ONE 8.27 シンガポール(レポ):デメトリアス・ジョンソン、モラエスにKOリベンジしUFC&ONE制覇。ノンオー、パンパヤック、スーパーレック、圧巻のKO勝ち。計量オーバーの平田樹は逆転判定勝ち
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ONE Championship「ONE ON PRIME VIDEO 1 (ONE FIGHT NIGHT 1) : MORAES VS. JOHNSON II」
2022年8月27日(土) シンガポール・インドアスタジアム
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)ONE Championship
Amazonプライム北米生中継大会でDJ快勝。UFCに続きONEの頂点に
第9試合 メインイベント ONE MMAフライ級チャンピオンシップ 5分5R
×アドリアーノ・モラエス(王者)※3度目の防衛戦
○デメトリアス・ジョンソン(1位、ONEフライ級GP’19優勝、元UFC同級王者)
4R 3’50” TKO (レフェリーストップ:左膝蹴り)
※ジョンソンが王者に
両者は昨年4月のチャンピオンシップで対戦し、モラエスが2R、DJことデメトリアス・ジョンソンを右アッパーでダウンさせてからの膝とパウンドのラッシュでTKO勝ちしている。前回は米国の大手ケーブルテレビ「TNT」を通じて放送された4大会シリーズの1回目のメインイベントだった。今回はAmazonプライムビデオを通じて北米に生放送される初の大会のメインに置かれた。DJの勝利後、モラエスは今年3月のONE 10周年大会・ONE Xで若松佑弥に3Rフロントチョークで一本勝ちしており、DJは試合を挟んでいない。
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1R、DJは開始すぐからスイッチを繰り返しつつプレッシャーをかける。モラエスもリーチ差を活かし、左ジャブを突きつつ時折前に出る。中盤、DJが左ハイを放つが、モラエスは蹴り足をつかんで倒して上になる。DJも抵抗するが、モラエスはハーフとも行き来しつつコントロールし、時折肘を落とす。しかしDJも腕十字を狙いつつ、下から肘を当てると、モラエスは左眉の上の額をカットし出血する。
2R、序盤の打撃戦で、モラエスの軌道の変化する右ハイがDJのこめかみに当たり、DJはバランスを崩す。モラエスが追いかけると、DJはタックルで打開を図るが、モラエスは潰して頭に膝を当てる。DJは耐えると、立ち上がってモラエスを押し込むが、膝蹴りを放った際、モラエスが足をすくって倒して、またも上になる。終盤も上を維持するが、その先には持ち込めない。モラエスは出血は止まっており問題なさそうだが、DJも後半戦に向けての回復の時間を得ることに。
すると3R、DJは挽回を狙い、左テンカオ、右フックと積極的に攻める。モラエスは回り続けているが、豊富なスタミナのDJのプレッシャーがキツく、少しずつ疲れてきている様子だ。中盤、右フックの相打ちとなると、DJは少し下がるが、その先の攻撃は許さない。終盤はDJが追いかけ続け、最後はステップでモラエスをかわして終える。
4R、序盤からモラエスが金網に押し込み、離れての打撃戦では左の縦肘を当てて、流れを引き寄せる。だがDJはすぐに持ち直し、圧力をかけ続けると、左ボディやインローを当てる。するとDJはサウスポーから右の前蹴りを放ちつつ、オーソドックスに戻してから、さらに前に踏み込んで右ストレートをクリーンヒット。モラエスの腰が落ち後退すると、DJは金網に詰めて左膝を顔面にクリーンヒット。勝ちを確信したDJは追撃をせず離れ、モラエスが左目の下も切られて血だるまで倒れたのを、オリヴィエ・コスト・レフェリーが見て、すぐさまストップ。DJが3Rから巻き返しモラエスにリベンジし、ONE王座奪取を果たし、UFCとの2団体制覇を成し遂げた。
AND NEW! @MightyMouse wins the ONE Flyweight World Title with a walk-off KO of Adriano Moraes!@PrimeVideo #ONEonPrimeVideo1 #ONEChampionship pic.twitter.com/A3G9dlesyw
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ノンオー、膝裏ローでハリソンを1R KO。ムエタイ・バンタム級王座6度目の防衛
第8試合 コーメインイベント ONEムエタイ・バンタム級チャンピオンシップ 3分5R
