Krush 2.20 後楽園ホール(レポ):寧仁太・アリ、ウェルター級王者に。K-1ジム総本部に4本目のベルト。菅原美優が2度目の防衛。松谷綺、多彩な攻めでKrush 2連勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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Krush.134
2022年2月20日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 ダブルメインイベント2 Krushウェルター級(67.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/王者)※初防衛戦
○寧仁太・アリ[アニンタ・アリ](ガーナ/K-1ジム総本部チームペガサス/挑戦者)
4R 判定1-2 (豊永9-10/西村10-9/梅木9-10)
3R 判定1-0 (豊永30-29/西村29-30/梅木29-29)
※アリが王者に
松岡は昨年4月、加藤虎於奈に勝利しKrush王座を奪取。9月のK-1ウェルター級王座決定トーナメント準決勝では安保瑠輝也に敗れた。アリはガーナ人の父と日本人の母を持つ。K-1アマチュアAクラスで優勝後、19年8月のプロデビューから4連勝し、松岡と同じく9月のK-1のトーナメントに上がったが、準決勝で野杁正明にKO負けし、プロ初黒星を喫し、今回再起戦だ。
1R、お互い距離を取り、フェイントをかけ、慎重にミドルやローの蹴りを当て合う攻防。まだ均衡は崩れない。最後にお互い右のストレートを出すが、まだ距離は遠い。記者採点はイーブン。
2R、アリが右ローを連打しつつ、右ローから左ハイの二段蹴りを出せば、松岡も右ローを返しつつ、右ストレートにつなげ、少し試合が動き出す。だがまだどちらも崩れない。記者採点はイーブン。
3R、序盤からアリは距離を詰め、パンチを振るい、飛び膝も絡め、ダイナミックな攻めで場内を沸かせる。松岡は口から出血し苦しそうだが、右フックを少しずつ返し、左ストレートでものけぞらせて巻き返すが、アリは崩れない。記者採点はイーブン。合計30-30。ジャッジは三者三様で延長へ。
延長R、開始すぐに松岡の蹴りがローブローとなり中断。再開後、お互い慎重な状態の後、パンチの打ち合いとなるが均衡は崩れず。だが中盤すぎ、アリが右ローを当ててからの右ストレートで松岡をのけぞらせ好印象を作る。終盤、松岡もミドルや後ろ回し蹴りを返すが、ビッグヒットには繋げられず、アリも随所で攻撃を返し終了する。延長はマスト判定で、記者採点は中盤に右ストレートを当てたアリ。ジャッジは僅差のため割れたが、2者がアリを支持し、寧仁太が延長判定勝ちで王座奪取に成功した。
王者になったアリは「一人じゃ勝てなかったし、何回かヤバいと思いましたけど、(ジム代表の梶原)龍児さんが鼓舞してくれて、皆さんのおかげで無事ベルトを取れました。(Krushライト級の瓦田)脩二さん、(Krushスーパー・バンタム級の)璃明武君、(K-1フェザー級の軍司)泰斗君がベルトを取って、プレッシャーを感じていましたけど、自分を信じれば夢はかなうと思いました。K-1のベルトを目指します」と話した。最後はジム4本目のベルト奪取を記念し、梶原会長と共に指を4本立てて記念撮影した。大会後のインタビューでは「試合中に龍児さんから『小学生の頃を思い出して暴れて来い』と鼓舞されました」と明かした。
第9試合 ダブルメインイベント1 Krush女子アトム級(45kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/王者)
×優[ゆう](NEXT LEVEL渋谷/挑戦)
判定3-0 (梅木30-28/西村30-29/菅原30-27)
※菅原が2度目の防衛
菅原は11月のMIO戦に続く防衛戦。優とは20年7月のKrush女子アトム級王座決定トーナメント一回戦で戦い、菅原が判定勝ちしたが、バッティングが多く、お互い攻めあぐねる僅差の試合だった。優は続く試合で山田真子に敗れたが、壽美や小林愛三らの在籍するNEXT LEVEL渋谷に移籍し、昨年5月にMOEに延長判定勝ちし、10カ月ぶりの試合となる。
