Krush 8.27 後楽園ホール(レポ):寧仁太・アリ、中野滉太を2R右ストレートでKOしウェルター級王座初防衛。岩尾力、5年ぶり復帰戦で逆転KO勝ち。稲垣澪・森田奈男樹も豪快KO勝ち
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Krush.140
2022年8月27日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
寧仁太・アリ、POD中野滉太を2R右ストレートでKOしウェルター級王座初防衛
第9試合 メインイベント Krushウェルター級(67.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○寧仁太[アニンタ]・アリ(ガーナ/K-1ジム総本部チームペガサス/王者)
×中野滉太(POWER OF DREAM/挑戦者)
2R 0’55” KO (右ストレート)
※寧仁太が初防衛
寧仁太は2月のKrushで松岡力を破って第10代王者となり、今回が初防衛戦。中野は2月のK-1で、スーパー・ライト級から階級をウェルター級に上げての初戦を行い、元Krushウェルター級王者の山際和希に接戦の末に延長判定勝ちし、この実績が評価されKrush王座挑戦につなげた。両選手とも1999年生まれの23歳という点で共通する。
寧仁太は「「ウェルター級で防衛している選手が少ない悪いジンクスを跳ね返してドンドン防衛して、ベルトの価値も上げていきたい」とコメント。中野は先輩の武居由樹が前夜にボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得しており、7月のカード発表会見で「自分も次の日にチャンピオンになれるようにしっかり練習して、試合に臨みたい」と話しており、武居の勝利を受けて気合十分だろう。リングサイド席では武居も見守る。
1R、長身の寧仁太が右のローキック、カーフキックをコツコツ当ててから、中野の右ローのカウンターで右ストレートを当ててダウンを奪う。中野はダメージは小さく、左ボディを返す場面もあるが、単発で続かない。寧仁太は慎重ながら右のロー、カーフを随所で当てる。
すると2R、序盤から寧仁太が右のカーフを効かせ、中野は少し足取りが悪くなる。さらに寧仁太が左ジャブ、右テンカオで攻め込むと、中野は前に詰めて左ボディ、右フック等のパンチラッシュで寧仁太を後退させる。だが寧仁太も「ここで逃げたらチャンピオンじゃない」と思って打ち合いに応じると、被弾しつつも自分の左右のフックを当てて中野をひるませる。そのままラッシュで右ストレートをクリーンヒットし中野をダウンさせる。中野は頭と足のダメージ全部が溜まっており立ち上がれず、寧仁太のKO勝ちとなった。
完勝で初防衛を果たした寧仁太は「チャンピオンになってプレッシャーがあったんですけどしっかりKOできて良かったです。Krushも大好きでK-1も大好きで、K-1という鳥肌の立つ演出をしてくれる大きな舞台で試合をできるとうれしいです」とアピールした。
第8試合 セミファイナル フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×岡嶋形徒[けいと](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○稲垣 澪[れい](K-1ジム大宮チームレオン/Bigbangフェザー級王者)
2R 2’20” KO (パンチと右膝蹴りの連打)
岡嶋は昨年6月、当時のKrushフェザー級王者・新美貴士に挑戦し敗れた後は怪我のため欠場が続き、今年4月の國枝悠太戦で復帰したが、負傷判定勝ちで終わっていた。稲垣は5月のKrushで寺田匠に敗れ、プロ6戦目で初黒星を喫してからの再起戦。両者とも格闘代理戦争出身。稲垣は24歳で岡嶋も同学年だ。
1R、岡嶋が左三日月蹴り、左ストレートを当て、稲垣が右のカーフキック、左ボディフックを当てていると、終盤には稲垣のどちらの攻撃も効き目を発揮し、岡嶋は少し苦しそうな表情を見せる。
2R、岡嶋も飛び膝で詰めてからパンチをまとめ、勢いよく攻める場面もあったが、稲垣はブロックしたりかわしたりして強打をもわらずにいると、中盤過ぎ、右のカーフの連打で岡嶋の動きを止め、右フックでダウンを奪う。岡嶋がダメージが溜まっており、稲垣が左ボディも効かせて下がらせると、最後はパンチの連打からの右膝蹴りを叩きこんだところで、防戦一方の岡嶋を見た豊永レフェリーがストップ。稲垣のKO勝ちとなった。
第7試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○MOMOTARO(OGUNI GYM/元WBCムエタイ・インターナショナル・同日本統一・NJKFフェザー級王者)
×提髪和希(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2018 -60kg優勝)
判定3-0 (箱崎30-28/岡田30-28/豊永30-29)
MOMOTAROは昨年5月からK-1に上がったが、西元也史、朝久裕貴に連敗し、昨年9月以来約1年ぶりの試合。提髪も昨年6月以来、1年2カ月ぶりの試合。