○ノンオー・ガイヤーンハーダオ(王者)
×リアム・ハリソン(5位)
1R 2’10” TKO (レフェリーストップ:右ローキックでダウン後)
※ノンオーが6度目の防衛
ノンオーは19年から鈴木博昭、デルバール、セーマペッチ、ロートレック、フェリペ・ロボ相手に5度の防衛を果たした。3月のONE Xでロボを4R KOして以来の試合。35歳のノンオーに対しハリソンは36歳。8本の世界王座を獲得し、16年には現K-1王者の大和哲也を破りムエタイのYokkaoの王者に。18年からヨーロッパでのYokkaoと並行してアジアのONEにも上がり、19年から5連勝中。今年4月にはタイ人強豪のムアンタイを1Rで粉砕し、初のONE王座挑戦につなげた。イギリス出身で世界的にも知名度の高いキックボクサーの一人だ。
1R、ノンオーが左ミドル、ハイを当てつつ、右ローをハリソンの膝の裏あたりに当てると、ハリソンはバランスを崩す。ハリソンは蹴りを嫌って、パンチを振って詰めて来る。だがノンオーは突き放すと、再び右のローを膝裏に当ててダウンを奪取。ハリソンは腱をやられたか?左足を棒にしたまま立ち上がれず、レフェリーがストップした。
LEG KICK KO! Nong-O Gaiyanghadao retains the ONE Bantamweight Muay Thai World Title!#ONEonPrimeVideo1 | #ONEChampionship
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ロッタン欠場のONEムエタイ・フライ級GP、決勝進出は2人ともタイ人に
第7試合 ムエタイ・フライ級GP準決勝 3分3R
○パンパヤック・ジットムアンノン(3位)
×サバス・マイケル(4位)
2R 0’10” KO (左ハイキック)
ONEムエタイ・フライ級GPは5月に一回戦4試合が行われ、ロッタンがジェイコブ・スミスを、マイケルがアミール・ナセリを、スーパーレックが内藤大樹を、ボルター・ゴンサルベスがホスエ・クルスを下し、準決勝に進んだ。
ところが優勝候補の同級王者・ロッタンが準決勝の前日計量時に尿検査のサンプルを提出しなかったため欠場となった。代わってタイ人枠の数の都合で交替試合(リザーブファイト)に出場予定だった同じタイ人のパンパヤックが準決勝に繰り上がる事態となった。今回のGPのテーマには無かったが、優勝者がロッタンのベルトに挑戦する流れができそうな気配だ。
1R、パンパヤックがサウスポーで構えて、右の前手前足を出しつつプレッシャーをかけ、左ミドル、ローを着実に当て、組めば膝を当て、序盤から翻弄する。マイケルは手が出せない。終盤には左ハイも当て、組めば左肘を当て圧倒する。
すると2R開始すぐからパンパヤックは勝負に出る。前に出て、マイケルの右前蹴りを右手で払ってから、マイケルのガードの隙間から右フックを当てる。崩れたマイケルの首元にすぐさま左ハイもクリーンヒット。マイケルはもろにもらってダウンし、パンパヤックの2R10秒、KO勝ちとなった。
Panpayak Jitmuangnon ICES Savvas Michael to make the ONE Flyweight Muay Thai World Grand Prix final!#ONEonPrimeVideo1 | #ONEChampionship
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第4試合 ムエタイ・フライ級GP準決勝 3分3R
○スーパーレック・ギャットムーカオ(1位)
×ボルター・ゴンサルベス(5位)
1R 1’35” KO (左肘打ち)
Superlek Kiatmoo9 🇹🇭 ELBOWS his way to the ONE Flyweight Muay Thai World Grand Prix final!#ONEonPrimeVideo1 | #ONEChampionship
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1R、スーパーレックがプレッシャーをかけ、右のロー、ミドルを当てる。ゴンサルベスはスイッチを織り交ぜつつ、右のカーフを返す。ゴンサルベスは前に出て来るが、スーパーレックは左の縦肘を合わせるように。すると中盤にも、ゴンサルベス出てきたタイミングで、スーパーレックが左の縦肘を合わせてアゴに当てゴンサルベスを倒す。ゴンサルベスはすぐ立ったため、レフェリーはダウンとみなさなかったが、これで手応えをつかんだスーパーレックは、前に出て再び左の縦肘を当てて倒し、今度はレフェリーがダウンを宣告する。ゴンサルベスはうずくまったまま立ち上がれず、スーパーレックのKO勝ちとなった。
