ラウェイ×アンビータブル 10.6 後楽園ホール(レポ):渡慶次幸平、BRAVEのコンゴ人選手にTKO勝ち。DEEPの大成、佐藤光留をKO。杉山和史、KO勝ちで引退
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ファーストオンステージ主催「ラウェイ×アンビータブル 第2回大会」
2021年10月6日(水)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
ファーストオンステージはラウェイの大会を続けてきたが、コロナ禍でミャンマーからラウェイの選手や関係者を招へいできなくなったことから、新シリーズ「ラウェイ×アンビータブル」を7月の新宿フェイス大会からスタートした。ラウェイもアンビータブルも、頭突き・肘打ち・関節技の認められた立ち技格闘技。ミャンマー発祥のラウェイは拳にバンデージのみを付け、時間切れの場合は引き分けとなる。アンビータブルはラウェイを他競技の選手にも敷居の低い形式にアレンジした新ルールで、オープンフィンガーグローブ着用・判定決着ありとなっている(ルールの詳細は記事の末尾参照)。2回目の今大会ではラウェイ1試合、アンビータブル5試合が行われた。
第6試合 メインイベント ラウェイ・ルール 72kg契約 3分5R
○渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺/ラウェイAIR KBZ 75kg級 2018王者)
×レバナ・デオグラシャス[Lebana Deogratias](コンゴ民主共和国/BRAVE)
2R 2’42” TKO (コーナーストップ)
7月大会のメインイベントでジョナタン・バイエスとラウェイ・ルールで対戦しTKO勝ちした“日本ラウェイの大黒柱”こと渡慶次が連続出場。対するデオグラシャスは22歳。所属先のBRAVE主催の大会でアマチュアMMAの試合を経験しているが、プロデビュー戦で過酷なルールの戦いに臨む。
1R、サウスポーの渡慶次に対し、デオグラシャスが積極的に右のミドル、三日月蹴りをヒット。渡慶次は慎重だったが、中盤、左ストレートをクリーンヒットし、デオグラシャスは尻餅をつく。だがすぐ立ったため、ラウェイ・ルールに沿い、ダウンとはならない。その後もデオグラシャスが蹴り主体で、渡慶次はパンチも当てつつ、時折左のミドル、ローも強打する。
2R、パンチの打ち合いとなり、渡慶次は左ストレートを再三当て、デオグラシャスは度々尻餅をつくように。中盤、デオグラシャスが左の三日月蹴りでダウンを奪う。デオグラシャスが倒れたまま立てずにいると、デオグラシャス陣営がタオルを投げ、ラウェイ・ルールで認められる「タイム」を申請する形となり、2分の休憩に入る。再開したものの、デオグラシャスは虚ろな表情で、既に戦闘意欲が尽きており、手を振って後退したところで再びタオルが投入され、渡慶次のTKO勝ちとなった。
マイクを持った渡慶次は「みんなコロナ疲れしていて、満員にならなかったけど、渡慶次ならやるんじゃね?とか、皆さんの応援がありましたら、死ぬまでラウェイをやります」とアピールした。
第5試合 アンビータブル・ルール 90kg契約 5分2R
×佐藤光留(パンクラスMISSION)
○大成(フリー)※関野大成 改め。三河幕府から所属変更
1R 2’46” KO (3ダウン:左ストレート)
佐藤は7月大会に出場予定だったが、直前のパンクラスの試合でTKO負けしたため欠場し、今回が初出場。2000年にパンクラスでプロデビューし、ここ10年以上はプロレスが主体で、現在41歳だ。
大成は21歳。いわゆる地下格闘技大会での経験を経て、19年にMMAプロデビューし戦績5戦3勝(3KO)2敗。今年に入ってDEEPで2戦し、最近では6月のDEEPニューピア大会に出場しKENNY中村に判定負けしている。
1R、パンチ主体の佐藤に対し、長身の大成がサウスポーからの左ミドル、三日月、ローを当て続けて主導権を握ると、首相撲からの右膝蹴りを佐藤の顔面に叩き込みダウンを奪う。佐藤は立ち上がるがダメージは大きい。大成は蹴り主体にしつつ、崩しや頭突きも絡め圧倒。左ストレートで2ダウン目を奪うと、最後も左ストレートでダウンを奪いKO勝ちした。
マイクを持った大成は「これからDEEPで実績を積んで、RIZINや海外のメジャー団体で活躍する選手になりますので、大成という名前を覚えて帰ってください」とアピールした。
第4試合 アンビータブル・ルール 体重無差別 5分2R
×半田勝也(猛者連八幡支部チームキクリン)
○内田ノボル(翔拳道/元MA日本キック&新日本キック・ヘビー級王者)
判定0-3 (小池=内田/寶田=内田/千葉=内田)
半田は7月大会でのアンビータブル・ルールの試合で大番高明に判定勝ちし連続出場。内田は旧K-1ヘビー級でも活躍した46歳のベテランだ。
1R、半田が内田をコーナーに詰め、パンチと頭突きで積極的に攻め先手を取る。だが内田の膝蹴りがローブローとなり攻撃が寸断される。以降は内田が半田の突進をかわしつつ、左右のストレートを当てて半田に鼻血を出させ追い詰める。だが半田も前に出て頭突きで応戦する。