1R、序盤から菅原がMIOからダウンを奪った右のバックハンドブローをヒット。その後も右のカーフを当て、優は少しバランスを崩す。だが優も中盤から右ミドルを増やし挽回し、菅原も攻撃が少し減ってしまう。記者採点はイーブン。
2R、優が右ミドルを立て続けに当てる場面もあったが、中盤に菅原が左前蹴りで吹き飛ばすと、右のカーフ、左ミドル、右ストレートなどのヒットを増やし、やや優位に。記者採点は僅差だが菅原。
3R、優が左右のミドルを多く当てるが、菅原も打ち終わりに左ストレートを返し、前蹴りでも吹き飛ばし印象を作る。疲れた優はクリンチが増え岡田レフェリーから警告を受け、菅原も消耗し注意を受ける。記者採点はやや菅原優位だがイーブン。合計30-29で菅原。ジャッジは1~3点差とバラついたが、3者とも菅原を支持し、菅原の判定勝ちとなった。
マイクを持った菅原は「もっと成長した姿を見せたかったんですけど、もっと練習を頑張ります。アトム級、これから全員で盛り上げて行きますので、これからも注目お願いします」とアピールした。
第8試合 女子アトム級(45kg) 3分3R(延長1R)
○松谷 綺[きら](ALONZA ABLAZE)
×豊嶋里美(TEAM OJ)
判定3-0 (梅木30-28/箱崎30-28/山根30-27)
松谷きょうだいの妹・綺は10月のKrush初戦で森川侑凜に判定勝ちしKrush 2戦目。1R、体格で勝る豊嶋が開始すぐから距離を詰め、パンチを連打。随所で右フックを当て、組めば倒す場面も。だが綺は回って距離を取り、左右のミドル、右ローを的確に返し、右フックでも時折のけぞらせ好印象を残す。
2Rも綺が左右のミドル、フック、膝を随所で的確にヒット。中盤は少しヒットが減るが、最後はしっかりまとめ印象を作る。多彩で途切れない綺の攻めに度々場内がどよめく。
3Rも綺が右ミドル、ロー、ストレートなどを散らして何発も当て続け圧倒。中盤にはバックスピンキックも絡め、最後は右フックと膝を連打して追い詰め、差を広げ判定勝ちした。
第7試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
×斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (箱崎30-29/梅木30-28/山根29-28)
1R、松本が前に出続け、左右のストレート、左ミドル、膝を度々当てて主導権。斉藤はパンチを振り回すが動きが遅く空振りを続ける。
2Rも松本が手数多く攻める。斉藤は空振りは変わらず多いが、時折左フックやバックハンドブローをお返し。松本も鼻血を出し消耗してきている。とはいえ3Rも松本が手数が多い状態は変わらず、松本の判定勝ちとなった。
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×林 勇汰(FLYSKY GYM)
○佑典[ゆうすけ](月心会チーム侍)
2R 1’26” KO (右ストレート)
1R、サウスポーの佑典が終盤、打ち合いの展開で右フックを当てダウンを奪う。ダメージの残る林に、終了間際にも右フックを当てダウンを重ねる。林は立ち上がるが、芹沢レフェリーからポーズを促されても横を向いており、意識が定まらないようにも見える。
2Rもダメージの残る林に対し、佑典が踏み込んでの右フックをクリーンヒットし累計3度目のダウンを奪ったところで、ようやくレフェリーがストップした。
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○鈴木翔也(OGUNI-GYM/NJKFライト級王者、元NJKFスーパーフェザー級王者)
×弘輝(WORLD TREE GYM/team ALL-WIN)
2R 0’41” KO (右フック)
1R、サウスポーの弘輝が左のカーフ、ミドルなどを的確に当て、中盤に前に出た鈴木の右ストレートをかわしてからの右フックでダウンを奪う。最後も詰めてきた鈴木に左ストレートをカウンターで当ててダウンを再び奪う。
2Rも弘輝が左フックでダウンを奪い、鈴木万事休すかと思われたが、弘輝の右フックに右のフックをカウンターで合わせクリーンヒット。ダウンした弘輝は一瞬伸びた状態となり、すぐさまレフェリーがストップ。鈴木が逆転KO勝ちした。