これで決勝はパンパヤック vs. スーパーレックの決勝戦に。両者ONEで過去1勝1敗の対戦戦績だ。なお、両選手には今回のKO勝ちに対しONEのチャトリ・シットヨートン代表から5万米ドル(約700万円)のボーナスが支給された。前日の大会含め、快勝の選手には5万米ドルの大盤振る舞いが続いており、このボーナス制度がタイ人選手たちの闘争心をより一層煽った可能性がある。
平田樹、2度目の計量オーバー&劣勢続くも終盤右フックから逆転判定勝ち
第2試合 MMA 女子54kg契約 5分3R
○平田 樹(フリー)
×リン・ホーチン
判定3-0
※平田が計量でアトム級リミットを4ポンド(1.81kg)オーバー。平田のファイトマネーの50%がリンに譲渡
平田はONE本戦4連勝後、3月のONE Xでジヒン・ラズワンに判定負けし、プロ6戦目で初黒星を喫して以来の試合。今回に備え、ABEMA等の協力で米国で練習を重ねたが、前日計量で52.2kgのリミットを1.8kgもオーバーしてしまう。計量オーバーは20年2月ナイリン・クローリー戦以来2度目となってしまった。
対するホーチンは中国出身で中国の大会で経験を重ね、ONEのMMAで2勝1敗。前回3月はキックルールで出場し判定勝ちしている。ONE MMAアトム級元3位。
1R、長身のホーチンが左ジャブで距離を保ちつつ、右ローを的確にヒットする。中盤、ホーチンの右ローを平田がすくって倒すが、ホーチンは金網を背にしてすぐに立ち上がる。終盤にも平田が押し込み、右脇を差して倒すが、これもすぐ立たれる。ホーチンのテイクダウン対策は万全の様子だ。
2Rもホーチンが左ジャブで距離を作り、左右のローを当て続ける展開。平田の右太腿が次第に赤くなる。平田は距離が遠い状態が続き、なかなか入らせてもらえない。右フックを当てる場面もあるが単発止まりだ。終盤、ようやく組み、首投げで倒すが押さえきれない。終了間際にはアームロックを仕掛けて倒し、そこから極めに近づくが、ホーチンはギリギリで防御し、時間いっぱいまで耐える。平田はようやく印象的な攻めを見せたが、それまでに打撃をもらい過ぎており、評価を覆すほどにはならない。
3R、中盤に平田が押し込み倒しにかかるがホーチンは耐え続ける。ホーチンは押し返し、膝を連打していると、平田は少し休んで疲れを抜いてから首投げでまたも倒すが、これもホーチンは体をひねってすぐに脱出する。平田はチャンスを逃すが、ホーチンも防御が続き消耗した様子。すると残り30秒、平田がプレッシャーをかけてようやく自分の距離を作ると、ホーチンの右フックのカウンターで右フックをクリーンヒットし、ホーチンをダウンさせる。平田は残り時間、上からパウンドを当て続け終了する。
Itsuki Hirata DROPS Lin Heqin in the final 30 seconds!#ONEonPrimeVideo1 | @_itsuki_h_ | #ONEChampionship
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判定の結果、最後の攻めが評価され、平田の判定勝ちとなった。だが、計量含め逆転に至る過程で苦しみ、課題が多く見える試合だった。ONEの場合、計量オーバーによる減点のペナルティは無いが、計量体重で1.81kgも重かった分、組み力でも打撃の破壊力でも有利になった可能性も考慮して評価すべき試合結果だろう。
勝利後の平田は涙を流しながら大喜びし「5分3Rになると思っていたんで、最後1分と聞いた時は今まできつかった練習の成果を出すよう頑張りました」と話し、「前回滅茶苦茶苦しい思いをした、ジヒン、もう一回やろう」とアピールした。
柔術世界王者・ブシェシャが一本勝ち
第6試合 MMA ヘビー級 5分3R
○マーカス・“ブシェシャ”・アルメイダ
×キリル・グリシェンコ
1R 1’04” ヒールフック
第5試合 MMA ヘビー級 5分3R
○アミル・アリアックバリ
×マウロ・チリリ
2R 4’02” TKO
第3試合 ムエタイ 58kg契約 3分3R
○ディアンドラ・マーティン
×アンバー・キッチン
判定3-0
第1試合 MMA 86kg契約 5分3R
○ゼバスチャン・カデスタム(元ウェルター級王者)
×ユーリ・ラピクス
1R 0’57” KO (右アッパー)
※カデスタムが計量でウェルター級リミットを4ポンド(1.81kg)オーバー。カデスタムのファイトマネーの20%がラピクスに譲渡
※第4試合までがリードカード、第5試合以降が本戦