1R、前に出る提髪をサウスポーのMOMOTAROが回ってかわし続け、左ミドル、右ストレートを随所でヒットし主導権を握る。記者採点はまだイーブンとしたがMOMOTAROについても不思議ではない。
2R、MOMOTAROが左ミドル、左ストレート、右ジャブとストレートを自在に当て続け、終了間際には右ストレートで提髪をフラつかせる。記者採点はMOMOTARO。
3R、提髪はしぶとく前に出て、少し右フックを当てるが、大半はMOMOTAROが回って右ジャブ、ストレートを当て続ける展開で、優位を維持し終了する。記者採点はMOMOTARO。合計30-28でMOMOTARO。30-29はMOMOTAROに厳しすぎる気がしたが、3者とも順当にMOMOTAROを支持し、MOMOTAROが判定勝ち。K-1 JAPAN GROUP 3戦目でようやく初白星をもぎ取った。
第6代Krushスーパー・フェザー級王者・郷州征宜 引退セレモニー
郷州征宜(まさのぶ)はPHOENIX時代、郷州力(りき)のリングネームでRISEの王座戦線で活躍後、16年からK-1ジム総本部に移りに移り、17年にKrushスーパー・フェザー級王者に。18年3月のK-1第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメントでは準決勝で武尊に敗れた。19年5月のKrushでの友尊戦以降試合をしていなかったが、正式に引退することになった。生まれつきの難聴のハンディキャップがありながらも戦っていたことでも知られる。通算戦績36戦25勝(7KO)11敗。
引退セレモニーではK-1ジム総本部の梶原龍児代表をはじめ、軍司泰斗、訓 -NORI-、剣闘士“俊”といった元同僚、家族やスポンサーから花束が贈呈された。
郷州は手話通訳を交え「耳が聞こえず、ゴングの後に攻撃したり、相手選手には迷惑をかけました。応援してくれた方、梶原会長はじめ共に戦った仲間たち、家族のみんなには感謝しきれません。皆さんのおかげでチャンピオンになれました。武尊選手にはボコボコにされましたが、幸せな現役生活でした」「この後、後輩の寧仁太は僕のできなかった防衛をしてくれると思います。寧仁太、頼むよ」と話し、最後は10カウントゴングを聞いてリングを降りた。
岩尾力が復帰戦で逆転KO勝ち
第6試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×小倉尚也(スクランブル渋谷)
○岩尾 力[ちから](POWER OF DREAM/元WINDY MUAYTHAIバンタム級王者)
1R 2’03” KO (左ボディフック)
岩尾は武居由樹と同世代の24歳。4年半前にバイク事故で重傷を負い、リハビリを経て今回が復帰戦。小倉は永坂吏羅ら相手に3連勝の後、内田晶と晃貴相手に2連敗中だ。
1R、開始すぐから小倉が前に出て距離を詰めると、右ストレートを当て続け、ロープ際に詰めての右ストレートでダウンを奪う。岩尾は試合勘が戻っていない様子だったが、小倉の前進をかわすと、左ボディフックを一発クリーンヒット。これで小倉の動きを止めると、左三日月蹴りを連打してコーナーに下がらせ、左ボディを連打しダウンを奪い返す。小倉は苦痛の表情を浮かべたまま立ち上がれず、岩尾のKO勝ちに。応援に駆け付けた多数の応援団は大盛り上がりとなり、リングサイド席で見守った武居も喜んだ。
岩尾は「5年半ぶりにこのリングに戻ってきました。家族も子供2人できて、迷惑かけたおやじに恩返ししたくて勝ってよかったです。復帰まで支ええてくれた古川会長に恩返ししたいです。まだスタート地点です。ここから這い上がってベルトを巻きたいです」とアピールした。
70kg期待の星・森田奈男樹、デビュー3連続KO勝ち
第5試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○森田奈男樹(エイワスポーツジム/全日本フルコンタクト空手道連盟(JFKO)2017軽重量級(85kg)優勝)
×イゴール・シウバ(ブラジル/ブラジリアンタイ)
2R 1’35” KO (右上段後ろ廻し蹴り)
森田は空手で活躍後、昨年6月のKrushでのキックデビュー後3連勝、2連続KO勝ち中。4月の藤村大輔戦では空手仕込みの内回し蹴り、後ろ回し蹴りでダウンを重ねKO勝ちしインパクトを残した。シウバは日本初ファイトの30歳でキック戦績18戦16勝(6KO)2敗。7月18日のアクセル神戸大会でRISEミドル級4位のRYOTAROとアクセルミドル級王座決定戦を行う予定だったが、来日できず中止となっており、2週間前に来日したばかりだ。
森田のセコンドには吉成名高がつく。1R、シウバが開始すぐから前に詰め、右ストレート、右ミドルを積極的に出し先手を取ろうとする。だが森田は右ロー、左ミドルを随所で返し、じわじわ勢いを削る。
すると2R、シウバは開始すぐから左右のパンチを振り回して突進して来るが、森田はかわしてから、左フックを当ててダウンを奪う。森田は右ローと左三日月蹴りで削って下がらせると、顔面への左上段内回し蹴りでダウンを重ねる。最後は森田が左ミドルからの右上段後ろ廻し蹴りをクリーンヒットし、シウバがマウスピースを吐き出してひるんだところで、西村レフェリーがストップした。