第4試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○安川侑己(志村道場/元HEATキックライト級王者)
×目黒翔大(優弥道場)
判定2-1 (山根29-30/豊永30-29/西村29-28)
1R、前に出る安川に対し、サウスポーの目黒は回ってかわしながら、左右のカーフ、細かいパンチを当て続け、手数で大きな差をつける。
2R中盤からは頭を近づけてのパンチの攻防が増え、目黒がアッパー、フックを手数多く当てるが、安川もパンチを増やす。
3Rは接近戦のせいもあってバッティングとなり、目黒が右まぶたを切り出血するが、最後まで声を上げながらパンチを手数多く出し続け終了。ジャッジは意外にも割れ、1者のみ目黒を支持し、2者は前に出続けた安川を支持し、安川の判定勝ちとなった。記者採点は1Rと3Rに目黒につけ28-30で目黒。
第3試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○塚本拓真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
×小林孝彦(K-1ジム総本部チームペガサス)
3R 1’40” KO (右ミドルキック)
1R、塚本が前に出続け右ミドルを当て、小林が回って左ボディを返す構図。終盤、塚本の蹴り数が伸びやや好印象か。
2R、小林がコーナーに詰めてのパンチラッシュで塚本を追い詰めるが、塚本は耐えると、ボディへの膝を連打して追い詰め、左ローも絡めダウンを奪う。途中、つかんでの膝蹴りもあったように見えたが、レフェリーは流していたのは気になった。
3Rも塚本が右ミドルを当て続け、2ダウンを重ねたところでレフェリーがストップした。
第2試合 女子アトム級(45kg) 3分3R(延長1R)
×谷田美穂(K-1ジム大宮チームレオン)
○紗依茄[らいか](月心会チーム侍)
判定0-3 (梅木27-30/三浦27-30/山根26-30)
1R、開始すぐに紗依茄が右ハイキックでダウンを奪う。その後も前に出る谷田に対し、長身の紗依茄が回って距離を取りながら左ミドル、前蹴りなどを当て続け主導権を維持し判定勝ちした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)
○南雲大輝(八光流柔術総本部)
4R 判定0-3 (三浦8-10/梅木8-10/岡田8-10)
3R 判定0-1 (三浦27-28/梅木28-28/岡田28-28)
堀井の金的反則勝ち、負傷欠場、計量後の体調不良欠場と、過去3度波乱が続いている南雲との4度目の試合が組まれた。
1R、南雲がサウスポーからの左右のフックと左ボディ、堀井が右フック、テンカオ、ミドル、バックブロー主体の攻防。まだ均衡は崩れない。
2R、南雲が左ボディ、堀井が右のカーフで削り合う展開。中盤、バッティングで堀井が右の眉尻をカットしドクターチェックを受ける。再開後、堀井のローに合わせた南雲の右フックで堀井はダウン。出血がまたも激しくなり再びドクターチェックが入る。
3R、堀井が左ジャブを当てつつ、右のカーフを効かせると、南雲はダウンを免れようとクリンチが増え、注意が重なりイエローカード減点1が科される。実質10-8で堀井につく内容に。ジャッジは1者のみ南雲を支持し、2者28-28のイーブンで延長へ。
延長R、堀井が右のテンカオ、右のフックを当てるが、出血が激しく、その影響も相まって攻めの勢いが少しずつ落ちる。中盤にはドクターチェックが入る。再開後、堀井が右の三日月、ローなどで南雲を追い詰めるが、終了間際、南雲が左ストレートでダウンを奪い逆転。結果これが決め手となり南雲が勝ったものの、大苦戦のせいもあり笑顔はなく、四方に頭を下げリングを降りた。堀井は3連敗となったが、勝利への執念と技術的な成長を印象付ける好勝負を見せてくれた。
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×井上咲也(K-1ジム大宮チームレオン)
○寺島 想[こころ](AX GYM/K-1カレッジ2020 -60kg優勝)
3R 0’34” KO
プレリミナリーファイト第1試合 女子アトム級(45kg) 2分3R
×加藤りこ(K-1ジム五反田チームキングス)
○吉崎 生[なる](K-1ジム大宮チームレオン)
判定0-3 (28-30/28-30/28-29)