すると2R、半田がしぶとく前に出続け、パンチ、頭突きで攻めていると、内田は攻撃が減るように。とはいえクリーンヒットは免れ終了。ゴングが鳴ると、内田は半田に「ありがとう。素晴らしいよ」と声をかけ、手を上げて健闘を称えた。ジャッジは3者とも、下がりながらもしっかり攻撃を当てた内田を支持した。
第3試合 アンビータブル・ルール 65kg契約 5分2R
×大村友也(掣圏会)
○杉山和史(TURNING POINT)
1R 0’35” KO (パンチ連打)
大村は負傷欠場のテレカ∞の代役で出場。1R、序盤のパンチの打ち合いで、MMA選手の杉山が右ストレートをクリーンヒットした後、左のフックでも追い打ちをかけてダウンを奪うと、大村は立ち上がれず、杉山のKO勝ちとなった。
勝った杉山はグローブを外してマットに置き、マイクを持つと、ヴィーガン活動と動物愛護をアピールした後、現役引退を表明。「今45歳です。2年前、パンクラスで負けたときに引退を考えましたが、オファーを受けた感謝の気持ちから出場しました。ヴィーガンのため、ジムの仲間のために、勝ち負け関係なく戦いました。これからは指導する側に回ります。グローブを置きましたので引退します」と話すと、場内は拍手に包まれた。
第2試合 アンビータブル・ルール 70kg契約 5分2R
×笠島竜二(GTジム)
○レバナ・エゼキエル[Lebana Ezechiel](コンゴ民主共和国/BRAVE)
判定0-3 (寶田=笠島/小池=レバナ/千葉=レバナ)
メインに登場したデオグラシャスの弟で先にGRACHANでプロデビューしているエゼキエルも出場し、空手ベースのキックボクサー・笠島と対戦した。
1R、サウスポーの笠島の右フックで、エゼキエルは開始早々ひるんでしまうが、以降はパンチの打ち合いで当て返し、跳躍力を活かした近距離での飛び膝や、組んでのテイクダウンで挽回する。
2R、エゼキエルは飛び膝の空振りをフェイントにしつつ、右のパンチのヒットを増やす。笠島は次第に顔を腫らし、苦しそうな様子に。エゼキエルは頭突きでも追撃する。笠原も頭突きで応戦し、最後まで前に出て観客を沸かせる。アンビータブル・ルールは「アグレッシブ(攻撃的・積極的であった選手)」を判定で第一優先とするため、笠島もジャッジ1者から支持されたものの、2者は第2優先のクリーンヒットも含めて評価し、順当にエゼキエルを支持し、エゼキエルの判定勝ちとなった。
第1試合 アンビータブル・ルール 66kg契約 5分2R
○福田泰暉(TEAM-STAKE)
×中島光陽(氣魂道場)
1R 1’46” TKO (コーナーストップ:右フックで2ダウン後)
福田が1Rに右フックで2ダウンを奪ったところで、中島陣営がタオルを投入しTKO。マイクを持った福田は関係者に感謝の言葉を述べた後、「次、ラウェイルール、やらせてください。自分は死ぬまで挑戦します」とアピールした。
アンビータブル(UNBEATABLE)ルール概要
(左がアンビータブル・ルール、右がラウェイ・ルールのラウンドガール衣装。ラウェイは大相撲のように神事の要素もあり、女性がリングに入ることを許されないため、ラウンドガールはリングの周りを歩く。)
【ラウェイとの相違点】
・特別開発されたオープンフィンガーグローブ着用 ※ラウェイはバンテージのみ
・5分2R・インターバル2分(主に拳を休めるため) ※ラウェイは3分5R・インターバル2分
・判定あり(試合全体の攻防で3名のジャッジが判定)※ラウェイは判定なし。時間切れの場合は引き分け
・タイムなし ※ラウェイは大きなダメージなどの際、1試合で1回2分間休憩できる「タイム」制度がある
・ラウンドガールのリング入場可 ※ミャンマーの奉納行事のラウェイでは認められなかったルールの緩和を検討中。
【判定の優先順位】
「格闘技の原点回帰」を意識したアグレッシブ・ファーストを基本とします。
1.アグレッシブ(攻撃的・積極的であった選手)
2.クリーンヒット(多くのダメージを相手に与えた選手)
3.リングジェネラルシップ(主導権を維持していた選手)
4.ディフェンス(攻撃を無効にする防御に長けていた選手)
【ダウンについて】
10カウント以内にファイティングポーズを取れなかった場合、もしくはラウンド中に3度ダウンを喫した場合は「KO負け」。
レフェリーストップやドクターストップ、1試合で一方の選手がダウンを計4度喫した場合は「TKO負け」。
1カウントはラウェイ同様2秒(合計20秒)。
【有効な攻撃】
1.パンチ(バックハンドを含むあらゆる拳を使った攻撃)
2.キック(ヒザを含むあらゆる足を使った攻撃)
3.あらゆるヒジを使った攻撃
4.あらゆる頭突き攻撃(選手双方の希望により、禁止とする特別ルールもあり)
5.頸部(首)以外への絞め技・関節技
6.戦略的なクリンチ(抱え込み)
7.頸部を支点としたものを除くあらゆる投げ技
【主な反則】
目つぶし(ラウェイでも反則)、金的(ラウェイでは故意でなければOK)、脊髄、女子の胸部への攻撃(ラウェイではOK)。いずれも故意であるか否かは問わない。投げ技・関節技・絞め技は頸部(首)を支点としたもののみ禁止(ラウェイではOK)。