森田はマイクを持つと「シウバ選手、1週間ぐらい前に急に仕上げてくれてありがとうございます。この階級のベルトを取りたいと思うので、もっと練習して仕上げます。押忍」と話した。
大会後の総括で中村拓己プロデューサーは「Krushでは(同級王者の)ジョーダン・ピケオー選手が怪我していて、しばらく試合できないのですが、森田選手が出てきたことで70kg戦線が盛り上がると思いますし、次の展開も考えたいです。9月のK-1横浜アリーナの和島大海×メレティス、アビラル×ジョムトーンとかにも割って入る可能性が見えたと思います」と期待を寄せた。
第4試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○川島康佑(HALEO TOP TEAM)
×小林孝彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
判定3-0 (豊永30-29/岡田30-28/箱崎30-28)
1R、川島がサウスポー、小林がオーソドックスで構え、どちらもなかなか攻撃が出ないが、終了間際に川島の左ハイで小林が少しふらつく。2Rも川島が左ミドルを強打し続け、左ハイも絡め優勢。3Rも川島が左右のハイ、左ストレート等を当て続け優位を維持し判定勝ちした。
第3試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×新太[あらた](K-1ジム心斎橋チームレパード)
○河北光生(K-1ジム五反田チームキングス)
2R 2’10” TKO (コーナーストップ:右ストレート連打)
1R、新太が開始すぐから右ストレート主体で積極的に攻め、膝とローも効かせ河北を苦しめる。だが2R、河北が右ローとパンチを増やし挽回すると、右ストレートを連打し追い詰めスタンディングダウンを奪う。新太のダメージは大きく、河北が右ストレートを連打したところで新太陣営からタオルが投入された。
第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○勝輝[まさき](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
×立基(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
4R 判定3-0 (山根10-9/西村10-9/三浦10-9)
3R 判定0-1 (山根29-30/西村30-30/三浦30-30)
1R、お互いやや前傾姿勢でパンチとローを放ち、立基の右ローがやや目立つが、まだ差は乏しい。2R、次第に胸をつけて打ち合う時間が増え、両者顔面とボディにパンチを当てるが、均衡は崩れず。3R、くっついての打ち合いが続き、ホールディングが増え豊永レフェリーは両者に警告を出す。立基の右フックが若干目立ったが、大差なく延長へ。4Rも胸をくっつけてのパンチと膝の攻防が続く。やや手数の上回った勝輝に軍配が上がった。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○増井侑輝(真樹ジムAICHI/Bigbangスーパーライト級王者)
×鈴木孝司(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (岡田30-29/西村30-29/鶴和30-29)
1R、他団体での試合経験豊富な増井が、サウスポーからの左ミドル、ストレート等を度々当て主導権。2R、鈴木も接近戦で右のカーフを随所で当て、やや盛り返す。3R、ホールディングが増え、お互い攻めあぐね終了。1Rのポイントを取った増井が判定勝ちしたが、2R以降はいい所の乏しい内容となってしまった。
プレリミナリーファイト第2試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R
○赤田功輝(ALONZA ABLAZE)
×松本和樹(T-GYM)
3R 1’35” KO (左ローキック)
松本は4月のKrush-EXでプロデビューし、6月のKrush-EXと合わせ2連続KO勝ちし、念願のKrushナンバーシリーズに進出したが、厳しい結果が待ち受ける。
1R、両者サウスポーで構え、開始すぐに松本が右ローを放つが、赤田が左ストレートを当ててダウンを奪取。赤田はパンチで追いかけるが、松本はかわしつつ、左フックでダウンを奪い返す。その後は赤田が前に出てやや押し気味に。
2Rも赤田攻勢の流れが続き、左ローも絡め、パンチでも松本を苦しめる。3R、序盤から赤田が左ローでダウンを奪うと、左ローで2ダウン目を奪った後、レフェリーがストップ。赤田のKO勝ちとなった。
プレリミナリーファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○天野颯大(キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
×啓斗(team ALL-WIN)
判定2-0 (豊永29-28/山根28-28/鶴和29-28)
1R、天野が序盤から積極的に攻め、右フックでダウンを奪う。2R、天野の動きが落ちると、啓斗がパンチのヒットをじわじわ増やし挽回する。3R、啓斗がパンチで攻め込み追い詰めたが、ジャッジ2者は合計イーブンとはせず、天野の判定勝ちに終わった。