイチは「同門ですが容赦なく倒します」と宣言した。
なお、大会の中継のゲスト解説は、宮元啓介氏と漫才コンビの鬼越トマホークが務めた。ジュニアキックのエキシビションには宮元氏が指導するYASHIOジムの選手が多数登場した。鬼越トマホークの2人はリング上での挨拶の際、武田幸三氏に対し、吉本興業では自分たちが先輩という立場を濫用し「声が小さい」「演技が下手」と容赦なくダメ出しし、観客を笑わせていた。